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新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
February 17, 2010
何でもコラボすりゃいいってもんじゃないんだよ(前半)−『信頼学(DHBR2009年9月号)』
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「信頼」というテーマで特集が組まれるのは珍しい。ずいぶん昔に、「信頼って何だ?(1)」、「信頼って何だ?(2)」という記事で果敢にもこの難しいテーマについて書こうとしたが、浅い文章にしかならなかったことを思い出した。「企業は人なり」と言うからには、人と人とをつなぐ「信頼」を抜きにして企業経営は語れない。今回の特集は、当たり前だけど難しい「信頼」という概念について考察するヒントをいろいろと与えてくれた。
CEOにしかできない仕事(アラン・G・ラフリー)
ピーター・ドラッカーが提唱した「CEOにしかできない4つの仕事」について、P&Gのアラン・ラフリーCEOが実際にどのように考え、行動を起こしたのかを述べたもの。現職のCEOの論文ということもあって、最近のP&Gがどうやって戦略的意思決定を下し、どのようにしてP&Gの価値観を社員と共有しようとしているのかが読み取れる面白い論文だった。
ちなみに、ピーター・ドラッカーが言う「CEOの4つの仕事」は以下の通りである。
1.外部について定義する「外部について定義する」について私なりに補足すると、ドラッカーの有名な「事業の目的は顧客の創造である」という言葉からして、多くの企業にとっては顧客が最も重要なステークホルダーとして位置づけられるはずだ。ドラッカーならば「ウォールストリートが最も重要なステークホルダーだ」とはまず言わないだろう。実際、ラフリーも消費者(厳密にはP&Gの直接の顧客=小売店の顧客にあたるが)を最重要視している。
外部のステークホルダーのうち、いちばん重要なのはだれか。また、最終的にいちばん重要視すべきものは何か。
2.「我々のビジネスは何か」を見極める
勝利を収めるために参入すべき領域はどこか。また、参入すべきではない領域はどこか。どちらも難しい判断であり、評価と議論を要する。その際、企業全体を見渡す視野を持ち、この難しい選択を下せるのは、ほかならぬCEOだけである。
3.現在と未来のバランスを図る
どのように短期と長期をバランスさせるのか、そのさじ加減を覚えるには、事実よりも経験と判断力が物を言う。バランスを図るには、現実的な成長目標を定めることが第一歩である。
長期にわたって信用を獲得し、勢いをつけるためには、短期的に達成すべき必要十分な目標を決めることが重要である。くわえて、CEOみずから、社員のリーダーシップ開発に関わることが、企業の将来に長期的な影響を及ぼす、唯一にして最たるものである。
4.価値観と基準を確立する
価値観によってコーポレート・アイデンティティが形成される。価値観とは、行動様式にほかならない。企業として勝利するためには、価値観は外部と密接に関係しており、また現在および未来との関連性が高いものでなければならない。
基準とは、期待に関するものであり、また対外的な成功を判断するものである。優れた価値観と基準を確立するには、次の2つの問いに答える必要がある。すなわち、「我々も、また最も重要なステークホルダーも成功しているのか」「業界トップとの競争に勝てるのか」である。
現在と未来の顧客を創造するために、どのような領域で勝利を狙うのか?そして、顧客との約束を果たすために、自社はどのような行動規範や成功基準を持つべきなのか?こうしたことを考えるのがCEOの仕事であるとドラッカーは伝えたいのだと思う。
信頼の科学(ロデリック・M・クラマー)
まず、人間は生まれながらにして人を信頼するようにできている、と著者は指摘している。だが、心理学の研究によると、人間は2つの認知的錯覚に陥る傾向があるという。1つは自分自身が不運に遭遇する可能性を過小評価してしまう「不死身の錯覚」(illusion of personal invulnerability)であり、もう1つは幸せな結婚、出世、長生きなど、よいことが自分に起こる可能性をしばしば過大評価してしまう「非現実的な楽観主義」(unrealistic optimism)である。
これを人間同士の信頼関係に当てはめるならば、人はあまりに簡単に他人を信頼し、他人にだまされる可能性を過小評価してしまう、ということになる。そこで著者は、「適度な信頼関係」を築くための7つのポイントを提案している(詳細は割愛)。その中でも、「信頼関係を損なう出来事があった場合に関係を解消できる免責事項をあらかじめ明文化すると、人はかえって熱心に関係を維持しようとする」というのはなるほどと思った。
論文の内容からは外れるが、「相手を簡単に信頼してしまう」という過ちと同じくらい深刻なのが、「自分は相手に信頼されている」という思い込みであると私は思う。信頼とは相手の期待に応えることによって初めて生まれる。一緒の組織やチームに属しているからという理由だけで信頼が生まれることはない。この点を誤解している人がたまにいると感じる。だから、「適度な信頼関係」を築くためには、相手が自分に何を期待しているのかを察知し、期待に十分応える努力を怠らないことが大事である。
また、たとえ相手の期待に満たない場合でも、適切なリカバリ処置を行えば信頼を獲得できることもある。例えば、クレームをつけてきた顧客に真摯に対応すると、かえって顧客満足度が向上するケースがそうだ。ただし、相手は期待を下回ったことを表情や言葉には明確に表さないかもしれない。よって、自分の行為が相手の期待を下回ったかもしれないという警戒心を常に忘れず、万一相手の期待を下回ったと感じた場合は、すぐさま的確な対応策を打つことも求められる。
(また長くなったので、この辺で一旦記事を分割します)
November 07, 2005
メレディス・ベルビンの名言
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「チームとは、肩書きのついた人間の単なる集まりではなく、役割を持った個人の集合であり、そこでは、各メンバーの役割を他のメンバーがきちんと理解しているのである。…チーム・メンバーとは、自分の役割を見つけ出し、自分にとって最も自然な役割を最も効果的に果たす人たちである。」メレディス・ベルビン(1926〜)
(Meredith Belbin, "Team Roles at Work." 訳はキャロル・ケネディ著『マネジメントの先覚者』による)
元心理学者で現在は人材育成の専門家。人材育成の分野で始めて関心を抱いたテーマは中高年労働者の開発と雇用で、その後もずっとこの分野の研究を行っている。
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September 05, 2005
BPRによる合理性追求の悪夢−川合俊一さんの何気ない発言から
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昨日(4日)の『行列のできる法律相談所』で、司会の島田紳助さんとゲストの川合俊一さんが興味深いやり取りを交わしていました。(以下はそのやり取りの内容ですが、番組からの抜粋ではなく、私の記憶をたどって書いたものです。細かいところは違っていると思いますが、悪しからず…)
島田「バレーボールの試合をテレビで見てていつも思うんやけど、点数取る度にみんな輪になってぐるぐる回ってハイタッチとかするやんか。こいつら何しとるんやろなーって思ってな。だってあれ、試合と全然関係ないやん。あんなんしてたら疲れるやろ?」
川合「そう、確かに疲れる。だから、一回止めたことがあるんですよ。今日の試合はあれはなしで行こう、と。そしたら、点数は取るんだけど、みんな無言だからどんどん雰囲気が悪くなっていくんですよ。みんなが何を考えているのかが解らない。だから結局止めるのをなしにしたんですけどね。みんなでワーッとかやるのも、リズムを作る上では大切なんですよ。」
「BPR(Business Process Re-engineering:業務改革)の火付け役=マイケル・ハマーの誤算」という記事で、アメリカ企業が血も涙もないようなリエンジニアリングをした結果、削減するべきでなかった仕事や人員、組織資源などまで排除してしまったがために、組織の効率が上がるどころか、かえって栄養失調の状態になってしまった、ということを指摘しました。川合俊一さんのエピソードはまさにこの内容を想起させるものだったので、私は興味深いと思ったのです。
確かに、バレーボールで「1セット15点(川合さんの現役時代のルール)を先取する」という目標を達成するためであれば、1点取る度にハイタッチをするような動作は全く必要なさそうに見えます。むしろ体力を消耗するので、目標達成に不利に作用するかもしれません。
しかし、目標を達成するのはあくまでも感情や動機をもった人間です。目標を達成するために必要と考えられる最低限の経済的、合理的な動作を繋いでいけば、最も効率よく目標が達成される、そう考えがちですが、事はそんなに簡単には運ばないのです。マイケル・ハマーが後々後悔したように、リエンジニアリングに人間の視点が欠けていたという批判が、そっくりそのまま川合さんのエピソードに当てはまります。
これは、結果主義とプロセス主義の違いでもあります。結果主義に立てば、試合の目標は「1セット15点を先取する」となります。しかし、プロセス主義に立てば、正しい目標は「すべての選手が互いに動機付けをし、刺激を与え、空間と時間を共有することで『流れ』を作り出し、かつ、観客にも盛り上がってもらうような形で、1セット15点を先取する」ということになります。
リエンジニアリングをする際に、「一見不要に見える仕事」と「どう考えても不要な仕事」を峻別するのは非常に困難な作業です。リエンジニアリングで最も基本的な問いは、ドラッカーが「体系的廃棄」において用いる問い、すなわち、「もしそれをやらなかったとして、今それを始めるか。(もし答えがNOであれば、それは廃棄すべきである。)」です。しかし、これに加えて、次の問いも同様に基本的かつ重要になるのです。
「もしその仕事が経済合理的な目標達成のためには不要であるとしても、それ以外の局面で重要な意義を持っていることはないか。例えば、人間の尊厳、誇り、自信、動機づけ、さらに組織が重要視する人間関係、主義、思想、風土、文化にとって重要ではないか。(もちろん、政治的な駆け引きや誰かの権力のためのような場合は除く。)」
島田「バレーボールの試合をテレビで見てていつも思うんやけど、点数取る度にみんな輪になってぐるぐる回ってハイタッチとかするやんか。こいつら何しとるんやろなーって思ってな。だってあれ、試合と全然関係ないやん。あんなんしてたら疲れるやろ?」
川合「そう、確かに疲れる。だから、一回止めたことがあるんですよ。今日の試合はあれはなしで行こう、と。そしたら、点数は取るんだけど、みんな無言だからどんどん雰囲気が悪くなっていくんですよ。みんなが何を考えているのかが解らない。だから結局止めるのをなしにしたんですけどね。みんなでワーッとかやるのも、リズムを作る上では大切なんですよ。」
「BPR(Business Process Re-engineering:業務改革)の火付け役=マイケル・ハマーの誤算」という記事で、アメリカ企業が血も涙もないようなリエンジニアリングをした結果、削減するべきでなかった仕事や人員、組織資源などまで排除してしまったがために、組織の効率が上がるどころか、かえって栄養失調の状態になってしまった、ということを指摘しました。川合俊一さんのエピソードはまさにこの内容を想起させるものだったので、私は興味深いと思ったのです。
確かに、バレーボールで「1セット15点(川合さんの現役時代のルール)を先取する」という目標を達成するためであれば、1点取る度にハイタッチをするような動作は全く必要なさそうに見えます。むしろ体力を消耗するので、目標達成に不利に作用するかもしれません。
しかし、目標を達成するのはあくまでも感情や動機をもった人間です。目標を達成するために必要と考えられる最低限の経済的、合理的な動作を繋いでいけば、最も効率よく目標が達成される、そう考えがちですが、事はそんなに簡単には運ばないのです。マイケル・ハマーが後々後悔したように、リエンジニアリングに人間の視点が欠けていたという批判が、そっくりそのまま川合さんのエピソードに当てはまります。
これは、結果主義とプロセス主義の違いでもあります。結果主義に立てば、試合の目標は「1セット15点を先取する」となります。しかし、プロセス主義に立てば、正しい目標は「すべての選手が互いに動機付けをし、刺激を与え、空間と時間を共有することで『流れ』を作り出し、かつ、観客にも盛り上がってもらうような形で、1セット15点を先取する」ということになります。
リエンジニアリングをする際に、「一見不要に見える仕事」と「どう考えても不要な仕事」を峻別するのは非常に困難な作業です。リエンジニアリングで最も基本的な問いは、ドラッカーが「体系的廃棄」において用いる問い、すなわち、「もしそれをやらなかったとして、今それを始めるか。(もし答えがNOであれば、それは廃棄すべきである。)」です。しかし、これに加えて、次の問いも同様に基本的かつ重要になるのです。
「もしその仕事が経済合理的な目標達成のためには不要であるとしても、それ以外の局面で重要な意義を持っていることはないか。例えば、人間の尊厳、誇り、自信、動機づけ、さらに組織が重要視する人間関係、主義、思想、風土、文化にとって重要ではないか。(もちろん、政治的な駆け引きや誰かの権力のためのような場合は除く。)」





