※2012年12月1日より新ブログに移行しました。
>>>現行ブログ free to write WHATEVER I like
⇒2019年にさらにWordpressに移行しました。
>>>現行HP シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)
⇒2021年からInstagramを開始。ほぼ同じ内容を新ブログに掲載しています。
>>>Instagram @tomohikoyato
新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
June 12, 2006
【ミニ書評】ジェレミー・リフキン著『エントロピーの法則(2)』
拍手してくれたら嬉しいな⇒
![]() | エントロピーの法則 (2) ジェレミー・リフキン 竹内 均 祥伝社 1983-01 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
ジェレミー・リフキン著、竹内均。タイトルを見ると前著の続編のようだが、実は反進化論を含んだ著書であり、題名からは全く想像がつかない内容になっている。本書で槍玉に上がっているのはチャールズ・ダーウィン。
まずリフキンは、我々の自然観や宇宙観というものについて鋭い言説を放つ。我々は自然観を普遍的な真理として扱っているが、実はその時代の社会システムにうまく合致するように、別の表現をすれば、その時代の人間の営みを正当化するように自然観を作り上げている。ダーウィンの進化論も、産業革命直後のイギリスの資本主義を正当化するためのイデオロギーとして利用されたのだ。事実、ダーウィンがガラパゴス諸島で見た生物同士のの骨肉の争いと、イギリスで繰り広げられる私利私欲むき出しの競争の様子はそっくりであったという。
リフキンは進化論の理論的な誤りを何点か指摘しているが、この点については科学者からも創造論者(地球上の生物は創造主によってつくられたとする論者)からも様々な批判がある(「進化論」でググったらこんなサイトを見つけた。http://members.jcom.home.ne.jp/natrom/)。
本書の最大のテーマは遺伝子工学時代の世界観である。近代科学の歴史は、人間が自然を支配しようとする飽くなき努力の歴史であった。しかし、20世紀に入って量子力学の科学者が、自然を理解することは不可能だと白旗を揚げ、未知なる自然の前に跪いた。ところが、コンピューターの発達により遺伝子情報が解明され、さらには人間の手で遺伝子情報が操作できるようになると、再び人間は自然の支配欲に駆られるようになってしまった。挙句の果てには人間が世界の創造主になれると言い切る者まで登場している(例えばジュリアン・ハックスリー)。リフキンは、こうした時代の流れに独特の辛口で批判を加えている。
【ミニ書評】ジェレミー・リフキン著『エントロピーの法則―地球の環境破壊を救う英知』
拍手してくれたら嬉しいな⇒
![]() | エントロピーの法則―地球の環境破壊を救う英知 ジェレミー・リフキン 竹内 均 祥伝社 1990-05 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
文明批評で知られるジェレミー・リフキンの著書(訳は竹内均)。著者はエネルギーの枯渇に強い危機感を抱いており、長年に渡って新たなエネルギー源とその利用方法を模索してきた。近著『水素エコノミー−エネルギー・ウェブの時代』では水素燃料を強く支持しているが、20年以上前に書かれた本書では太陽エネルギーの利用を推奨している。その点だけを考えると、主張の一貫性には若干の疑問符がつくものの、そこは20年以上の間にエネルギーをめぐる事情が変わってしまったのだということで目を瞑ることにしよう。とにもかくにも、エネルギー源として化石燃料を使い続けることには限界があるという認識は今も昔も変わっていない。
![]() | 水素エコノミー―エネルギー・ウェブの時代 ジェレミー リフキン Jeremy Rifkin NHK出版 2003-04-26 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
エントロピーの法則とは熱力学の第2法則のことであり、本書の表現によると、「物質とエネルギーは一つの方向のみに、すなわち使用可能なものから使用不可能なものへ、あるいは利用可能なものから利用不可能なものへ、あるいはまた、秩序化されたものから、無秩序化されたものへと変化する」(p45)と定義される。外界とのエネルギーのやり取りがない、すなわち「閉ざされた系」では、やがて全てのエネルギーが使い果たされ、「ヒート・デス」状態になる。
ここ数百年の間に人間は産業を発達させ、爆発的な進歩を遂げてきたが、その裏では大量の化石燃料を浪費し、エントロピーを増大させてきた。リフキンは、エネルギーの利用方法とイデオロギーには密接な関係があると指摘する(この点が非常に特徴的である)。急速な進歩を支えた功労者、裏を返せば急速に地球を高エントロピー状態に追いやった戦犯として、自然科学の分野ではベーコン、デカルト、ニュートン、社会科学の分野ではジョン・ロック、アダム・スミスの名を挙げている。
新しいエネルギー源として太陽エネルギーを活用するとしても、これまでの産業時代のようなイデオロギーに頼っていては、すぐさまエネルギーは枯渇してしまうだろう。太陽エネルギーを有効に利用するためには、新たなイデオロギーと、そのイデオロギーに立脚した新たな社会システムが必要である、とリフキンは述べている。
June 05, 2006
【ミニ書評】佐藤一子著『生涯学習と社会参加―おとなが学ぶことの意味』
拍手してくれたら嬉しいな⇒
![]() | 生涯学習と社会参加―おとなが学ぶことの意味 佐藤 一子 東京大学出版会 1998-10 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
佐藤一子著。生涯学習のテキストであるが、内容が濃い。前半では、生涯学習をめぐる歴史的動向を、国際的な視点と国内の視点の双方から論じている。国際的な視点からは、過去のユネスコ国際成人教育会議の取り組みを振り返りながら、生涯学習という概念が成人教育、リカレント教育、民衆教育、コミュニティ教育などとの関係の中でどのように形成されてきたかを紐解いていく。また、国内の視点からは、戦後の社会教育行政との関係や、90年代の生涯学習振興政策の批判的分析を通じて、日本の生涯学習の姿を明らかにしている。
後半では、生涯学習・生涯教育の組織的な主体として、学校、社会教育施設、NPO団体の3つに注目し、多くの事例をふまえながら、これまでの成果と今後の課題について議論を展開する。






