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June 07, 2012

《要約》『戦略サファリ』―ミンツバーグによる戦略の10学派(10.コンフィギュレーション・スクール)

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 いよいよ最後のスクール(何気にこのまとめ作業は大変だった・・・)。コンフィギュレーション・スクールは、これまでの9学派の考え方の統合を目指す。この学派を理解する上では、2つのキーワードを押さえておかなければならない。それは、学派名にもなっている「コンフィギュレーション」、それから「トランスフォーメーション」である。コンフィギュレーションとは、組織とその周辺の状況についての状態を指し、トランスフォーメーションとは、戦略形成プロセスのことである。

 この学派は、組織には一貫性を持つべき時期と変化すべき時期がある、という前提に立っている。そこで、一貫性を保つべき時期に組織が取る形態(⇒コンフィギュレーション)と、変化すべき時期を迎えて別の組織形態へと移行するための変革プロセスや変革マネジメントの手法(⇒トランスフォーメーション)に焦点を当てる。なお、この学派に対しては個人的にいくつかの疑問があり、その点は別の記事でまとめたいと思う。

【第10学派:コンフィギュレーション・スクール】
<代表的な論者・理論>
(1)【コンフィギュレーション】アルフレッド・チャンドラー『組織は戦略に従う』(デュポン、シアーズ、GM、スタンダード石油の4社の戦略と組織構造の発展を研究し、組織は「量的拡大」、「地理的拡大」、「垂直統合」、「製品多角化」という4つのステージの順を追って戦略と組織を変化させると指摘した)
(2)【コンフィギュレーション】ヘンリー・ミンツバーグ(組織形態を「起業家的組織」、「機械的組織」、「専門的組織」、「多角的組織」、「革新的組織」、「伝道的組織」、「政治的組織」の7つに分類)
(3)【コンフィギュレーション】ダニー・ミラーの「原型(アーキタイプ)」と「核跳的飛躍」(企業には、戦略、組織構造、状況、プロセスなどの要素から構成される複合的な状態=「原型」がある。そして、原型が変化する際には、それぞれの要素が漸進的に変わるというよりも、「核跳的飛躍」を遂げる)
(4)【コンフィギュレーション】R・E・マイルズ&C・C・スノー(企業行動は「防衛型」、「探索型」、「分析型」、「受身型」の4つに分類できる。また、それぞれの組織は自らが選択した市場と関連する特有の戦略を有する)
(5)【トランスフォーメーション】N・Mティシー&S・シャーマンの「3幕の劇」(GEのウェルチの下で進められたトップダウン型の変革アプローチを研究し、「変革の目覚め」、「ビジョンの構築」、「組織の再構築」という3つの段階を明らかにした)
(6)【トランスフォーメーション】ジョン・コッターの「8つの変革ステップ」(トップダウン型の変革プロセス)
(7)【トランスフォーメーション】M・ベーア&R・A・アイゼンシュタット&B・スペクターの「効果的な変革の6つのステップ」(ボトムアップ型の変革プロセス)

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<特徴>
(1)組織はほとんどの場合、特徴的なある種の安定したコンフィギュレーションの状態として表現できる。つまり、明確に区分されるある一時期に、組織は特定の構造を形成する。その組織構造は、ある特定の状況に適合し、その状況が特定の戦略を生み出すために、特定の行動を組織に取らせることになる。
(2)この安定した時期は、トランスフォーメーションのプロセスによって遮断され、別のコンフィギュレーションへと大きく飛躍する。
(3)コンフィギュレーションの⇔トランスフォーメーションの繰り返しは、時を経て組織のライフサイクルと呼ばれるようなパターン化した順序を形成する。
(4)戦略マネジメントのカギは、現状の安定を維持するか、連続的・漸進的な戦略的変化を維持することである。しかし、定期的にトランスフォーメーションの必要性を認識し、組織を破壊することなく、混沌とした変革プロセスをマネジメントしなければならない。
(5)戦略策定のプロセスは、各スクールに代表される考え方、すなわち概念のデザイン、形式的プランニング、システマティックな分析、リーダーシップによって生み出されるビジョン、個人的認知への集中、組織学習、競争的影響力の行使、集合的共同化、または環境への単純な反応のいずれかである。しかし、それぞれが適切な時期と適切な状況の中に見いだされなければならない。
(6)結果として生じた戦略は、プラン、パターン、ポジション、パースペクティブ、あるいはプロイ(策略)という、ミンツバーグが「戦略の5P」と呼ぶいずれかの形式をとる。これも時と状況において決定される。

<功績>
(1)戦略マネジメントの静的・動的局面において、前述の全てのスクールのメッセージを統合しながら、1つの方向へと調和させる枠組みを提示した。

<問題点>
(1)コンフィギュレーションは、組織の多様性を説明するには大雑把である。現実の組織には、ただの白と黒ではなく、様々なグレーの影がある。また、現実の世界では、適切なカテゴリから外れ、整然としたコンフィギュレーションの枠を超えたところで、エキサイティングな革新が起きるものである。
(2)(これは学派の問題というよりも、このスクールを理解する上での注意点だが、)トランスフォーメーションの研究は様々な変革マネジメントの手法を明らかにしたものの、変革の”ハウツー”を示したわけではない。つまり、こういう状況ならばこういう変革を行いなさい、という規範的なアプローチではない。

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 《10学派一覧》
 第1学派:デザイン・スクール
 第2学派:プランニング・スクール
 第3学派:ポジショニング・スクール
 第4学派:アントレプレナー・スクール
 第5学派:コグニティブ・スクール
 第6学派:ラーニング・スクール
 第7学派:パワー・スクール
 第8学派:カルチャー・スクール
 第9学派:エンバイロメント・スクール
 第10学派:コンフィギュレーション・スクール
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