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December 12, 2010
【第1回】低価格志向の顧客を狙う―ビジネスモデル変革のパターン
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先日予告した通り、初の連載物(?)として、今日から週1回ぐらいのペースで「ビジネスモデル変革のパターン」についてまとめていきたいと思う。記念すべき第1回は、ターゲット顧客層をがらりと変えるものとして、「低価格志向の顧客を狙う」というパターン。
【パターンの概要と適用できるケース】
読んで字のごとく、価格に敏感な顧客層をターゲットとするモデル。一般的に、市場が成熟フェーズに入ってくると、各社の激しい模倣合戦の末に、似たような製品ばかりがあふれ返るようになる。そこで今度は、他社との差別化を行うために、「顧客主義に立つ」という大義名分のもと、(通常の顧客よりも口うるさい)優良顧客のきめ細かいニーズを吸い上げて製品を改良し始める。
こうした改良は、ロイヤリティが高い一部の顧客にとっては重要かもしれない。ところが、大半の顧客にとっては「どうでもいい機能の高度化」に映るものだ。彼らは、追加された機能に対してプレミアム価格を支払う気が失せている。それよりも、「もっと簡素な製品でいいから、安くしてくれ」と考えている。
このような「満たされすぎた顧客」が一定の規模を超えると、ビジネスモデルの変革のチャンスが生じる。彼らにターゲットを絞って、大胆に機能を絞り込んだ製品を低価格で提供するのである。
【パターンが当てはまる事例】
《サウスウェスト航空》
この変革に最も鮮やかに成功したのは、格安航空会社のサウスウェスト航空だろう。サウスウェスト航空は、出張などで頻繁に飛行機を利用するビジネスパーソンにターゲットを絞り込んだ。彼らは、できるだけ早く、かつ(会社の経費申請の際に、経理担当から白い目を向けられないよう)安い値段で目的地に着くことができれば十分であった。
ビジネスパーソンのニーズに応えるために、サウスウェスト航空は、従来の航空会社が当たり前のように提供してきたサービスの大半を省略した。座席変更を受け付けない、空港利用料が高い大都市の空港は避けて、地方空港のみを利用する、機内食は出さない、手荷物は乗客に持たせる、などといった具合である。サービスメニューをばっさりと削り、「中距離都市間のフライト」のみに特化することで、従来の航空会社がなしえなかった低価格でのフライトを実現できるようになった。

《サイゼリヤ》
サウスウェスト航空は一からビジネスモデルを構築した事例であるが、多くの企業にとって重要な論点は、「成熟した既存事業の上に、低価格志向の顧客をターゲットとした新事業を構築することは可能なのか?」ということではないだろうか?
これは実のところ非常に難しいと思われる。サウスウェスト航空のビジネスモデルを真似して、JALやANAも低価格ブランドを立ち上げようとしているが、その先行きは何とも言えない。一番のネックは、一定の優良顧客を抱える既存事業と低価格志向の顧客をターゲットとした新規事業との間に存在する「コスト構造の違い」である。表面的なオペレーションを真似することは比較的容易であるものの、既存事業に染み付いているコスト構造を変えることは一筋縄ではいかない。
既存事業の上に低価格ブランドを構築した事例はなかなか見つからないが、一つ挙げるとすれば、サイゼリヤの新業態「サイゼリヤEXPRESS」ではないだろうか?これは、もともとパスタを強みとするサイゼリヤが、100円台という低価格でパスタを提供している新業態である。サイゼリヤEXPRESSには、ただでさえローコストなファミレスよりもさらに効率的な店舗運営を実現する様々な工夫が施されている。
・メニューをパスタ中心に絞り込み
・セルフオーダーレジを導入
・「超」スピーディーな調理プロセス
(顧客がレジで精算を済ませ、受け取りコーナーへ到着する頃には、食事ができあがっている)
・スパゲッティは自社工場で途中まで加工し、店舗では簡単に調理できるようにしておく
・通常は1人、ピーク時でも2人のスタッフで対応できる体制を確立
(スタッフは常に奥の調理場にいるため、店頭にはスタッフの姿がない)
ただ、サイゼリヤの場合は、もともとファミレスで培ったローコストオペレーションのノウハウがあり、さらにアルバイト中心の店舗運営で長年やってきた事実がある。この点を踏まえると、既存のファミレスとサイゼリヤEXPRESSとの間には、それほど大きなコスト構造の差がなかったとも考えられる。
【考えられるCSF(Critical Success Factor:最重要成功要因)】
事例から見えてくるCSFはこんな感じだろうか?
・ターゲット顧客が最低限必要とする機能やサービスを「大胆に」絞り込むこと
(大胆に絞り込むことで、顧客が本当に欲している機能やサービスの価値を際立たせることができる)
・絞り込んだ機能やサービスについては、品質を落とさないこと
(絞り込んだ上に品質まで落としてしまえば、ただの「安かろう、悪かろう」になってしまう)
・絞り込んだ機能やサービスを効率的に提供する標準オペレーションを確立すること
・既存事業のコスト構造とは全く違うコスト構造の組織を構築すること
・オペレーションの効率化に貢献するITには積極的に投資すること
>>【シリーズ】ビジネスモデル変革のパターンの一覧へ
【パターンの概要と適用できるケース】
読んで字のごとく、価格に敏感な顧客層をターゲットとするモデル。一般的に、市場が成熟フェーズに入ってくると、各社の激しい模倣合戦の末に、似たような製品ばかりがあふれ返るようになる。そこで今度は、他社との差別化を行うために、「顧客主義に立つ」という大義名分のもと、(通常の顧客よりも口うるさい)優良顧客のきめ細かいニーズを吸い上げて製品を改良し始める。
こうした改良は、ロイヤリティが高い一部の顧客にとっては重要かもしれない。ところが、大半の顧客にとっては「どうでもいい機能の高度化」に映るものだ。彼らは、追加された機能に対してプレミアム価格を支払う気が失せている。それよりも、「もっと簡素な製品でいいから、安くしてくれ」と考えている。
このような「満たされすぎた顧客」が一定の規模を超えると、ビジネスモデルの変革のチャンスが生じる。彼らにターゲットを絞って、大胆に機能を絞り込んだ製品を低価格で提供するのである。
【パターンが当てはまる事例】
《サウスウェスト航空》
この変革に最も鮮やかに成功したのは、格安航空会社のサウスウェスト航空だろう。サウスウェスト航空は、出張などで頻繁に飛行機を利用するビジネスパーソンにターゲットを絞り込んだ。彼らは、できるだけ早く、かつ(会社の経費申請の際に、経理担当から白い目を向けられないよう)安い値段で目的地に着くことができれば十分であった。
ビジネスパーソンのニーズに応えるために、サウスウェスト航空は、従来の航空会社が当たり前のように提供してきたサービスの大半を省略した。座席変更を受け付けない、空港利用料が高い大都市の空港は避けて、地方空港のみを利用する、機内食は出さない、手荷物は乗客に持たせる、などといった具合である。サービスメニューをばっさりと削り、「中距離都市間のフライト」のみに特化することで、従来の航空会社がなしえなかった低価格でのフライトを実現できるようになった。

《サイゼリヤ》
サウスウェスト航空は一からビジネスモデルを構築した事例であるが、多くの企業にとって重要な論点は、「成熟した既存事業の上に、低価格志向の顧客をターゲットとした新事業を構築することは可能なのか?」ということではないだろうか?
これは実のところ非常に難しいと思われる。サウスウェスト航空のビジネスモデルを真似して、JALやANAも低価格ブランドを立ち上げようとしているが、その先行きは何とも言えない。一番のネックは、一定の優良顧客を抱える既存事業と低価格志向の顧客をターゲットとした新規事業との間に存在する「コスト構造の違い」である。表面的なオペレーションを真似することは比較的容易であるものの、既存事業に染み付いているコスト構造を変えることは一筋縄ではいかない。
既存事業の上に低価格ブランドを構築した事例はなかなか見つからないが、一つ挙げるとすれば、サイゼリヤの新業態「サイゼリヤEXPRESS」ではないだろうか?これは、もともとパスタを強みとするサイゼリヤが、100円台という低価格でパスタを提供している新業態である。サイゼリヤEXPRESSには、ただでさえローコストなファミレスよりもさらに効率的な店舗運営を実現する様々な工夫が施されている。
・メニューをパスタ中心に絞り込み
・セルフオーダーレジを導入
・「超」スピーディーな調理プロセス
(顧客がレジで精算を済ませ、受け取りコーナーへ到着する頃には、食事ができあがっている)
・スパゲッティは自社工場で途中まで加工し、店舗では簡単に調理できるようにしておく
・通常は1人、ピーク時でも2人のスタッフで対応できる体制を確立
(スタッフは常に奥の調理場にいるため、店頭にはスタッフの姿がない)
ただ、サイゼリヤの場合は、もともとファミレスで培ったローコストオペレーションのノウハウがあり、さらにアルバイト中心の店舗運営で長年やってきた事実がある。この点を踏まえると、既存のファミレスとサイゼリヤEXPRESSとの間には、それほど大きなコスト構造の差がなかったとも考えられる。
【考えられるCSF(Critical Success Factor:最重要成功要因)】
事例から見えてくるCSFはこんな感じだろうか?
・ターゲット顧客が最低限必要とする機能やサービスを「大胆に」絞り込むこと
(大胆に絞り込むことで、顧客が本当に欲している機能やサービスの価値を際立たせることができる)
・絞り込んだ機能やサービスについては、品質を落とさないこと
(絞り込んだ上に品質まで落としてしまえば、ただの「安かろう、悪かろう」になってしまう)
・絞り込んだ機能やサービスを効率的に提供する標準オペレーションを確立すること
・既存事業のコスト構造とは全く違うコスト構造の組織を構築すること
・オペレーションの効率化に貢献するITには積極的に投資すること
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