※2012年12月1日より新ブログに移行しました。
>>>現行ブログ free to write WHATEVER I like
⇒2019年にさらにWordpressに移行しました。
>>>現行HP シャイン経営研究所(中小企業診断士・谷藤友彦)
⇒2021年からInstagramを開始。ほぼ同じ内容を新ブログに掲載しています。
>>>Instagram @tomohikoyato
   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
Top > 自己啓発 アーカイブ
<<前の3件 次の3件>>
August 12, 2005

「生涯学習」は中高年の余暇ではなく、知識労働者の責務であるべき

拍手してくれたら嬉しいな⇒
 7月の終わりに内閣府が「生涯学習に関する世論調査」の結果を発表しました。

 生涯学習、未経験が過半数…自治体講座の充実を希望
 <生涯学習>実践している人は5割に達せず 内閣府世論調査
 44%がボランティア経験 内閣府の生涯学習調査

 これを見て思うのは、真の意味での「生涯学習」は残念ながら全くといっていいほど浸透していないということです。

 私にとって驚きなのは、生涯学習を趣味的なもの、自らの健康を促進するためのものと捉えている人が非常に多いということです。そのため、どのような「生涯学習」をしたことがあるか、という問いに対しては、「健康・スポーツ(健康法、医学、栄養、ジョギング、水泳など)」「趣味的なもの(音楽、美術、華道、舞踊、書道など)」という回答が多くなっています。

 いつから学習が「趣味」になったのでしょうか。少なくとも子どもの頃には、学習は「生きるため、将来のため」のもの、もっと言えば、社会的活動を行うために必要不可欠なものであると教えられました。それが、大人になったとたん、趣味という地位しか与えられなくなるのです。

 もちろん、趣味としての学習が悪いとは言いませんが、それが生涯学習の中心であるのは不自然です。学習は「社会的、組織的、共同体的、文化的、文明的な人類の発展に個人(あるいは組織)が直接的に寄与するための能力と知識を習得するための知的、身体的活動」であると私は考えています。趣味にはこうした意味合いはありません。趣味は個人の人生の豊かさに関わるものですが、学習は社会からの要請です。もちろん、本来の意味での生涯学習も例外ではありません。

 大人になると大半が(本来の)「学習」をやめてしまうこの国の実態が垣間見えた調査でもあったようにも思います。
August 10, 2005

知識労働者の家庭と自己啓発のためにも、労働時間の規制は必要

拍手してくれたら嬉しいな⇒
 労働基準法第32条2項では「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。」と規定されています。

 工場などでの肉体労働が主流だった時代においては、使用者からの不当な労働力搾取の防止と、労働者の健康保護が目的でした。

 現代は肉体労働者に代わって知識労働者が主流となりましたが、知識労働者もその労働の特質を考えれば、1日8時間労働の規制がなお有効であるということは昨日も述べました。

 これに加えて、労働時間規制を維持すべき理由が2つあります。

 一つは家族の機能維持のために、労働者を家庭に帰すべきであるということです。

 家事や育児など、家庭における諸々の仕事を男女で分担するのが理想とされる時代です。女性が社会でさらに活躍するならばなおさらです。男女が家事を分担するためには、夫婦の双方が一定の時間家庭にいなければ話になりません。

 企業は労働力だけを欲しがる強欲を抑えなければなりません。家族の安定が、その労働者の活力の源になるのです。

 そしてもう一つは、知識労働者が新たな知識を習得するために学習をし、教育を受ける時間を確保する必要があるということです。

 知識労働者は仕事のために新たな知識を定期的に習得する必要があります。仕事をしていれば必要な知識はすべて身に付けることができると考えている経営者もいますが、それでは不十分です。企業は学校にはなれません。企業の使命と学校の使命は決定的に異なります。

 現実世界に正しく適用できる知識は体系的に獲得する必要があります。しかし、企業は知識を体系的に提供する組織ではありません。それは企業にはできません。知識を体系的に学ぶ最も効果的な場は、いつでも企業の外にあるのです。

 企業は、知識労働者が企業外の学習・教育の場に踏み込むことを是認すべきです。もし社内の学習と社外の学習をバランスよく組み合わせることができたならば、彼らが外から持ってきた新しい知識で、十分に企業に報いてくれるはずです。

《2012年5月16日追記》
 以上に加えて、労働時間規制の必要性をもう1つ挙げるならば、それは「企業側に知識労働者の生産性向上の知恵を絞らせるため」であろう。もっとも、労働基準法は労働者の権利を守るためのものであって、企業の経済的な成果を拡大するためのものではないから、こうした目的のために法律を制定することは非現実的なわけだが・・・。

 知識労働者は肉体労働者と異なり、成果の量が労働時間に比例しない。そのため、ちょっと油断すると、知識労働者は成果が出るまでいつまでもだらだらと仕事を続けてしまう(企業側も、裁量労働制の導入などによって、返ってこうした事態を助長している)。知識労働者の仕事は肉体労働と異なり、多種多様で非定型的な要素が多いため、IE(インダストリアル・エンジニアリング)のような手法で生産性を改善するのが難しい。だから、いっそのこと最初から勤務時間の枠をはめることで、強制的にその時間内で仕事を完遂するように動機づけるのである。

 人間は制約を与えられると、その範囲内で何とかやりくりしようとする性質がある。例えが悪いけれども、昔テレビ朝日で放送されていた『銭形金太郎』には、極度の低収入で貧乏生活を送っている人が登場し、常識では考えられないような方法で日々の暮らしを乗り切っている様子が紹介されていた。金銭的な制約が、ユニークな生活の知恵を生み出すのである。

 一部の企業は、残業禁止制度を導入して、社員の生産性向上に努めている(定時になるとオフィスの照明が消えて、強制的に帰宅させられる、など)。また、長時間労働が当たり前になっているコンサルティング業界でも、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が似たような労働時間の規制を実施したことがあった。具体的には、プロジェクトメンバーは必ず所定の日数だけ休暇を取得することをルール化したのである。その結果、プロジェクトの生産性は以前よりも改善されたという(以前の記事「前提をあえてひっくり返してみよう(2)−『逆転の思考 ステレオタイプを排す(DHBR2010年3月号)』」を参照)。
July 06, 2005

タイムマネジメントの方法〜時間の分類

拍手してくれたら嬉しいな⇒
 「時間は制約要因である。あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものはもっとも欠乏した資源である。それが時間である。時間は借りたり、雇ったり、買ったりすることはできない。その供給は硬直的である。」

 だからこそ時間の使い方には細心の注意を払わなければならない。資金がどのように使われているかということには誰もが厳しい監視の目を向ける。しかし、時間がどのように使われているかを知る者は少ない。資金は放っておいても勝手にはなくならない。しかし、時間は放っておくだけでも消費されてしまう。それなのに、時間は資金のように意識を向けられることが少ない。

 プロジェクトや組織全体のスケジュールを気にする者はいる。しかし、問われるのは「遅れているか、進んでいるか」の二択に過ぎないことが多い。時間の使途は問われない。まして、個人個人の時間がどう使われるのかにはほとんど目を向けない。

 個人的にスケジュールを立てる者は多い。手帳に必死に向こう一週間の予定を書き込む。しかし、実際にどのように1日の時間が使われたか、後から振り返るものは少ない。仕事の遅れを指摘されて、「なぜ遅れたのか。その時君は何をしていたのか」と問われた時に初めて思い出す程度である。

 まずは、自分ひとりの時間がどのように使われたのかを知らなければならない。24時間をどのように使ったのか、詳細に記録するのが最も効果的な方法である。

 そして、時間の使途明細を元に、自分の時間の使い方を様々な観点から評価する。例えば、それぞれの活動を次の4つの分類に分けてみる。

 (1)昨日の問題に対処するために費やした時間
 (2)今日の利益を確保するために費やした時間
 (3)明日の機会を探索し、明日を創造するために費やした時間
 (4)使途不明の時間


 これは時間の生産性に関わる分類である。成果を上げるために時間を適切に使用したかどうかが解る。(2)と(3)がバランスよく存在するとき、人は最も高い成果を上げる。

 また、次のように分けると、イニシアティブの度合いがわかる。

 (a)自分が主体的に活動を行った時間
 (b)他人によって奪われた時間


 いつも時間がないといって嘆いている人は、たいてい(b)の割合が高い。なぜ(b)が多くなるのかを分析し、(a)の割合を増やす処置をとらなければ、達成できたはずの目標も達成できなくなる。

 他にも時間の使途を分析する観点を考えることはできる。重要なのは、自分の時間の使われ方を知り、時間の価値を高めるための努力を惜しまないということである。


《参考文献》

ドラッカー名著集1 経営者の条件ドラッカー名著集1 経営者の条件
P.F.ドラッカー

ダイヤモンド社 2006-11-10

Amazonで詳しく見るby G-Tools

 経営者といわず、すべての知識労働者にお勧めの本。時間の管理についても述べられている。名言「時間の価値を管理し、組織に貢献するものはすべからく経営者である。」もこの本の言葉。

7つの習慣―成功には原則があった!7つの習慣―成功には原則があった!
スティーブン・R. コヴィー Stephen R. Covey

キングベアー出版 1996-12

Amazonで詳しく見るby G-Tools

 第3の習慣「自己管理の原則」の中で、時間の管理方法について詳細に述べている。