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October 17, 2005
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例�検別簑蠅伐鯏�）
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経営分析は事例�犬猟衄屐�ただ、例年は前年度の財務諸表と今年度のそれを比較するという形式だったのが、今年は今年度の財務諸表だけが資料として与えられています。
損益計算書を見ると、経常利益がマイナスです。売上原価や販売費・一般管理費の割合が高そうに見えるのですが、前年との比較ができないため一概に悪いとも言えません。営業外費用が大きいのが目に付きますが、これは借入金が多額で支払利息の負担が大きくなっているためだと考えられます。そこで1つ目の指標として「自己資本比率」を挙げました。
貸借対照表を見ると、流動資産が流動負債を下回っています。これは大きな問題なので、2つ目の指標として「流動比率」を挙げました。与件文には、原材料の価格の乱高下によっては資金繰りが苦しくなり、操業停止に追い込まれる可能性がある、とあり、短期の支払い能力がそれほど高くないことを匂わせています。
これは新しい出題形式でした。しかし、財務諸表のうち変動する項目は与件文にすべて書かれているため、一つ一つ順を追っていけばきれいに空欄を埋めることができました。
（設問2）は第1問とも関連させて答える必要があると思います。第1問で指摘した問題点が、今回の設備投資によりどう影響されるのかという視点で回答しました。
長所は流動資産が増加し、流動比率が100％を超え安全な水準になること、短所は設備投資の資金をすべて借入金でまかなうため、自己資本比率がさらに低下することとしました。
損益分岐点の公式どおりに計算すれば解答が導き出せました。（設問2）は、単に損益分岐点売上高がいくらになるかだけを書いても100字に満たないので、変動比率や損益分岐点比率についても言及しました。
確率と期待値の問題です。過去の期待値の問題はもっと計算が入り組んでいたのに比べると、今年の問題は随分シンプルなものだったと思います。
【事例の概要】
D社は、鉄およびアルミを素材とする使用済み飲料缶に対して、加熱による塗料の除去を行い、鉄およびアルミの再生原料を生産しているリサイクル業者である。現在の設備では、鉄とアルミの分別が不十分なため、出荷製品の純度が低くなって販売価格は安く、取引先や販売量は安定しているが、経営的には厳しい状況が続いている。
そこで、鉄とアルミの分別の精度を高めるため、2億円の設備投資案を検討中だが…
第1問
D社の平成16 年度財務諸表（賃借対照表、損益計算書および製造原価報告書）を用いて、D社の経営分析を行い、経営上の問題点のうち、特に重要と思われるものを2つ取り上げ、問題点� ↓△瓦箸法△修譴召賁簑蠹世虜�拠を最も的確に示す経営指標を一つだけ挙げて､(a)その名称を示し、(b)経営指標値を計算(端数が出た場合には、小数点第3 位を四捨五入すること)した上で、(c)問題点について60字以内で説明せよ。
経営分析は事例�犬猟衄屐�ただ、例年は前年度の財務諸表と今年度のそれを比較するという形式だったのが、今年は今年度の財務諸表だけが資料として与えられています。
損益計算書を見ると、経常利益がマイナスです。売上原価や販売費・一般管理費の割合が高そうに見えるのですが、前年との比較ができないため一概に悪いとも言えません。営業外費用が大きいのが目に付きますが、これは借入金が多額で支払利息の負担が大きくなっているためだと考えられます。そこで1つ目の指標として「自己資本比率」を挙げました。
貸借対照表を見ると、流動資産が流動負債を下回っています。これは大きな問題なので、2つ目の指標として「流動比率」を挙げました。与件文には、原材料の価格の乱高下によっては資金繰りが苦しくなり、操業停止に追い込まれる可能性がある、とあり、短期の支払い能力がそれほど高くないことを匂わせています。
第2問
D社経営者は、平成17年度の期首に新たな2億円の設備投資を行った場合、どういう財務状態になるか平成17年度の予想財務諸表（予想賃借対照表、予想損益計算書および予想製造原価報告書）を作成してほしいと依頼してきた。
（設問1）
平成16年度財務諸表（賃借対照表、損益計算書および製造原価報告書）を基礎として、平成17年度予想財務諸表を作成せよ。
なお、作成にあたっては以下の点も考慮するものとする。
� 々�場以外の施設・設備はすべて借りている。
�◆仝把蟷饂困慮魂曾�却はすべて定額法で行っている。
�� 法人税等は税引前当期純利益の40％とする。
�ぁ｜惨�借入金は全額借換えるものとする。
（設問2）
（設問1）で作成した平成17年度予想財務諸表から、この設備投資計画の(a)長所と(b)短所をそれぞれ30字以内で述べよ。
これは新しい出題形式でした。しかし、財務諸表のうち変動する項目は与件文にすべて書かれているため、一つ一つ順を追っていけばきれいに空欄を埋めることができました。
（設問2）は第1問とも関連させて答える必要があると思います。第1問で指摘した問題点が、今回の設備投資によりどう影響されるのかという視点で回答しました。
長所は流動資産が増加し、流動比率が100％を超え安全な水準になること、短所は設備投資の資金をすべて借入金でまかなうため、自己資本比率がさらに低下することとしました。
第3問
D社経営者から､営業利益（営業外費用を含まない）を用いた損益分岐点分析をしてほしいとの依頼を受けた。製造原価のうち、変動費は材料費、水道光熱費と運搬費であり、あとはすべて固定費である。また、販売費・一般管理費はすべて固定費とみなす。
（設問1）
平成16年度の財務諸表(賃借対照表、損益計算書および製造原価報告書)を用いて、損益分岐点の売上高を(a)欄に求めよ（単位：百万円）。また､現在の損益分岐点比率を(b)欄に求めよ。端数が出た場合には、小数点第3位を四捨五入すること。
（設問2）
第2問で取り上げた2億円の新たな設備投資を行った場合に、平成17年度の予想財務諸表（予想賃借対照表、予想損益計算書および予想製造原価報告書）から導き出される損益分岐点の特徴は、平成16年度と比較してどのように変化するか、100字以内で述べよ。
損益分岐点の公式どおりに計算すれば解答が導き出せました。（設問2）は、単に損益分岐点売上高がいくらになるかだけを書いても100字に満たないので、変動比率や損益分岐点比率についても言及しました。
第4問
専門家から得た新たな情報によれば、原材料である使用済み飲料缶の購入価格および購入量が、1年後には以下のように予測される。
すなわち、現在4億円の材料費が1年後には50％値上がりする確率が70％、逆に10％値下がりする確率が30％と予測され、値上がりした際にはD社の財務体質上から資金手当てが困難となり、現在の購入量の80％しか購入できないと予測されている。一方、現時点で購入した場合には、今後1年間に倉庫費が購入金額の20％、支払利子が購入金額の5％発生すると考えられる。また、売上高は現在と同じ額が確保できると予想されている。
そこで、現在の設備状況のもとで、この情報に基づいて原材料の購入方法を検討することとした。現時点で必要な原材料をすべて購入してしまうべきか、それとも1年後に購入すべきかを判断するために、以下の設問に答えよ。
（設問1）
1年後に原材料を購入する場合の、売上高から材料費を差し引いた金額の期待値はいくらか算出せよ（単位：億円）。
（設問2）
現時点で原材料を購入する場合の、売上高から材料費および上記の在庫維持費（倉庫費および支払利子）を差し引いた金額はいくらになるかを(a)欄に算出し（単位：億円）、1 年後に購入するのと期待値においてどちらが有利か(b)欄に答えよ。
確率と期待値の問題です。過去の期待値の問題はもっと計算が入り組んでいたのに比べると、今年の問題は随分シンプルなものだったと思います。
October 16, 2005
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例�掘別簑蠅伐鯏�）
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公共事業を主軸とする製造業が取り上げられたのは初めてでした。とはいえ、設問の内容は公共事業とはほとんど関係ありません。ただ、例年は工程管理をテーマとし、生産的な製造工程のための提案を問う設問があったのですが、今年は工場改革という、大局的な視点が求められる設問がありました。どちらかというと組織・人事をテーマとした事例�気能仟蠅気譴修Δ覆發里任垢�。
（設問1）
C社の主軸は各種公園施設の製造なので、この事業で培った強みで家庭用エクステリア事業にも活用できそうなものは何かを考えればいいはずです。与件文を読んでいくと、
（1）対候性鋼材の使用、大気腐食に強い塗装システム、環境面重視の塗料開発等、表面処理技術に定評があること。
（2）開発力、デザイン力が充実していること。
が強みとして挙げられます。
（設問2）
一定の需要が見込める標準品の生産に適しているのは見込生産かつ連続生産です。しかし、こんな一般論でよいのか…?
与件文を眺めていると、「第2工場には、…納期に余裕のある製品、小物製品を手がける製造・工事部門が配置されている」とありました。通常、個別生産の製品に比べると、標準品は納期に余裕があるものであり、また家庭用エクステリアは小物が中心になります。よって、第2工場を中心に見込生産かつ連続生産の体制を敷く、と書きました。
（設問3）
単なる部品調達ではなく、「海外からの」部品調達であることにも注意して、次のような内容を解答しました。
（1）調達先の選定に当たり、コストだけでなく、品質や納期に関する基準も明確に定める。
（2）（海外企業との取引に当たっては為替変動等のリスクがあるので）支払い等に関して自社が不利にならないような取引条件を定める。
（3）海外と日本の間に効率的な物流ルートを確立する。
工場は品質を、営業は納期を重視しています。そして、どちらも重要であることはC社も十分に認識しています。それを踏まえた上でどうするかを答える必要がありそうです。「提案せよ」という設問からして、かなり具体的な内容まで踏み込んでいいと判断しました。
私は、ISO9001取得プロジェクトチームに工場のメンバーだけではなく、外部からスカウトされた新工場長と、営業担当者を加えて工場改革チームとし、品質と納期を同時に追求する方法を模索すべきだと解答しました。
完成品の据え付け工事を他社が行った場合、輸送の際のキズや設置寸法の違いなどの不良が発生し、C社へのクレームとなるというのが与件文の内容です。自社製品には問題がないということなので、クレームの問題は、C社が他社の業務に一切関与していないことになると思います。対策としては、輸送や設置工事に際する注意点を事前に十分説明したり、C社に寄せられたクレームの内容を他社とも共有し、業務の改善を求めたりするということが考えられます。
事例�兇飽�き続き、インターネットの活用方法についての設問です。生産管理システムについての設問も、ほぼ毎年出題されています。
与件文によると、現在は日程計画に基づく進捗状況（受注ごとの納期、生産予定の一覧表）が管理されており、おかげで営業からの納期確認は減少しているとあります。これに加えて営業にとって必要なことは、営業先において、受注の際に見積もりや納期が瞬時に解ること、仕様変更を要求された場合にリアルタイムで生産ラインに知らせられることです。そのためには、受注ごとの仕様や原価情報を含めた部品情報、工程の空き具合等の項目の管理が必要になります。
【事例の概要】
C社は、鉄鋼製構築物を主とした各種公園施設、エクステリアの製造・販売を事業としている。主力の各種公園施設の最終ユーザーのほとんどは地方自治体などの公的機関であるが、直接の得意先は設計業者、ゼネコンなどである。ここ数年は公共事業の減少に直面し、売り上げ減を余儀なくされている。
こうした事態を打開するべく、C社が検討しているのは次のような方策である。一つは、家庭用エクステリア事業の強化である。中国から部品を調達し、日本国内で組み立てて販売する計画を立てている。もう一つは、各種公園施設における自社製品の開発である。
各種公園施設の製造においては、近年短納期化の要請が厳しく、営業としては向上の機動性に富んだ生産体制の整備を望んでいる。一方で工場側としては品質を優先事項としており、現在ISO9001取得に向けたプロジェクトチームが立ち上がっている。C社は工場長を外部からスカウトし、様々な工場改革に乗り出そうとするが…
公共事業を主軸とする製造業が取り上げられたのは初めてでした。とはいえ、設問の内容は公共事業とはほとんど関係ありません。ただ、例年は工程管理をテーマとし、生産的な製造工程のための提案を問う設問があったのですが、今年は工場改革という、大局的な視点が求められる設問がありました。どちらかというと組織・人事をテーマとした事例�気能仟蠅気譴修Δ覆發里任垢�。
第1問
公共事業の低迷による売上減に直面しているC社は、もう一つの事業の柱として家庭用エクステリア事業の強化を計画している。このことについて、以下の設問に答えよ。
(設問1)
家庭用エクステリア事業を強化するにあたって、C社の強みとなる点を二つあげ、それぞれ50字以内で述べよ。
(設問2)
各種公園施設の個別生産とは異なり、標準品生産を条件とした場合の家庭用エクステリア製品の生産体制は、どのように整備することが望ましいか。その理由をあげながら100字以内で説明せよ。
(設問3)
C社では、中国から部品を調達することで、コスト競争力を高めることを検討している。こうした海外からの部品調達についての留意点を100字以内で述べよ。
（設問1）
C社の主軸は各種公園施設の製造なので、この事業で培った強みで家庭用エクステリア事業にも活用できそうなものは何かを考えればいいはずです。与件文を読んでいくと、
（1）対候性鋼材の使用、大気腐食に強い塗装システム、環境面重視の塗料開発等、表面処理技術に定評があること。
（2）開発力、デザイン力が充実していること。
が強みとして挙げられます。
（設問2）
一定の需要が見込める標準品の生産に適しているのは見込生産かつ連続生産です。しかし、こんな一般論でよいのか…?
与件文を眺めていると、「第2工場には、…納期に余裕のある製品、小物製品を手がける製造・工事部門が配置されている」とありました。通常、個別生産の製品に比べると、標準品は納期に余裕があるものであり、また家庭用エクステリアは小物が中心になります。よって、第2工場を中心に見込生産かつ連続生産の体制を敷く、と書きました。
（設問3）
単なる部品調達ではなく、「海外からの」部品調達であることにも注意して、次のような内容を解答しました。
（1）調達先の選定に当たり、コストだけでなく、品質や納期に関する基準も明確に定める。
（2）（海外企業との取引に当たっては為替変動等のリスクがあるので）支払い等に関して自社が不利にならないような取引条件を定める。
（3）海外と日本の間に効率的な物流ルートを確立する。
第2問
C社では工場改革に対する考え方が、工場と営業では違っている。その違いを踏まえた工場改革のあり方を120字以内で提案せよ。
工場は品質を、営業は納期を重視しています。そして、どちらも重要であることはC社も十分に認識しています。それを踏まえた上でどうするかを答える必要がありそうです。「提案せよ」という設問からして、かなり具体的な内容まで踏み込んでいいと判断しました。
私は、ISO9001取得プロジェクトチームに工場のメンバーだけではなく、外部からスカウトされた新工場長と、営業担当者を加えて工場改革チームとし、品質と納期を同時に追求する方法を模索すべきだと解答しました。
第3問
C社へのクレームについて、何が問題なのかを説明するとともに、その改善策を120字以内で述べよ。
完成品の据え付け工事を他社が行った場合、輸送の際のキズや設置寸法の違いなどの不良が発生し、C社へのクレームとなるというのが与件文の内容です。自社製品には問題がないということなので、クレームの問題は、C社が他社の業務に一切関与していないことになると思います。対策としては、輸送や設置工事に際する注意点を事前に十分説明したり、C社に寄せられたクレームの内容を他社とも共有し、業務の改善を求めたりするということが考えられます。
第4問
特急品、納期変更、仕様変更など、多様な要請がある公共事業等の営業活動の場において、インターネットを活用して迅速に対応するには、どのような項目をどのように管理すればよいかを120字以内で述べよ。
事例�兇飽�き続き、インターネットの活用方法についての設問です。生産管理システムについての設問も、ほぼ毎年出題されています。
与件文によると、現在は日程計画に基づく進捗状況（受注ごとの納期、生産予定の一覧表）が管理されており、おかげで営業からの納期確認は減少しているとあります。これに加えて営業にとって必要なことは、営業先において、受注の際に見積もりや納期が瞬時に解ること、仕様変更を要求された場合にリアルタイムで生産ラインに知らせられることです。そのためには、受注ごとの仕様や原価情報を含めた部品情報、工程の空き具合等の項目の管理が必要になります。
October 15, 2005
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例�供別簑蠅伐鯏�）
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過去4年はずっと小売業のマーケティングに関する問題だったのですが、今年は初めてサービス業のマーケティングが出題されました。サービス経済へのシフトという産業構造の変化を受けての出題だったのかもしれません。事業内容は美容サービスと身近なものであり、与件文の内容そのものは至って標準的なレベルだったと思います。
来年は卸売業のマーケティングが出題されるかも（!?）
与件文を読むと、人口動態変化の段階とは（1）開業当時の人口安定期、（2）地下鉄駅新設による人口増加期、（3）現在の人口停滞期を指していることが解ります。それぞれの時期にB社が取った戦略、すなわち（1）地域住民への密着型戦略、（2）本質的サービス特化による新規顧客開拓戦略、（3）出張美容サービスという新規事業展開戦略のことを答えればいいのだと思います。
「首尾よく展開」するためには、簡潔に言えば本店と支店でカニバリゼーションを起こさないようにすることが必要です。つまり、標的顧客が重複しないように留意し、それぞれの顧客に応じたサービスを提供し、プロモーション活動を行うことが求められます。
「相乗効果を発揮」するためには、美容サービスの技術レベルを本店と支店で合わせることが重要であると思います。この事例のように多店舗展開をしていると、本店の評判が支店に、支店の評判が本店に影響します。本店と支店では提供するサービスは異なりますが、美容院の本質的な部分である技術に関しては、本店と支店できっちりと水準を合わせることが肝要だと考えます。
これは与件文からそのまま抜き出すことができます。
（1）地域住民との交流を目的としたサロンの開設。
（2）顧客管理による顧客ごとのプロモーション。
（3）有用な情報が満載の手作り会報の配布。
与件分の最後の方に、B社が従業員の技術と接客の向上のために、講習会に従業員を積極的に参加させたり、従業員の目標管理をしたり、従業員と密なコミュニケーションをとったりしていることが書かれています。これがインターナル・マーケティングです。顧客にサービスを提供するのは従業員ですから、従業員が仕事に満足して取り組むことが、結果としてサービスの質を向上させ、顧客満足度の向上に繋がるというのがインターナル・マーケティングの考え方です。
情報システムと関連させた設問が必ず1問は出題されるのが事例�兇瞭団Г任后�「インターネットを活用」するということ、目的が「顧客との関係を強化する」ことであるという条件から、次のような内容を解答しました。
（1）会員制サイトを作り、会員向けの優遇サービスの提供や会員限定のイベントの開催を行う。
（2）掲示板を作り、サービスに関する意見、要望を書き込んでもらったり、サロンを利用する地域住民の情報交換の場を設けたりする。
他にも現在個別に配送しているDMの代わりにメールを配信する、といったことも考えられます。
【事例の概要】
B社は現在、本店の他に支店を2店舗持つ美容院である。創業者の夫婦が現在も経営を続けており、15人の従業員が働いている。
現在の本店は、30年前にJRの駅から徒歩圏内の立地に開業したものである。当時は人口の変化もなく、限定された市場の中での事業展開であったため、B社は地域住民に対する誠心誠意を込めたサービスの提供に注力した。
開業から15年後、JRと連絡する地下鉄が開通し、人口が増加したことを受けて、B社は多店舗展開を始めた。近隣駅周辺に開業した低価格店に対抗する形で、地下鉄の駅前に支店を2店舗持つことになった。
B社は本店と支店で業態が異なる。本店はサービスの質を高めた憩いの場の提供を目指している。完全予約制をとり、着付けサービスやネイルアート等多様なサービスも提供している。また店舗の隣にはサロンを設けてカルチャー教室やイベントを開催し、地域住民との交流を行っているのも特徴的である。
一方、支店では本質的なサービスを基本とし、付随的なサービスを軽減している。予約制は採用せず、本店とは異なるカジュアルな雰囲気の店舗となっている。
開業から30年が経過した現在、地域の人口の増加が止まり、B社は今後の事業展開について頭を悩ませていた。折りしもその頃、長期入院中のお客さんが美容サービスを受けるために、わざわざ外泊の許可を取って来店してきたことがあった。これがきっかけとなり、B社の経営者は出張美容サービスを新たに始める決意を固める…
過去4年はずっと小売業のマーケティングに関する問題だったのですが、今年は初めてサービス業のマーケティングが出題されました。サービス経済へのシフトという産業構造の変化を受けての出題だったのかもしれません。事業内容は美容サービスと身近なものであり、与件文の内容そのものは至って標準的なレベルだったと思います。
来年は卸売業のマーケティングが出題されるかも（!?）
第1問
B社は地域の人口動態の変化とともに新しい戦略を展開してきている（あるいは展開しようとしている）が、それはどのような戦略なのか。それらを三段階に分けて(a)欄に具体的に示し、また、それぞれの戦略の意義を60字以内で(b)欄に述べよ。
与件文を読むと、人口動態変化の段階とは（1）開業当時の人口安定期、（2）地下鉄駅新設による人口増加期、（3）現在の人口停滞期を指していることが解ります。それぞれの時期にB社が取った戦略、すなわち（1）地域住民への密着型戦略、（2）本質的サービス特化による新規顧客開拓戦略、（3）出張美容サービスという新規事業展開戦略のことを答えればいいのだと思います。
第2問
B社の本店と支店では美容院として業態が異なっている。この異なる2つの業態を首尾よく展開し、相乗効果を発揮させるためにはどのようにしていくべきか、100字以内で具体的に述べよ。
「首尾よく展開」するためには、簡潔に言えば本店と支店でカニバリゼーションを起こさないようにすることが必要です。つまり、標的顧客が重複しないように留意し、それぞれの顧客に応じたサービスを提供し、プロモーション活動を行うことが求められます。
「相乗効果を発揮」するためには、美容サービスの技術レベルを本店と支店で合わせることが重要であると思います。この事例のように多店舗展開をしていると、本店の評判が支店に、支店の評判が本店に影響します。本店と支店では提供するサービスは異なりますが、美容院の本質的な部分である技術に関しては、本店と支店できっちりと水準を合わせることが肝要だと考えます。
第3問
B社は顧客との関係性の強化を目指して、顧客生涯価値（Customer lifetime value）を高めるための方策を採用している。美容院として顧客との関係性を強化するために採用した方策について3つ挙げ、それぞれ20字以内で述べよ。
これは与件文からそのまま抜き出すことができます。
（1）地域住民との交流を目的としたサロンの開設。
（2）顧客管理による顧客ごとのプロモーション。
（3）有用な情報が満載の手作り会報の配布。
第4問
美容サービスの経営で顧客満足を実現するためには、特に従業員満足が必要と考えられている（インターナル・マーケティング：Internal marketing による考え方）。それはなぜか。100字以内で説明せよ。
与件分の最後の方に、B社が従業員の技術と接客の向上のために、講習会に従業員を積極的に参加させたり、従業員の目標管理をしたり、従業員と密なコミュニケーションをとったりしていることが書かれています。これがインターナル・マーケティングです。顧客にサービスを提供するのは従業員ですから、従業員が仕事に満足して取り組むことが、結果としてサービスの質を向上させ、顧客満足度の向上に繋がるというのがインターナル・マーケティングの考え方です。
第5問
B社にとって、インターネットを活用し、顧客との関係を強化するための有効な方策はどのようなものか。具体的に2つ挙げ、それぞれ60字以内で述べよ。
情報システムと関連させた設問が必ず1問は出題されるのが事例�兇瞭団Г任后�「インターネットを活用」するということ、目的が「顧客との関係を強化する」ことであるという条件から、次のような内容を解答しました。
（1）会員制サイトを作り、会員向けの優遇サービスの提供や会員限定のイベントの開催を行う。
（2）掲示板を作り、サービスに関する意見、要望を書き込んでもらったり、サロンを利用する地域住民の情報交換の場を設けたりする。
他にも現在個別に配送しているDMの代わりにメールを配信する、といったことも考えられます。
