※2012年12月1日より新ブログに移行しました。
>>>現行ブログ free to write WHATEVER I like
⇒2019年にさらにWordpressに移行しました。
>>>現行HP シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)
⇒2021年からInstagramを開始。ほぼ同じ内容を新ブログに掲載しています。
>>>Instagram @tomohikoyato
   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
トップ書評(ビジネス書中心)情報・知識)>【書評】ピーター・ウェイル著『ITポートフォリオ戦略論−最適なIT投資がビジネス価値を高める』
前の記事:キリがよかったので・・・
次の記事:アルフレッド・チャンドラーの名言
August 13, 2007

【書評】ピーター・ウェイル著『ITポートフォリオ戦略論−最適なIT投資がビジネス価値を高める』

拍手してくれたら嬉しいな⇒
ITポートフォリオ戦略論―最適なIT投資がビジネス価値を高める
ピーター ウェイル
ダイヤモンド社
2003-08
定価 ¥ 3,360
おすすめ平均:
powerd by Amazon360

 ピーター・ウェイル著。「IT投資をしても期待通りの効果が出ない、効果が測定できない」とか、「そもそもどういうIT投資をしたらいいのか解らない」など、ITにまつわる企業の数々の問題や悩みは今に始まったことではない。まあ、日本企業のIT投資に対する考え方がお粗末だとバッサリ切ってしまえばそれまでの話であるものの、ならばアメリカはうまくやっているのかというと必ずしもそうではなくて、「(2005年のあるITコンサルティング会社の調査結果によると)大型ITプロジェクトの51%が予定より遅れ、予算をオーバーしていたことが判明している。また『IT ROIは高い』と考える企業は10%にすぎない。逆にIT ROIが低い、マイナスである、わからないと答えた企業が47%に達した」(アンドリュー・マカフィー「CEOのためのIT経営論」『DIAMONDハーバードビジネスレビュー』2007年9月号)などという話もあったりする。結局、どこの企業もITに関しては未だに苦悩しているのである。

 本著がアメリカで発表されたのは1998年(日本では2003年)であるが、財団法人日本情報処理開発協会が2007年3月に発表した「IT 投資マネジメントガイドライン」にも引用されているぐらいであり、決して内容は古くない。冒頭で述べたITにまつわる2大悩み事「企業はどのようなIT投資をすべきか」「IT投資の効果はどのように測定すべきか」に答えているのが本著である。後者のテーマについての書籍は最近増えてきたが(別の機会に紹介することにする)、前者のテーマにじっくりと腰を据えて取り組んだ本はなかなか少ないのではないだろうか。著者は、企業のIT投資を\鑪関連(CRMのような、売上増加を目的とするもの)、⊂霾鶸慙◆淵哀襦璽廛ΕД◆▲淵譽奪献泪優献瓮鵐箸覆鼻⊂霾鵑涼濱僉Χνを目的とするもの)、6般慨慙◆紛般蓋率化のための情報システム)、ITインフラの4つに分け、業種やITに対する考え方に従って、ポートフォリオを組んで投資することを提唱している。

 ところで、ビジネスの世界でポートフォリオというと、資産運用のポートフォリオが真っ先に思い浮かぶ。株式や債権などに分散投資して、例え株式で期待通りのリターンが上がらなかったとしても、債権でそのリスクを吸収して全体ではそこそこの運用実績を上げる、というものだ。ならば、情報システムもリスク分散投資をすればいいかというと、それは違う話である。どんな情報システムであっても、企業にとっては失敗が許されるものなど皆無に等しいのであって、「SCMのROIが180%になる確率は30%、140%になる確率は50%、70%になる確率は20%であるから、期待ROIは138%、かたやグループウェアのROIが150%になる確率は…」などと現実味のない数字を並べ立てている場合ではないからだ(投資ならば、過去の運用実績からリターンとその確率をはじき出すことがある程度可能であるが、そもそも情報システムの過去の投資実績などどうやって記録しようというのか?)。

 そんな入り組んだ話は不要で、情報システムの世界では、「ポートフォリオ」という言葉が本来意味するところの「整理してまとめたもの」という意味で捉えた方がよいだろう。要するに、企業・業種ごと、あるいは戦略上のITの位置づけによって、「4つの情報システムに対するバランスの良い投資配分が存在する」ということが重要なのだ。実際、本著でも業種ごとのIT投資額の調査結果がポートフォリオの図で表されているのだが、これなんかは他の本では見られない秀逸な図だと個人的には思う。

 4つの情報システムのうち、著者が最もページを割いて議論しているのはITインフラである。確かに、他の情報システムに比べると効果が測定しにくい(例えば、社員全員にPCとインターネット環境を用意することの効果はどのように測定すればよいだろうか?)にもかかわらず、企業にとっては必要不可欠、という非常にやっかいな性質をこいつは持っているため、著者も特に丁寧に説明していると思われる。ただ、残念なのはこの説明が多すぎて、 銑の情報システムに関する説明が少なくなってしまっていることだ。それこそ「バランス良く」5つの情報システムの議論が展開されていると良かったのに…と思う。
トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:

コメント

はじめてコメントします
めまぐるしく変化するITの世界に飛び込んでまだまだの青二才です。

谷藤さんのブログをみて「IT投資」やら「ポートフォリオ管理」とか調べてみたらこんなサイトもみつけました
http://akb.cx/fJr

僕が理解するにはまだまだ勉強不足ですが、今後も更に重要だと痛感しました!
okamodelさん

古い記事にコメントを寄せていただきありがとうございます。
また、CIO onlineの記事リンクも教えていただき感謝です。
これからもブログに遊びに来てください。

> はじめてコメントします
> めまぐるしく変化するITの世界に飛び込んでまだまだの青二才です。
>
> 谷藤さんのブログをみて「IT投資」やら「ポートフォリオ管理」とか調べてみたらこんなサイトもみつけました
> http://akb.cx/fJr
>
> 僕が理解するにはまだまだ勉強不足ですが、今後も更に重要だと痛感しました!

コメントする