※2012年12月1日より新ブログに移行しました。
>>>現行ブログ free to write WHATEVER I like
⇒2019年にさらにWordpressに移行しました。
>>>現行HP シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)
⇒2021年からInstagramを開始。ほぼ同じ内容を新ブログに掲載しています。
>>>Instagram @tomohikoyato
新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
トップ>戦略(マーケティング)>顧客は「お金を直接いただく相手」に限られない
前の記事:中小企業診断士・口述試験に向けて問題集を準備&祝200回目の記事
次の記事:【ミニ書評】佐藤知恭著『顧客満足ってなあに?―CS推進室勤務を命ず』
前の記事:中小企業診断士・口述試験に向けて問題集を準備&祝200回目の記事
次の記事:【ミニ書評】佐藤知恭著『顧客満足ってなあに?―CS推進室勤務を命ず』
December 04, 2005
顧客は「お金を直接いただく相手」に限られない
拍手してくれたら嬉しいな⇒
私が以前勤めていたのは、あるシステムコンサルティング会社の子会社で、(名目上は)親会社からの請負という形でシステムエンジニアリングを担当する会社だったのですが、会社の社長が「我々の顧客は親会社だ」と堂々と言っていたという話を知り合いの社員から聞いたことがあります。おそらく、親会社との請負契約によって生じる報酬が売上となるため、そのように発言したのだと思われます。社長には大変失礼なのですが、私は内心失笑してしまいました。
顧客を「自社に金銭的対価を支払ってくれる人」と定義するのはもっともらしい考え方のように見えます。ところが、金銭を支払うことはないが、自社にとって非常に重要な顧客というのも確かに存在します。
就職・転職支援を事業とする企業は、クライアント企業の求人広告料や、希望する人材と雇用契約を結ぶことができた際にクライアント企業が支払う成約料によって収益を上げています。しかし、就職・転職を希望する学生・社会人も非常に重要な顧客です。彼らに有用な情報と効果的な支援を提供しなければ、事業が成立しません。
「ホットペッパー」や「R25」を始め、ここ数年で0円雑誌が急速に広まりました。そのような雑誌を発行している企業に対価を支払っているのは、雑誌に広告を掲載している企業です。しかし、雑誌である以上、雑誌の読者が重要な顧客であることは言うまでもありません。広告料を収入源とする企業には、おおよそ似たような現象が起こります。Googleも売上の大半をバナー広告が占めていますが、そもそもGoogleを利用するインターネットユーザーが多数存在しなければ成立しない事業です。もっと解りやすいのはテレビ事業です。視聴者が存在しなければ、企業からスポンサー料を取ることができません。
これらの企業は、要するに伝えたい情報を有する者と特定の情報を欲する者とのマッチングを行う「場」を提供していると言えます。この意味では、双方ともが顧客となります。金銭的な負担に非対称が生じるのは、双方のうちより資力のある方に金銭面の負担をしてもらうという考え方のためだと思います。
顧客とは、企業に金銭的対価を支払う人であるとは一概には言えないのです。そしてまた、金銭的対価を支払う人は無条件に顧客であるという等式も、私は成立しないと考えています。
それは流通を考えれば解ります。ある商品が最終消費者に届くまでには、メーカー、卸売業者(場合によっては1次卸、2次卸というふうに、卸が複数段階にまたがることもあります)、小売業者といった流通経路をたどる必要があります。一般的には、メーカーは卸売業者から、卸売業者は小売業者から、小売業者は最終消費者から製品に対する対価を受け取ります。それぞれの業者にとっての顧客とは一体誰でしょうか。全ての業者にとって、最終消費者こそが「唯一の」顧客ではないでしょうか。
顧客の定義として最も有効なのは、「我々が提供する製品・サービスを利用して便益を得る最終消費者(個人だけでなく、企業も含まれる)」です。流通その他の取引関係による中間市場には、経済学的な意味でいう「買い手」は存在しますが、マネジメントにおける「顧客」は存在しません。顧客は、自社が発行する請求書の決済を行う者でもありません。顧客は、事業定義、事業範囲との関連において決定されなければなりません。
冒頭で紹介した社長は、当然のことながら、「我々の顧客はシステムを利用するエンドユーザーだ」というべきです。真の顧客から目を背けた企業は、当面は顧客と誤解している取引先との取引により安泰な日々を送ることができますが、やがて真の顧客から予想外のとばっちりを食らうことになると思います。
顧客を「自社に金銭的対価を支払ってくれる人」と定義するのはもっともらしい考え方のように見えます。ところが、金銭を支払うことはないが、自社にとって非常に重要な顧客というのも確かに存在します。
就職・転職支援を事業とする企業は、クライアント企業の求人広告料や、希望する人材と雇用契約を結ぶことができた際にクライアント企業が支払う成約料によって収益を上げています。しかし、就職・転職を希望する学生・社会人も非常に重要な顧客です。彼らに有用な情報と効果的な支援を提供しなければ、事業が成立しません。
「ホットペッパー」や「R25」を始め、ここ数年で0円雑誌が急速に広まりました。そのような雑誌を発行している企業に対価を支払っているのは、雑誌に広告を掲載している企業です。しかし、雑誌である以上、雑誌の読者が重要な顧客であることは言うまでもありません。広告料を収入源とする企業には、おおよそ似たような現象が起こります。Googleも売上の大半をバナー広告が占めていますが、そもそもGoogleを利用するインターネットユーザーが多数存在しなければ成立しない事業です。もっと解りやすいのはテレビ事業です。視聴者が存在しなければ、企業からスポンサー料を取ることができません。
これらの企業は、要するに伝えたい情報を有する者と特定の情報を欲する者とのマッチングを行う「場」を提供していると言えます。この意味では、双方ともが顧客となります。金銭的な負担に非対称が生じるのは、双方のうちより資力のある方に金銭面の負担をしてもらうという考え方のためだと思います。
顧客とは、企業に金銭的対価を支払う人であるとは一概には言えないのです。そしてまた、金銭的対価を支払う人は無条件に顧客であるという等式も、私は成立しないと考えています。
それは流通を考えれば解ります。ある商品が最終消費者に届くまでには、メーカー、卸売業者(場合によっては1次卸、2次卸というふうに、卸が複数段階にまたがることもあります)、小売業者といった流通経路をたどる必要があります。一般的には、メーカーは卸売業者から、卸売業者は小売業者から、小売業者は最終消費者から製品に対する対価を受け取ります。それぞれの業者にとっての顧客とは一体誰でしょうか。全ての業者にとって、最終消費者こそが「唯一の」顧客ではないでしょうか。
顧客の定義として最も有効なのは、「我々が提供する製品・サービスを利用して便益を得る最終消費者(個人だけでなく、企業も含まれる)」です。流通その他の取引関係による中間市場には、経済学的な意味でいう「買い手」は存在しますが、マネジメントにおける「顧客」は存在しません。顧客は、自社が発行する請求書の決済を行う者でもありません。顧客は、事業定義、事業範囲との関連において決定されなければなりません。
冒頭で紹介した社長は、当然のことながら、「我々の顧客はシステムを利用するエンドユーザーだ」というべきです。真の顧客から目を背けた企業は、当面は顧客と誤解している取引先との取引により安泰な日々を送ることができますが、やがて真の顧客から予想外のとばっちりを食らうことになると思います。


