※2012年12月1日より新ブログに移行しました。
>>>現行ブログ free to write WHATEVER I like
⇒2019年にさらにWordpressに移行しました。
>>>現行HP シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)
⇒2021年からInstagramを開始。ほぼ同じ内容を新ブログに掲載しています。
>>>Instagram @tomohikoyato
新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
トップ>書評(ビジネス書中心)(マーケティング)>事業の目的は顧客の創造である(byドラッカー)(1)−『顧客資本主義(DHBR2010年7月号)』
前の記事:今も昔も教育問題は全然変わっていないことにショック−『論語と算盤』
次の記事:事業の目的は顧客の創造である(byドラッカー)(2)−『顧客資本主義(DHBR2010年7月号)』
前の記事:今も昔も教育問題は全然変わっていないことにショック−『論語と算盤』
次の記事:事業の目的は顧客の創造である(byドラッカー)(2)−『顧客資本主義(DHBR2010年7月号)』
June 23, 2010
事業の目的は顧客の創造である(byドラッカー)(1)−『顧客資本主義(DHBR2010年7月号)』
拍手してくれたら嬉しいな⇒
![]() |
posted by Amazon360
巻頭の編集部の記事で初めて知ったのだが、ゲイリー・ハメルとの共著『コア・コンピタンス経営』で資源ベースの経営戦略論の一角を担い、最近では『ネクスト・マーケット』でBOP(bottom of the pyramid)ビジネスの可能性を明らかにしたC・K・プラハラードが今年の4月16日に亡くなっていた。まだ68歳。若すぎる…。母国インドにプラジャというBOPビジネスのための会社を立ち上げ、理論の実践にも身を投じていただけに非常に残念だ。ご冥福をお祈り申し上げます。
顧客資本主義の時代(ロジャー・マーティン)
近代資本主義には過去に2つの時代があったと著者は言う。第一は1932年に始まった「経営者資本主義」の時代であり、第二は1976年から始まった「株主資本主義」の時代である。前者はバーリ&ミーンズが『近代株式会社と私有財産』で所有と経営の分離を主張したことに端を発し、後者はジェンセン&メックリングが『ジャーナル・オブ・ファイナンシャル・エコノミクス』誌上で「プロフェッショナル経営者は私腹を肥やすことばかり考えており、株主の利益を軽視している」との批判を展開したことがきっかけとなっている。
しかし、株主資本主義にも限界が見えつつある。一般に、ある企業の時価総額には将来の業績への期待が込められている。だが、業績は無限に拡大するわけではないから、株主の期待もいずれは頭打ちになると著者は指摘する。金額という単一の指標に頼るがゆえの限界であると言えよう。
株主資本主義に代わって21世紀に台頭するのが「顧客資本主義」だという。まぁ、言ってみれば原点回帰である。顧客が第一であるということは、ドラッカーが半世紀近くも前に『現代の経営』の中で述べていることだ。時価総額は量的に限度があるが、顧客への提供価値はその質が可変であり、この点で拡張性がある。
面白いことに、経営者資本主義の時代であった1933年から76年末の間のS&P500の利回りが年7.6%であったのに対し、株主資本主義に移行した77年から2008年末における利回りは年5.9%に低下している。さらに、株主資本主義の代表格であるGEやコカコーラと、株主資本主義の時代にありながら顧客第一を掲げていたJ&JやP&Gの時価総額および連結利益成長率を比べると、必ずしも株主資本主義の方に軍配が上がるわけではないようだ。
(※)P&GのCEOであるアラン・ラフリーが、ドラッカーの定義する「経営者が答えるべき4つの問い」に従って、自社の顧客資本主義をどのように強化していったかについては、DHBR2009年9月号「CEOにしかできない仕事」にて詳しく述べられている。本ブログの「何でもコラボすりゃいいってもんじゃないんだよ(前半)−『信頼学(DHBR2009年9月号)』」も参照。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
「顧客の声」を全社に浸透させる(ロブ・マーキー、フレデリック・F・ライクヘルド、アンドレアス・ダルウィーバー)
著者の主張は極めて明快である。端的にまとめればこうだ。「質問がずらっと並ぶ入り組んだ顧客満足度調査など捨てて、顧客に対してもっと単純な質問をすればよい。つまり、『あなたはわが社(の製品・サービス)を他人に勧めますか?』と」。
上記の質問に対する答えに応じて、顧客は(1)推奨者、(2)中立者、(3)批判者の3タイプに分類される。そして、(1)から(3)を引いたスコアをNPS(Net Promoter Score:推奨者の正味比率)と定義し、この指標をモニタリングすることを著者は勧めている。
この質問のもう1つのポイントは、「顧客が製品・サービスを購入した『直後に』尋ねる」という点である。上司から部下へのフィードバックも、早ければ早いほどいい(部下の数ヶ月前の過ちを期末の人事考課面談で指摘するよりも、過ちを犯した直後に改善策を教える方が部下にとって有益であるのは明らかだ)。これと同じことが顧客から企業・社員へのフィードバックにも当てはまるというわけだ。
ただし、現場での実施方法は顧客の負担にならないよう、慎重に設計しなければならない。うっとうしい質問方法のせいで顧客満足度が下がるようでは本末転倒だからだ。NPSを用いた評価に最も近いやり方を採用している身近な例は、おそらくAmazonのマーケットプレイス購入だろう。
購入から一定期間が経過すると、Amazonから出品者を評価するようメールが届く(個人的にはもう少し早くメールが来てもいいと思うのだが…。メールが届く頃にはその出品者から何を買ったか忘れていることもある)。購入者は出品者を3段階でレイティングし、簡単なコメントをつけるという、ごくごくシンプルな仕組みだ。購入者からの情報は出品者とAmazonのサイト訪問者に公開される。
ECサイトは比較的仕組みを考えやすい。Amazonを参考にして、例えば購入から一定期間が経過した後に登録されたメールアドレスにお得なクーポンを届けると同時に、簡単な評価を入力するためのURLを案内することは可能だ。
問題は、対面でサービスを提供するケースである。サービス提供者と評価実施者を同じにすることはできない。社員が自ら「私が提供したサービスはいかがでしたか?」と聞くのはあまりに不自然だ。
私が知るあるコンサルティング会社では、プロジェクトメンバーとは別に「プロジェクトの評価を行うためのメンバー」を選定し、プロジェクトの途中あるいは終了後に、クライアント企業からプロジェクトに対する評価をインタビューで聞き出しているという。その評価内容は、プロジェクトメンバーの人事考課にも影響する仕組みになっているそうだ。
(その2へ続く)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:



