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November 06, 2005
リテンションのための人事制度でも、企業の戦略が不透明なら無意味
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近年の労働市場が流動化の傾向にあることもあって、私達が複数の組織を転々と渡り歩くことは今では一般的になりつつあります。とはいえ、組織にとってみれば、労働者が頻繁に入れ替わるということは、その組織に特有の能力や知識を有する人間が流出し、新たな人材の採用と教育訓練に追加的なコストが必要となる、といった負の効果をもたらします。ですから、組織は成員にできるだけ長くとどまってもらい、組織内で個人の自律的キャリアを形成してもらうために、様々な制度を用意するのが通常です。
慶應義塾大学の高橋俊介教授は、従業員が今いる企業の中で自分のキャリアを形成しようとする組織内キャリア形成意識の形成には、人事制度などの組織・人事システムが重要な影響を及ぼすことを指摘しています。
私が知っているあるビジネスホテルでは、フロントスタッフを契約社員が勤めているのですが、この契約社員には最低限の福利厚生が用意されているだけで、昇進・昇給がありません。聞くところによると、契約社員の大部分は1年未満で退職するからというのがその理由のようです。しかし、むしろ昇進・昇給がないからこそ契約社員が1年未満で辞めてしまうと考えるのが自然な気がします。実態はどうであれ、少なくとも制度そのものは社員が長期的にその組織で働くことを前提に整備するべきであるように思われます。
とはいえ、制度は組織内のコストですから、あまりに多く、あるいはあまりに大げさに作り上げてしまうと逆に組織の負担が大きくなるうえに、成員からの理解も得られなくなります。
私の前職の会社は設立して数年のベンチャー企業で、社員の平均年齢も26〜27歳という非常に若い企業でした。企業がいかなる戦略をもって、いかなる成長ベクトルを描くのかもまだ定かでなかった時期に、退職金積立制度が導入されました。この制度は、従業員が毎月一定の額を積み立て、45歳以降に退職したら積立金を退職金として受け取ることができるというものでした。ところが、社員の平均年齢を考えれば、退職金を受け取ることができるのは約20年後になります。20年先も自社が存立しているかどうかすら不明な創業期に大それた制度ができてしまい、この制度を導入した経営者の思惑とは裏腹に、社員はあまり満足していなかった記憶があります。
社員が組織内でキャリアを形成し、可能な限り長期的に働いてもらうためには何らかの制度が不可欠です。しかしながら、制度の数や規模をどの程度にすればいいのかというのは、バランス感覚を問われる非常に難しい問題のようです。
慶應義塾大学の高橋俊介教授は、従業員が今いる企業の中で自分のキャリアを形成しようとする組織内キャリア形成意識の形成には、人事制度などの組織・人事システムが重要な影響を及ぼすことを指摘しています。
個人の主体的ジョブデザイン行動やネットワーキング行動はミクロな仕事特性(注:仕事の自己コントロール性、結果の明確な仕事など)との関連が強い。これとは正反対に組織内キャリア形成意識については、社内公募や移動の仕組み、教育のあり方、給与制度を含めた会社全体の人事政策、会社のビジョンや行動指針の徹底、会社の将来性といったマクロ的な環境要因が大きく影響している。
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私が知っているあるビジネスホテルでは、フロントスタッフを契約社員が勤めているのですが、この契約社員には最低限の福利厚生が用意されているだけで、昇進・昇給がありません。聞くところによると、契約社員の大部分は1年未満で退職するからというのがその理由のようです。しかし、むしろ昇進・昇給がないからこそ契約社員が1年未満で辞めてしまうと考えるのが自然な気がします。実態はどうであれ、少なくとも制度そのものは社員が長期的にその組織で働くことを前提に整備するべきであるように思われます。
とはいえ、制度は組織内のコストですから、あまりに多く、あるいはあまりに大げさに作り上げてしまうと逆に組織の負担が大きくなるうえに、成員からの理解も得られなくなります。
私の前職の会社は設立して数年のベンチャー企業で、社員の平均年齢も26〜27歳という非常に若い企業でした。企業がいかなる戦略をもって、いかなる成長ベクトルを描くのかもまだ定かでなかった時期に、退職金積立制度が導入されました。この制度は、従業員が毎月一定の額を積み立て、45歳以降に退職したら積立金を退職金として受け取ることができるというものでした。ところが、社員の平均年齢を考えれば、退職金を受け取ることができるのは約20年後になります。20年先も自社が存立しているかどうかすら不明な創業期に大それた制度ができてしまい、この制度を導入した経営者の思惑とは裏腹に、社員はあまり満足していなかった記憶があります。
社員が組織内でキャリアを形成し、可能な限り長期的に働いてもらうためには何らかの制度が不可欠です。しかしながら、制度の数や規模をどの程度にすればいいのかというのは、バランス感覚を問われる非常に難しい問題のようです。
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