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November 20, 2008

「気づき」止まりで「行動変容」につながらない研修の実態

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 先日の「ワークプレイスラーニングに行ってきた」に続いてもう1つ研修関連の記事を。

 NTTレゾナントが国内138社の人事・人材育成部門の管理職以上を対象に実施した「企業における人材育成実態調査2008」によると、研修は「気づき」を得るのに効果的だが、人事部門の過半数は「研修後も行動は変わらない」と考えているらしい。

研修は「気づき多い」も「行動変わらず」――人事部門の“ホンネ”
「企業における人材育成実態調査2008」調査結果(NTTレゾナント プレスリリース)
「企業における人材育成実態調査2008」調査結果(調査本文)

 企業が本人に気づきを与えるために実施している施策としては「研修(78.8%)」が最も多く、次いで「評価制度以外で実施するアセスメントプログラム(70.8%)」、「昇進昇格の際の試験(70.6%)」などが高い比率となっている。また研修は、「気づきを得る」ことについては一定の効果も上げている(88.0%)。
気づきを得るには研修が有効


 だが、研修による「行動変容」となると疑問符がつく。研修は「行動変容」に十分につなげることができていない(56.5%)という残念な結果が出ている。「行動変容」につながるのはむしろ、「昇進・昇格の際の試験(41.7%)」 、「キャリアカウンセリング(40.6%)」、「評価制度以外で実施するアセスメントプログラム(40.0%)」のようだ。
気づきから行動変容まで至っていない研修

 「ワークプレイスラーニングに行ってきた」では、研修は学習プロセスの一部に過ぎず、研修が真に効果を上げるためには、研修前の現場における準備、研修後の現場における実践と連動させるようにデザインすることが重要だと書いたが、現状ではそこまでの連動性が実現できていないことを示すデータとなった。

 だが、そういった連動性に対する責任は研修実施担当者だけにあるのかというと、そうではない。現場の上司のコミットメントが必要不可欠な要素となってくる。人材育成における上司の役割を尋ねた質問では、「受講目的の確認、学習成果の発揮状況の評価(34.6%)」、「実務において研修内容を活かせる能力発揮の機会の提供(32.1%)」などの比率が低く、研修と現場の連携の悪さが現れている。
人材育成における上司の役割

 研修の受講生は現場に戻ると上司に研修内容を報告し、上司は今後の育成方針をレポートにまとめて人事部や人材開発部門に提出することが多い。だが、そういった報告書をどこまで活用しきれているのかは結構疑問だ。「報告書を作れと言われているから作った」では、研修を受講した本人のためにならない。

 もっとひどいケースでは、そもそも研修に否定的な上司というのもいて、「こんな忙しい時期に、うちの部員を研修に引っ張り出すんじゃない」とか「どうせ研修で学んだことなんてすぐ忘れるんだから、オレが指示した仕事をちゃんとやれよ」などといったことを平然と言う上司もいる。現場と研修との連携には、まだまだ課題が多い。
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