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トップ戦略>eラーニング市場が思ったより伸びないのは「プラットフォーム型」企業が少ないから
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November 01, 2009

eラーニング市場が思ったより伸びないのは「プラットフォーム型」企業が少ないから

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 事業戦略の分類の仕方はいろいろあるのだが、基本形は「コンテンツプロバイダ型」か「プラットフォーム型」の2つしかないと私は思っている。IT用語を使わずに表現すれば、「いいモノを作る」か「モノを揃えて選択肢を提供する」か、ということである。両者は補完関係にあり、両者がうまくかみ合うことで顧客に価値を提供することができるようになる。

 いわゆるメーカーと小売業が補完関係にあることは一番解りやすい。メーカーはいい製品をつくり、小売業に納品する。小売業は様々なメーカーの製品を集積するプラットフォームであり、消費者が欲しいと思う製品を選択する自由を与えている。こうした補完関係は他にも見られる。

 例えば、ショッピングモールは多数の店舗を揃えるプラットフォームであり、不動産ディベロッパーは顧客を呼べる魅力的な専門店=コンテンツプロバイダを集めることが成功のカギとなる。また、ゲーム会社にとっては、自社のゲームがより多くのユーザーを獲得できるよう、最も有力なプラットフォーム=ハードウェアを選択することが重要になる(逆に、ハードウェアを手がけるゲーム会社も、自社のプラットフォームの魅力が増すように、有力なコンテンツを持つゲーム会社と協力関係を結ぶことが必須である)。市場全体の規模を広げる上では、コンテンツプロバイダ型の企業ととプラットフォーム型の企業が上手に協調することが欠かせない。

 先日ある会社の人と話をしていたら、eラーニングの話題になった。かつてeラーニングといえば、いつでもどこでも学習できる利便性と、研修コストの削減という2つのメリットがあり、かなりの成長が見込める市場だと言われていた。だが、リーマンショック以降の景気後退の影響もあってか、ここのところeラーニングベンダーはどこもトーンダウンしているという話になった。

 多くのeラーニングベンダーは、特定分野のコンテンツを提供する「コンテンツプロバイダ型」の形態をとっていた。代表的なのが、コンプライアンスやメンタルヘルスマネジメント関連のコンテンツを手がけるベンダーである。だが、初期のeラーニングは、ユーザー企業がeラーニング用のITインフラ(LMS:Learning Management System)を導入することが利用の条件であった。しかし、たかだか数種類の研修のためにITインフラに投資をするのは負担が大きすぎるということで、市場からはあまり受け入れられなかった印象がある。

 そこで、ユーザー側でIT投資が要らないASP型が登場したのだが、研修ごとに違うベンダーのASPを利用するのは研修を受ける受講者にとっても、受講進捗を管理する人事担当者にとっても煩雑であるということで、これもまた市場からあまり評価されなかった。

 結局、eラーニング市場にとって痛手だったのは、多くの企業が「コンテンツプロバイダ型」であり、「プラットフォーム型」が少なかったことであろう。一緒に話をしていた人の会社でも、最近eラーニング事業の見直しがあり、コンテンツプロバイダ型からプラットフォーム型に転換したということである。すなわち、多種多様な学習コンテンツを揃えてユーザーがいつでも自由に受講できる形式にし、利用料金は利用したコンテンツの種類や受講時間にかかわらず月額一定に変えたという。その人が「これしか生き残れない」と悲壮感交じりにつぶやいたのが記憶に残っている。

 eラーニング市場が再び活気を取り戻すのか、それともこのまま泣かず飛ばずで行ってしまうのかは、プラットフォーム型の企業がいかに現れるかにかかっているような気がする。
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