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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
February 12, 2010

不確実性を一般的に論ずるのは難しい−『不確実性に克つ「科学的思考」(DHBR2009年7月号)』

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 去年の中盤からDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューを読むのをさぼっていたために、どんどん未読号が溜まってしまっていた。年末から徐々に読み進めてようやく最新号まで追いついたので、今さらではあるが2009年7月号から順番に少しずつ感想をまとめておきたいと思う(一応、2月中に2010年3月号まで書く予定)。

ダイヤモンド社
2009-06-10
おすすめ平均:
今月は事業戦略特集 -難易度高-
posted by Amazon360

「科学的実験」で仮説を検証する経営(トーマス・H・ダベンポート)
 『分析力を武器とする企業』の著者であるトーマス・H・ダベンポートの論文。経験や勘に頼って新規市場の開拓や顧客満足度の向上を狙うのではなく、科学的実験をうまく活用することが重要であると説いた論文。アマゾンやイーベイがサイトのユーザビリティや顧客の購買単価を上げるために無数の科学的実験を日々繰り返している事例が紹介されている。ただし、実験におけるデータの解析方法といった細かいところまでは触れられていない。その辺りは統計学の本に頼るしかなさそうだ。

トーマス・H・ダベンポート
日経BP社
2008-07-24
おすすめ平均:
企業における分析力がわかる
分析力を武器とする企業マニュアル
見える化を発展
posted by Amazon360

 論文には出てこないが、西松屋の面白いテストマーケティングの事例を思い出した。西松屋は全国の店舗ネットワークを活用して、その年に流行する子供服をかなり高い確率で当てる方法を知っている。それは、夏物は2月頃から沖縄で先行販売し、売れ行きが好調な商品のみをその他の店舗で販売する(それ以外は全て生産中止にする)というやり方である。逆に冬物の場合は、9月頃から北海道で先行販売して売れ筋を見極めるそうだ。

ライバルの反撃を予測する法(ケビン・P・コイン、ジョン・T・ホーン)
 「ゲーム理論」はライバルの行動パターンを読む理論として発展してきたが、著者はゲーム理論の前提にいきなり疑問をぶつけており、とても興味深い。
 ゲーム理論は、すべての参加者がゲーム理論の基本原則に従うことを前提としている。そもそもこのような前提がおかしい。しかも、ライバルがさまざまな選択肢を持っている時もあれば、ライバルがどのような基準で選択肢を評価するのかわからない時もあるし、ライバルが多数存在し、それぞれの反応が異なる時もある。
 そして、著者は必ずしもライバル企業が反撃に出るとは限らず、むしろ反撃に出ないケースも多いことを調査から明らかにしている。確かにこの主張は現実的な気もする。ライバルが実際にどういう行動に出るかは、机の上に座っていろんなパターンを考えるよりも、各社員がアンテナを張って生の情報を集めるしかないような気もする。

 だが、これは海外企業だからこそ言える傾向なのかもしれない。日本企業の場合はむしろ、ある企業が何かをやると、ライバル企業がこぞって「あの企業が新製品にこの機能をつけたからうちの会社もそうしよう」という具合に、一斉に似たようなことをやり始めることが多い。大前研一氏はそうした日本企業の戦略に警鐘を鳴らし、もっと顧客視点に立った戦略を立てるべきだという至極当たり前のことをわざわざ論文にしていた記憶がある(「競争は戦略の目的ではない」DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2007年2月号)。

不確実性時代の戦略思考(ヒュー・コートニー、パトリック・ビゲリー他)
 不確実性のレベルを4つに分け、それぞれどのような分析ツールを使えばよいのかを解説した論文。
レベル1「確実に見通せる未来」
 ⇒分析ツール:オーソドックスな戦略ツール
レベル2「他の可能性もある未来」
 ⇒分析ツール:意思決定分析、オプション評価モデル、ゲーム理論
レベル3「可能性の範囲が見えている未来」
 ⇒分析ツール:潜在需要の調査、技術予測、シナリオ・プランニング
レベル4「まったく読めない未来」
 ⇒分析ツール:アナロジーとパターン認識、非線形ダイナミック・モデル
 まぁ、なんとなーくは解るが、抽象的だなぁ。おそらく現代の不確実性はレベル3、4が多いのだろうけど、知られている分析ツールは「シナリオ・プランニング」ぐらいじゃないか?他の分析ツールはよく解らん。1つだけ言えることがあるとしたら、レベル2までの分析ツールに比べて、レベル3以降は「客観力」よりも「主観力」が問われるということだろうな。つまり、未来は予定調和的に決まるのではなく、人々によって如何ようにも創造されるということである。

アートすべき時、科学すべき時(ジョセフ・M・ホール、M・エリック・ジョンソン)
 非定型の業務プロセスが増えた現在の企業においては、科学的管理法に端を発する従来の業務効率化のメソッドだけでは不十分であり、新たな方法論を確立する必要があると説いている。「プロセスの中身や品質にばらつきがあり、かつそのばらつきを顧客が肯定的に評価するプロセス」を「アート的プロセス」と呼び、アート的プロセスには「顧客からのフィードバック」を組み込むことが有益とされる。

 典型的なアート型プロセスである営業活動を取り上げてみると、確かに顧客からのフィードバックを組み込むことは営業活動の質を高めるのに役に立つ。個人的に、「非定型の業務プロセスが大半を占める現代企業の業務プロセスの価値をどのように高めるのか?」ということは非常に関心の高いテーマであり、この論文で1つ面白いヒントがもらえた。

脳科学が解明する意思決定リスク(アンドリュー・キャンベル、シドニー・フィンケルスタイン他)
 「過去の経験」や「感情」、「バイアス」が意思決定を歪めるというよくある内容の論文。著者は意思決定を歪める要因を「レッド・フラッグ」と呼び、それらを発見する7つのプロセスを提唱している。それぞれのプロセスはありきたりのものなのだが、実際の仕事でちゃんとやっているかどうか自問自答してみると、やっぱり結構怪しいもんだな。
1.選択肢の幅を明らかにする
2.意思決定の主要関係者のリストを作成する
3.中心となる1人の意思決定者を選ぶ
4.不適切な個人的利害や判断を歪めそうな思い入れがないか、チェックする
5.判断ミスに至らしめるような記憶をチェックする
6.2番目に影響力のある人物について同じ分析を試みる
7.特定されたレッド・フラッグのリストを再確認する
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