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トップ>人材マネジメント(組織学習)>「10年ルール」通りにスキルアップできる人とそうでない人の境目
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June 26, 2010
「10年ルール」通りにスキルアップできる人とそうでない人の境目
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過去の記事「良質の『準備ルーチン』は創造性を生む」の中で、「10年ルール」という言葉を紹介した。もともとは心理学者である エリク・H・エリクソン K・アンダース・エリクソン(※2011/10/26 修正)の言葉であり、「一流の人材は才能ではなく練習によって生み出される」ことを表したものである。「10年ルール」の下地となっているのは、ピアニストやスポーツ選手など、突出した創造的能力が求められる職業に就いている人材の熟達化研究であるが、産業界でもこの言葉は浸透し、「一流のプロフェッショナルになるためには、10年のキャリアが必要だ」といった表現がされるようになった。
事実、ビジネスパーソンの経験学習を研究した松尾睦教授の著書『経験からの学習−プロフェッショナルへの成長プロセス−』では、限定的ではあるが「10年ルール」を支持する調査結果が掲載されている(同書に関するレビューはまたの機会に)。しかし、全てのビジネスパーソンが「10年ルール」に該当するわけではない。以前の記事「入社後4年目からのキャリア開発−内発的動機を育て、仕事に自分色を加える」では、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査結果を引用した。
ある化学メーカーで、営業スタッフの営業経験年数をX軸に、営業スタッフの成績(3年間の売上成長率)をY軸にとって散布図を作成したところ、両者の間には何の相関関係も見られなかったという。これは、明らかに「10年ルール」の反証となるデータであり、興味深い。
もちろん、最初から何の努力もせずに適当に仕事をこなしているだけの人が「10年ルール」に該当しないことは論を待たない。私が今回の記事で書こうとしているのは、「たとえ十分な努力をしたとしても、10年ルール通りにスキルアップするとは限らないケースがある」ということである。
この現象を理解するためには、「経験パターン」という概念を導入すると解りやすくなる。「経験パターン」は企業における暗黙知やナレッジマネジメントの研究で有名なドロシー・レオナルドの言葉である。BCGの調査結果が法人営業を対象にしていたので法人営業を例にとって話を進めると、同じ会社でも長く営業職を続けようとするならば、多種多様な顧客、商談、製品、サービスを扱わなければならない。こうした様々な営業活動のパターンを分布図にすると、以下のような感じになる。

話を単純化するために正規分布を用いているが、要するに簡単な営業活動から難しい営業活動まで、幅広い経験パターンが存在するということである。一般に「3年で一人前」と言う場合の「一人前」は、正規分布の真ん中、つまり最も基本的でありふれたパターンを完遂できる段階になったことを指す。
この「一人前」からの7年間で、基本パターン以外のパターン(つまり、正規分布の両端)を数多く経験し、そこから多くを学習した人は「10年ルール」通りに営業のプロフェッショナルになれる。一方で、いつまでたっても新人研修の頃に学んだ基本的な営業スタイルだけで臨んでいる人や、ナレッジマネジメントシステムに登録されている提案書をただそのまま使い回しているだけの人は、どんなに努力してもスキルは伸びないのである。
正規分布の両端にはどんなパターンがあるのだろうか?簡単に思いつく限り列挙してみるとこんな感じになるだろう。
<基本パターンより難しいパターン(正規分布の右側)>
・競合他社ががっちり入り込んでいて、明らかに自社にとって不利な商談
・業界特有の専門知識が求められる商談
・顧客内のパワーポリティクスが複雑で、関係者の説得に時間がかかる商談
・「この予算枠内で自由に提案してくれ」という漠然とした要求に応えなければならない商談
・後発の新製品を売らなければならない商談
・製品やサービスの品質に対する要求が異常なほど厳しい顧客の商談
・製品やサービスを提供するにあたり、社内各部門の協力を仰がなければならない商談
<基本パターンより簡単なパターン(正規分布の左側)>
・市場での自社ブランドが既に確立されているような製品やサービスを売る商談
・前任者が強い信頼関係を築いていてくれたおかげで、スムーズに話が進む商談
・顧客が自分のことを高く買ってくれており、顧客の方から仕事をくれるような商談
・顧客の要望が明確で、顧客の御用聞きに徹していれば受注できるような商談
いずれのケースにおいても、状況に応じて最適なパターン(=最適な営業活動)を自ら作り出す必要がある。「10年ルール」に当てはまる人は、意識的にこうしたことを行っている。一方、3年でスキルが頭打ちになる人は、杓子定規に基本パターンで挑もうとする。前者のケースに基本通りのパターンで臨んだら惨敗することは目に見えているし、後者のケースに基本通りのパターンで臨んでいるようでは、必要以上に営業工数がかかり経営資源を浪費してしまう。本人は努力しているつもりでも、結果はついてこない。
「10年ルール」通りにスキルアップできる人とそうでない人を分けるのは、(1)細かい差異に気づく力、(2)類似パターンをカスタマイズする力、(3)カスタマイズの効果を検証する力の3つである。「10年ルール」通りにスキルアップする人は、自分が今受け持っている商談が、過去に経験してきた商談とどの点で共通し、どの点で異なるかという微細な点に気を配る。そして、頭の中の経験データベースから類似のパターンを引っ張り出し、差異に応じてパターンにカスタマイズを施す。
さらに、そのパターンをぶつけた結果、何がうまくいき、何がダメだったのかを振り返る。ダメだった点については後知恵でもいいから改善策を考える。この一連の流れをひたすら繰り返しながら重層な経験データベースを構築している人が、10年後に「一流のプロフェッショナル」になれるのである。
事実、ビジネスパーソンの経験学習を研究した松尾睦教授の著書『経験からの学習−プロフェッショナルへの成長プロセス−』では、限定的ではあるが「10年ルール」を支持する調査結果が掲載されている(同書に関するレビューはまたの機会に)。しかし、全てのビジネスパーソンが「10年ルール」に該当するわけではない。以前の記事「入社後4年目からのキャリア開発−内発的動機を育て、仕事に自分色を加える」では、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査結果を引用した。
ある化学メーカーで、営業スタッフの営業経験年数をX軸に、営業スタッフの成績(3年間の売上成長率)をY軸にとって散布図を作成したところ、両者の間には何の相関関係も見られなかったという。これは、明らかに「10年ルール」の反証となるデータであり、興味深い。
![]() | 松尾 睦 同文舘出版 2006-06-23 おすすめ平均: ![]() あらゆる組織人にオススメ! プロフェッショナルの育成への実践的視点 経験から学習するメカニズムを解明! |
![]() |
posted by Amazon360
もちろん、最初から何の努力もせずに適当に仕事をこなしているだけの人が「10年ルール」に該当しないことは論を待たない。私が今回の記事で書こうとしているのは、「たとえ十分な努力をしたとしても、10年ルール通りにスキルアップするとは限らないケースがある」ということである。
この現象を理解するためには、「経験パターン」という概念を導入すると解りやすくなる。「経験パターン」は企業における暗黙知やナレッジマネジメントの研究で有名なドロシー・レオナルドの言葉である。BCGの調査結果が法人営業を対象にしていたので法人営業を例にとって話を進めると、同じ会社でも長く営業職を続けようとするならば、多種多様な顧客、商談、製品、サービスを扱わなければならない。こうした様々な営業活動のパターンを分布図にすると、以下のような感じになる。

話を単純化するために正規分布を用いているが、要するに簡単な営業活動から難しい営業活動まで、幅広い経験パターンが存在するということである。一般に「3年で一人前」と言う場合の「一人前」は、正規分布の真ん中、つまり最も基本的でありふれたパターンを完遂できる段階になったことを指す。
この「一人前」からの7年間で、基本パターン以外のパターン(つまり、正規分布の両端)を数多く経験し、そこから多くを学習した人は「10年ルール」通りに営業のプロフェッショナルになれる。一方で、いつまでたっても新人研修の頃に学んだ基本的な営業スタイルだけで臨んでいる人や、ナレッジマネジメントシステムに登録されている提案書をただそのまま使い回しているだけの人は、どんなに努力してもスキルは伸びないのである。
正規分布の両端にはどんなパターンがあるのだろうか?簡単に思いつく限り列挙してみるとこんな感じになるだろう。
<基本パターンより難しいパターン(正規分布の右側)>
・競合他社ががっちり入り込んでいて、明らかに自社にとって不利な商談
・業界特有の専門知識が求められる商談
・顧客内のパワーポリティクスが複雑で、関係者の説得に時間がかかる商談
・「この予算枠内で自由に提案してくれ」という漠然とした要求に応えなければならない商談
・後発の新製品を売らなければならない商談
・製品やサービスの品質に対する要求が異常なほど厳しい顧客の商談
・製品やサービスを提供するにあたり、社内各部門の協力を仰がなければならない商談
<基本パターンより簡単なパターン(正規分布の左側)>
・市場での自社ブランドが既に確立されているような製品やサービスを売る商談
・前任者が強い信頼関係を築いていてくれたおかげで、スムーズに話が進む商談
・顧客が自分のことを高く買ってくれており、顧客の方から仕事をくれるような商談
・顧客の要望が明確で、顧客の御用聞きに徹していれば受注できるような商談
いずれのケースにおいても、状況に応じて最適なパターン(=最適な営業活動)を自ら作り出す必要がある。「10年ルール」に当てはまる人は、意識的にこうしたことを行っている。一方、3年でスキルが頭打ちになる人は、杓子定規に基本パターンで挑もうとする。前者のケースに基本通りのパターンで臨んだら惨敗することは目に見えているし、後者のケースに基本通りのパターンで臨んでいるようでは、必要以上に営業工数がかかり経営資源を浪費してしまう。本人は努力しているつもりでも、結果はついてこない。
「10年ルール」通りにスキルアップできる人とそうでない人を分けるのは、(1)細かい差異に気づく力、(2)類似パターンをカスタマイズする力、(3)カスタマイズの効果を検証する力の3つである。「10年ルール」通りにスキルアップする人は、自分が今受け持っている商談が、過去に経験してきた商談とどの点で共通し、どの点で異なるかという微細な点に気を配る。そして、頭の中の経験データベースから類似のパターンを引っ張り出し、差異に応じてパターンにカスタマイズを施す。
さらに、そのパターンをぶつけた結果、何がうまくいき、何がダメだったのかを振り返る。ダメだった点については後知恵でもいいから改善策を考える。この一連の流れをひたすら繰り返しながら重層な経験データベースを構築している人が、10年後に「一流のプロフェッショナル」になれるのである。
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プロフェッショナルの育成への実践的視点



コメント
エリク・エリクソンは「アイデンティティ」で著名な発達心理学者です!
10年ルールのエリクソンはまったく別人です。
こちらのブログをそのまま引用してブログに書いていたりします。
いい内容なので正確に書きましょう!
Posted by: エリクソン | October 24, 2011 23:08
ご指摘ありがとうございます。
・発達段階に応じた発達課題=エリク・エリクソン
・10年ルール=K・アンダース・エリクソン
でした。大変失礼いたしました・・・
Posted by: 管理人 | October 26, 2011 13:44