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June 07, 2012

《要約》『戦略サファリ』―ミンツバーグによる戦略の10学派(9.エンバイロメント・スクール)

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ヘンリー ミンツバーグ ジョセフ ランペル ブルース アルストランド Henry Mintzberg

東洋経済新報社 1999-10

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 エンバイロメント・スクールは、外部環境が戦略を規定し、組織はあくまでも環境に従属する受動的な存在であるとする。この学派によれば、戦略の選択は環境が一義的に決定する、つまり組織による戦略的選択の余地はないことになる。10の学派のうち、この学派の説明が最も短く、ミンツバーグは「寄り道」と呼んでいる。それでもこの学派を敢えて1つのスクールとして切り出したのは、「このスクールが環境を、リーダーシップや組織と並んで(戦略形成)プロセスの中核となる3つの力の1つとして置いたために、バランスよく戦略形成全体を捉えることができるようになった」からだという。

 些細なことかもしれないが、このスクールが9番目にあるのは、個人的にはやや違和感を覚える。というのも、ミンツバーグは、第5学派のコグニティブ・スクールを、客観性を重視する第1〜第4学派と、主観性の比重が高まる第6学派以降の橋渡し的な存在として位置づけており、この流れに従えば、エンバイロメント・スクールはかなり主観面に入り込んだ学派でなければおかしい。

 ところが、エンバイロメント・スクールは以下で見るように、外部環境という客観的な世界を非常に重視しており、主観が全くと言っていいほど入っていないのである。環境重視の視点は、むしろ第3学派のポジショニング・スクールの基礎になっている考え方ではないだろうか?実際、エンバイロメント・スクールの出発点となった「条件適応理論」は1960年代に研究が始まっており、ポーターの「競争戦略論」(1980年代)、さらにBCGの「PPM(Product Portfolio Management)」(1970年代)よりも歴史が古い。

 ついでにもう1つ言うと、第4学派のアントレプレナー・スクールは、起業家や戦略家の主観面(ブラックボックスのままだが・・・)に焦点を当てているから、ミンツバーグが言うほど客観的なスクールではない。これらの点を総合すると、エンバイロメント・スクールを第3学派に持ってきて、その次にポジショニング・スクール、コグニティブ・スクールを並べ、第6学派以降をアントレプレナー・スクール、ラーニング・スクール、パワー・スクール、カルチャー・スクールとした方が、流れとしてはすっきりするように思える。

【第9学派:エンバイロメント・スクール】
<代表的な論者・理論>
(1)D・S・プーらの「条件適応理論」(環境の安定性や複雑性、市場の多様性、プレイヤー間の対立の激しさといった環境変数によって、組織の戦略が自ずと規定される)
(2)M・T・ハナン&J・フリーマンらの「組織エコロジー」(条件適応理論は環境への適応の余地を残しているが、組織エコロジーの論者=組織エコロジストは、組織の主だった特徴が学習や適応から生まれることは疑わしい、と明言する。組織エコロジストは、組織の基本的な構造や特徴は、組織が誕生してからすぐに環境によって定まる、と主張する)
(3)J・W・メイヤー&B・ローワンらの「制度理論」(組織がその環境下で直面する制度上の圧力によって、戦略が形成されるとする。具体的には、サプライヤ、競合他社、顧客、政府機関など、環境を構成する様々なプレイヤーの相互作用を通じて、組織の行動を支配する複雑で強力な基準が徐々に生み出されていく。その結果、同じ環境にいる組織は、似たような組織構造や行動に収斂していく。例えば、業界全体を対象とした規制、ベストプラクティスのベンチマーク[=一言で言えば模倣]などが、制度上の圧力として挙げられる[制度理論では、「制度上の異種同形」と呼ばれる])。

(※参考文献が海外の専門誌ばかりで、Amazonで見つからなかったため、書籍情報は省略)

<特徴>
(1)外部環境は、組織に対して”包括的な力の集団”として現れる。そして、戦略形成プロセスにおいて中心的な当事者となる。
(2)組織は、環境からの力に対応しなければならない。さもなければ、環境から「つまみ出されてしまう」(=組織が死滅してしまう)。
(3)したがってリーダーシップとは、環境を把握し、組織がそれに正確に順応していることを保証する役割を果たす。つまり、リーダーシップは環境に対して受動的である。
(4)組織は最終的に、生態学的なニッチに集まり、資源が乏しくなるか、もしくは生存条件が厳しくなるまでそこにとどまる。そして死滅する。アントレプレナー・スクールは、起業家はニッチ市場を目指す傾向があるとしたが、この場合のニッチとは競争を回避するためのニッチである。他方、生態学的なニッチとは、自然という組織体内での場所、すなわち生物社会で個体の占める位置を示すものであり、そこには競争が存在する。

<功績>
(1)エンバイロメント・スクール(特に組織エコロジー)には、後述するように問題が多く、ミンツバーグは功績らしい功績を挙げていない。強いて言うならば、冒頭で述べたことの繰り返しになるけれども、このスクールが環境をリーダーシップや組織と並んで、戦略形成プロセスの中核となる3つの力の1つとして置いたために、バランスよく戦略形成全体を捉えることができるようになった、ということだろう。
(2)また、戦略マネジメントに関わる人たちに対し、外的状況の力と要求を把握した上で、マネジャーが利用できる意思決定の力の範囲を認識するように求めた(もっとストレートに言えば、戦略家は全知全能の神ではないことを、はっきりとマネジャーに認識させた)。

<問題点>
(1)「環境」が具体的に何を指すのかは、必ずしも明らかでない。通常は、「外にある、実体がつかめない力の集合体」として扱われており、抽象的な次元の集合体として描写されることが多い。
(2)「組織には本当の意味での戦略的選択はなく、どこかに『環境の命令』が存在する」というこの学派の考え方では、非常に異なる戦略を持つ2つの企業が、似たような環境下で成功する理由を説明できない。
(3)言うまでもなく、現実世界の組織は、環境が課す制約を乗り越えて戦略的な画策により適応を試みたり、制度上の圧力に対し様々な形で抵抗したりしている。
(4)組織エコロジーはその主張を確立するまでに、長時間を必要とする。ハナンとフリーマンは、「最も大きく、最もパワフルな組織であっても、長期間にわたって生き残ることはできない」という仮説を立証するために、独立戦争まで遡っている(その当時に存在し、2人が調査を行った時期にも生き残っていた企業は、たった20しかなかった、と結論づけている)。だが、研究の対象期間は200年も必要なのだろうか?
(5)組織は、環境と呼ばれる抽象的なものによってではなく、組織自身による積極的な戦略的行動によっても死滅する可能性が無視されている。

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 《10学派一覧》
 第1学派:デザイン・スクール
 第2学派:プランニング・スクール
 第3学派:ポジショニング・スクール
 第4学派:アントレプレナー・スクール
 第5学派:コグニティブ・スクール
 第6学派:ラーニング・スクール
 第7学派:パワー・スクール
 第8学派:カルチャー・スクール
 第9学派:エンバイロメント・スクール
 第10学派:コンフィギュレーション・スクール
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June 06, 2012

《要約》『戦略サファリ』―ミンツバーグによる戦略の10学派(8.カルチャー・スクール)

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ヘンリー ミンツバーグ ジョセフ ランペル ブルース アルストランド Henry Mintzberg

東洋経済新報社 1999-10

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 ミンツバーグらは、カルチャー(企業文化)の構成要素を、世界に対する解釈と、その解釈を反映する行動と捉えており、それらは社会的プロセスの中で集合的に共有された信念として凝縮するとしている。カルチャーは、組織の共通の利益にフォーカスし、戦略的安定を維持する機能を持つ。この点で、カルチャー・スクールとパワー・スクールは表裏一体の関係にある(前回の記事で見たように、パワー・スクールは、どちらかと言うと分裂や対立にフォーカスしている)。

 カルチャーは、組織が好む思考スタイルや分析方法、そして戦略形成プロセスに大きな影響力を持つ。ここで、他の学派との関係性を考えてみる。コグニティブ・スクールの「主観性重視」の立場は、個人が世界を主観的に解釈し、環境をイナクト(想造)すると説いた。これを組織単位に拡張すれば、ラーニング・スクールが説明する「組織学習」へとつながる。組織は新しい状況に適合する、あるいは新しい状況を創り出すために、既存のフレーム(=知識や信念の体系)を再構築する。そのフレームが強化され、組織の大部分のメンバーがほぼ無意識のうちにそのフレームに従うようになった時、カルチャーが形成されたと言えるだろう。

 ただし、そのフレームやカルチャーが機能不全を起こした場合は、再びコグニティブ・スクールの考えに戻り、環境を再解釈するところから始めなければならない。カルチャーが強すぎると、組織は変化の必要性に気づかず(あるいは、気づいても無視してしまい)、”ゆでガエル現象”に陥って死滅するかもしれない。だからこそ、カルチャーから若干外れた異端児(=世界に対して、組織とはやや異なる見方を持っている人間。必ずしも”変人”である必要はない)を入れておくことが重要なのである。ここに、数年前から注目を集めている「ダイバーシティ・マネジメント」のポイントがある。

 ところで、企業文化というとエドガー・シャインの名前を思い浮かべないわけにはいかないのだが、ミンツバーグはシャインの理論に触れていない(参考文献に名前が見当たらない)。これが意図的なものなのかどうかは、全く不明である。

【第8学派:カルチャー・スクール】
<代表的な論者・理論>
(1)エリック・レンマン、リチャード・ノーマン(1965年に設立されたスカンジナビア経営研究所[SIAR]の中心メンバーであり、その後のスウェーデン学派に影響を与えた)
(2)1960年代後半のスウェーデン学派(カルチャーに関する多くの文献は、なぜカルチャーが組織の停滞や衰退を生じるのか?を論じている。これに対してスウェーデン学派は、組織の戦略的変化に着目した。組織は新しい現実に「適合」するために、集合的な「再構築[リフレーム]」をしなければならないという)
(3)バーガー・ウェルネーフェルト、J・B・バーニーらの「資源ベース論」(競争優位を持つ資源についての説明は他のサイトなどに譲るとして、カルチャー・スクールの立場として重要なのは、模倣困難性の源泉が「社会コミュニティとしての組織全体」、すなわちカルチャーそのものにある、と主張したことである)

Organization Theory for Long Range PlanningOrganization Theory for Long Range Planning
Eric Rhenman Nancy Adler

John Wiley & Sons Ltd 1973-01-01

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Management for GrowthManagement for Growth
Richard Normann Nancy Adler

John Wiley & Sons Ltd 1977-12-07

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<特徴>
(1)戦略形成は、社会的な相互作用のプロセスであり、組織のメンバーによって共有される信念や理解に基づいている。
(2)個人は、他の文化に対する適応(文化変容)や、社会化のプロセスを通して、こうした信念を手に入れる。それはほとんどの場合、暗黙裡で言葉を介さないが、時としてより形式的な教義によって強化される。
(3)したがって組織のメンバーは、そのカルチャーを支える信念については、断片的にしか説明することができず、またその起源や説明に関しても曖昧なままである。
(4)結果として戦略は、ポジションというよりも、特にパースペクティブの形を取ることになる。そのパースペクティブは、必ずしも明らかでないが、集合的な意図に根づいており、戦略や行動パターンに影響を与える。そして、そのパターンによって、深く埋め込まれた組織の資源や能力が守られ、競争優位に活用される。
(5)カルチャー、特にイデオロギーは戦略的変化を促すことはせずに、むしろ既存の戦略を永続させようとする。そして、組織全体の戦略的なパースペクティブの中でのポジションの変更を促す程度にとどまる。
(6)プランニング・スクールやポジショニング・スクールが歴史に無頓着であり、言うなれば服を着替えるように戦略を変えるのとは対照的に、カルチャー・スクールは、組織がこれまで歩んできた豊かな歴史というタペストリーの中に戦略を位置づける。

<功績>
(1)パワー・スクールの非連結的な衝突に対し、イデオロギーによって統合されたコンセンサスに注目した。
(2)デザイン/コグニティブ/アントレプレナー・スクールの個人主義に対し、社会的プロセスの重要な集産主義的側面を取り入れている。
(3)ラーニング・スクールが答えなかった、「再構築(リフレーム)」が必要な時期を教えてくれるかもしれない(ラーニング・スクールのページで、ラーニング・スクールは学習を強調するあまりに、組織のメンバーに「常に学習し続けなければならない」と勘違いさせてしまい、うまくいっている戦略を捨てて、単に新しいとか面白そうだという理由だけで、新しいアイデアに移行させる危険性がある、と指摘した)。

<問題点>
(1)ポジショニング・スクールが人為的な精確さについて咎められるのならば、カルチャー・スクールはその概念の曖昧さについて咎められなければならない(スウェーデン学派に登場する「幽霊神話」、「組織のドラマ」、「不適格」などといった言葉に直面することは、それ自体一種のカルチャーショックである)。
(2)ラーニング・スクールが学習を極端に推し進める危険性があるのとは反対に、カルチャー・スクールは必要な変化を阻止してしまう危険性がある(その危険性を回避するために、スウェーデン学派が生まれたわけであるが・・・)
(3)戦略的優位性と組織の独自性が同等であると捉えている点にも問題がある。多くの場合、他と違うことはよいことである。しかし、それは競争力の本質ではないし、自然に競争力を備えるわけでもない。

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 《10学派一覧》
 第1学派:デザイン・スクール
 第2学派:プランニング・スクール
 第3学派:ポジショニング・スクール
 第4学派:アントレプレナー・スクール
 第5学派:コグニティブ・スクール
 第6学派:ラーニング・スクール
 第7学派:パワー・スクール
 第8学派:カルチャー・スクール
 第9学派:エンバイロメント・スクール
 第10学派:コンフィギュレーション・スクール
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《要約》『戦略サファリ』―ミンツバーグによる戦略の10学派(7.パワー・スクール)

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 社内政治や権力行使、利害関係者間の調整など、パワーを通じた戦略形成を研究しているのがパワー・スクールである。パワースクールも第5学派のコグニティブ・スクールと同様、さらに2つの流派に分かれる。すなわち、「ミクロ・パワー」に焦点を当てる流派と、「マクロ・パワー」に焦点を当てる流派である。「ミクロ・パワー」とは、組織の内部における非合法的、あるいは完全には合法的ではないパワーを指す。

 これに対して「マクロ・パワー」とは、組織が行使するパワーである。これには、倒産寸前の企業が政府に対して貸付保証を迫る、といったことも含まれる(リーマン・ショック後に、アメリカのビッグ・スリーの経営陣が政府の支援を求めて自家用ジェット機で駆けつけ、ワシントンどころか全米の顰蹙を買ったことを思い出した)。マクロ・パワーの流派は、自社の利益を追求して他の組織と衝突したり、あるいは協力したりする、といった組織の行動を考察する。

 ミンツバーグによれば、ポジショニング・スクールのマイケル・ポーターは、基本戦略においてパワーや政治という言葉を使っていないものの、その考え方の中にパワーの概念が含まれているという。これは確かに共感できるところであり、ファイブ・フォーシズ・モデルから導かれた、業界内の各プレイヤーに対する戦略的打ち手は、相手を打ち負かして自社の利益を拡大するという、政治的な側面を含んでいるものである(以前の記事「社会的ニーズの充足を通じて経済的価値を創造する(1)―『戦略と競争優位(DHBR2011年6月号)』」を参照)。

【第7学派:パワー・スクール】
<代表的な論者・理論>
(1)【ミクロ・パワー】グレアム・アリソンの「政府内の政治モデル」(キューバ危機の研究)
(2)【ミクロ・パワー】M・N・ザルド&M・A・ベルガーの「政治ゲーム」(組織内の特定個人・集団は、クーデター、造反、マス・ムーブメントという3つの政治的行動をとる)
(3)【マクロ・パワー】J・フェッファー&G・R・サランシクの「組織による外的コントロール」(外部環境に対して、組織の方から適応することもあれば、組織の能力に適合するように外部環境を変えることもある。前者はこの後で紹介するエンバイロメント・スクール、後者はパワー・スクールにおけるマクロ・パワーの基礎をなす)
(4)【マクロ・パワー】R・E・フリーマンの「ステークホルダー戦略策定プロセスモデル」(ステークホルダーの利害、自社への態度[敵対的/協力的]などを分析し、ステークホルダーに対する戦略を選択する)
(5)【マクロ・パワー】グレアム・アストリーの「集合的戦略」(サプライヤ、競合他社、顧客など、自社のビジネスを形成するネットワークのメンバー間における戦略形成を取り扱う。組織は複雑な相互作用に対処するために、集合的レベルで戦略を開発する必要があるとし、これからの戦略形成では、「コンペティション(競争)」より「コラボレーション(協創)」が中心になると説いた)
(6)【マクロ・パワー】A・M・ブランデンバーガー&B・J・ネイルバフの「コーペティション(協合)」(競合同士が協力的契約を結ぶことで競争を排除する、あるいは競争を減少させて市場をともに獲得する、など)

決定の本質―キューバ・ミサイル危機の分析決定の本質―キューバ・ミサイル危機の分析
グレアム T アリソン 宮里 政玄

中央公論新社 1977-01

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コーペティション経営―ゲーム論がビジネスを変えるコーペティション経営―ゲーム論がビジネスを変える
バリー・J. ネイルバフ アダム・M. ブランデンバーガー Barry J. Nalebuff

日本経済新聞社 1997-02

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<特徴>
(1)戦略形成は、パワーと政治によって形作られる。たとえ組織内のプロセスであっても、あるいは外部環境における組織自体の行動であっても同様である。
(2)このようなプロセスから生まれる戦略は、創発的である場合が多く、パースペクティブというよりは、ポジションやプロイ(策略)という形態を取る(J・フェッファー&G・R・サランシクが紹介している戦略の中には、ポジショニング・スクールで見た戦略と全く同じものが含まれている)。
(3)ミクロ・パワーは、政治ゲームという形態の中での説得や交渉、時には直接対決を通じた相互作用の結果として戦略形成を捉えている。つまり、ミクロ・パワーが発生するのは、偏狭な利害関係や一時的な提携関係の中でのことであり、どんなに重要な時期にあっても、誰も優位に立てないような状態のことである。
(4)マクロ・パワーでは、組織が自らその繁栄のために、他の組織をコントロールしたり、協力したりする。これは、様々なネットワークやアライアンスにおける集合的戦略によって達成される。

<功績>
(1)現実の世界では、戦略形成とパワーや政治は切っても切り離せない関係にある。他の学派が目を向けなかったパワーや政治にフォーカスした点で、この学派は非常に意義がある。
(2)特に、マクロ・パワーは「大規模な成熟化した組織」において、ミクロ・パワーは「複雑で非常に分散化した専門的組織」で見受けられることを発見した。
(3)戦略的な変化を促進する際の政治の重要性を強調している。現状維持を望んでいる既存の関係者グループの対立が不可避であることを示している。

<問題点>
(1)リーダーシップやカルチャーといった、戦略の統合を図る力の役割が軽視されている。
(2)戦略それ自体の概念についても、亀裂や分裂に対して注意を払いすぎるために、実際に形成される戦略パターンを、対立的な状況の中で見過ごす可能性がある。
(3)政治は、組織において肯定的な役割を果たすこともあるが、多大な損害と歪みをもたらすこともある。
(個人的には、(3)はこの学派の問題というよりも、政治そのものに内在する問題であるように思える)

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 《10学派一覧》
 第1学派:デザイン・スクール
 第2学派:プランニング・スクール
 第3学派:ポジショニング・スクール
 第4学派:アントレプレナー・スクール
 第5学派:コグニティブ・スクール
 第6学派:ラーニング・スクール
 第7学派:パワー・スクール
 第8学派:カルチャー・スクール
 第9学派:エンバイロメント・スクール
 第10学派:コンフィギュレーション・スクール
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