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トップ>戦略(ビジネスモデル変革のパターン)>【第10回】製品を売るのではなく貸す―ビジネスモデル変革のパターン
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March 18, 2011
【第10回】製品を売るのではなく貸す―ビジネスモデル変革のパターン
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【パターンの概要と適用できるケース】
BtoCの世界では自動車、CD、DVD、ウェディングドレスなどのレンタルビジネスがずっと前から存在するし、BtoBにおいても「所有からサービスへ」、「資産を持たない経営」といったキャッチフレーズとともに、リースやSaaSなどのビジネスが急速に拡大している。個人にしても企業にしても、身の回りにモノがあふれてくると、それらの管理が非常に煩雑になる。そこで、使いたい時だけ使えればいいモノに関しては、「買う」のではなく「借りる」という判断を下すようになってきている。
【パターンが当てはまる事例】
この変革パターンに該当する事例は前述のように日常的によく知られたものが多く、ここで改めて紹介するのもナンセンスなので、今回の記事はレイチェル・ボッツマン著『シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略』を基に、ちょっと違う視点から書いてみたいと思う。
著者は20世紀が過剰な消費社会であったことを述べた上で、我々は必要以上にモノを所有しすぎていると指摘する。そんな中、極めてシンプルなニーズを持った人たちが登場する。「余っているモノを他人に貸したい」というニーズである。一昔前であれば、借り手を見つけようとしても、知人のつてなどを使うしか方法がなかった。しかし、インターネットによって、貸し手と借り手を迅速にマッチングすることが可能になっている。
こうしたシェアビジネスは、最初は「余っているモノを貸したい」という個人的なニーズが発端ではあったが、社会全体の価値観が大量生産・大量消費に対する反省、環境保護や地球資源の節約を重視する方向に傾くにつれて、急速に拡大している。同書で紹介されているシェアビジネスの一部を以下にまとめておこう。
《エアビーアンドビー》
「余っている部屋(または部屋の一部)を特定の期間だけ貸したい」という貸し手が集まっている。借り手となるのは、観光シーズンでホテルに泊まれなかった人や、ホテルよりも安い料金での宿泊を望む人が中心。
《ビクシー(BIXI:バイクとタクシーを組み合わせた造語)》
モントリオールの自転車シェアサービス。地下鉄の近くにセルフサービスステーションを配置し、住民が自宅と駅の往復に自転車を使えるようにしてある。スマートフォーンやインターネットを使えば、自転車の空き具合や乗降ステーションの場所をリアルタイムで確認することも可能。
《テックショップ》
カリフォルニアにある「作業場」。製品開発をする人や趣味でモノ作りをする人、アーティスト、カーマニア、エンジニアたちに必要な場所と道具や材料を貸し、専門家のサポートも提供する。創業者のジム・ニュートンは、モノを作りたくても道具や設備を買う余裕がなかったり、それをしまう場所がない人が多いことに着目してこのビジネスを始めたという。
《ヤードシェア》
農作物を育てたくても土地がない人と、農地は持っているが休耕地となって困っている人とをマッチングする。地主からは「庭を持っているのですが、ただの荒地になりつつあります。野菜やその他何か育てたい方はいませんか。できたものを分けていただければそれで結構です」といったメッセージがサイトにアップされる。
シェアビジネスは、インターネットを活用した新しいビジネスのように見えるけれども、その原動力となっている原則は非常にアナログなものである。一昔前であれば、余ったモノを近所の人におすそ分けしたり、1つのモノをみんなで共有したりするということは、コミュニティの中で当たり前に行われていた。実際、同書では、シェアビジネスに対して両親世代は当惑した表情を見せるが、祖父世代は特に抵抗を示さない、といった話も出てくる。昔のコミュニティを支えていた共有意識が、単に場所を変えて復活しただけなのである。
私が知りうる限りの情報で話を一般化するのは乱暴かもしれないが、アメリカでは「コミュニティの復興」を目的として新しいビジネスが立ち上がるケースが少なくないように思える。すでに何十年も前から、アメリカはコミュニティの分裂という問題を抱えていた。70年代のメディアは、国家から家族に至るまで大小様々なコミュニティが分断されているアメリカの現状を憂い、次代のリーダーにコミュニティの回復を強く期待していた。
よく知られているように、スターバックスのビジネスモデルは、ハワード・シュルツがイタリアを訪れた際に、現地のカフェが地場のコミュニティの役割を担っていることに着想を得たものである。また、アメリカはNPOが多いことでも有名であり、政府や企業の手が十分に行き届かないコミュニティの領域をNPOがカバーするという構図ができ上がっている。
NPO=非営利団体は、決して利益の追求を放棄しているわけではない。エイズ患者の救済、薬物中毒者の社会復帰支援、離婚を経験した母子家庭のサポートなどといった社会的な使命を第一とするのはもちろんだが、同時に組織の存続要件として利益を確保することは、むしろ合理的であると見られている。
スターバックスやNPOがリアルの世界で人と人とをつないできたのに加え、最近ではfacebookに代表されるように、インターネットがバーチャルの世界に続々とコミュニティを誕生させている。しかも、そのスピードは爆発的だ。コミュニティ復興の道をずっと模索してきたアメリカが、インターネットという最強の武器を得て、積年の課題を一気に解決しようとしているようにも感じる。
翻って日本に目を向けてみると、本書で紹介されているようなビジネスはそれほど多くない。ただ、アメリカとは別の意味でコミュニティの危機を抱えているのは事実だろう。子育てに対する不安から子どもを生まないことを選択する夫婦が増加し、過疎化の影響で住民サービスを十分に受けられない地域も出てきている。
これらのコミュニティの危機は、「ちょっとした需給バランスの崩れ」によって引き起こされている。子どもを生まない夫婦は、もしかしたら、子育てに疲れた時にちょっと家事を手伝ってくれる人がいたり、保育園への送り迎えをしなくても子どもの面倒を見てくれる人がいたりすれば、子どもを生んでもいいと考えるかもしれない。こうしたニーズはどれも突発的で些細なことであるから、自治体や企業はどうしても軽視しがちだ。とはいえ、些細なことでも積み重なっていけば、やがてはコミュニティの崩壊という大きな問題になってしまう。
先日の東日本大震災の際には、海外メディアがこぞって日本の協調性、譲り合いの精神を賞賛した。もしこの精神が一過性のものではなく本物であるならば、日本にも今後こうしたシェアビジネスが根づいていくのかもしれない(だいぶ話が脱線しちゃいました・・・)。
【考えられるCSF(Critical Success Factor:最重要成功要因)】
同書では、シェアビジネスを成り立たせるための条件として、(1)クリティカル・マスの存在、(2)余剰キャパシティの活用、(3)共有意識の尊重、(4)他者との信頼という4つを指摘している(「クリティカル・マスの存在」とは、例えば前述の《ビクシー》であれば、提供される自転車やセルフサービスステーションの数が一定規模を超えないと、借り手にとっては魅力的なサービスに映らないことを指す)。ただ、この4つはあくまでもビジネス”そのもの”を成立させる要件である。ビジネスに参加するプレイヤー、とりわけ、貸し手と借り手の仲介をするプレイヤーにとっての成功要件を列挙してみるとこんな感じだろうか?
・リアルタイムで貸し手と借り手をきめ細かくマッチングする仕組みの構築
(例えば一般的な賃貸マンションの仲介ビジネスでは、契約時期・年数に従って部屋の空き状況がある程度読めるのに対し、この手のシェアビジネスでは、貸し手のニーズも借り手のニーズも突発的に発生する。両者のニーズを素早く組み合わせる仕組み[たいていはネット]が重要)
・借り手も貸し手も信頼に足る人物であることを証明する仕組みの構築
(「(4)他者との信頼」を充足するもの。ヤフーオークションで入札者、落札者を互いに評価する仕組みが市場の信頼性を高めるのに役立っている点をイメージすると解りやすい)
>>【シリーズ】ビジネスモデル変革のパターンの一覧へ
BtoCの世界では自動車、CD、DVD、ウェディングドレスなどのレンタルビジネスがずっと前から存在するし、BtoBにおいても「所有からサービスへ」、「資産を持たない経営」といったキャッチフレーズとともに、リースやSaaSなどのビジネスが急速に拡大している。個人にしても企業にしても、身の回りにモノがあふれてくると、それらの管理が非常に煩雑になる。そこで、使いたい時だけ使えればいいモノに関しては、「買う」のではなく「借りる」という判断を下すようになってきている。
【パターンが当てはまる事例】
この変革パターンに該当する事例は前述のように日常的によく知られたものが多く、ここで改めて紹介するのもナンセンスなので、今回の記事はレイチェル・ボッツマン著『シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略』を基に、ちょっと違う視点から書いてみたいと思う。
![]() | レイチェル・ボッツマン 日本放送出版協会 2010-12-16 おすすめ平均: ![]() SNSが「共有」という古くて新しい活動をつむぎだしている 新しい経済社会の出現を実感させてくれる 進化した”お裾分け” |
posted by Amazon360
著者は20世紀が過剰な消費社会であったことを述べた上で、我々は必要以上にモノを所有しすぎていると指摘する。そんな中、極めてシンプルなニーズを持った人たちが登場する。「余っているモノを他人に貸したい」というニーズである。一昔前であれば、借り手を見つけようとしても、知人のつてなどを使うしか方法がなかった。しかし、インターネットによって、貸し手と借り手を迅速にマッチングすることが可能になっている。
こうしたシェアビジネスは、最初は「余っているモノを貸したい」という個人的なニーズが発端ではあったが、社会全体の価値観が大量生産・大量消費に対する反省、環境保護や地球資源の節約を重視する方向に傾くにつれて、急速に拡大している。同書で紹介されているシェアビジネスの一部を以下にまとめておこう。
《エアビーアンドビー》
「余っている部屋(または部屋の一部)を特定の期間だけ貸したい」という貸し手が集まっている。借り手となるのは、観光シーズンでホテルに泊まれなかった人や、ホテルよりも安い料金での宿泊を望む人が中心。
《ビクシー(BIXI:バイクとタクシーを組み合わせた造語)》
モントリオールの自転車シェアサービス。地下鉄の近くにセルフサービスステーションを配置し、住民が自宅と駅の往復に自転車を使えるようにしてある。スマートフォーンやインターネットを使えば、自転車の空き具合や乗降ステーションの場所をリアルタイムで確認することも可能。
《テックショップ》
カリフォルニアにある「作業場」。製品開発をする人や趣味でモノ作りをする人、アーティスト、カーマニア、エンジニアたちに必要な場所と道具や材料を貸し、専門家のサポートも提供する。創業者のジム・ニュートンは、モノを作りたくても道具や設備を買う余裕がなかったり、それをしまう場所がない人が多いことに着目してこのビジネスを始めたという。
《ヤードシェア》
農作物を育てたくても土地がない人と、農地は持っているが休耕地となって困っている人とをマッチングする。地主からは「庭を持っているのですが、ただの荒地になりつつあります。野菜やその他何か育てたい方はいませんか。できたものを分けていただければそれで結構です」といったメッセージがサイトにアップされる。
シェアビジネスは、インターネットを活用した新しいビジネスのように見えるけれども、その原動力となっている原則は非常にアナログなものである。一昔前であれば、余ったモノを近所の人におすそ分けしたり、1つのモノをみんなで共有したりするということは、コミュニティの中で当たり前に行われていた。実際、同書では、シェアビジネスに対して両親世代は当惑した表情を見せるが、祖父世代は特に抵抗を示さない、といった話も出てくる。昔のコミュニティを支えていた共有意識が、単に場所を変えて復活しただけなのである。
私が知りうる限りの情報で話を一般化するのは乱暴かもしれないが、アメリカでは「コミュニティの復興」を目的として新しいビジネスが立ち上がるケースが少なくないように思える。すでに何十年も前から、アメリカはコミュニティの分裂という問題を抱えていた。70年代のメディアは、国家から家族に至るまで大小様々なコミュニティが分断されているアメリカの現状を憂い、次代のリーダーにコミュニティの回復を強く期待していた。
よく知られているように、スターバックスのビジネスモデルは、ハワード・シュルツがイタリアを訪れた際に、現地のカフェが地場のコミュニティの役割を担っていることに着想を得たものである。また、アメリカはNPOが多いことでも有名であり、政府や企業の手が十分に行き届かないコミュニティの領域をNPOがカバーするという構図ができ上がっている。
NPO=非営利団体は、決して利益の追求を放棄しているわけではない。エイズ患者の救済、薬物中毒者の社会復帰支援、離婚を経験した母子家庭のサポートなどといった社会的な使命を第一とするのはもちろんだが、同時に組織の存続要件として利益を確保することは、むしろ合理的であると見られている。
スターバックスやNPOがリアルの世界で人と人とをつないできたのに加え、最近ではfacebookに代表されるように、インターネットがバーチャルの世界に続々とコミュニティを誕生させている。しかも、そのスピードは爆発的だ。コミュニティ復興の道をずっと模索してきたアメリカが、インターネットという最強の武器を得て、積年の課題を一気に解決しようとしているようにも感じる。
翻って日本に目を向けてみると、本書で紹介されているようなビジネスはそれほど多くない。ただ、アメリカとは別の意味でコミュニティの危機を抱えているのは事実だろう。子育てに対する不安から子どもを生まないことを選択する夫婦が増加し、過疎化の影響で住民サービスを十分に受けられない地域も出てきている。
これらのコミュニティの危機は、「ちょっとした需給バランスの崩れ」によって引き起こされている。子どもを生まない夫婦は、もしかしたら、子育てに疲れた時にちょっと家事を手伝ってくれる人がいたり、保育園への送り迎えをしなくても子どもの面倒を見てくれる人がいたりすれば、子どもを生んでもいいと考えるかもしれない。こうしたニーズはどれも突発的で些細なことであるから、自治体や企業はどうしても軽視しがちだ。とはいえ、些細なことでも積み重なっていけば、やがてはコミュニティの崩壊という大きな問題になってしまう。
先日の東日本大震災の際には、海外メディアがこぞって日本の協調性、譲り合いの精神を賞賛した。もしこの精神が一過性のものではなく本物であるならば、日本にも今後こうしたシェアビジネスが根づいていくのかもしれない(だいぶ話が脱線しちゃいました・・・)。
【考えられるCSF(Critical Success Factor:最重要成功要因)】
同書では、シェアビジネスを成り立たせるための条件として、(1)クリティカル・マスの存在、(2)余剰キャパシティの活用、(3)共有意識の尊重、(4)他者との信頼という4つを指摘している(「クリティカル・マスの存在」とは、例えば前述の《ビクシー》であれば、提供される自転車やセルフサービスステーションの数が一定規模を超えないと、借り手にとっては魅力的なサービスに映らないことを指す)。ただ、この4つはあくまでもビジネス”そのもの”を成立させる要件である。ビジネスに参加するプレイヤー、とりわけ、貸し手と借り手の仲介をするプレイヤーにとっての成功要件を列挙してみるとこんな感じだろうか?
・リアルタイムで貸し手と借り手をきめ細かくマッチングする仕組みの構築
(例えば一般的な賃貸マンションの仲介ビジネスでは、契約時期・年数に従って部屋の空き状況がある程度読めるのに対し、この手のシェアビジネスでは、貸し手のニーズも借り手のニーズも突発的に発生する。両者のニーズを素早く組み合わせる仕組み[たいていはネット]が重要)
・借り手も貸し手も信頼に足る人物であることを証明する仕組みの構築
(「(4)他者との信頼」を充足するもの。ヤフーオークションで入札者、落札者を互いに評価する仕組みが市場の信頼性を高めるのに役立っている点をイメージすると解りやすい)
>>【シリーズ】ビジネスモデル変革のパターンの一覧へ
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新しい経済社会の出現を実感させてくれる


コメント
Posted by: CARRIE |
March 18, 2011 18:22
http://www.vitabella.jp
Posted by: CARRIE |
March 18, 2011 18:25
http://www.vitabella.jp
Posted by: CARRIE |
March 18, 2011 18:36