※2012年12月1日より新ブログに移行しました。
>>>現行ブログ free to write WHATEVER I like
⇒2019年にさらにWordpressに移行しました。
>>>現行HP シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)
⇒2021年からInstagramを開始。ほぼ同じ内容を新ブログに掲載しています。
>>>Instagram @tomohikoyato
新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
トップ>人材マネジメント>戦略とリンクした人材育成計画を作成するための5ステップ(2)
前の記事:戦略とリンクした人材育成計画を作成するための5ステップ(1)
次の記事:【動画】二子玉川の花火大会を撮影したよ
前の記事:戦略とリンクした人材育成計画を作成するための5ステップ(1)
次の記事:【動画】二子玉川の花火大会を撮影したよ
August 19, 2010
戦略とリンクした人材育成計画を作成するための5ステップ(2)
拍手してくれたら嬉しいな⇒
(その1からの続き)
(3)各スキル・知識を有する社員の目標人数の設定
戦略の実現に必要なスキル・知識が明らかになったら、それらの能力を有する社員を何人ぐらい育成するのかを決める段階に入るわけだが、その際にやるべきことが1つある。それは、各スキル・知識のレベル分けである。
どんなスキル・知識にも難易度の高低がある。これを無視して画一的に目標人数を設定すると、現状の社員のスキル・知識レベルのばらつきを無視してしまい、特定の社員にとって難易度が高すぎる、あるいは一部の社員にとっては難易度が低すぎる育成計画ができあがってしまうので要注意だ(この点についても、別の記事で言及する予定)。
レベルは3段階から5段階に分けるのが適切だろう。個人的には、次の5段階が使いやすいと考えている。

市場分析のスキルやLCAの手法は、エコプロダクツを上市するために多くの社員が高いレベルにまで達する必要があると判断し、レベル4の人数を多めにした。部門横断的なプロジェクトマネジメント・チームビルディングについては、全員がプロジェクトマネジメントに従事するわけではないので、少数の精鋭を育成することを目標としている。
一方、環境経営を意識した製品企画・グリーン調達・原価計算・生産管理の基礎知識や設計BOMの活用方法については、全員を標準レベルまで引き上げることを目指し、レベル4・5を設けずに全社員がレベル3まで到達することを目標とした。
(4)各スキル・知識の習得に向けた育成方針の決定
(3)で各スキル・知識を有する社員の目標人数を設定したら、その人数を確保するための育成手段を決定する。一般に、知識とスキルでは下記のように効果的な手段が異なる。

(5)各スキル・知識の習熟レベルをモニタリングする仕組みの構築
(4)の育成体系ができれば育成計画の策定は終了と言いたいところだが、最後に重要なタスクが残っている。せっかく(3)で各スキル・知識のレベル分けを行ったのだから、各社員のスキル・知識レベルを定期的にモニタリングする仕組みを計画段階で作成しておくことが非常に重要である。
この仕組みを活用すれば、(3)の目標人数の達成度合いを人事部や経営陣が把握っできるし、また、人材育成担当者が各研修にどの社員を参加させるべきかを決めやすくなる。
モニタリングの方法は至ってシンプルである。つまり、それぞれのスキル・知識レベルを測定するためのアセスメントを開発することだ。スキルについては、そのスキルが発揮できているかどうかを判断する項目をいくつか設定する。例えば、「部門横断的なプロジェクトマネジメント・チームビルディング」であれば、
このアセスメントは、作成そのものはそれほど大変ではないものの、実施する現場の負荷がそれなりに大きくなるため、人事担当者・人材育成担当者があらかじめ現場との調整を十分に行うことがポイントになる。
以上、駆け足ではあったが、戦略と連動した人材育成計画を作成するためのステップを5つに分けて紹介してきた。次回の記事では、人材育成計画を策定する際に陥りがちな罠をまとめてみたいと思う。
(3)各スキル・知識を有する社員の目標人数の設定
戦略の実現に必要なスキル・知識が明らかになったら、それらの能力を有する社員を何人ぐらい育成するのかを決める段階に入るわけだが、その際にやるべきことが1つある。それは、各スキル・知識のレベル分けである。
どんなスキル・知識にも難易度の高低がある。これを無視して画一的に目標人数を設定すると、現状の社員のスキル・知識レベルのばらつきを無視してしまい、特定の社員にとって難易度が高すぎる、あるいは一部の社員にとっては難易度が低すぎる育成計画ができあがってしまうので要注意だ(この点についても、別の記事で言及する予定)。
レベルは3段階から5段階に分けるのが適切だろう。個人的には、次の5段階が使いやすいと考えている。
レベル5:そのスキルや知識を他人に教えられる各スキル・知識を5段階のレベルに分けた上で、各部門の業務を円滑に遂行するためには、それぞれのスキル・知識を持った社員が何人必要かを明らかにする。製品企画部門の各スキル・知識について、レベルごとの目標人数を整理したのが下表である。
レベル4:自分なりの創意工夫を加えて実行することができる(スキルの場合)
/平均以上の専門的・最先端の知識を持っている(知識の場合)
レベル3:標準的な事柄は一通り自分で理解・実行できる
レベル2:他人から支援を受ければ理解・実行できる
レベル1:他人から大幅な支援を受けなければ理解・実行できない(入社・配置転換直後のレベル)

市場分析のスキルやLCAの手法は、エコプロダクツを上市するために多くの社員が高いレベルにまで達する必要があると判断し、レベル4の人数を多めにした。部門横断的なプロジェクトマネジメント・チームビルディングについては、全員がプロジェクトマネジメントに従事するわけではないので、少数の精鋭を育成することを目標としている。
一方、環境経営を意識した製品企画・グリーン調達・原価計算・生産管理の基礎知識や設計BOMの活用方法については、全員を標準レベルまで引き上げることを目指し、レベル4・5を設けずに全社員がレベル3まで到達することを目標とした。
(4)各スキル・知識の習得に向けた育成方針の決定
(3)で各スキル・知識を有する社員の目標人数を設定したら、その人数を確保するための育成手段を決定する。一般に、知識とスキルでは下記のように効果的な手段が異なる。
知識:座学による集合研修、eLearning上記を参考に、各部門で求められる知識・スキルを習得するための手段を次のように決定した。合わせて、外部ベンダーを活用するか、内製化するかも決めた。
スキル:クロストレーニング(専門スキルの向上を目的として、専門外のトレーニングを行うこと)、シミュレーション・ケーススタディ、事例共有(ナレッジマネジメントシステムを活用する場合もあれば、分科会のようなコミュニティを形成する場合もある)

○環境経営を意識した製品企画・グリーン調達・原価計算・生産管理の基礎知識:汎用的な知識であるため、外部ベンダーのeLearningを活用。あとは、対象者のスキル・知識レベルに応じてコースを分ければ、育成体系の大枠が決まる。例えばレベル0・1の社員を対象に、レベル3への到達を目的とした「初級コース」と、レベル3の社員を対象に、レベル4・5への到達を目的とした「上級コース」に分けるといった具合である。
○環境負荷情報等を加味したBOMの使用方法:環境負荷情報等を加えてバージョンアップしたBOMの利用方法について、情報システム部門と協力して座学の集合研修を開催(社内説明会に近い)。
○LCAの実施方法、REACH・RoHS・JAMPの知識:環境経営に詳しい外部コンサルタントの協力を得て、座学の集合研修を共同で実施。
○部門横断的なプロジェクトマネジメント・チームビルディング:部門横断的な活動の前提として、製品企画部門の社員が、専門外である原価企画・生産管理をある程度本格的に学習するクロストレーニングを実施。
○仮説検証型の市場調査(定量・定性):マーケティングを専門とする外部コンサルタントとケーススタディを複数開発。
○サプライヤに対するトレーニング:サプライヤーごとに異なるトレーニングテキストが作成されることが予想されるため、調達部門内で事例共有のための勉強会を実施(人材育成部門がその運営をサポート)。
○サプライヤとのコミュニケーション・交渉力:研修ベンダーの交渉力研修をカスタマイズし、サプライヤとの交渉のポイントをロールプレイで複数体感できる研修を開発。
○環境負荷低減の観点からの製造プロセス設計および継続的なプロセス・品質改善スキル:生産管理、品質管理システムを活用して、システム上でシミュレーションできるトレーニングを社内で内製化。
(5)各スキル・知識の習熟レベルをモニタリングする仕組みの構築
(4)の育成体系ができれば育成計画の策定は終了と言いたいところだが、最後に重要なタスクが残っている。せっかく(3)で各スキル・知識のレベル分けを行ったのだから、各社員のスキル・知識レベルを定期的にモニタリングする仕組みを計画段階で作成しておくことが非常に重要である。
この仕組みを活用すれば、(3)の目標人数の達成度合いを人事部や経営陣が把握っできるし、また、人材育成担当者が各研修にどの社員を参加させるべきかを決めやすくなる。
モニタリングの方法は至ってシンプルである。つまり、それぞれのスキル・知識レベルを測定するためのアセスメントを開発することだ。スキルについては、そのスキルが発揮できているかどうかを判断する項目をいくつか設定する。例えば、「部門横断的なプロジェクトマネジメント・チームビルディング」であれば、
○プロジェクトのゴールをメンバーと共有し、スケジュールに沿ったタスクの割り当てを行っている。などといった項目を用意し、本人にどの程度できているか自己評価してもらう。場合によっては、上司や同僚などを加えて360度評価を行ってもよいだろう。一方、知識の場合は簡単なテストを実施することでレベルの把握が可能である。
○調達部門の担当者の協力を仰ぎながら、原価企画を自らの手で行っている。
○製造部門の担当者の協力を仰ぎながら、製造フィージビリティ検証を自らの手で行っている。
○メンバーと積極的なコミュニケーションを図り、動機づけのための仕掛けを施している。
○メンバー間で問題が起こった時は率先して間に入り、問題解決や利害調整にあたっている。
このアセスメントは、作成そのものはそれほど大変ではないものの、実施する現場の負荷がそれなりに大きくなるため、人事担当者・人材育成担当者があらかじめ現場との調整を十分に行うことがポイントになる。
以上、駆け足ではあったが、戦略と連動した人材育成計画を作成するためのステップを5つに分けて紹介してきた。次回の記事では、人材育成計画を策定する際に陥りがちな罠をまとめてみたいと思う。
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL: