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May 08, 2006

ダニエル・キムの名言

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 「モノとしてのいっさいの記録類が一夜にして破壊された組織を想像して欲しい。レポート、コンピュータ・ファイル、社員録、業務マニュアル、カレンダーなど、すべてが突如としてなくなってしまったのだ。残されたのは人、建物、資本設備、原材料、在庫だけである。さて次に、社員が全員出社しなくなった組織というものを想像してみよう。かつての社員と多くの点で似ているが、その組織に馴染んでいない新人たちが代わりに働きにくる。復旧が容易なのは、どちらの組織だろうか?」
(Daniel H. Kim, "Individual and Organizational Learning." 訳はジョセフ・ボイエット&ジミー・ボイエット著、金井壽宏監訳『経営革命大全』日本経済新聞社、1999年より)
 ダニエル・H・キム
 マサチューセッツ工科大学組織学習センターの創設者の一人(もう一人は『最強組織の法則』で有名なピーター・センゲ)。個人と組織の学習に関する最も優れた、かつ最も理解しやすい理論を構築したと言われる。引用した文章の最後の問いに対する答えは、学習する組織の理論に従えば前者となる。組織の静的な記憶は失われたが、社員の頭の中に必要な知識が残っている分だけ復旧が早い。別の表現をすれば、知識は社員の頭の中になければ意味がない。

 最近「見える化」が流行のキーワードとなっているが、見える化の本当の狙いは知識の可視化ではなく、知識を社員の頭の中に沈殿化させることにある。

経営革命大全経営革命大全
ジョセフ・H. ボイエット ジミー・T. ボイエット Joseph H. Boyett

日本経済新聞社 1999-02

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April 24, 2006

デービッド・ガービンの名言

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 「熟練した観察者は、判断を保留し、分析を可能な限り後回しにする。『(解釈を)吐き出す』よりも『(情景や音を)吸収する』よう努力するのである。観察を成功させるには、好奇心と感受性が不可欠であり、また情報を即座に並べ替えたり分類するのではなく、そのままの状態で情報を保持し考える能力が必要である。ある著名な科学者は次のように述べている。

 『初心者は、あまりにも早い時期から、最終的な分析に向けた明確なカテゴリーをつくり出したり、鮮やかなコンセプトを開発したり、《交流パターン》を確立したりすることに気を取られてしまう。我々が模範とする観察者はそうではない。彼は現場の雰囲気を体験することにとても満足している。とても辛抱強く、曖昧さや自分自身の無知に対しても寛容である。…彼はまさしく、純粋な学習者であるだけで手一杯なのだ』(※注)」
(デービッド・A・ガービン著、沢崎冬日訳『アクション・ラーニング』ダイヤモンド社、2002年)
 デービッド・A・ガービン
 ハーバード・ビジネススクール教授。同校のMBAプログラムとアドバンス・マネジメント・プログラムでマネジメント論を担当している。また、多くの企業のエグゼクティブ・プログラムで講演するほか、組織学習や戦略的変革についてコンサルティングを行っている。

 一時期「フレームワーク」という言葉が流行ったが、フレームワークに当てはめやすい情報、すなわちフレームワークの使い手にとって都合のいい情報のみを拾い上げ、さも事実や現象を見事に整理し、要点を抑えたかのように自慢する人がいた。真の学習者になるためには、そういう態度は一切捨て去らなければならない、と思う。

(※注) 質的研究に詳しいレオナルド・シャッツマンと医療社会学の草分け的存在であるアンセルム・L・ストラウスの著書『フィールド・リサーチ−現地調査の方法と調査者の戦略』より。

アクション・ラーニング (Harvard business school press)アクション・ラーニング (Harvard business school press)
デービッド・A. ガービン David A. Garvin

ダイヤモンド社 2002-09

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フィールド・リサーチ―現地調査の方法と調査者の戦略フィールド・リサーチ―現地調査の方法と調査者の戦略
L. シャッツマン A.L. ストラウス Leonard Schatzman

慶應義塾大学出版会 1999-06

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April 17, 2006

イリヤ・プリゴジンの名言

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 「生命論パラダイムにおいては、世界を『生命的プロセス』とみなすため、世界を変革するための方法として『自己組織化』(※注1)が重視されます。そして、この自己組織化を促進するためには、二つの方法が重要となります。

 一つの方法は、『未来ビジョン』の創出です。生命論パラダイムにおいて『未来』はいまだ決定されておらず、この『未来』を決定するのは、まず何よりも『想像力』と『創造力』を駆使して描かれた『未来に関するビジョン』なのです。もう一つの方法は、『ゆらぎ』の意識的な導入と促進です。そして、この『ゆらぎ』(※注2)を導入し促進させる際に留意するべきことは、世界の進化にとって『好ましいゆらぎ』とは何かであり、これを判断する『洞察力』と『直観力』です。」
(イリヤ・プリゴジン他著、日本総合研究所編『生命論パラダイムの時代』ダイヤモンド社、1993年)
 イリヤ・プリゴジン(1917〜2003)
 ロシア出身でベルギーの化学者・物理学者。1947年よりブリュッセル自由大学教授。67年より、テキサス大学統計力学・熱力学センター所長を兼務。熱や電気の流れを生じさせる温度差、電場の強さなどエネルギーの散逸(エントロピーの生成)を数量的に扱う「散逸関数」の概念を確立。77年にノーベル化学賞を受賞。

 生命論パラダイムは、デカルトを出発点とする近代的な知のパラダイムに取って代わり、21世紀の主流となるパラダイムである。他の学問に及ぼした影響も大きく、マネジメントにおいても戦略、意思決定、組織行動の分野でその影響を読み取ることができる。

(※注1) 混沌とした状態の中から、ひとりでに秩序や構造が生まれること。例えば、アリの集団においては自己組織化が見られる。アリの集団は全体の20%が懸命に働き、残りの80%は怠けていると言われるが、働きアリの集団と怠けアリの集団を分離すると、再びそれぞれの集団で働きアリと怠けアリが分化していく。

(※注2) エネルギーや物質の流入・流出があり、安定していないシステムの状態、すなわち「非平衡状態」において見られるシステムの秩序、構造の動揺のこと。生物学における突然変異などが典型的な例。

生命論パラダイムの時代生命論パラダイムの時代
日本総合研究所

ダイヤモンド社 1993-10

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