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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
July 07, 2010

研修をガリガリと作るだけの人材開発部は時代遅れかもしれない(1)

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 人事を掌握する部署の中で、社員の教育研修を担当する部署は研修部や人材開発部、教育センターなどといった名称がついている(以下、これらの部署をまとめて「人材開発部」と呼ぶことにする)。人材開発部は、社員に求められる知識やスキル(技能)などのナレッジを整理し、それらを習得するための研修を企画する。その企画案に基づいて、研修テキストやワークショップなどのコンテンツを開発し、現場から研修参加者を募集する。そして、研修会場の設営や備品の準備などを行い、研修を実施する。一言でまとめれば、人材開発部は「研修の企画〜運営のスペシャリスト集団」である。

 だが、経営における人材の質の重要性が高まるにつれ、人材開発部が単に研修だけをやっていればよいという時代はもうそろそろ終わると思う。これからの時代は、社員のナレッジそのものが競争優位性を左右する"knowledge capitalism"の時代である。人材開発部は、研修に責任を負うだけではなく、ナレッジに責任を負う部署へと転換を迫られるだろう。

 以前の記事「『10年ルール』通りにスキルアップできる人とそうでない人の境目」で、「経験パターンの分布図」というものを紹介した。研修で対応できるのは正規分布の中央部分、つまり最もオーソドックスで基本的な業務が中心であり、非常に狭い。

経験パターンの分布

 至極当たり前のことだが、中央部分から外れれば外れるほど必要なナレッジが特殊なものになるため、ナレッジを研修で教えるのは難しくなる。しかしながら、競合他社と差別化を図るためには、中央部分から外れた業務にも十分に適応できる社員が絶対に不可欠だ。

 さらに、社員が身につけるべきナレッジは、事業環境が複雑になったことでぐっと範囲が広がっている。それに加えて、環境変化のスピードが速くなったために、せっかくのナレッジが何らかのきっかけで一瞬にして陳腐化する可能性もある。

 社員に求められるナレッジは広がる一方である。にもかかわらず、人材開発部が今まで通りガリガリと研修を作って運営しているようでは、とてもではないが時代の流れに対応しきれない(蛇足だが、研修開発というのは意外と時間がかかるものである。単に知っているよりも、知っていることを教えることの方が数倍も難しいのだから)。人材開発部は、「研修の企画〜運営のスペシャリスト集団」から「ナレッジの形成・蓄積・伝播を推進するプロフェッショナル集団」へと変化することが求められるだろう。

 新しい人材開発部は、従来の研修開発・運営に加えて、新たに4つの役割を担うことになるだろう。まだまだお題目レベルで具体的なところまで落とし込むことができていないが、次回の記事でとりあえず問題提起をしておこうと思う。
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