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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
April 12, 2006

イノベーションの全容解明へ(2)−シーズ開発というブラックボックス

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理論は「予測可能性を高める」
 クリステンセンが紹介した例の多くは、まだイノベーションが何たるかがほとんど明らかにされていない時期のものです。後にイノベーションを完成させた企業も、最初はマーケティングの理論に従って市場のニーズを把握し、一応それに応えるように製品を作っていました。しかし、既存企業が製造している製品には性能面でかなわないため、マーケットシェアを奪うことができません。「仕方なく」別の顧客を探していたところ、(「運よく」かどうかは解りませんが)潜在的な市場を発見し、その市場を足がかりとして破壊的イノベーションを実現させていきました。こうした背景もあって、況燭離ぅ離戞璽轡腑鵑蓮屬泙困論宿覆△蠅」という変則的なプロセスをたどっています。

 儀燭鉢況燭罵渋可能性が高いのは、もちろん儀燭離廛蹈札垢任后「理論は予測可能性を高める」と著書の中で何度も主張するクリステンセンならば、況燭ら儀燭離ぅ離戞璽轡腑鵑悗肇轡侫箸気擦燭い塙佑┐襪里賄然の成り行きと言えるでしょう。実際、『明日は誰のものか』の後半において、いくつかの業界の将来を破壊的イノベーションの理論で予測していますが、まずどのような「変化のシグナル」が存在するかを観察し、その次にどのような製品・サービスが生まれる可能性があるかを論じるというアプローチを取っています。これは紛れもなく儀燭離ぅ離戞璽轡腑鵑鯒案に置いたものです。

 とはいえ、全てのイノベーションを儀燭農睫世垢襪海箸鷲垈椎修任后なぜならば、イノベーション理論の中に、イノベーションの機会の一つとして「予期せぬ出来事の生起」を含んでいるからです。クリステンセンも、予期せぬ出来事がイノベーションの契機となるというドラッカーの主張には賛同しています(『イノベーションのジレンマ』)。

 予期せぬ出来事が起こりうる限り、況燭離ぅ離戞璽轡腑鵑和減澆径海韻泙后イノベーションの機会を発見し、その機会にあった製品を生み出したが、思うように収益が上がらない。しかも当初の目論見とは違う顧客がその製品を購入している。よくよく分析してみたら、その顧客が属する潜在的かつ大きな市場があった―こうした紆余曲折の末のサクセスストーリーはこれからも生まれることでしょう。クリステンセンも、理論によってイノベーションが「完全に予測可能になる」とは述べていません。「予測可能性が高まる」という表現をしています。

もう一つのブラックボックス
 イノベーションプロセスの3要素のうち、「(2)イノベーションの卵を生み出す」は実はブラックボックスです。イノベーションの機会を発見する優れた千里眼を持っていても、イノベーションのマネジメントが得意であっても、肝心の製品・サービスを生み出すことができなければ話になりません。

 特に況燭里茲Δ福崟宿覆△蠅」のイノベーションの場合、なぜその製品を作ろうと考えたのかという当初の意図を探ることは重要です。「なぜIBMはそもそも科学計算用のコンピュータを作ろうと思ったのか」「なぜベル研究所はそもそも電話を作ろうと思ったのか」。ビジネスモデルが教えるところによれば、売れる見込みがない製品は作ってはいけないということになります。しかし、況燭離ぅ離戞璽轡腑鵑寮宿覆蓮当初は売れる保証など全くなかった製品です。

 加えて重要な問いであるのが、「なぜIBMは科学計算用のコンピュータを作ることができたのか」「なぜベル研究所は電話を作ることができたのか」「他の企業ではなぜそれができなかったのか」という問いです。こういった問いは実は放置されたままです。しかし、こうした問題提起に答えていくことで、(2)のブラックボックスが少しずつホワイトボックスに近づいていくかもしれません。その時、イノベーションはさらに体系的な理論へと発展するような気がします。
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