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July 07, 2012

いたずらに新しさを追求することに果たして意味はあるのか?という疑問―創業1周年に寄せて(1)

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 7月1日で弊事務所が創業1周年を迎えました。ただ、だからといって特に何もないです(苦笑)。ボチボチやっている感じです。HPも後回しになったままで、未だに完成していませんし・・・。とはいえ、せっかくなので今考えていることを書いてみようかと。

 ちょうど先日、ブログの右欄についている「ブログを評価してください」のアンケートに、「耳年増的で限界が」というネガティブなコメントが寄せられた。「耳年増」とは、聞きかじりの知識ばかりが豊富な女性のことであり、特に性的な知識を指すようなので、このコメントを書いた人は、言葉の意味を正確に解った上で使っているのかなぁ?という疑問を感じる反面、「聞きかじりの知識が多い」という点に絞って言えば、痛いところを突かれたという気持ちであった。

 現在、このブログを始めてから8年目になる。右欄のカテゴリー別の記事数をご覧になればお解りになるように、財務・会計やガバナンスに関する記事が極端に少なく、また、カテゴリーにはないが、生産・在庫管理など私が弱い分野もまだたくさんある。それでも、経営の技術について新しいものを追い求め、それを私なりに幅広くあれこれと書いてきたつもりである。とはいえ、私の情報源は大半がビジネス籍であり(守秘義務の関係上、仕事のことは書きにくいという事情もあるのだが・・・)、それを様々に組み直して論じるのが私の基本スタイルであるから、「聞きかじりの知識が多い」という批判はある意味当たっており、耳が痛いのである。

 その“聞きかじった範囲”でこんなことを言うとまた怒られそうだが、最近は新しい技術や技法、ノウハウをいたずらに追い求めることに、果たしてどれほどの価値があるのか?という疑念が私の頭に浮かんでくるようになった。非常に乱暴な議論になるけれども、仮に新しい知識や情報が増加するにつれて人間の能力や創造力が向上するならば、その分だけ経済も成長するはずである。

 ここで、1980年以降の新刊書籍の出版点数と実質GDPの推移を見てみる。新刊書籍の点数は1980年比で約2.8倍になっているのに対し、実質GDPは約1.9倍にとどまる(ピンクの折れ線。近年はデフレなので、名目GDPで計算すると倍率はもっと低くなる)。ここに、インターネット上の情報を加えれば、情報量と経済の拡大スピードには歴然とした差が生まれるのは明白である。

<新刊書籍点数の推移(1980年〜2010年)>(※1)
新刊書籍点数の推移

<実質GDPの推移(1980年〜2010年)>(※2)
実質GDPの推移(1980年〜2010年)

 もちろん、新刊書籍の全てが新しい知識を扱っているわけではなく、過去のものに若干手を加えたレベルの書籍もあるし(むしろそういう書籍の方が多いかもしれない)、そもそも新刊書籍はビジネス書に限られない。同様のことは、インターネット上の情報にも当てはまる。インターネットの場合は、罵詈雑言に近い情報も多分に含まれているものと推測される。だから、単純にこのグラフの比較だけで、知識や情報の量と経済規模は比例しないという結論を下すことはできない。しかし、あるデザイナーが、昨今の情報技術の発達によってデザイナーの創造力は上がったか?という問いに対して、「下手な絵が増えただけだ」と答えたというエピソード(※3)は、それなりに現実を捉えている気がしてならないのである。

 かつて、ナレッジマネジメントシステムの導入が経営のブームになり、営業部門内では優良な提案書を、設計部門では優良な設計書を共有する、といった動きが広がった。ところが、一部の企業からは、「システム上は新しい提案書が増えても、営業担当者の提案書の質が向上しない」とか、「3D-CADで設計した設計書を共有すると、若手は設計の妥当性検証をシステムに頼るようになり、製造ラインでちゃんと製造できるかどうかを厳密に考えて設計する力が落ちた」といった声を聞いたものである。

 前者に関して言えば、優良な提案書と言えども不完全な部分はあるし、ある顧客向けの特有の情報を含んでいるから、それを安易にコピーして新しい提案書を作ると、かえって不完全な提案書になってしまうことが一因である。イメージとしては、90%ぐらいの出来の提案書を基に提案書を作ると、その8割ぐらいの完成度になる感じである。それが繰り返されていくと、90%×80%×80%×・・・といった具合に、完成度はどんどん下がっていくのである。

 後者に関して言えば、ドキュメントには設計者の”思想”までは反映されていない、言い換えれば、どういう意図でそういう設計にしているのか?という部分が見えないため、本当の意味での設計力が若手に伝承されない、ということである(ただ最近は、そういう設計思想も共有可能なシステムが登場しているらしい)。話があちこち飛躍している感じがしなくもないものの、要するに、いたずらに新しさを追求することは、果たして本当によいことなのか?というのが、最近の私の率直な実感なのである。

 (続く)


(※1)「新刊点数の推移 (書籍)」(日本著者販促センターHP)のデータより作成。

(※2)「日本のGDPの推移」(世界経済のネタ帳)のデータより作成。

(※3)村山昇著『“働く”をじっくりみつめなおすための18講義―よりよく働くための原理・原則』(クロスメディアパブリッシング、2007年)

“働く”をじっくりみつめなおすための18講義―よりよく働くための原理・原則 (アスカビジネス)“働く”をじっくりみつめなおすための18講義―よりよく働くための原理・原則 (アスカビジネス)
村山 昇

クロスメディアパブリッシング 2007-08

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May 16, 2012

スタッフ部門はどこも現場の業務改革を支援すべき(2)―『日経情報ストラテジー(2012年6月号)』

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日経情報ストラテジー 2012年 06月号 [雑誌]日経情報ストラテジー 2012年 06月号 [雑誌]
日経情報ストラテジー

日経BP社 2012-04-28

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 (前回の続き)

 製造プロセスの改革にあたって、購買部門が重要な役割を果たすことを教えてくれる事例を、『日経情報ストラテジー』2012年2月号から紹介したい。冷蔵庫や製氷機、食器洗浄機・給茶機などの業務用厨房機器を製造するホシザキ電機は、2003年から開始した製造プロセス改革によってジャスト・イン・タイムの生産体制を目指し、部品発注にかんばん方式を導入することにした。かんばん方式の導入によって生じた問題と、その解決策について、以下やや長くなるが引用する。
 かんばん方式を進めると課題も出てきた。部品メーカーは毎日配送しなければならなくなるのだ。部品メーカーはホシザキ電機に納入する部品を自社便や路線便を使って配送していた。外装などの板金部品や樹脂部品などもともと毎日運ぶだけの荷量があれば、部品の内訳が変わるだけだが、荷量が少ないと週1〜2回だった納品が毎日になり、物流コストが増えてしまう。部品メーカーは増加した物流コストを負担してまで毎日納品をしたくない。もちろんホシザキもかんばん方式のために物流費が増えた分だけ購入単価をアップするつもりはなかった。(中略)

 (その解決策として、)一般に牛乳メーカーが毎日牧場を巡回して牛乳を集荷するさまになぞらえて「ミルクラン」と呼ばれる仕組みを構築することを目標とした。ホシザキ電機が物流業者に依頼して、近隣の部品メーカーを毎日1回以上決められたルートで回り部品を集荷するのだ。(中略)

 これを拡大するなかで苦労したのは部品メーカーの説得だった。ホシザキ電機がいまどのような取り組みをしているのか、ミルクランは部品メーカーにとってもメリットがある、などを理解してもらった。物流業者が集配するので、部品メーカーは配達の負担を減らせる。一方で、ホシザキ電機は必要に応じて適量の部品を受け取れるようになった。
日経情報ストラテジー 2012年 02月号 [雑誌]日経情報ストラテジー 2012年 02月号 [雑誌]
日経情報ストラテジー

日経BP社 2011-12-28

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 ホシザキ電機の事例は、ジャスト・イン・タイムの原則に沿った製造プロセスへの転換に向けて、購買部門が各工程に投入する「モノ」、すなわち部品の量やタイミングを、「ミルクラン」方式の調達方法によって調整した、と言えるだろう。製造現場のプロセス改革は、購買部門の支援なしには実現しえないのである(引用文では特に触れなかったが、IT部門ももちろん、新しい生産管理システムの構築を通じて、ジャスト・イン・タイムの実現を支援している)。前回の記事で情シスや人事部門について述べたことの繰り返しになるけれども、「モノ」という経営資源を担う購買部門もまた、現場の実情を熟知し、業務プロセスの生産性を上げるにはどうすればよいか?という視点から、「モノ」の調達を最適化する必要がある。

 「知識」という、新しくて重要な経営資源についてはどうだろうか?なお、ここで言う知識とは、R&D部門などに蓄積されている技術にとどまらず、各部門が日常業務の中で活用している様々なナレッジやノウハウを含む幅広い概念である。製造現場には手先の微妙な感覚に埋め込まれた熟練技能が、営業現場には優れたセールストークのハウツーや提案書作成のノウハウが、物流現場にはITだけでは調整が難しい細かい配送スケジュールを引くテクニックが、コールセンターには顧客にクロスセルを行うための製品知識が、アフターサポート部門には自社製品の複雑なメンテナンスのやり方がある。

 R&D部門の技術についてはR&D部門自身や知財部門が責任を持つとして、ノウハウやナレッジと呼ばれる「知識」にはどの部門が責任を持てばよいだろうか?これらの「知識」は、ITによって移転や共有が可能なものと、社員の頭(あるいは身体)の中にしかとどめておくことができないものに分けられる。前者については情シスが、後者については人事部門が責任を持つとよいだろう。

 先ほど例示した「知識」をもう少し丁寧に分類すると、

 (1)形式知化が可能で、しかも習得にそれほど時間がかからないもの(コールセンターの製品知識や、営業現場で使われる比較的簡単な提案書など)
 (2)形式知化が可能だが、習得には訓練が必要なもの(営業現場のセールストークや大規模商談の提案書など)
 (3)暗黙知であり、習得するのに非常に長い時間がかかるもの(製造現場の熟練技能やアフターサポート部門のメンテナンス技法など)

 の3つに分けられると思う。(1)は「情報」の性質に近いので、情シス部門が責任を持つ。ナレッジマネジメントシステムによる事例の共有や、iPadなどの端末を利用したリアルタイムでの製品知識の提供などはその例である。(2)については、人事部門が責任を持ち、研修という形で社員のノウハウを平準化・底上げする。

 (3)については、通常は現場による自主的な勉強会などに委ねられていることが多いようである。だが個人的には、(3)についても人事部門が責任を持つべきではないか?と考える。すなわち、プロセスのスピードアップやアウトプットの品質向上に大きく寄与する重要な暗黙知を人事部門が特定し、その暗黙知を部署内の他の社員、さらには部署を超えて共有するためのコミュニケーションの場を、人事部門が率先して設定・運営するのである。現場による自主的な運動に任せておくと、どうしても現場によって温度差が生じ、せっかくの暗黙知が局地的にしか広まらない。各部門の業務を幅広く見ている人事部門の方が、暗黙知の全体最適化には向いていると思うのである。

 情シスと人事は連携しながら現場を観察して、現場のプロセスを支えている重要な「知識」を発掘し、また現場のプロセスを高度化するのに必要な「知識」を特定する。そして、その知識の性質に応じて、どちらの部門がその知識の伝搬・共有・精緻化に責任を持つのかを決定する。責任を引き受けた部門は、適切な仕組みを構築してその知識を組織に配分する。「知識」という経営資源をめぐっては、情シスと人事の両部門の間でこうした協業作業が求められるに違いない。

 「カネ」を担う経理・財務部門の話が最後になってしまったけれども、「カネ」は、それ以外の経営資源「ヒト」、「モノ」、「情報」、「知識」を動かす上で常に必要となる経営資源である。その意味で、経理・財務部門には人事、購買、情シスとの緊密な連携が求められる。経理・財務部門は、各部門の予算を「前年比○○%増、あるいは減」といった慣習的な方法で調整したり、各部門から上がってくる投資案件に資金をあてがったりするだけの部門であってはならない(もちろん、帳票を処理するだけの部門であってはならない)。

 経理・財務部門は、それぞれの稟議案件の投資対効果を厳しく検証する必要がある(もっとも、稟議を上げる部門の方も投資対効果を試算するのが望ましいわけだが)。ただし、コストと効果の金額や回収期間といった数字だけを見て決断を下すのは早まった行動であろう。

 その案件によって現場のビジネスや業務プロセスはどのように変わるのか?望ましいビジネスや業務プロセスを実現するにあたって、この案件がベストな選択肢と言えるのか?もっと高い投資対効果が得られる別の選択肢があるのではないか?あるいはもっと踏み込んで、「稟議を上げてきた現場が考える望ましいビジネスや業務プロセス」よりも望ましいビジネスや業務プロセスがあるのではないか?といった視点から案件を吟味する役割を、経理・財務部門が積極的に引き受けるべきだと思うのである。

 《関連記事》
 スタッフ職は現場に行くのを習慣化した方がいいかもしれない
 スタッフ部門は現場のCクラス社員の受け皿でいいのか?
November 20, 2010

「よかれと思ってやったのに・・・」というマネジメントのパラドクス集(その6〜7)

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(6)BPRで業務を効率化したのに、業務時間が短縮されない
 BPR(Business Process Reengineering)は、1990年代にマイケル・ハマー&ジェームズ・チャンピーが提唱したコンセプトであり、主に非製造プロセスの生産性向上にフォーカスが当たっていた。2人の著書『リエンジニアリング革命』の中では、IBMにおける事務処理プロセスの効率化の事例などが紹介されている。

 ちょうどこの頃のアメリカ企業は、コスト削減のためにリストラを進めている最中であり、人員整理を行えば株価が上がるという、今から考えれば変な状況にあった。BPRはリストラを正当化するコンセプトとして、一斉にアメリカ企業に受け入れられた。

 しかしその後、BPRを断行して組織をスリム化しすぎた企業が、かえって体力を失い業績を悪化させるという現象が見られ始めた。その原因として、BPRの提唱者であるハマーらが槍玉に挙げられてしまい、BPRには悪いイメージがつきまとうようになった。このような歴史的経緯はあるものの、"リストラありきのBPR"のようなおかしなことをしなければ、BPR自体は今でも有効なコンセプトであると考えている。

 だが、BPRによって業務プロセスを効率化したはずなのに、なぜか以前よりも時間がかかるようになった、というパラドクスが生じることがある。例えば、製品開発プロセスを効率化して、新製品をよりスピーディーに上市するために、従来はマーケティング部が主導で行っていた製品開発を、製品設計部、製造部、財務部も一体となったプロジェクトチームによって進めることにしたとする。プロジェクトチームは、マーケティング部の中に設置された。

 この部門横断型のプロジェクトチームは、マーケティング部だけでは気づかない設計・製造上の問題を早期に発見し、財務部のメンバーが提唱するコスト低減施策を早めに組み込むことで、製品開発リードタイムの短縮を目指した。当初の狙い通り、問題の早期発見・早期解決という意味では、この改革は絶大な効果を発揮した。ところが、開発リードタイム自体は思っていたほど短縮されない。なぜだろうか?

 原因は、製品開発プロセスという「横のプロセス」ではなく、稟議プロセスという「縦のプロセス」あった。まず、プロジェクトチームの結成に先立ち、各部門から必要なメンバーを選出してもらう段階で、各部門の稟議に時間がかかった。さらに、各部門が推薦するメンバーを人事部が承認するのにも時間がかかったために、プロジェクトが立ち上がるまでに、すでにかなりのタイムロスが生じていた。

 加えて、プロジェクトチーム内で提案された様々な企画や施策を、プロジェクトチームが所属しているマーケティング部内で承認するのにも手こずった。マーケティング部の稟議プロセスは多重階層構造になっており、承認が降りるまでプロジェクトチームは身動きがとれなかったのである。

 BPRはどちらかというと「横の業務プロセス」の生産性向上に主眼がある。だが、組織内には「横のプロセス」と「縦のプロセス」があり、「横のプロセス」は短縮したつもりでも、「縦のプロセス」はかえって長くなるケースがある。BPRを実施する際には、このパラドクスに注意しなければならないと思う。

(7)ハイパフォーマーの暗黙知を聞き出そうとすればするほど、誤った情報が出てくる
 ハイパフォーマーの暗黙知は、企業にとって重要な知的資産である。彼らの暗黙知を表出させ、一般社員と共有することで、社員全体の底上げを図りたいと考えるのは自然な考えだ。

 ハイパフォーマーの暗黙知を引き出すためにしばしば行われるのは、ハイパフォーマーを1時間から2時間ぐらい会議室に閉じ込めて、徹底的にヒアリングするという方法である。ハイパフォーマーが語るテキストを分析して、成果創出と相関関係の高いスキルやノウハウを導き出し、それらを社内で横展開する教育的施策を実行する、というのが一般的な流れだ。

 しかしながら、暗黙知はそもそも「言葉では説明しがたい」から暗黙知なのであって、それをヒアリングだけで引き出すことにはどうしても限界がある。しかも、人間は過去のことを無理に思い出そうとすると、記憶を捻じ曲げる傾向があることが心理学の実験でも明らかになっている。

 「相手の質問に何とか答えなければならない」、「自分はハイパフォーマーとして呼ばれているのだから、質問に答えられなければ恥ずかしい」というプレッシャーによって、インタビュー対象者がありもしない記憶を捏造してしまうのは、無理からぬことのようにも思える。

 (上記の心理学の実験が紹介されている本)

植木 理恵
講談社
2008-04-10
おすすめ平均:
(ビジネスパースンにも)実用的な心理学の本
一度読んでおいて損はない
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 学習は、言葉や文字のみによって行われるものではない。五感をフルに活用して行われるものだ。にもかかわらず、ハイパフォーマーから何かを学ぼうとすると、学習の基本原則を忘れて(往々にして、ヒアリングが最も時間のかからない方法だというだけの理由で)、ヒアリングに頼ってしまう。

 もちろん、ヒアリングが全く無益だとは思わないし、暗黙知の手がかりを得ることはできるだろう。ハイパフォーマーにとっても、他人から質問されることで自分が日常的にやっている活動の意味づけを行うことができる。そのような意味づけも、知的資産を形成する貴重な要素だ。だが、ハイパフォーマーから最も効果的に学ぶには、ハイパフォーマーと一緒に仕事をして、彼らの活動を五感で感知する以上の方法はないように思えるのである。

 (続く)