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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
January 15, 2010

ここまで詳しい入門書はありがたい−『儲かるキーワード広告の使い方』

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 私は1年半ぐらい前に自社のマーケティング業務を兼務するようになった。とはいえ、マーケティングの仕事は初めてだったし、弊社のようなベンチャー企業がどうすれば効果的なマーケティングを実施できるのかほとんど解らなかったので、とりあえずは「27歳、今さらながらゲリラマーケターを目指す!?」で紹介したゲリラマーケティングの本を読んでWebマーケティングの基礎的なところを学び、「この本を読んで、うちの会社のマーケティングを図にしてみた−『御社の売上が6倍になる新プロデュース術』」で図に描いたように自社のWebマーケティングプロセスの全体像を整理した上で、ひとまずはSEOから着手した。ちなみに、その際に読んだのはこれ。

吉村 正春
秀和システム
2007-03
おすすめ平均:
SEO対策サポート【SEO倶楽部】
分かりやすい表現
具体性がない
posted by Amazon360

 その後、弊社はBtoBビジネスであり、Webだけで顧客の購買活動は完結せずにリアルの営業活動が続くことから、Webと営業活動を統合的にデザインする必要性を感じるようになり、「ウェブに続く営業活動も見据えたプロセスを設計しよう−『ウェブ営業力』」で取り上げたように、HPへの訪問から営業担当者のクロージング(さらにはその後のフォロー)も含めて、全体感を持ってマーケティング活動をすることを心がけるようになった。

 また、この1年半の間に、Webマーケティングとは別に大きな展示会を1回やったのだが、はっきり言って効果は期待していたものとは程遠かった。「プロモーションで大事なのは『1回のインパクト』より『継続性』」や「効果の上がるプロモーション『頻度』を探ろう」の2つの記事は、実はこの時の反省を込めて書いたものである。

 同じマーケティング予算を1,000万円持っていたとして、イベント1発でほとんど使い切ってしまうのと、小刻みに様々な媒体を組み合わせながら露出を続けるのとでは、断然後者の方がマーケティングROIは高くなると私は信じている。仮に売上高対マーケティング費の割合を5%と考えるならば、1回のイベントに1,000万円投資して予算を使い切る場合、イベントの顧客からは2億円の売上が上がらなければならない計算になる。これは、ベンチャー企業にとってはもはや博打の世界としか言いようがない。そうではなく、毎月80万円程度をマーケティングに投資して、1,600万円/月の売上を目指す方がよっぽど現実的だ。

 随分前置きが長くなってしまったが、継続的に露出を続けるためには、様々な広告媒体(Webマーケティングにおいては、SEOもいわば広告的な効果を持つ)を適切に組み合わせることが必要となる。そう考えた時、実はこれまであまり「キーワード広告(PPC広告)」を重視してこなかった。いや、以前はちゃんとやっていたのだが、いつの間にかやらなくなってしまった。で、改めて何かできないかと思って読んだのがこの本。

竹内 謙礼
日本実業出版社
2009-11-12
おすすめ平均:
キーワードの考え方が具体的
良心的な内容
悪い本ではないが…
posted by Amazon360

 正直言って、ここまで詳しい入門書は非常にありがたい。Google Adsenseを中心として、

・キーワードはどうやって選定すべきか?
・キーワード広告にどこまで費用をかけるべきか?
・広告文はどのように考えればよいか?
・蓄積されたデータはどのように分析すればよいか?

といったことが細かく解説されている。Webマーケティングのコンサルティング会社がここまでノウハウを公開しちゃいますか!?というぐらいの内容で大変満足した(彼らはこの本に載っている以上のメソッドを十分に蓄えて、我々のもっと先を行っているのだろうけど…)。雑誌広告などは、いくら不況で単価が落ちているとはいえやはり手が届かないと思っている中堅・中小企業やベンチャー企業にはお勧めの1冊である。

 それでは、SEOはどうでもいいのか?というと、著者である竹内謙礼氏は決してSEOを否定している訳ではない。
 誤解を招かないようにつけ加えるが、私は何もSEOがムダだと言いたいわけではない。消費者の購入意欲が低い市場や「調べ物」に近い商品の場合は、SEOの方が有利な場合があることは覚えておいてほしい。

 たとえば、転職や起業関連のサービスは「とりあえず」と思っている人が多いから、キーワード広告をいきなりクリックしてアクションを起こすよりも、検索結果をクリックしながら、じっくりと閲覧している人のほうが多い。

 また、いくら通常の検索結果をクリックしている人が、購入意欲が低いと言っても、まったく買う気がないわけではないので、やはりSEOを行なっておく必要はあると言える。
 「購入意欲が低い市場」という表現がやや解りにくいが、言い換えれば「購入までに情報収集が必要な製品・サービス」ということだろう。まさに、弊社のような企業研修サービスなどはこれに当てはまる。

 私なりにSEOとPPC広告の関係をこんな感じでまとめてみた。パワーポイントで作るのが面倒くさかったので、とうとう手書きの絵をデジカメで撮るというものぐさな方法を覚えてしまった。
seo_ppc

 月間検索回数が数十万にも上る超ビッグワードは、SEOするのも大変だし、クリック単価も異常なほど高いので思い切って捨てる。1万から10万程度の「ややビッグワード」は、いくつかキーワードを選んで集中的にSEOへ投資すれば、それなりのアクセス数が見込める。1,000以下の「スモールワード」は、回数こそ少ないものの検索ユーザのニーズがかなり具体化されているので、ここを狙って大量のPPC広告を出稿する。その間にある1,000から1万ぐらいの中途半端なゾーンは、SEOをするにしてもPPC広告を出すにしてもコストパフォーマンスがやや怪しいと思われ、慎重に判断する。

 もちろん、これは私の勝手なアイデアであり、SEOやPPC広告の線引きとなる月間検索回数は、業界や企業規模によって異なるはずである。まぁ、他の業界のことはとりあえず置いておいて、もっと自分の会社のマーケティングのこともちゃんと考えていかないとなぁ…。
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