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April 21, 2010
上辺だけのコーチングが空回りする5つのシチュエーション
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最近、管理職研修というとコーチングを必須研修にする企業が増えている。今まで「この仕事、○○日までにやっておいて!」、「そんなやり方じゃクライアントは満足しないだろう?ここをこう直しなさい」などとビシバシ部下に接していた上司が、コーチング研修を境にころりと態度を変える。
「調子はどう?」、「僕にできることはないかな?」と部下の隙を見計らってはいろいろと質問をしてくる。そりゃそうだ。コーチング研修では、上司が部下にあれこれと教えるのではなく、部下が持っている答えを上司が引き出すことが大事だと教わる。その上で、部下に対する効果的な質問の仕方を、様々なロールプレイングを通じて学習するのだ。
上司の手のひら返しが部下に違和感を与えるだけならまだいいが、コーチングを間違って使うと、部下との関係を余計に悪化させてしまう。その典型的な5つのケースを以下に挙げてみた(一部、私自身の経験も踏まえた記述もあり)。
(1)部下の目標についてあらかじめ合意していない
ケン・ブランチャードの『1分間マネジャー』にもある通り、上司の大切な仕事の1つに「部下の目標設定」がある。もちろん、コーチングでも部下と一緒に目標を設定するプロセスは重要視されている。しかし、上司と部下が本当に同じレベル感で目標を共有していないと、その後のコーチングは部下にとって鬱陶しいだけのものになる。
「調子はどう?」と聞かれた部下は、自分に課せられた目標と現在の進捗を比べて、「今こんな感じです。ここで困っています」と答える。だが、部下が自分の目標を正しく理解していないのに、上司から「調子はどう?」と聞かれても、比べる基準となる目標がないのだから、返答のしようがない。部下「まあまあです」、上司「そうか、じゃあ引き続きよろしく」 これで両者のコミュニケーションは終わってしまう。
(2)基礎的なスキルに関する情報やトレーニングを提供していない
これはコーチングとティーチングの関係にかかわることである。目標だけ与えて、あとはコーチングで何とかなると思ったら大間違いだ。端的に言えば、コーチングは「一人前以降」の人間に対するコミュニケーションであり、「一人前になるまで」は適切なティーチングを施す必要がある。部下と目標を共有したら、最初の数ステップを進むために必要なスキルや情報は、上司が与えなければならない。
初めて補助輪なしの自転車に乗る我が子に、コーチングで接する親はいない。どうやって体のバランスをとるのか、ハンドル操作はどうすればいいか、危ないと感じたらどう反応すればいいか、そういった基本的な動作は必ず教えるはずである。最初から子どもに向かって、「今どんな感じで進んでいる?」、「次にどうすればいいと思う?」などと悠長に質問していたら、子どもは豪快に転倒する。そして親のことを信用しなくなる。それと同じことだ。
(3)質問ばかりで上司自身の見解を述べていない
コーチングは、部下が自分の中に答えを持っているという前提に立っており、上司が適切な質問を投げかければ、自ずと部下は答えに到達できるとされる。だから、効果的な質問のテンプレートを研修ではいろいろと学習する。とはいえ、バカの一つ覚えみたいに、次から次へと質問を投げかける上司は、仕事にあれこれ口出しをしてくる上司と同じくらい有害である。
「何でそれができていないと思う?」、「どうしてそのミスは防げなかったのだろう?」、「スケジュールの遅れを取り戻すためにはどうすればいい?」、「もっと仕事の質を上げるためにはどうすればいい?」これではもはや尋問である。部下は被告人ではない。特に男性の場合は、「なぜ?」とか「どうして?」といった質問を繰り返されると、必要以上に身構える傾向があることが心理学の研究で解っているようだ。(※)
さらに、質問ばかりしてくる上司を見ると、部下は「この上司は質問だけしていればいいと思っていて、実は何も考えていないんじゃないか?」という疑念を抱くようになる。上司が質問をするのは結構だが、部下の答えに対しては上司としての意見をきちんと述べなければならない。上司と部下がそれぞれの見解を擦り合わせて、最善の解に到達することこそが、望ましいコミュニケーションであると言える。
(4)上司の時間が空いた時にしかコーチングに来ない
これも部下にとっては非常に迷惑な話である。上司の時間が空いているからといって、部下も時間があるとは限らない。部下が一生懸命仕事をやっているところに割り込んでくる上司はただの厄介者である。上司はよかれと思ってコーチングをしようとしているのかもしれないが、部下にとっては恩着せがましい態度にしか映らない。
一番よいのは、上司と部下で定期的にコーチングを行う時間をあらかじめ決めておくことだ。そうすれば、上司も部下も心の準備ができた状態でコーチングに臨むことができる。
(5)上司が自分自身の職務を全うしていない
コーチング専門の上司などいないだろう。上司は部下マネジメント以外にもマネジメント業務を抱えているのが普通だ。また、最近ではプレイングマネジャーが増えているから、上司自身も部分的にプレイヤーとして成果を上げるために奔走している。
もし、上司が自分の仕事をろくにやっていないのに、部下の仕事にコーチングという名目で口を挟んでくるとしたら、部下だっていい気はしないだろう。上司は自身の職務を全うしていることを身をもって示さなければ、部下に対して格好がつかない。
逆に、自らの責任をきちんと果たそうとしている上司を見れば、部下も影響を受けて自然とやる気になる。仕事に真摯な上司が投げかけてくる質問には、部下も同様に真摯に答えなければならないという気持ちになるものである。こういう関係ができあがれば、コーチングの成功確率はぐんと高まる。
(※)出典を忘れました…。調べておきます。それにしても、もしこの研究が本当だとすると、トヨタの「なぜを5回繰り返す」は相当な精神力が求められることになるなぁ。
「調子はどう?」、「僕にできることはないかな?」と部下の隙を見計らってはいろいろと質問をしてくる。そりゃそうだ。コーチング研修では、上司が部下にあれこれと教えるのではなく、部下が持っている答えを上司が引き出すことが大事だと教わる。その上で、部下に対する効果的な質問の仕方を、様々なロールプレイングを通じて学習するのだ。
上司の手のひら返しが部下に違和感を与えるだけならまだいいが、コーチングを間違って使うと、部下との関係を余計に悪化させてしまう。その典型的な5つのケースを以下に挙げてみた(一部、私自身の経験も踏まえた記述もあり)。
(1)部下の目標についてあらかじめ合意していない
ケン・ブランチャードの『1分間マネジャー』にもある通り、上司の大切な仕事の1つに「部下の目標設定」がある。もちろん、コーチングでも部下と一緒に目標を設定するプロセスは重要視されている。しかし、上司と部下が本当に同じレベル感で目標を共有していないと、その後のコーチングは部下にとって鬱陶しいだけのものになる。
「調子はどう?」と聞かれた部下は、自分に課せられた目標と現在の進捗を比べて、「今こんな感じです。ここで困っています」と答える。だが、部下が自分の目標を正しく理解していないのに、上司から「調子はどう?」と聞かれても、比べる基準となる目標がないのだから、返答のしようがない。部下「まあまあです」、上司「そうか、じゃあ引き続きよろしく」 これで両者のコミュニケーションは終わってしまう。
(2)基礎的なスキルに関する情報やトレーニングを提供していない
これはコーチングとティーチングの関係にかかわることである。目標だけ与えて、あとはコーチングで何とかなると思ったら大間違いだ。端的に言えば、コーチングは「一人前以降」の人間に対するコミュニケーションであり、「一人前になるまで」は適切なティーチングを施す必要がある。部下と目標を共有したら、最初の数ステップを進むために必要なスキルや情報は、上司が与えなければならない。
初めて補助輪なしの自転車に乗る我が子に、コーチングで接する親はいない。どうやって体のバランスをとるのか、ハンドル操作はどうすればいいか、危ないと感じたらどう反応すればいいか、そういった基本的な動作は必ず教えるはずである。最初から子どもに向かって、「今どんな感じで進んでいる?」、「次にどうすればいいと思う?」などと悠長に質問していたら、子どもは豪快に転倒する。そして親のことを信用しなくなる。それと同じことだ。
(3)質問ばかりで上司自身の見解を述べていない
コーチングは、部下が自分の中に答えを持っているという前提に立っており、上司が適切な質問を投げかければ、自ずと部下は答えに到達できるとされる。だから、効果的な質問のテンプレートを研修ではいろいろと学習する。とはいえ、バカの一つ覚えみたいに、次から次へと質問を投げかける上司は、仕事にあれこれ口出しをしてくる上司と同じくらい有害である。
「何でそれができていないと思う?」、「どうしてそのミスは防げなかったのだろう?」、「スケジュールの遅れを取り戻すためにはどうすればいい?」、「もっと仕事の質を上げるためにはどうすればいい?」これではもはや尋問である。部下は被告人ではない。特に男性の場合は、「なぜ?」とか「どうして?」といった質問を繰り返されると、必要以上に身構える傾向があることが心理学の研究で解っているようだ。(※)
さらに、質問ばかりしてくる上司を見ると、部下は「この上司は質問だけしていればいいと思っていて、実は何も考えていないんじゃないか?」という疑念を抱くようになる。上司が質問をするのは結構だが、部下の答えに対しては上司としての意見をきちんと述べなければならない。上司と部下がそれぞれの見解を擦り合わせて、最善の解に到達することこそが、望ましいコミュニケーションであると言える。
(4)上司の時間が空いた時にしかコーチングに来ない
これも部下にとっては非常に迷惑な話である。上司の時間が空いているからといって、部下も時間があるとは限らない。部下が一生懸命仕事をやっているところに割り込んでくる上司はただの厄介者である。上司はよかれと思ってコーチングをしようとしているのかもしれないが、部下にとっては恩着せがましい態度にしか映らない。
一番よいのは、上司と部下で定期的にコーチングを行う時間をあらかじめ決めておくことだ。そうすれば、上司も部下も心の準備ができた状態でコーチングに臨むことができる。
(5)上司が自分自身の職務を全うしていない
コーチング専門の上司などいないだろう。上司は部下マネジメント以外にもマネジメント業務を抱えているのが普通だ。また、最近ではプレイングマネジャーが増えているから、上司自身も部分的にプレイヤーとして成果を上げるために奔走している。
もし、上司が自分の仕事をろくにやっていないのに、部下の仕事にコーチングという名目で口を挟んでくるとしたら、部下だっていい気はしないだろう。上司は自身の職務を全うしていることを身をもって示さなければ、部下に対して格好がつかない。
逆に、自らの責任をきちんと果たそうとしている上司を見れば、部下も影響を受けて自然とやる気になる。仕事に真摯な上司が投げかけてくる質問には、部下も同様に真摯に答えなければならないという気持ちになるものである。こういう関係ができあがれば、コーチングの成功確率はぐんと高まる。
(※)出典を忘れました…。調べておきます。それにしても、もしこの研究が本当だとすると、トヨタの「なぜを5回繰り返す」は相当な精神力が求められることになるなぁ。
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