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新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
March 15, 2010
「動機」の構造を自分なりにまとめてみた−『"働く"をじっくりみつめなおすための18の講義』
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村山 昇 クロスメディアパブリッシング 2007-08 おすすめ平均: 結局、よく分かりませんでした 自身を見直す契機を与えてくれる 自分を見つめなおしたい時にには・・・ |
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ビジネスパーソンが自身のこれまでの仕事を見つめ直し、将来の展望を探る「キャリア開発」ための18のテーマについて著者が図を交えて解説しているのだが、正直な感想を言ってしまうと、図が何ともイケていない。文章だけを読めばすんなりと理解できるのに、図を見るとかえって頭の中が混乱するという摩訶不思議な本だった。
さて、キャリア開発には「過去を振り返る」という軸と、「未来の方向性を見出す」という2つの時間軸が存在する。いずれの時間軸においても、自らの「動機づけ要因」の源泉を探ることは大きな意味を持つ。過去の軸においては、動機づけられて行った仕事は貴重な知恵となって蓄積され、その人のアイデンティティと密着したキャリア資産を形成する。また、未来の軸においても、将来のキャリアビジョンを描き出すのは動機の力であり、動機がビジョン実現のエネルギーとなる。よって、自分の動機づけ要因がどういうものであるのかを認識することは、キャリア開発においてとても大切なのである。
動機づけ要因には、大きく分けて「内発的動機づけ要因」と「外発的動機づけ要因」がある。同書ではそれぞれの動機として具体的にどのようなものがあり、さらにそれぞれが仕事の「目的」と「手段」のどこに存在するものなのか、ということを解説しているのだが、この説明とそれにくっついている図がどうにも私にはしっくりこない。そこで、自分なりに動機づけ要因の構造をまとめ直してみることにした。もう少し言葉を練りたいところは多々あるとはいえ、初期版としてあえてアップしてみる。
(またもやパワポで作るのを面倒くさがって、手書きにしてしまった…)
人が動機づけられるパターンには、(1)環境要因による動機づけ、(2)報酬(への期待)による動機づけ、(3)目的意識による動機づけの3種類があると思う。そして、それぞれに外発的/内発的動機づけ要因が存在する。
(1)環境要因による動機づけ
仕事の環境による動機づけである。ここでの「外発的動機づけ要因」とは、例えば「優秀な上司の下で働ける」、「オフィス環境が快適」、「同僚との良好な人間関係の中で仕事ができる」など、会社が提供する要因で本人がコントロールできる余地が少ないものを指す。本人から見れば、自分の外に存在する外部環境の要因である。
これに対して「内発的動機づけ要因」とは、「自分が興味・関心のある仕事である」とか「自分で好きなように進められる仕事である」といった、自己コントロール性が高い要因を意味する。これは、本人の意識の中の要素ということで、内部環境の要因としている。
(2)報酬(への期待)による動機づけ
一般的に動機づけ要因と言えば真っ先に考えられるのは、仕事を実行した結果として得られる報酬であろう。「外発的動機づけ要因」の代表格は給料、昇進・昇格、周囲からの承認である。給料が上がったり、上級役職に昇格したり、仕事の成果を周りから高く評価されたりすれば、モチベーションが高まる。逆に給料や役職が下がったり、仕事で低い評価を受けた場合でも、その悔しさをバネにして、挽回しようという気持ちになることもある。
他方、「内発的動機づけ要因」とは、仕事を通じて得られる達成感、充実感、満足感、成長実感といったポジティブな感情である。仕事を通じてこうした前向きな気持ちが得られると、さらに仕事に精を出すようになるという正のフィードバックループが成立する。
なお、人間は報酬そのものによっても動機づけられるが、報酬がもらえるかもしれないという期待感によっても動機づけられる。「あの仕事で高い成果を上げれば昇進できそうだ」とか、「この仕事をやりきれば達成感が味わえそうだ」といった、まだ実現していない報酬に対して思いを馳せるだけでもやる気が高まることを経験した人は多いだろう。
(3)目的意識による動機づけ
これはちょっと表現に迷いがあるのだが、要は(1)環境要因による動機づけや(2)報酬(への期待)による動機づけで挙げた具体的な要因よりももっと抽象的な、仕事の目的、存在意義のようなものである。これにも「外発的動機づけ要因」と「内発的動機づけ要因」がある。
「外発的動機づけ要因」とは、会社や上司が「この仕事は会社(あるいは顧客、部門、社会)にとってこういう意義があるからやりなさい」と指示命令することである。いわば、組織によって与えられた正当な理由によって動機づけられる状態である。権威の力を借りた強制的な動機づけと呼んでもよいだろう。会社や上司からの命令である以上、やらないわけにはいかないという、やや消極的な動機づけ要因でもある。
これに対して、「内発的動機づけ要因」としての「仕事への意味づけ」とは、ビジネスパーソン本人が見出すものである。「この仕事は部門や会社、ひいては顧客や社会に対してどのような価値を提供するためのものなのか?」と問い続けることで、自分なりにその仕事の目的や意義を明確化する。すると、内面に使命感のようなものが芽生え、それに突き動かされて仕事に取り組むようになる。企業経営者はこうした崇高な目的意識の下にモチベーションを保っていることが多い。
なお、1つ注意点を挙げておくと、「外発的動機づけ要因」よりも「内発的動機づけ要因」の方が優れているというわけではない。この2つは相互に関連している。例えば、オンラインRPGゲームに熱中する子供は、最初は興味本位(=内発的動機づけ)で遊んでいるが、レベルアップや他のプレイヤーとの競争を経験する(=外発的動機づけ)と、さらにゲームに熱中するといったケースでは、両者の動機づけ要因が密接に絡み合っている。
また、最初は上司からとにかくやれと言われて嫌々やっていた(=外発的動機づけ)仕事が、次第に面白くなっていき、目的を達成したときの快感がたまらなくなる(=内発的動機づけ)ということもある。だから、両方の動機づけ要因をぷっつりと分断して論じることは避けた方がよい。
まだまだ再整理の余地はあるが、私の中では上記の図で割とすっきりしたので、しばらくはこの図を使い続けようと思う。この図を使いながら若手社員のキャリア開発のポイントを述べていこうと考えているが、今日はこの辺で。
《追記》同じ村山昇氏の著書ならば、こっちの『ぶれない「自分の仕事観」をつくるキーワード80』の方が読みやすいと思う。
村山 昇 クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 2009-05-14 おすすめ平均: 30歳前後の方(=私と同世代の方)に勧めたい本です ヒントがたくさん詰まった本 滋味 |
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March 13, 2010
当たり前のことを当たり前じゃないぐらいにやる−『35歳までに必ず身につけるべき10の習慣』
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普段ビジネス書に全く興味がない私の妻が、わざわざこの本を私に買ってきて「これだけはどうしても読め」と何度も言うので読んでみた。私はこの手の自己啓発本はあまり読まないのだが、現在のアデコ創業に携わった著者の重茂達(おもいとおる)氏が、自身の体験に基づいて書いている本なので、簡潔な内容であるにも関わらず1つ1つの文章に重みを感じた。
要は「努力の仕方」について書かれた本だと認識している。成果が「能力×努力」という式で表せるならば、人一倍努力すれば多少の能力不足を補うことができる。本書に書かれている内容は、難しいことなど何一つなく、ごくごく当たり前のことばかりである。それを当たり前ではないぐらい執拗にやり続ける。とりわけ20代〜30代前半にかけては、「若いうちの苦労は買ってでもしろ」という言葉の通りに努力することが大切なのだと思う。そして努力が実れば自ずと能力も高まり、30代後半からは他人の何倍もの成果を上げることができるようになる。
この本で特に印象に残った部分を引用してみたいと思う。
私は常々、マイナス思考の人は成功しないと強調していますが、目的を完遂するためにリスクを想定し、それに備えることをマイナス思考とは言いません。反対に、目をハート型にしてバラ色の未来だけを思い描き、その途中に潜む危険をまるで無視してしまうことをプラス思考とは言わないのです。これを読んで、ある中小企業と話をしていた時のことを思い出した。その会社は業績不振に陥っていたのだが、社長はやたらと「希望はある」とか「○○年後にはニーズが追いついてくる」と楽観的な発言を繰り返している。しかし、足下の業績不振を脱却しないことには話にならない。そこで、そんな遠い未来の話ではなく、今日明日どうするつもりなのかを聞いてみた。
ところが、返答が何とも頼りなく、具体策が出てこない。社長には失礼だが、これではまずいなぁと感じた。バラ色の未来を描いてそこに至る道程を具体的に示せる人が楽観主義者、バラ色の未来を描いて終わる人はただの能天気である。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの新将命(あたらしまさみ)元社長はアデコの研修時にこんな話をしてくれました。それは、「あいつのせいだ!と言って、人差し指と親指を他人に向けたとき、残りの3本の指は自分のほうを向いている」という話です。人を非難するときは、同時に自分自身にも非難は向けられなければいけません。他責の人は、この3本の指に気付かない。うまい表現だ!と思わず唸ってしまった。「誰が悪いのか?」と問うと、泥沼の人格攻撃に発展しかねない。「どこに問題があるのか?」と、人と事象を切り離して考えるクセを身につけたいものだ。
出勤する際、本社のそばに立てかけてあった、わが社の宣伝用の路上看板が、そっぽや反対を向いていたり、倒れていたり、汚れたりしていることが目に付く時期がありました。身内の恥をさらすような話で恐縮だが、以前、会社の書籍の数が増えてきたので整理しようという話になった。だが、ある社員は「自分の給料から時間単価を計算すると、書籍の整理なんて割に合わないから、派遣を雇ってやらせればいい」と言い出したのである。
(中略)いったいこれ(看板を直すこと)は、誰の仕事なのでしょうか。それは、誰かの仕事ではなく、誰もが率先してやるべき仕事だと思います。自分たちは会社の一員です。会社に関することは、自分とはまったく関係ない部署に属するようなことであっても、常に神経を配っていなくてはいけません。
何という狭い了見だと周りの社員は半ばあきれていた。私の会社は社員数も少ないベンチャーだから、雑用であっても誰かがやらないと業務に支障が出る。彼はそれを理解していなかった。しかも、簡単に派遣を雇えばいいと言うが、派遣もそれなりに値が張る上に、派遣会社に連絡をして見積をもらい、上長の承認を得て派遣を雇い入れ、当日はオフィスを初めて訪れるその派遣社員に対しどの本をどこに移動するのかを具体的に指示し、作業終了後には経理に支払業務を行ってもらう必要がある。何かと面倒な作業が増えるのである。
結局、有志が休日に集まって書籍を整理することにした。作業はたった2、3時間で終了したし、会社にどんな本があるのか把握できたので、非常に有意義な時間だったことを覚えている。
新人を採用し、モノを教える際、「この人は30点の能力しか持っていないな」と判断した場合、31点の話をするようにしています。30点の人に80点の話をしてもうまく伝わらないし、場合によっては、「何を偉そうに」と反発を招きかねないからです。後半の部分は思い当たる節がある。今の会社に入りたてで、あるコンサルティングプロジェクトに参画していた時のことである。私はもともと人と活発に議論するのがそれほど得意ではないと自覚しているのだが、そのプロジェクトでも周囲のコンサルタントの議論が早すぎて、ミーティングでも自分の意見をうまく発言できないことが多かった。
(中略)さて、この話は逆の視点からも考えることができます。もし、相手から31点程度の話しかしてもらえなかったと感じたとします。そんなときは、「自分は30点の人だと思われているな」と、手加減されていることを自覚しましょう。
そんな折、あるコンサルタントから、「君はMECEというものを知っているのかね?」と言われたのである。顔で笑って心で泣くとはまさにこのことだった。胸の中が屈辱感でいっぱいになるのを感じた。それ以来、間違っていても、どんな些細なことでも構わないから何か発言しようと心がけるようになった。
偉い人が、自分のことを偉そうに話す。周りの人にとって、これほどつまらないことはありません。随分前に、「梶井厚志の名言」という記事で、「世の中には賢い人と運の良い人がいる。賢い人は手法を誇るが、運の良い人は結果を誇る」というロバート・マートン教授の言葉を紹介した。私はこの言葉が結構好きで、運のよい人ではなく、賢い人になりたいなぁと常々願っている。そして、自分が体得した手法を謙虚な姿勢で他人にも伝えていきたい。
(中略)誰もが認めるような成功者であっても、あまりに自信にあふれた傲慢な物言いを続ければ、周りにいる人は拒絶反応を起こします。成功体験を話すにしても、もっと謙虚さを出さないと伝わりません。自慢をするのではなく、「自分の経験が少しでも、お役に立つのであれば」といったスタンスを持ちたいもの。
組織はリーダーの回転速度に合わせて回転します。組織が高速回転をするためには、その中心にいるリーダーがそれ以上に高速で回転しなくてはいけません。「率先垂範」のうまいたとえだと感じた。「人を動かしたければ、まず自分が動け」ということだな。
あなたが中心にいる心棒だとして、それが外側の枠にいる20人と鉄のパイプで直接つながっていたとすると、心棒が回転するスピードで全体も回ります。
けれど、残念ながら心棒と外側の枠は鉄ではつながっていません。間に液体が入っていて、スピードが直接的に外側へは伝わらない構造になっているのです。それではどうやって外側は回転を始めるのか。それは、心棒が一生懸命回転していると、そのうち、液体が回り始めて、次第に全体が動き出す。
私は「自分の皮一枚外側は営業」とよく社員に話していました。同僚でも、部下でも、家族でも、たまたま出会ったような見知らぬ人に対しても、営業でお客様に接するときの心遣いや、いたわりの心を持って接しなければいけないということです。今の自分に一番欠けているのはこの意識だなぁ…。私の会社に、どんな取引先であっても非常に丁寧な対応をするスタッフ部門の社員がいる。相手は売り手、こちらが顧客なのだから、多少無理難題な要求を上から目線で突きつけてもよさそうなものなのに、彼にはそういうところがない。実にうまく交渉をまとめようとする。
たまに営業先での対応と、そうでないときの態度がまるで違う人を見かけますが、そうした本性というのはどこかで露見してしまうものです。
しかも、コンペの際に、今回は発注しないことに決まりそうな取引先に対しても、実に誠実な態度で接する。なぜコンペでどの取引先にも公平に接しようとするのか聞いてみたら、こんな答えが返ってきた。
「今回は別の取引先にお願いすることになっても、いつその会社と取引することになるか解らない。もし、今回いい加減な態度を見せたら、向こうだってうちと商売をしたいとは思わないだろう。しかも、そういう悪い評判は取引先の業界の中で広まる可能性がある。そうなったら、どこの取引先もうちを相手にしてくれなくなる」
あー、この人は尊敬できると本当に思った。自分もそういう姿勢を心がけなければなぁ。
November 07, 2005
【ミニ書評】スタンリー・ビング著『イヤなやつほど成功する!―マキャヴェリに学ぶ出世術』
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イヤなやつほど成功する! -マキャヴェリに学ぶ出世術 スタンリー・ビング 吉田 利子 草思社 2004-02-21 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
スタンリー・ビング著、吉田利子訳。世に多く出回っている「聞こえのいい」成功哲学の本に喧嘩を売るかのような内容。フォーチュン誌の表紙を飾るような大金持ちになるためにはどうすればよいか?誰もが一度は考えそうなことである。著者はこれに対して、次のようにアドバイスする−「マキャベリに習え」と。マキャベリならこうする。「極端な二面性で相手をビビらせる」「常に戦闘モードでいる」「自分以外の誰にも満足しない」「言いたいことを言う」「批判されたらただではおかない」「失望させられた相手に永遠のダメージを与える」などなど。これを読んだ私は「私は善人でいいよ…」と思った。