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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
January 07, 2006

(当たり前だが)経営はビジネス書に書かれた通りには進まない

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 マネジメントについて社員に研修を行おうとしたが、「本に書いてある通りにはいかない」と研修担当者が嘆いているという話や、経営コンサルタントが本に書いてあるフレームワークをそのまま転用してしまい、クライアントにとっては価値の低いプレゼンテーションしかしてくれないという話を耳にすることがあります。しかしよく考えれば、現実世界が本に書いてある通りにはならないのは至極当然のことです。

 第一に、本に書いてあるのは概念的な事柄です。概念とは例えるならば空っぽの箱です。概念は現実の世界と関連付ける必要があります。概念という空の箱には、現実世界から抽出した事実・事象という中身を詰めなければなりません。こうして初めて、概念は現実世界において意味を持つことができます。箱は中に詰める物に仕えるために存在します。中に物を入れて初めて箱はその役割を果たしたことになります。空の箱は可燃ごみにしかなりません。

 第二に、本に書いてあるのは一般的な理論です。一般的な理論が想定しているケース、立脚している条件と、その理論を用いようとしている現実世界には何らかの隔たりが存在するものです。そしてこの隔たりが、決定的な意味を持つことがあります。現実世界で真に理論を有効たらしめるためには、多少理論を調整しなければなりません。先ほどの箱の例えを用いるならば、中に詰める物の寸法が想定と異なれば、箱の大きさも変えなければならないのと同じです。理論の調整には熟考が求められます。これを無視すれば、優れた理論といえども無用なものになってしまいます。決して本に書いてある理論が悪いのではありません。本に書いてある理論を使う人が悪いのです。

 「知識は本の中には、ない」というのはドラッカーの言葉ですが、本に書いてあるのは情報です。私たちは情報に「基づいて」思考し、行動します。しかし、情報そのものが直接的に何かを生み出すことはありません。情報は現実に適用可能で、現実の問題を直接的に解決する知識に変換する必要があります。そして、情報を知識に変換することができるのは、人間の思考と行動でしかないのです。
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コメント

こんばんわ。

ともさんの知識は本当にすばらしいです。

今日も勉強になりました。
毎日見るのが楽しみです。

おっしゃるとおり、現実と理論は大きくかけ離れていることが多々あります。しかし、問題を解決し、改善していくためには現実も理論も必要です。私も頭でっかちにならぬよう、また、現場主義になりすぎぬよう目を研ぎ澄ませ、アクションしていきたいと思います。

ありがとうございました。
りょうすけさん、コメントありがとうございます。

>毎日見るのが楽しみです。
とってもうれしいです。これからもがんばっていい文章を書く気になります!!

質問とか、「ここは間違っているのでは?」というところがあったら遠慮なく言ってくださいね。

お仕事のほうも頑張ってください!!
同じく中小企業診断士2005年度2次合格者です。同期だったんですね。理論的な文章は、読みやすく、ためになります。
リンクもたくさんあり、私が目指すとしたら、こういったブログなんだろうなと思いました。
また、ちょくちょくきますね。
 tm3904dragonさん、はじめまして。

 2月からの実務補習頑張ってください!!私は離職中の身で金銭的な理由もあり(汗)、2月の実習は申し込んでいません。

 私もtm3904dragonさんのブログに遊びに行きます。これからもよろしくお願いします。

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