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トップ>組織(成長と変化)>発想を広げるプロセス改革の視点(2):あるべき姿はどうやって描くのか?
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January 22, 2010
発想を広げるプロセス改革の視点(2):あるべき姿はどうやって描くのか?
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前回の記事「発想を広げるプロセス改革の視点(1):問題だと思ったことは本当に『問題』か?」では、いきなり問題の分析から入るのではなく、まずは業務のあるべき姿を定義することが重要であることと、そのあるべき姿と現状とのギャップを「問題」と捉えることが大切であることを書いた。では、「業務のあるべき姿」はどのようにデザインすればよいのだろうか?それが今回のテーマである。
本題に入る前に、業務プロセスの構造というものを一度整理しておこうと思う。

まず、「業務プロセスを規定する要素」として、その企業の戦略やビジョンがある。これは前回の記事でも書いたとおりである。BPR=業務改革は戦略やビジョンとリンクして行われる。
真ん中に「業務プロセス」があるが、別の表現を使えば「社員の行動の束」である。業務プロセスとは、社員がどのように行動しているのかを表現したものである。BPRにおいて重要なのは、ある特定部門だけの部分最適に留まるのではなく、他部門、ひいては外部の取引先まで視点を広げて、顧客に対して自社の価値を最大限提供できるよう、全体最適を図る必要があるということだ。この点は、BPRの提唱者であるマイケル・ハマーも繰り返し主張している。
一番下に「業務プロセスを支える仕組み」というのがある。業務そのものは社員が実施するわけだが、プロセスは様々な仕組みによって支えられている。その一例を図に挙げてみた。
(1)IT・・・業務をサポートするITインフラ、アプリケーション
(2)ツール・・・業務の生産性を上げるためのツール(IT以外の様々なツールや文書雛形など)
(3)設備・・・業務を実行するための設備(工場などを思い浮かべると解りやすい)
(4)人材・・・業務を実行する社員のスキル要件や役割分担、権限配分
(5)制度・・・部門の業績や社員の成果を適正に評価する制度
(6)ルール・・・業務の実行をコントロールする各種の社内ルール・社内規定
これ以外にも、やや漠然とした要因ではあるが「企業風土」といったものもある。例えば「体育会系の風土」や「株主重視の経営姿勢」などは、社員の行動を知らず知らずのうちにコントロールするソフトな仕組みとして作用する。これらの業務プロセスを支える仕組みは、今日の記事ではこれ以上登場しないが、次回の記事では重要なポイントとなるので、記憶の片隅にでも置いておいてもらいたい。
あるべき姿をデザインするためには、繰り返しになるが戦略とビジョンがインプットとなる。ただ、ITコンサルタントがクライアント企業の業務改革をする時も、自社で自主的に業務改革をする時もそうだが、会社の戦略やビジョンは明確化されているようで明確でないことが意外とある。すでに存在する戦略やビジョンを鵜呑みにするのではなく、その前提をもう一度検証したり、中身を翻訳したりする作業が必要である。
戦略を検証するためには、例えば戦略立案のフレームワークを使って環境分析をしてみるとよい。SWOTであれファイブ・フォーシズ・モデルであれ3C分析であれ何でもよいのだが、とにかく自社を取り巻く事業環境を再整理してみる。そうして客観的に環境を眺めた時に、改めて自社の戦略の中身を点検し、戦略的打ち手を再整理してみる。
ビジョンは往々にして抽象的な表現であるため、社員が具体的な行動をイメージできるレベルにブレイクダウンしたり、経営陣の意図を翻訳したりする作業を行う。私があるITベンダーの営業担当から聞いた話だが、クライアント企業の社長が「人力(ひとぢから)」というキーワードを強調していた。この企業は7つぐらいの事業を手がけている多角化経営を行っている。だが、この単語だけを社員が聞いても、あまりピンとこない。そこで、この営業担当は、社長に対して「それぞれの事業において『人力』が活かされている状態とは何か?」、「事業間で『人力』が活かされるとしたらどういうケースが考えられるか?」などとインタビューを行い、社長の考えを具体化していった。そこから拾い出される社長の考えは、各事業のあるべき姿を描く際の重要なヒントとなる。
こうして戦略やビジョンの内容を改めて整理した上で、まずはあるべき業務プロセスの基本的な柱を立てる。・・・と、ここまではちょっと抽象的な説明でとっつきにくいので、簡単な具体例を挙げてみた。

家具業界の例だが、例えば大塚家具のように高付加価値路線の戦略を取る企業であれば、「全フェーズにおいて顧客ニーズを深く理解し、製品・アフターサービスに反映」といった業務の方向性を立てるだろう。逆に、IKEAのように低コスト路線の戦略をとる企業であれば、業務プロセスの柱として「製品の低価格で勝負するため、アフターサービスも簡潔化」といった方針を出すに違いない(IKEAのカスタマーセンターに電話した経験がある人は解るかもしれないが、びっくりするぐらい対応がそっけない。なお、図の中身はあくまで私の推測であり、両企業が公式に発表しているものではないことを補足しておく)。
こうして基本的な方向性をいくつか打ち出した後、具体的なあるべき業務プロセスのデザインに入る。まずは横軸で見て業務のフェーズを区切り、各フェーズで社員がどのように行動すればよいのかを記述していく。さらに(下の図にはないが)縦軸に各部門を記述し、それぞれの部門に業務を切り分けていく。この辺りの具体的な業務プロセスの描き方については、関連書籍もたくさん出ているのでそちらを参考にしてもらった方がいいかもしれない。
簡単なイメージだが、仮に大塚商会とIKEAのあるべき業務プロセスを具体化すると、こんな感じになるだろう。両者の業務プロセスは対照的であることが解っていただけるのではないだろうか?(なお、この図もあくまで私の推測である) ここで言いたいのは、戦略やビジョンから導かれるあるべき業務プロセスの方向性によって、具体的な業務プロセスは全く違ったものになるということである。

こうしてあるべき業務プロセスが定義できたら、現状業務も同じように整理し、両者のギャップを抽出する。これが真の意味での「問題」である。次回は、この「問題」を解決するソリューションの考え方について述べてみたいと思う。
本題に入る前に、業務プロセスの構造というものを一度整理しておこうと思う。
まず、「業務プロセスを規定する要素」として、その企業の戦略やビジョンがある。これは前回の記事でも書いたとおりである。BPR=業務改革は戦略やビジョンとリンクして行われる。
真ん中に「業務プロセス」があるが、別の表現を使えば「社員の行動の束」である。業務プロセスとは、社員がどのように行動しているのかを表現したものである。BPRにおいて重要なのは、ある特定部門だけの部分最適に留まるのではなく、他部門、ひいては外部の取引先まで視点を広げて、顧客に対して自社の価値を最大限提供できるよう、全体最適を図る必要があるということだ。この点は、BPRの提唱者であるマイケル・ハマーも繰り返し主張している。
一番下に「業務プロセスを支える仕組み」というのがある。業務そのものは社員が実施するわけだが、プロセスは様々な仕組みによって支えられている。その一例を図に挙げてみた。
(1)IT・・・業務をサポートするITインフラ、アプリケーション
(2)ツール・・・業務の生産性を上げるためのツール(IT以外の様々なツールや文書雛形など)
(3)設備・・・業務を実行するための設備(工場などを思い浮かべると解りやすい)
(4)人材・・・業務を実行する社員のスキル要件や役割分担、権限配分
(5)制度・・・部門の業績や社員の成果を適正に評価する制度
(6)ルール・・・業務の実行をコントロールする各種の社内ルール・社内規定
これ以外にも、やや漠然とした要因ではあるが「企業風土」といったものもある。例えば「体育会系の風土」や「株主重視の経営姿勢」などは、社員の行動を知らず知らずのうちにコントロールするソフトな仕組みとして作用する。これらの業務プロセスを支える仕組みは、今日の記事ではこれ以上登場しないが、次回の記事では重要なポイントとなるので、記憶の片隅にでも置いておいてもらいたい。
あるべき姿をデザインするためには、繰り返しになるが戦略とビジョンがインプットとなる。ただ、ITコンサルタントがクライアント企業の業務改革をする時も、自社で自主的に業務改革をする時もそうだが、会社の戦略やビジョンは明確化されているようで明確でないことが意外とある。すでに存在する戦略やビジョンを鵜呑みにするのではなく、その前提をもう一度検証したり、中身を翻訳したりする作業が必要である。
戦略を検証するためには、例えば戦略立案のフレームワークを使って環境分析をしてみるとよい。SWOTであれファイブ・フォーシズ・モデルであれ3C分析であれ何でもよいのだが、とにかく自社を取り巻く事業環境を再整理してみる。そうして客観的に環境を眺めた時に、改めて自社の戦略の中身を点検し、戦略的打ち手を再整理してみる。
ビジョンは往々にして抽象的な表現であるため、社員が具体的な行動をイメージできるレベルにブレイクダウンしたり、経営陣の意図を翻訳したりする作業を行う。私があるITベンダーの営業担当から聞いた話だが、クライアント企業の社長が「人力(ひとぢから)」というキーワードを強調していた。この企業は7つぐらいの事業を手がけている多角化経営を行っている。だが、この単語だけを社員が聞いても、あまりピンとこない。そこで、この営業担当は、社長に対して「それぞれの事業において『人力』が活かされている状態とは何か?」、「事業間で『人力』が活かされるとしたらどういうケースが考えられるか?」などとインタビューを行い、社長の考えを具体化していった。そこから拾い出される社長の考えは、各事業のあるべき姿を描く際の重要なヒントとなる。
こうして戦略やビジョンの内容を改めて整理した上で、まずはあるべき業務プロセスの基本的な柱を立てる。・・・と、ここまではちょっと抽象的な説明でとっつきにくいので、簡単な具体例を挙げてみた。
家具業界の例だが、例えば大塚家具のように高付加価値路線の戦略を取る企業であれば、「全フェーズにおいて顧客ニーズを深く理解し、製品・アフターサービスに反映」といった業務の方向性を立てるだろう。逆に、IKEAのように低コスト路線の戦略をとる企業であれば、業務プロセスの柱として「製品の低価格で勝負するため、アフターサービスも簡潔化」といった方針を出すに違いない(IKEAのカスタマーセンターに電話した経験がある人は解るかもしれないが、びっくりするぐらい対応がそっけない。なお、図の中身はあくまで私の推測であり、両企業が公式に発表しているものではないことを補足しておく)。
こうして基本的な方向性をいくつか打ち出した後、具体的なあるべき業務プロセスのデザインに入る。まずは横軸で見て業務のフェーズを区切り、各フェーズで社員がどのように行動すればよいのかを記述していく。さらに(下の図にはないが)縦軸に各部門を記述し、それぞれの部門に業務を切り分けていく。この辺りの具体的な業務プロセスの描き方については、関連書籍もたくさん出ているのでそちらを参考にしてもらった方がいいかもしれない。
簡単なイメージだが、仮に大塚商会とIKEAのあるべき業務プロセスを具体化すると、こんな感じになるだろう。両者の業務プロセスは対照的であることが解っていただけるのではないだろうか?(なお、この図もあくまで私の推測である) ここで言いたいのは、戦略やビジョンから導かれるあるべき業務プロセスの方向性によって、具体的な業務プロセスは全く違ったものになるということである。
こうしてあるべき業務プロセスが定義できたら、現状業務も同じように整理し、両者のギャップを抽出する。これが真の意味での「問題」である。次回は、この「問題」を解決するソリューションの考え方について述べてみたいと思う。
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