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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
February 02, 2010

工場でもまず考えるべきは「人の動き」、次に設備投資

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 寒い・・・。1月は中旬頃に数日寒い日があったけれど、総じて暖かかったよなーなんていう話をつい先日の日曜日に美容院でしていたばかりだというのに、2月の初っ端からどうよこの見事な雪の降りっぷり。

 「発想を広げるプロセス改革の視点(2):あるべき姿はどうやって描くのか?」の中で、業務プロセスの構造を描いた図があったのだが(これ↓)、「業務プロセスを支える仕組み」の中にある「設備」は、実は記事を書いている途中で付け足したものである。

structure_of_business_process.JPG

 「設備」はもちろん製造業のプロセスを念頭に置いてのことなのだが、機械がメインとなっている工場において、まずは業務プロセス=人間の動きを定義し、次に設備をどうするかを考えるのは果たして現実的なのだろうか?という疑問が正直なところ私の中にはあった(そんな自信のない図を描くな!というお叱りが聞こえてきそうだが・・・)。

 業務プロセス改革=BPR(Business Process Reengineering)の概念は、どちらかというとホワイトカラーの業務プロセスを対象としたものであるというのが私の印象であり、事実、BPRを提唱したマイケル・ハマーの『リエンジニアリング革命』にも、IBMの伝票処理業務の事例が登場している。だから、BPRの考え方を工場にも当てはめていいものかどうかはちょっと躊躇していた。

 ところが、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2010年1月号で大野耐一の論文を読んだら、工場でもやはり同じようにBPRの手法は使える気がしてきた。

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 通常、「カイゼン(改善)」という言葉には、企業の戦略とはリンクせずに現場の業務をちょこちょこと手直しして部分最適を目指すイメージがあり、戦略の変化に伴って業務プロセスを構造的に見直すBPRとは対照的に捉えられる。確かに、大野耐一の論文を読んでいくと、当初のカイゼンはアメリカの自動車メーカーの生産性に追いつくために、徹底的に工場の無駄を排除する点に主眼があったように思える。

 しかし、顧客ニーズ=車種が多岐に渡る日本市場では、アメリカのように大量生産によってコスト削減をすることができないことに大野は気づいた。「多品種少量生産」でも低コストでかつ在庫を持たずに生産するためにはどうすればよいか?と問い続けた結果、当初のカイゼンに「カンバン」や「ポカヨケ」などが加わり、「トヨタ生産方式」ができあがったのである。トヨタにおいてカイゼンは、「多品種少量生産」という戦略と密接にリンクしている。言い換えれば、トヨタのカイゼンとは、言葉の一般的な意味合いとは違い、工場のあちらこちらで大小さまざまなBPRを行い、全体最適を目指す活動なのである。

 そう考えた時、大野耐一の次の言葉が非常に印象に残った。
 改善を進める場合、検討の過程では「一つの目的に対してその手段なり方法は非常に多い」のであるから、まず考えられる改善案を数多く上げ、それらを総合的に一つひとつじっくり検討して、最善の策を選ぶべきである。

 十分の検討が行なわれないうちに改善を進めると、とかく金をかけすぎた、それだけに原価低減度の低い改善策になりがちである。

 たとえば、1人の人間を減らすために、10万円の電気制御装置を取りつける案があったとしよう。これを実施して、おそらく10万円で1人減らせたら、トヨタ自工としては大いに得であったということになる。しかし、よくよく検討してみたら、金をかけなくとも、作業手順を変えることで、1人ぐらいなら減らせることがわかったならば、10万円かける改善案は、むしろ失敗案といえるだろう。

 (中略)生産現場にとって肝心なのは、まず作業手順をいろいろ変えてみて、人間の働きが流れの上に反映できるようなレイアウトをデザインしてみることである。いきなり新鋭の高性能機械なるものを入れると、つくりすぎのムダを生むばかりである。
(大野耐一「【抄録】トヨタ生産方式」)
 やはり工場でも「ソリューション=設備」ありきで考えてはダメだということだ。まず考えるべきは「人の動き」、次に設備投資。私の中で1つ葛藤が解消した瞬間だった。
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