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新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
April 28, 2008
日本電産のあきれた弁明
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波紋を呼んでいる日本電産・永守社長の「休みたいなら辞めろ」発言。
これに対して、連合(日本労働組合総連合会)の高木会長が「言語道断」と憤りをあらわにすれば、舛添厚労相も「きちんと調査し、指導すべきは指導する」と発言している。
騒動から4日経った今日、日本電産が自社HP上でこの件に初めて言及した。が、その内容があまりにもいただけない。
8日前までは存在しなかった経営理念を「でっち上げ」?
説明文の中にはこんなくだりがある。
確かに、経営理念のページを見ると、「日本電産グループ 三つの経営基本理念」の最初に「1.最大の社会貢献は雇用の創出であること」と書かれている。

が、そう簡単に騙されてたまるものか!Googleの力を侮る無かれ。4月20日時点でのキャッシュを見てみると、

「日本電産グループ 三つの経営基本理念」の項目は存在しないのである。この項目が厳密にいつ追加されたのかは定かではないが、経営理念のページなど頻繁に更新するはずがないため、ここ数日の間に「でっち上げられた」可能性が高い。
後から「実はHPに書いてなかっただけで、社内ではずっと前から浸透していたものだ」などと見え透いた嘘をつかなければいいが。
「休日は2日増えている」と苦し紛れの弁明
もう1つお粗末なのが、「年間休日を前年比2日増加させている」というもの。2日なんて、カレンダーの巡り会わせ次第でどうとでも変わる範囲である。それをさも誇らしげに実績として書くあたりが痛い。言い訳が苦しいほど、それを聞く側の心理は1つに収束していく。それはつまり、
「あ、やっぱり言ったんだね…」
それにしても、組織の不祥事やトップによる不適切な発言が相次いでいるのに、組織の謝罪や説明の仕方はちっともレベルアップしていないんだな、と改めて感じた一件だった。
発言内容は一部理解できるものの…
さて、釈明の方法に対する批判はこの辺にしておき、永守社長の発言内容そのものをどう捉えるか?
個人的には、経営者の気概としては分からないでもない。他社との競争に勝つためには、永続的に成長するためには、そのぐらい社員には一生懸命働いてほしいと経営者が願うのは自然なことだろう。ただ留意すべきは、「願う」ことと「全員に強制する」こととは違うということだ。
社員にはいろんなタイプの人がいる。ずっと働きづめでも大丈夫な人、プライベートを大事にする人、何らかの身体的・精神的事由により、負荷のかかる仕事は避けたいと思う人。そして、持っている能力や創出しうる成果の大きさも様々である。これまでの人事管理の大きな問題の1つは、社員を一律ルールの基に管理してきたことである。
仕事以外の場面を考えて欲しい。会社を離れれば、我々は一消費者として、企業の差別的マーケティング戦略の基に個別のニーズを充足してもらえる。ところが、会社では全員同じ扱いを受けてしまうのだ。これはどこか歪んだ構造であるとは言えないか?
経営者の役割は、仕事に対する様々なニーズを持つ社員がいることを前提に、彼らが持てる能力以上の成果が出せるようマネジメントすることである。決して、何が何でも全員を休日出勤させることではない。もしそれをしたければ、休日出勤を望む社員のみを最初から採用すればよい。
「社員全員が休日返上で働く企業だから成長できるし給料も上がる。たっぷり休んで、結果的に会社が傾いて人員整理するのでは意味がない」
(2008年4月24日朝日新聞朝刊)
これに対して、連合(日本労働組合総連合会)の高木会長が「言語道断」と憤りをあらわにすれば、舛添厚労相も「きちんと調査し、指導すべきは指導する」と発言している。
騒動から4日経った今日、日本電産が自社HP上でこの件に初めて言及した。が、その内容があまりにもいただけない。
8日前までは存在しなかった経営理念を「でっち上げ」?
説明文の中にはこんなくだりがある。
「当社は雇用の創出こそが企業の最大の社会貢献であるとの経営理念のもと、安定的な雇用の維持が、社員にとっても最重要であると考えております。
このような考え方に基づき、これまで経営危機に瀕し、社員の雇用確保の問題に直面していた多くの企業の再建を、一切人員整理することなく成功させて参りました」
確かに、経営理念のページを見ると、「日本電産グループ 三つの経営基本理念」の最初に「1.最大の社会貢献は雇用の創出であること」と書かれている。

が、そう簡単に騙されてたまるものか!Googleの力を侮る無かれ。4月20日時点でのキャッシュを見てみると、

「日本電産グループ 三つの経営基本理念」の項目は存在しないのである。この項目が厳密にいつ追加されたのかは定かではないが、経営理念のページなど頻繁に更新するはずがないため、ここ数日の間に「でっち上げられた」可能性が高い。
後から「実はHPに書いてなかっただけで、社内ではずっと前から浸透していたものだ」などと見え透いた嘘をつかなければいいが。
「休日は2日増えている」と苦し紛れの弁明
もう1つお粗末なのが、「年間休日を前年比2日増加させている」というもの。2日なんて、カレンダーの巡り会わせ次第でどうとでも変わる範囲である。それをさも誇らしげに実績として書くあたりが痛い。言い訳が苦しいほど、それを聞く側の心理は1つに収束していく。それはつまり、
「あ、やっぱり言ったんだね…」
それにしても、組織の不祥事やトップによる不適切な発言が相次いでいるのに、組織の謝罪や説明の仕方はちっともレベルアップしていないんだな、と改めて感じた一件だった。
発言内容は一部理解できるものの…
さて、釈明の方法に対する批判はこの辺にしておき、永守社長の発言内容そのものをどう捉えるか?
個人的には、経営者の気概としては分からないでもない。他社との競争に勝つためには、永続的に成長するためには、そのぐらい社員には一生懸命働いてほしいと経営者が願うのは自然なことだろう。ただ留意すべきは、「願う」ことと「全員に強制する」こととは違うということだ。
社員にはいろんなタイプの人がいる。ずっと働きづめでも大丈夫な人、プライベートを大事にする人、何らかの身体的・精神的事由により、負荷のかかる仕事は避けたいと思う人。そして、持っている能力や創出しうる成果の大きさも様々である。これまでの人事管理の大きな問題の1つは、社員を一律ルールの基に管理してきたことである。
仕事以外の場面を考えて欲しい。会社を離れれば、我々は一消費者として、企業の差別的マーケティング戦略の基に個別のニーズを充足してもらえる。ところが、会社では全員同じ扱いを受けてしまうのだ。これはどこか歪んだ構造であるとは言えないか?
経営者の役割は、仕事に対する様々なニーズを持つ社員がいることを前提に、彼らが持てる能力以上の成果が出せるようマネジメントすることである。決して、何が何でも全員を休日出勤させることではない。もしそれをしたければ、休日出勤を望む社員のみを最初から採用すればよい。
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