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September 08, 2010
「キャリア発達」と「動機づけ要因」の関係を整理してみた−『ぶれない「自分の仕事観」をつくるキーワード80』
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![]() | 村山 昇 クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 2009-05-14 おすすめ平均: ![]() ![]() ![]() ![]() |
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今年3月の記事「「動機」の構造を自分なりにまとめてみた−『"働く"をじっくりみつめなおすための18の講義』」で紹介した村山昇氏の別の著書。『"働く"−』は文中に挿入されている図の意味が捉えにくく、それゆえに全体の理解を難しくしている印象があったが、こちらの本は余計な挿入図もなくすんなりと読むことができる。この本を読んで、外発的/内発的動機づけ要因について、改めていろいろと考え直してみた(3月の記事では手書きだったのだが、今回はちゃんとPPTで作成したよ)。

私が思うに、動機づけ要因は(1)意味づけ要因、(2)環境要因、(3)報酬要因の3つに分けられる。そして、それぞれのカテゴリは外発的/内発的動機の両方から構成される。
(1)意味づけ要因による動機づけとは、仕事の正当性や意義による動機づけ、平たく言い換えれば「やらなければならない仕事だからやる」という動機づけを指す。外発的な意味づけ要因としては、上司の命令や顧客からの要求が挙げられる。上司や顧客の指示は、よほどのことがない限り逆らえない正当性を持っている。外発的な意味づけ要因によって動機づけられている状態とはつまり、「周りがやれと言うからやる」という状態である。
一方、内発的な意味づけ要因としては、自分自身の心に秘めている使命感がある。内なる声が仕事の意義を主張する時、他人による強制を必要とせずとも、人は自発的に喜んで仕事を行う。これが内発的な意味づけ要因による動機づけである。
(2)環境要因による動機づけとは、仕事を取り巻く環境や条件によって動機づけられることである。外発的な環境要因とは、一言で言えば良好な職場環境を指す。必要なサポートをしてくれる上司や同僚の存在、快適に仕事ができるオフィス環境、さらには手厚い福利厚生などといった要因が充実した仕事を後押ししてくれる(まれに、意図せずに劣悪な環境に置かれた時に、「こんな不遇には負けない」といった反骨精神で動機づけられることもあるが)。
これに対して、内発的な環境要因とは自分自身のことであり、仕事に対する興味や好奇心があること、あるいは自分の能力が活かせることなどが挙げられる。要するに、仕事に対して自分の頭と心の準備ができているかどうか、ということだ。
(3)報酬要因による動機づけは文字通りの意味である。外発的な報酬要因には、昇給、報奨金などといった金銭的な報酬や、昇進、挑戦的な仕事への抜擢、上司や同僚、顧客からの肯定的な評価のような非金銭的な報酬が含まれる。
他方、内発的な報酬要因とは、仕事を通じて得られる達成感や充実感、やりがいといった正の感情を意味する。外発的にしろ内発的にしろ、期待した報酬が得られれば、また次も仕事をやってみようという気持ちになる(逆に、期待した報酬が得られない場合にも、前述したような反骨精神で動機づけられることがある)。
図中にある環状の矢印は、年月の経過とともにビジネスパーソンの動機が移り変わることを表している。もちろん、以前の記事「大事なのはリーダーシップのスタイルじゃないということ−『静かなリーダーシップ』」で述べたように個人の動機は様々な要因の複合体であるし、また別の記事「「内発的動機と外発的動機のどっちが重要か?」という問いは意味があるか?」で書いたように双方の動機は密接に関係している。よって、単純に上図の矢印で示したように動機が変遷するというわけではないのだが、キャリアを積み重ねるにつれて「中心となる動機」が変化することは説明できるような気がする。
まず、入社したての新入社員は、「外発的な意味づけ要因」が中心となる。新入社員は採用面接でこれがしたい、あれがしたいと希望を述べるものの、入社してすぐに思い通りの仕事に就くことは稀である。
新入社員は自我を押し通すよりも先に、会社というコミュニティの一員として認められなければならない。そのためには、最初は上司や先輩、あるいは顧客からの要求にきちんと応え、自分がこの組織にとって有益な人間であることを証明する必要がある。これは、コミュニティへの参加資格を得るための「通過儀礼」のようなものだ。
「通過儀礼」を無事に終えると(通常は入社してから数年を要する)、上司や先輩、同僚から同じコミュニティの仲間として認められ、彼らと良好な関係を築くことができる。社員はコミュニティの中に自分の居場所を見つけ、安心して仕事に取り組むことができる。このフェーズでは、主に「外発的な環境要因」に動機づけられていると言える。
Googleには野心にあふれた優秀な人材が世界中から集まってくるが、彼らにGoogleに入社した一番の理由を聞くと、大部分は「Googleの自由な職場環境」を挙げるという。Googleは伝統的な指揮命令系統を持たない極めて民主的な組織であるから、上司からの命令といった外発的な意味づけ要因がそもそも存在しない。だが、野心に燃えているからといって、内発的な動機だけで動いているわけでもない。
Googleの社員は、自分のやりたいことは自分一人の力では実現できないことをよく心得ているのだろう。だからこそ、優秀な社員と切磋琢磨し、アイデアを自由に試し、多数の良質なフィードバックが得られる環境を求めるのであり、外発的な環境要因に強く反応するのだと思われる。
さらに時が過ぎて入社から5年ぐらい経つと、仕事にもかなり慣れてきて、必要な能力もある程度身につく。すると、仕事そのものを楽しむ心の余裕が出てくる。つまり、「内発的な環境要因」に動機づけられる状態だ。
そして、順調に仕事が進んで自分の思い通りの成果が出せるようになると、充実感ややりがいを感じるようになり、もっと上を目指そうという意欲が湧き上がる。あるいは逆に、目標が達成できなくて悔しい思いをすると、次こそはと奮起して今以上に真剣に取り組むようになる。これは「内発的な報酬要因」に動機づけられている状態と言える。
内発的な報酬要因が主要因となる頃には、おそらく30代半ばにさしかかっている。ここからビジネスパーソンは、激しい出世競争に足を突っ込むことになる。この出世競争は、単に30代半ばから管理職になれる人とそうでない人が分かれてくるという人事慣行以上の意味を持っている。
ビジネスパーソンが今までよりも挑戦的で、会社全体や市場に大きな影響を与えるような大胆な仕事をしようと思ったら、往々にしてその仕事ができる権限を持った地位につかなければならない。要するに、ビジネスパーソンはより大きな仕事をするために、出世競争に自ら足を踏み入れ、高い地位を求めるのである。この頃の中心的な動機づけ要因は「外発的な報酬要因」に移っている。
ところが、外発的な報酬要因は無限の効果を持つわけではない。会社のポジションの数には限りがあるし、永遠に給与が上がり続けるわけでもない。外発的な報酬要因の効果が切れると、ビジネスパーソンは新たな道を模索する必要に迫られる(逆に、それができないと燃え尽き症候群に陥って、モチベーションがプツッと途絶えてしまう)。
そもそも今のこの仕事は何のためにやっているのか?誰のためなのか?彼らにどんな価値を提供しているのか?それは自分らしい仕事と言えるのか?ビジネスパーソンはこうした問いを自らに投げかける。そして、困難な内省の旅の果てに、誰にも妨げられることのない自分だけの使命を発見する。
使命とは、決して100%達成されることはない高尚な目標ではあるが、達成のために最大限の努力を費やさなければならないと思わせるようなものである。私だけの使命は、内なる声となって私自身を突き動かす。おそらく40代後半から50代のキャリアは、この「内発的な意味づけ要因」が中心に据えられたものとなるだろう。
以上、つらつらと書いてきたが、ほとんど本書の内容に触れていないことに今気づいた(汗)。「もはや書評ではないだろ?」という突っ込みはナシの方向で。
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