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新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
December 18, 2009
SWOTは実はとても難しいフレームワーク
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昨日の記事「『小さな問題意識』が若手社員のキャリア開発のきっかけとなる」でSWOT分析のことにちょっと触れたが、ついでにもう少し話を続けたいと思う。
SWOT分析は今さら説明するまでもないが、企業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を評価し戦略を立案するのに使われるツールである。その歴史は古く、今から約40年前にアルバート・ハンフリーによって構築された。
経営戦略のテキストには必ずといっていいほど登場する定番中の定番であり、非常に明快なフレームワークであるのだが、こいつを使いこなすのは実はかなり難しい。よっぽど注意して使わないと、表面的な分析にしかならない。聞いたところによると、海外のMBAスクールには、「SWOT分析をしたからってSo What?(だから何なの?)」というジョークがあるそうだ。
第一に、外部要因である機会・脅威、内部要因である強み・弱みどれをとっても、具体的に何を切り口として分析すればいいのかは全く教えてくれない。市場や競合といっても、どこまで視野を広げて考えればよいのかは分析者の力量による。例えば、任天堂が直接対峙しているのはゲーム市場であり、ソニーやマイクロソフトなどが競合他社となるわけだが、娯楽というニーズを満たす製品・サービスという観点で観ると、市場や競合は限りなく広がる。また、技術動向を調べるにしても、「イノベーションを起こす技術は異分野から持ち込まれることが多い」と言われるように、自社の事業が直接関連する技術だけに目を向けていても不十分だ。同様に、内部環境である組織的要因も、強み・弱みの視点や範囲、深さは際限なく考えられる。
さらに、ある要因が自社にとって機会となるのか脅威となるのか、強みとなるのか弱みとなるのかは、言ってしまえば分析者の捉え方次第であり、その評価基準をどのように置くかによって分析結果が全くの別物になってしまう。
第二に、SWOT分析はSWOTのそれぞれのボックスを埋めることが目的ではない。たまにフレームワークの中身を埋め尽くすことだけに満足してしまうケースを見かけるが、それは作業の半分にも満たない。SWOTは戦略立案ツールなのだから、フレームワークから戦略の打ち手を導く必要がある。この点を忘れてしまっては元も子もない。
戦略の打ち手を導くためには、SWOTのフレームワークをクロスで眺めてみる。つまり、SとO(機会に対して強みをどう活かすのか)、SとT(強みを活かして脅威をどう凌ぐのか)、WとO(機会を逃さないために弱みをどう補うのか)、WとT(弱みに漬け込むような脅威にどう対処するのか)をクロスさせて、戦略を導き出すのである。ここでSWOT分析の本当の真価が発揮される。
だが、この要素とこの要素が組み合わさる時はこういう戦略になる、という定石は残念ながらほとんど存在しない。フレームワークを使っているにもかかわらず、もはやロジカルシンキングというよりかはクリエイティブな活動と言わざるを得ない。
SWOTは簡単なフレームワークだと舐めてかからない方がよい。普段から自社の事業環境を相当深く洞察していないと、いざSWOT分析をやれと言われても行き詰まってしまう。以前、事業部長クラスを対象とした戦略立案ワークショップのアウトプットを見せてもらったことがあるが、事業部長クラスでさえ、自社の強みは「ブランド力」とだけしか書けず、それ以上の検討に進めないことがあるのだ。
自社のブランド力を支えている組織的要因は何なのか?なぜそれらの強みを獲得することができたのか?その強みを活かすと次に何ができるのか?逆に、それらは本当に「強み」と言い切れるのか?強みを弱みに変えてしまうような競合他社の動きはないのか?そういった論点を自ら切り出しながら検討を進めていかないと、SWOTフレームワークは使いこなせない。
SWOT分析は今さら説明するまでもないが、企業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を評価し戦略を立案するのに使われるツールである。その歴史は古く、今から約40年前にアルバート・ハンフリーによって構築された。
経営戦略のテキストには必ずといっていいほど登場する定番中の定番であり、非常に明快なフレームワークであるのだが、こいつを使いこなすのは実はかなり難しい。よっぽど注意して使わないと、表面的な分析にしかならない。聞いたところによると、海外のMBAスクールには、「SWOT分析をしたからってSo What?(だから何なの?)」というジョークがあるそうだ。
第一に、外部要因である機会・脅威、内部要因である強み・弱みどれをとっても、具体的に何を切り口として分析すればいいのかは全く教えてくれない。市場や競合といっても、どこまで視野を広げて考えればよいのかは分析者の力量による。例えば、任天堂が直接対峙しているのはゲーム市場であり、ソニーやマイクロソフトなどが競合他社となるわけだが、娯楽というニーズを満たす製品・サービスという観点で観ると、市場や競合は限りなく広がる。また、技術動向を調べるにしても、「イノベーションを起こす技術は異分野から持ち込まれることが多い」と言われるように、自社の事業が直接関連する技術だけに目を向けていても不十分だ。同様に、内部環境である組織的要因も、強み・弱みの視点や範囲、深さは際限なく考えられる。
さらに、ある要因が自社にとって機会となるのか脅威となるのか、強みとなるのか弱みとなるのかは、言ってしまえば分析者の捉え方次第であり、その評価基準をどのように置くかによって分析結果が全くの別物になってしまう。
第二に、SWOT分析はSWOTのそれぞれのボックスを埋めることが目的ではない。たまにフレームワークの中身を埋め尽くすことだけに満足してしまうケースを見かけるが、それは作業の半分にも満たない。SWOTは戦略立案ツールなのだから、フレームワークから戦略の打ち手を導く必要がある。この点を忘れてしまっては元も子もない。
戦略の打ち手を導くためには、SWOTのフレームワークをクロスで眺めてみる。つまり、SとO(機会に対して強みをどう活かすのか)、SとT(強みを活かして脅威をどう凌ぐのか)、WとO(機会を逃さないために弱みをどう補うのか)、WとT(弱みに漬け込むような脅威にどう対処するのか)をクロスさせて、戦略を導き出すのである。ここでSWOT分析の本当の真価が発揮される。
だが、この要素とこの要素が組み合わさる時はこういう戦略になる、という定石は残念ながらほとんど存在しない。フレームワークを使っているにもかかわらず、もはやロジカルシンキングというよりかはクリエイティブな活動と言わざるを得ない。
SWOTは簡単なフレームワークだと舐めてかからない方がよい。普段から自社の事業環境を相当深く洞察していないと、いざSWOT分析をやれと言われても行き詰まってしまう。以前、事業部長クラスを対象とした戦略立案ワークショップのアウトプットを見せてもらったことがあるが、事業部長クラスでさえ、自社の強みは「ブランド力」とだけしか書けず、それ以上の検討に進めないことがあるのだ。
自社のブランド力を支えている組織的要因は何なのか?なぜそれらの強みを獲得することができたのか?その強みを活かすと次に何ができるのか?逆に、それらは本当に「強み」と言い切れるのか?強みを弱みに変えてしまうような競合他社の動きはないのか?そういった論点を自ら切り出しながら検討を進めていかないと、SWOTフレームワークは使いこなせない。
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