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新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
May 18, 2005
ドラッカーによれば、人間は組織によって自由を獲得することに成功したという
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組織は個々の人間の限定された合理性を補い、通常の人間をして通常以上の能力を発揮させ、成果を達成するための道具である、と以前に書いた。組織こそ有史以来人間が発明してきた道具の中で最も有用なものである。組織がなければ19世紀以降の産業社会の発展はありえなかった。人間がこれほどまでに自由を享受し、経済の恩恵に浴することができるようになったのも、組織があったからこそである。
組織はあらゆる人々を経済活動に従事させることを可能にした。そして結集されたエネルギーが甚大な成長をもたらした。一部の天才の努力だけでこれほどの成長がもたらされたとは言えない。そしてさらに重要なことに、組織は経済の発展が社会の発展に結びつくことを証明した。
組織が万人に門戸を開いているというのは、重大な意味を持っている。組織を通じて多くの人々が社会に参画することができるようになった。現代人は政治を通じて社会にコミットメントしているというよりは、むしろ組織を通じて社会貢献を果たしている。古くからの自由主義が唱えるように、自由は社会との連帯の中で獲得される。その意味では、近代の政治が限定的にしか与えることのできなかった自由を、組織が完全に与えることに成功したといっても過言ではない。もちろん政治が人間に与えた自由は非常に重要だった。政治が人間に与えた自由のうち最も重要だったのは移動の自由である。移動の自由こそ、組織社会の強靭な地盤である。組織が万人を受け入れるならば、人間が自由に移動し、離脱をすることができなければならない。政治はまさにそれを保証した。そして政治がそれを保障したおかげで、人間はより大きな自由を手に入れることが可能になったのである。
しかしながら、「自由は楽しい(※1)」わけではない。自由を手に入れた人間は、組織の中にあって組織が目指す成果をあげなければならない。成果を上げることは義務とまではいかないが責任である。自由には責任が伴うのである。責任を負わずに自由だけを手に入れることはできない。それは単なる傍若無人である。組織は我々に重要な問題を投げかけているのである。組織は遍く自由を達成する一方で、責任という問題を我々一人一人のものとして問うているのである。
※1…第二次世界大戦にアメリカが参戦する少し前に、ニューヨーク市が主催して行った自由の祭典のスローガン。
参考文献 P.F.Drucker『産業人の未来』
組織はあらゆる人々を経済活動に従事させることを可能にした。そして結集されたエネルギーが甚大な成長をもたらした。一部の天才の努力だけでこれほどの成長がもたらされたとは言えない。そしてさらに重要なことに、組織は経済の発展が社会の発展に結びつくことを証明した。
組織が万人に門戸を開いているというのは、重大な意味を持っている。組織を通じて多くの人々が社会に参画することができるようになった。現代人は政治を通じて社会にコミットメントしているというよりは、むしろ組織を通じて社会貢献を果たしている。古くからの自由主義が唱えるように、自由は社会との連帯の中で獲得される。その意味では、近代の政治が限定的にしか与えることのできなかった自由を、組織が完全に与えることに成功したといっても過言ではない。もちろん政治が人間に与えた自由は非常に重要だった。政治が人間に与えた自由のうち最も重要だったのは移動の自由である。移動の自由こそ、組織社会の強靭な地盤である。組織が万人を受け入れるならば、人間が自由に移動し、離脱をすることができなければならない。政治はまさにそれを保証した。そして政治がそれを保障したおかげで、人間はより大きな自由を手に入れることが可能になったのである。
しかしながら、「自由は楽しい(※1)」わけではない。自由を手に入れた人間は、組織の中にあって組織が目指す成果をあげなければならない。成果を上げることは義務とまではいかないが責任である。自由には責任が伴うのである。責任を負わずに自由だけを手に入れることはできない。それは単なる傍若無人である。組織は我々に重要な問題を投げかけているのである。組織は遍く自由を達成する一方で、責任という問題を我々一人一人のものとして問うているのである。
※1…第二次世界大戦にアメリカが参戦する少し前に、ニューヨーク市が主催して行った自由の祭典のスローガン。
参考文献 P.F.Drucker『産業人の未来』
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May 10, 2005
組織とは何か〜組織は人間の限定合理性を補完する仕組み
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現代社会は組織社会であるとも言われる。あらゆる人間が何らかの組織に属することが当然のものとして受け入れられている。
組織とは個々の人間の限定された合理性を他の人間が補完するための仕組みである。また、組織とは通常の人間をして通常以上の能力を発揮させ、およそ単独では上げることができない成果を達成することを可能にさせるための手段である。
しかし、どんな薬でも投与の方法を誤れば致命的な副作用をもたらすことがあるのと同様に、組織もその用い方が適切でない場合は、人間の疎外をもたらし、能力の助長を妨げる。たとえ組織に属する人間に故意や悪意がない場合でも、容易に組織は毒薬に転ずる。
組織には実体がない。あくまでも概念でしかない。存在するのは人間と人間の活動である。よって組織を考えるということは、人間の本質と、仕事のダイナミズムを分析することに他ならない。
組織とは個々の人間の限定された合理性を他の人間が補完するための仕組みである。また、組織とは通常の人間をして通常以上の能力を発揮させ、およそ単独では上げることができない成果を達成することを可能にさせるための手段である。
しかし、どんな薬でも投与の方法を誤れば致命的な副作用をもたらすことがあるのと同様に、組織もその用い方が適切でない場合は、人間の疎外をもたらし、能力の助長を妨げる。たとえ組織に属する人間に故意や悪意がない場合でも、容易に組織は毒薬に転ずる。
組織には実体がない。あくまでも概念でしかない。存在するのは人間と人間の活動である。よって組織を考えるということは、人間の本質と、仕事のダイナミズムを分析することに他ならない。