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December 16, 2005
企業が「成長」「変化」し続けることは至難の業〜問題は時期・スピード、安定とのバランス
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ビジネス界にも流行語大賞があったならば、「成長」「変化」という言葉は、大賞こそ受賞できないものの、ここ数年は必ずノミネートされていたのではないかと思います。企業は成長し続けなければならない。組織は変化に耐え、変化を見極め、自ら変化をつくり出さなければならない。今では当たり前のように誰もが口を揃えてこう言います。株式市場、経営者は成長率を絶対的な指標とし、顧客市場、技術、政治経済的な環境は絶えざる変化を求めています。
しかし、企業にとって継続的な成長というのは非常に困難な命題であることを証明する調査結果があります。その調査とは、Corporate Strategy Boardが1955年から1995年の間にフォーチュン50社に名を連ねたことのある172社を対象に、それらの企業の成長率に関して行ったものです。
これはアメリカの研究結果ですが、日本企業を対象に調査をしても類似の結果が得られると思われます。市場の飽和、製品・サービスのコモディティ化と戦いながら、長く成長し続けることは至難の業なのです。
変化し続けることも同様に苦難の道です。イギリスの歴史家であるアーノルド・J・トインビーは、人類の文明の進歩について興味深い考察を行っています。トインビーは、文明の進歩を山腹にある岩棚を利用して絶壁を登る登山家に例えています。
トインビーは、登山家が登っている山には山頂が存在せず、全ての岩棚は、山腹の途中にできた岩棚のいくつかに過ぎないとも述べています。終わりのない登山は、登れば登るほど視界が悪くなり、より大きな危険が伴うようになります。そして、登れば登るほど登山者の体力と気力の消耗は激しくなります。トインビーはここで非常に重要な忠告をしているのです。「岩棚をのぼるのをしばらくさしひかえるほうが、賢明であるばあいも存在することに気がつくであろう」と。
文明社会全般に関する考察が、企業をはじめとする組織の活動にどこまで当てはまるのか、という論点は無視できないものの、トインビーの指摘はやみくもに変化し続けようとする組織にとって重大な警告とも受け取れます。
成長し、変化し続けることは困難であるばかりか、時に危険でさえある可能性は決して否めません。とはいえ、成長や変化を全て否定するつもりもありません。組織が成長や変化を捨て、永続的に安定を求めようとする行為が、しばしば有害な癒着や空疎な人間を生み出すことを私達は経験的に知っています。そもそも、本来的に人間に備わっている成長の欲求や、変化への適応能力を捨て去ることを推奨することができません。
問題は、「私達は、成長・変化すべき時とすべきでない時の見極めができていないのではないか」「私達は、必要以上の成長・変化をしている、あるいはしようとしているのではないか」「成長・変化と安定のバランスを取れば、組織の将来は異なるものになるのではないか」ということだと思います。マネジメントにおいて、成長や変化が語られる場合、この点が往々にして見過ごされているように思えてなりません。
しかし、企業にとって継続的な成長というのは非常に困難な命題であることを証明する調査結果があります。その調査とは、Corporate Strategy Boardが1955年から1995年の間にフォーチュン50社に名を連ねたことのある172社を対象に、それらの企業の成長率に関して行ったものです。
「これら企業のうち、この集団に属していた期間を通して、インフレ調整後の実質成長率を6%以上に保つことができたのは、わずか5%だった。残る95%の企業の成長率は、ある時点で失速し、GNP成長率以下に落ちてしまった。どんな成長市場でも、やがては飽和し成熟するため、失速するのは無理からぬことだ。だが恐ろしいのは、成長が失速した企業のうち、GNPを1%以上上回る成長率を取り戻すことに成功した企業さえ、4%に過ぎないという事実である。」
(クレイトン・クリステンセン、マイケル・レイナー著『イノベーションへの解−利益ある成長に向けて』)
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これはアメリカの研究結果ですが、日本企業を対象に調査をしても類似の結果が得られると思われます。市場の飽和、製品・サービスのコモディティ化と戦いながら、長く成長し続けることは至難の業なのです。
変化し続けることも同様に苦難の道です。イギリスの歴史家であるアーノルド・J・トインビーは、人類の文明の進歩について興味深い考察を行っています。トインビーは、文明の進歩を山腹にある岩棚を利用して絶壁を登る登山家に例えています。
「人間は一万年も前に、未開社会、すなわち低次の文明社会という岩棚の眠りからさめ、現在の高次な文明社会という岩棚まで、つぎつぎピッチ(急斜面)をよじのぼってきた。…ある登山家は途中の農耕文明という岩棚にたどりついたとき、そこに満足しきり、つぎのピッチをよじのぼるのを忘れ、そのまま、何千年か休みつづけていた。また、ある登山家は、途中の石炭文明の岩棚を通り越し、石油文明の岩棚にたどりついた。しかも、そのなかには、この岩棚にも満足せず、虎視眈々とつぎのピッチをのぼる機会をねらっているものもいる。
(武田修三郎著『エントロピーからの発想』)
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トインビーは、登山家が登っている山には山頂が存在せず、全ての岩棚は、山腹の途中にできた岩棚のいくつかに過ぎないとも述べています。終わりのない登山は、登れば登るほど視界が悪くなり、より大きな危険が伴うようになります。そして、登れば登るほど登山者の体力と気力の消耗は激しくなります。トインビーはここで非常に重要な忠告をしているのです。「岩棚をのぼるのをしばらくさしひかえるほうが、賢明であるばあいも存在することに気がつくであろう」と。
文明社会全般に関する考察が、企業をはじめとする組織の活動にどこまで当てはまるのか、という論点は無視できないものの、トインビーの指摘はやみくもに変化し続けようとする組織にとって重大な警告とも受け取れます。
成長し、変化し続けることは困難であるばかりか、時に危険でさえある可能性は決して否めません。とはいえ、成長や変化を全て否定するつもりもありません。組織が成長や変化を捨て、永続的に安定を求めようとする行為が、しばしば有害な癒着や空疎な人間を生み出すことを私達は経験的に知っています。そもそも、本来的に人間に備わっている成長の欲求や、変化への適応能力を捨て去ることを推奨することができません。
問題は、「私達は、成長・変化すべき時とすべきでない時の見極めができていないのではないか」「私達は、必要以上の成長・変化をしている、あるいはしようとしているのではないか」「成長・変化と安定のバランスを取れば、組織の将来は異なるものになるのではないか」ということだと思います。マネジメントにおいて、成長や変化が語られる場合、この点が往々にして見過ごされているように思えてなりません。
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