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July 31, 2006

初期の書評記事を「ミニ書評」というカテゴリに再整理しました

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 (※)この記事を書いたのは2012年5月29日です。便宜上、投稿日を2006年7月31日にしてあります。

 2005年〜06年に書いた書評を、「独り善がりのブックレビュー」から切り離して「ミニ書評」という新しいカテゴリにまとめました。ブログ初期の書評はかなり短かった&しょぼかったんですね・・・(泣)。一通り読み返してみると、2006年2月に、『戦略の定石 戦略の死角(DHBR2006年3月号)』について初めて少し長めの記事を書いた頃から、ちょっとずつレビューの質が上がっていったような気がします。
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 まぁ、それでも大した進歩じゃないんですけどね、とすぐさま自分にツッコミを入れてみるわけですが。「【ミニ書評】高橋伸夫著『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』」、「【ミニ書評】高橋俊介著『成果主義は怖くない―「仕事人生」を幸せにするキャリア創造』」で、自分の見解・批評を交えた”レビューらしいレビュー”を書いた後の「【ミニ書評】桑田耕太郎、田尾雅夫著『組織論』」、「【ミニ書評】田尾雅夫著『組織の心理学』」の後退っぷりは酷いな・・・(これじゃあ、本の表紙に書いてある紹介文と変わらん)。

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 03月号Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 03月号

ダイヤモンド社 2006-02-10

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July 03, 2006

【ミニ書評】『ドイツ 株主価値経営のジレンマ(DHBR2006年7月号)』

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Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 07月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 07月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2006-06-09

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《収録されている主な論文》
 ワールドカップにあわせてハーバード・ビジネス・レビューまでもドイツ特集。

 「戦略テーマ」:BSCの新ツール(ロバート・S・キャプラン、デイビッド・P・ノートン)
 「財務」「顧客」「社内プロセス」「学習と成長」という4つの視点から価値創造の方法を探るバランス・スコア・カード(BSC)は、これまで事業部門の業績改善のために用いられてきた。しかし近年、BSCを全社戦略にも応用し、企業価値の増大に努める動きが見られる。全社戦略の場合、BSCに「戦略マップ」という新しいツールが加わる。

 とはいうものの、この「戦略マップ」、論文を読んでも正直よく解らない(汗)。「全社的に重要な複数の戦略的テーマ」ぐらいの意味で使われているようにしか思えず、「戦略マップ」を用いると部門間の利害関係を超えて全社的なシナジーが発揮できるとするキャプランらの主張はやや理解しがたい。

 共同決定方式の岐路(コーネリア・ガイスラー他)
 ドイツと日本の経済や企業は非常によく似ていると言われる。製造業と輸出を中心に経済成長を遂げたこと、資金調達は間接金融が主で、銀行の影響力が大きいこと、企業は株主だけでなく(あるいはそれ以上に)従業員などのステークホルダーを重視することなど。意思決定の方式も例外ではない。日本の場合、多くの関係者を意思決定のプロセスに加え、時間をかけて決定を下す稟議制度が特徴的だが、ドイツでは従業員を企業の重要な意思決定に参加させる「共同決定方式」が法的に整備されている。

 ところが、ややもすると意思決定に時間がかかりすぎる稟議制度と同様、共同決定方式も企業の意思決定のスピードを損ねるとして、近年論争を呼び起こしている。経済効果の面からすると、共同決定方式が企業業績に対してプラスにはたらくという研究結果もあるそうだが、グローバル経済のスピーディーな競争に日々さらされている経営者は、そう簡単には納得してくれないようだ。

 社会システムをターンアラウンドせよ(ローランド・ベルガー)
 ドイツ出身のコンサルタントで、ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツ会長でもあるローランド・ベルガーのインタビュー記事。

 インタビューの要点は次の通り。「ホワイトカラーの生産性を高める必要がある」「規制緩和や民営化を恐れてはならない」「人口減少の問題に対処しなければならない」ローランド・ベルガーの名が伏せられていたら、ピーター・ドラッカーの生前のインタビュー記事と勘違いしてしまっていたかもしれない。

 ドイツの「隠れたチャンピオン」に学ぶ(ハーマン・サイモン、シュテファン・リッベルト、仲井間滋之)
 「隠れたチャンピオン」というのはハーマン・サイモンが1992年に発表したコンセプトで、参入している業界において50%を超えるシェアを持ち、グローバルな事業展開をし、高収益を誇るマーケット・リーダーであるにもかかわらず、一般的にあまり知られていない中小企業のことを指す。「隠れたチャンピオン」に共通するのは、(1)野心的な目標設定、(2)集中戦略、(3)高付加価値の提供、(4)慎重に計画されたグローバル化、(5)意欲の高い従業員の5点である。

 個人的な見解だが、「隠れたチャンピオン」が要求する条件の厳しさを考えると、この5つの要素だけでは到底足りないように思われる(紙面に限りがあるから仕方がないか?)。

 ドイツ、イノベーションの源流(坪井賢一)
 歴史的にみると、ドイツは初めから一つの国家だったわけではない。ドイツは多数の領邦国家から成る緩やかな連合体だった。歴史を経る中で領邦国家は整理され、その数は減少したが、それぞれの領邦国家が大学を創っていたこともあって、19世紀後半のドイツ・オーストリアには多数の大学が存在していた。これらの大学が学生の確保のためにしのぎを削って知識の質を高めた結果、19世紀後半から20世紀初頭のドイツ・オーストリアはイノベーションの王国になったという。

 つまり、ドイツでは大学の激しい競争がイノベーションの原動力になったということになる。もしこれが本当ならば、今後日本で予想される大学の生存競争が、新たなイノベーションを生み出すことになる。しかし、そうした事態はちょっと考えにくい。ドイツのイノベーションは、大学の競争激化も一つの要因だったかもしれないが、他にも重要な要素がたくさん絡んでいると考えた方がよさそうである。
June 26, 2006

【ミニ書評】トーマス・ダベンポート著『ナレッジワーカー』

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ナレッジワーカー (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)ナレッジワーカー (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)
トーマス・H・ダベンポート 藤堂 圭太

ランダムハウス講談社 2006-04-27

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 トーマス・ダベンポート著。ドラッカーは『ポスト資本主義社会―21世紀の組織と人間はどう変わるか』の中で、知識の生産性を測定し、知識労働者の生産性を上げることが21世紀の経済の最大の課題であると述べているが、どのような手段でそれを行うのかはほとんど述べていない(ドラッカーは現代経済学の問題をいくつも指摘したが、解決策を導くことはあまり得意ではなかったようである)。

 この問題を再び議論の土俵に上げ、その解決に取り組んでいるのがダベンポートである。ダベンポートは、知識労働者には様々なタイプがあるため、何らかの基準に従って分類することが有効であると考える。本書ではいくつかの分類法が提案されているが、本書全体を通じて最もよく用いられるのが、(1)取引型(協働の度合いが低く、業務が単純)、(2)専門型(協働の度合いは低いが、業務が複雑)、(3)統合型(協働の度合いは高いが、業務が単純)、(4)協働型(協働の度合いが高く、業務が複雑)という分類である。

 しかし、知識労働のプロセスを論じる部分ではこの分類を用いて議論を進めるものの、知識労働者の仕事のスタイル(情報の利用方法や人的ネットワークの形成方法)を論じる部分ではこの分類が全く使われなくなる。この点で、議論の展開の一貫性にやや疑問を感じる。また、知識労働者の生産性向上という当初の問題提起は、いつのまにか知識労働者の実態を記述することに重きが置かれるようになるにつれて、うやむやにされてしまった印象がある。

《2014年1月6日補足》
 取り消し線部について、これはドラッカーに対して本当に失礼なことを書いてしまった。知識労働者であるエグゼクティブ(経営管理者)が成果を上げるための方法については『経営者の条件』に詳細に書かれているし、組織全体として生産性をマネジメントすることの重要性は『現代の経営(上)』で説かれている。ドラッカーの文献の読み込みが浅かったことを大いに反省している。


ドラッカー名著集1 経営者の条件ドラッカー名著集1 経営者の条件
P.F.ドラッカー

ダイヤモンド社 2006-11-10

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ドラッカー名著集2 現代の経営[上]ドラッカー名著集2 現代の経営[上]
P.F.ドラッカー

ダイヤモンド社 2006-11-10

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