※2012年12月1日より新ブログに移行しました。自分で言うのもおこがましいですが、20代の頃に書いた本ブログよりも、30代に入ってから書いている現行ブログの方がはるかに中身が濃く、内容が多岐にわたり、面白いと思いますので、是非ご覧いただけるとありがたいです!
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March 27, 2012

《メモ書き》野球を見る視点が広がった気がする―『理想の野球』

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理想の野球 (PHP新書)理想の野球 (PHP新書)
野村 克也

PHP研究所 2012-03-15

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 ノムさんの新書。ヤクルトの宮本慎也選手など多くのプロ野球選手も読んでいるという「サンケイスポーツ」の試合評論、「ノムラの考え」を書籍化したもの。落合氏の『采配』は非常に興味深いチームマネジメントの本だったが、ノムさんの本は野球の試合運びに深く切り込んだものであり、その視点はどのページを読んでも実に面白い。今年はこれまで以上に野球を楽しく観られそうな気がする。今日の記事では、この本のエッセンスを列挙してみたいと思う。以下、(※)は私が追記した部分。

采配采配
落合博満

ダイヤモンド社 2011-11-17

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 「落合嫌い」のミドルマネジャーでも1度は読んでほしい1冊―『采配』
 高木・権藤の70代コンビは、きっと”第2次落合長期政権”の布石―『采配』

<球種別の特徴>
・投球は稼ぐ、誘う、見せる、捨てる、勝負するで組み立てられるが、直球は「誘う」「見せる」だけ
・内角直球は原則的には打者の壁を崩すための「見せ球」であって、カウントを「稼ぐ球」ではない
・内角の直球にストライクはいらない
・鉢巻きのスライダー(=外角のボールゾーンからホームベースに食い込んでくるスライダー)は(最近の捕手が好んで使うが、)高等技術である。内角へ投げるなら、打者の体が目印になる。ところが外角には目印がない。外へ外れれば完全なボール。内に入れば真ん中への絶好球。緊張した場面では、まるで綱渡りのような球種なのである
・”困ったときのフォーク”などありえない。落ちなければ半速球となり、打者のえじきになる
・私は「困ったときの原点(=外角低めの直球)」と教えている。それは「外角低めの直球が投手の生命線である」ということと同時に、「投球(配球)の基本に立ち返れ」という意味でもある
・配球の基本には(1)緩急(2)高低(3)横のゆさぶりがあるが、直球、スライダー、チェンジアップだけなら(1)と(2)があっても極端ではない。しかし、カーブは(1)と(2)の幅を広げる

<カウント別の打者の攻め方>
・ボールカウントは、初球(0-0)から、フルカウント(3-2)まで12種類ある。1球ごとに、投手と打者の心理は目まぐるしく変化する
・投球は稼ぐ、誘う、見せる、捨てる、勝負するで組み立てられる
・カウント0-0は、ずばり「投手不利」である。サインを出す捕手には、球種、コースを選択するための根拠となる判断材料がない
・カウント1-1は、投手有利。打者は追い込まれていない分フルスイングできるが、その半面で追い込まれたくないと100%打ち気になりがちだ。その結果、強引に振っていって凡打ゾーンにも手を出してしまうことが多い
・安打が即敗戦につながる緊張の場面での1-1は、「1-2と追い込んだつもりで勝負に行く」のが大原則
・強打者相手にはストライクを2球で稼げ
・「(0-2と)追い込んだらひとつ外せ」。これは日本野球の悪癖ともいえる。V9時代の巨人に「0-2から打たれたら罰金」という制度ができて、「とりあえず外す」習慣ができたのだと記憶している
・「ホームラン即サヨナラ」の場面で4番打者。カウント1-0とはいえ、0-2、1-2に追い込んだつもりで投げろという。何球かかってもいいから、内角高めの「捨て球」や、ゴロゾーンの低めに変化球などの「誘い球」を駆使して打ち取りにいくべきだ(※つまり、「稼ぎ球」はいらない)
・2-2は投手、打者が「五分五分」のカウント。だが投手は3ボールになっていない分だけ、思い切って勝負してくる。
・3-1も3-2も一緒だ。ならば”待て”
・フルカウントには野球の醍醐味が詰まっている。スタンドは固唾を飲んで見守っている。投手の能力、捕手の配球が問われる。なにより重要なのは、投手の「勝負心」
・どんな強打者でも討ち取れる確率が高いのは、「インハイ×アウトロー」のコンビネーションを中心とした配球
・ピンチでは4球、5球かけて打者を料理しなければならない。私はよく、「ひとつのストライクを取るのに2球費やせ」と指導した。つまり「ワンストライク、ワンボール」のペアを積み重ねていくのだ

<打者の心理と心構え>
・技術には限界がある。プロの勝負は技術の先にあるものである。相手の持つ変化球にA型でついていけないのであれば、Aだけでなく、B、C、Dを使い分けなければならない(※ノムさんの打者のタイプ分けはこちらを参照)
・(直球には)常に「二段構え」で備える必要がある。「ストライクの直球だけ」「直球を上から叩く」「直球をバッドのヘッドを立てて叩く」、など、もうひとつの注意事項を加えて備える
・「状況バッティング」とは何か。結局、その打席で自分に課された「使命を果たす」ことだ
・9つの打順には異なる役割がある、最も難しいのは「2番」である。2番打者に必要なのは「功は人に譲れ」の精神である
・打者は、意識を置いていた球と反対のコースで追い込まれると、次の球の気配が見えなくなる
・打者には、詰まらされると(それがたとえ安打になっていても)その詰まらされた球を強く意識する習性がある
・追い込まれるまではボールになったものと同じ変化球を狙いづらい(※2008年の日本シリーズでの西武・細川捕手[現ソフトバンク]はこの点をよく理解しており、巨人の強打者を押さえた)
・(打者の)タイミングの基本はバスターにあり。バントの構えからバットを引いて打って出ると、「イチ、ニ、サン」のリズムの「ニ」が「ニィー」と長くなる。バットを一度引くことで、ボールも手元まで引きつけられる
・ただひとつだけ、イチローが語った全打者に共通する心理がある。「バットのグリップを、いかに捕手に近づけたまま我慢できるかです」(あるテレビのインタビューでのイチローの言葉)
・私が考えるカーブの攻略法は、ただひとつ、「捨てる」だけだ
・強打者、中心打者は、内角直球を捨て球に使われると「ああ見せ球だ。もうオレに真っすぐはこないな」と変化球の気配を察知する。これは私が「強打者の特権」と名付けている(※逆に、ここで裏をかかれて外角直球が来ると手が出ない。ただし、A型を変えないバッター[中日・森野がその例]は、基本は直球のタイミングで変化球にも対応しようとするので、直球と変化球の球速差が小さいと打てることもある)
・(※内野のポップフライが続く阪神・金本について、)打者の老化現象は、内角直球に詰まることから始まる

<日本人打者と外国人打者の基本的な違い>
・日本人打者が追い込まれるまではヤマを張ったとしても、ツーストライクを取られると、見逃し三振を避けようとするためにA型で対応する
・外国人打者は、追い込まれると相手のウイニングショットに意識を置いて待つ傾向が強い
・長距離砲の外国人打者は、追い込まれるまでは直球1本のスイングをしてくる傾向が強い

<捕手の役割>
・捕手の打者分析の基本は、「選球眼がいいか」「変化球への対応はどうか」の2点
・バッテリーとは?私はこう質問されると、必ずこう答えてきた。「投手は”打てるものなら打ってみろ”というプラス思考の人種。捕手は”打たれてはいけない”というマイナス思考の人種。つまりプラスとマイナスがコンビを組む、だからバッテリー(電池)と呼ばれるんです」

<監督の役割>
・野球の試合は、前夜からの「想像野球」で始まる。頭の中で試合展開を決めることが、具体的な作戦選択の判断基準になる
・ツーアウトからの得点には、監督は参加できない。二死では、盗塁、エンドラン、スクイズなどのサインを出すことはできない。つまり、得点できるかどうか、完全に「選手任せ」にせざるをえない
・ツーアウトからの得点には、サインは出せない。こうした場面で選手が中堅方向への打撃を徹底できる土台になるのは、キャンプから積み上げてきた「指示」や「教育」だろう。それこそが監督、コーチの存在意義
March 01, 2012

気が早すぎる2012年セ・リーグペナント予想(3月1日中間発表)

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 キャンプも終わり、いよいよ今週末からオープン戦が本格化するということで、また胸躍る季節がやってまいりました!そこで、昨年11月末からブログの右側に設置していた、「気が早すぎる2012年セ・リーグペナント予想」アンケートの中間結果を載せておきます。n=42だから、母数が全然足りないんだけど・・・。 

気が早すぎる2012年セ・リーグペナント予想(中間)

 このアンケートに素直に従うと、今年のセ・リーグは、

 1位:巨人
 2位:阪神
 3位:中日
 4位:広島
 5位:ヤクルト
 6位:横浜

ということか?ヤクルトの人気が低いのは意外だったかな。あと、横浜は中畑監督があれだけ連日メディアジャックしているにもかかわらず不人気で可愛そう(横浜ファンの皆様、ごめんなさい)。

 個人的な順位予想はこんな感じ。

 1位:巨人・・・あれだけ補強されてはもう仕方ない。内海、杉内、ホールトンの先発3本柱が強すぎる。唯一のネックは、守護神不在という点ぐらい。とはいえ、清武全球団代表の内乱以降、なぜかフロントと現場の妙な一体感が生まれたため、シーズン途中ですぐに補強に動き出しそうな予感。

 2位:中日・・・高木監督の目指す野球像が見えてこないんだけれど(サンスポが中日を完全スルーしていて笑えた)、チェンが抜けても、吉見やネルソンのように長いイニングを投げられる投手が揃っているのはやはり強い。それから、守護神問題も浅尾が何とかしてくれるだろう。もう1つつけ加えれば、今年も3時間半ルールが継続されるため、打てない中日は引き分け狙いの戦いができるのも追い風。

 3位:阪神・・・巨人に次ぐ攻撃力はあるとはいえ、反面守備がまだ弱い。城島の1塁コンバート、ブラゼルの左翼コンバートはともに未知数だし、正捕手候補である藤井彰の離脱も痛い。おそらく小宮山が開幕マスクを被るだろうが、経験値でどうしても見劣りする。城島も藤井彰ももうベテランだから、今年はいっそ小宮山を育てる1年として位置づけてもいいぐらいでは?投手に関しては、駒は揃っているが、巨人・中日のような突出した投手がいない。スタンとメッセのローテ入りが確実視されているものの、どちらかは今年は不調のような気がする。能見か岩田が15勝以上してくれれば、もう少し浮上できるのだろうけどなぁ。

 4位:ヤクルト・・・石川が開幕絶望らしいが、おそらく石川&館山の先発2本柱が今年も中心になるだろう。一方で、この2人に続く投手がどうなるか不透明。去年も小川監督が相当やりくりに苦労していたし。それから、長年の懸念事項である中継ぎ陣も、どこまで安定稼動できるかがポイント。さらに、守護神のイムも、明らかにかつてほどの安定感がなくなっている点をどうカバーするか?また、攻撃陣に目を向けると、青木がメジャーに移籍し、ホワイトセルが抜けてパワーダウン。昨年の本塁打王バレンティンはもう化けの皮がはがれている感じだし、新加入のミレッジはまだよく解らない・・・。

 5位:横浜・・・中畑監督への期待も込めての5位。しがらみも失うものもないから、今年は若手中心の思い切った布陣で挑んでくるだろう。その中で急成長株が何人か出てくれば、最下位は脱出できるはず。

 6位:広島・・・マエケンとバリントンはいるけれど、それ以外の要素が見当たらない(汗)。梵と篠田がケガで離脱し、大竹は今季も絶望との予測が流れている。明らかに駒不足。

 アンケートはペナントレース中盤の6月30日まで受け付けていますので、右欄からどんどん投票しちゃってください!性別、コメントなどは入力しなくても投票可能です。
December 20, 2011

高木・権藤の70代コンビは、きっと”第2次落合長期政権”の布石―『采配』

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采配采配
落合博満

ダイヤモンド社 2011-11-17

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【989本目】1,000エントリーまであと11。

 昨日の続き。中日の新監督として就任したのは、中日OBであり86年と92〜95年に監督を務めた高木守道氏だが、この人事を不可解に感じた人は少なくないはずだ。球団側は、落合氏では球団の人気が失われる一方だと判断し、人気回復のために高木氏に白羽の矢を立てたと言うが、どう見ても人気を回復させるための人事とは思えない。

 監督としての高木氏の成績は、過去5年で306勝335敗11分の勝率.477であり、勝率5割を切っている。92年〜95年は私がまだ岐阜に住んでいた時期であり、中日と地元の様子をよく見ていたけれども、高木氏の下で地元が盛り上がった記憶がない(中日の監督は、誰が務めても星野氏と比べられて、人気面でどうしてもマイナスに見られるのは致し方ない面もあるが)。

 それよりも、今回の球団人事のポイントは、高木氏に加えて同じく70代の権藤氏をヘッドに据えた点にあるだろう(70代の監督は、過去に仰木彬氏[オリックス・バファローズ]、野村克也氏[東北楽天イーグルス]の2人がいるが、ヘッドも70代というのは今回が初)。プロ野球はここ10年ぐらいで選手の寿命が延び、今では40代の選手も珍しくはない。これに対して、コーチや監督の寿命はそれほど延びていないから、引退後の選手が”再就職”するポストがどの球団でも不足している。中日は、監督とヘッドをともに70代にすることで、70代でも指導者として生きる道があることを明確にしたかったのではないかとも思う。

 もちろん、引退した選手の生活の面倒を見る義務など球団にはない。中日OBで固められた今回の人事に関しては、外様を中心に組閣した落合氏に対する中日OBの反発に球団側が配慮したという図式では捉えたくない。そうではなく、現場をよく知る好奇心と、自分の持つ野球理論を常に更新し続ける努力があれば、高齢の監督やコーチだって十分にやっていけることを中日は示したいのではないだろうか?そして、この球団側の”采配”は実のところ、何年か経って60代中盤に差し掛かった落合氏が監督に復帰し、第2次長期政権を敷くための布石なのではないかと考えるのは行き過ぎか?
 自分のためにならない欠点や悪癖があれば、直してやるのが指導者の役割だ。しかし、打者出身の私は、シュート回転する投手と出会った時、こんなふうに考えたりする。「このシュート回転するストレートを武器にする手はないだろうか」

 フォームを微調整すればシュート回転しなくなる。だったら、そう仕向けてやるのが選手のためかもしれない。ただ、指の長さや太さが原因でシュート回転するのなら直しようがない。指を長くするわけにはいかないのだから。それに、どこかひとつの欠点を直すということは、肝心の長所まで消してしまう恐れがあるということを、私は現役時代から何度も見てきている。
 私も評論家活動をしていた1999年からの5年間は、12球団すべてのキャンプ地に足を運んだ。キャンプも見ずにあれこれ書くのは失礼だと思っていたし、何よりも自分の目で情報を収集しなければメディアで話すことも書くこともできない。そして、実際に現場に足を運べば勉強になることがいくつもあった。「プロだから見なくてもわかる」という人もいるようだが、私自身は「プロだからこそ見なければわからない」ものだと実感した。プロだから見なくてもわかると言う人は、自分が経験した野球で時間が止まっている。
 守備の名手をあえてコンバートした大きな理由のひとつは、井端と荒木の守備に対する意識を高め、より高い目標を持ってもらうためだ。若い選手はプロ野球という世界に”慣れる”ことが肝心なのだが、数年にわたって実績を残しているレギュラークラスの選手からは、”慣れによる停滞”を取り除かなければいけない。
 「チームリーダー」という”亡霊”が、選手個々の自立心を奪うことがある。最近の若い選手は、巷でチームリーダーと言われている選手に敬意を表し、「あの人についていけば」とか「あの人を中心に」といった発言をするが、それが勝負のかかった場面での依存心になってしまうケースが多い。「僕はあの人のようにはなれません」などと謙遜しているのを見ると、厳しい勝負の世界で生きていけるのだろうかと老婆心が覗いてしまう。
 「毎シーズンAクラス(3位以上)に入れるチームを作ることができた要因は何ですか?」そう問われた時、私が唯一はっきりと答えられるのは「選手時代に下積みを経験し、なおかつトップに立ったこともあるから」である。
 今の時代の若い選手に教えておかなければならないのは、「自分を大成してくれるのは自分しかいない」ということだ。「100回バットを振ったヤツに勝ちたければ、101回バットを振る以外に道はない」という大原則と、自己成長力の大切さを認識すること。まずは、そこがスタートラインになる。
 2003年10月8日に監督に就任後すぐに視察した秋季キャンプ。私は、全選手に対してメッセージを送った。「来年2月1日のキャンプ初日には紅白戦を行います」 私としてみれば、「新監督の謎めいたメッセージ」によって、選手たちが12月から1月の2ヶ月間、常に野球のことを考え、自分なりの準備に取り組んでくれればよかった。何を隠そう、それが誰からも押しつけられたものではなく、自分自身で自分の野球(仕事)を考える第一歩だからだ。

 果たして、2004年2月1日に紅白戦を実施すると、選手たちはすぐにペナントレースが開幕しても戦える状態に仕上げてきた。そして、「いつでも本番で戦える」状態でキャンプを始めれば、実際の開幕までには、さまざまな練習に取り組むことができると気づいたはずである。
 プロ野球選手なら、ましてや自分がその先輩の残した記録に迫っているのなら、たとえ同じ時期にプレーしていなくても、すでに鬼籍に入られた方であっても、どんな選手だったのかぐらいは知っておくべきではないか。大袈裟かもしれないが、歴史を学ばないということは、その世界や組織の衰退につながるとさえ思う。

 どんな世界でも、その中で仕事をするのなら、その世界や組織の成り立ちから謙虚に学び、先輩たちが残した財産を継承していく姿勢が大切なのではないか。歴史を学べば、それを築いてきた先輩たちが何を考え、どんな業績を残したのかもわかる。成功例だけではなく、失敗例もいくつもあるはずだから、歴史を学ぶことは、同じような失敗を繰り返さないことにもつながるはずだ。
 控えに甘んじ、いつまでも年俸の上がらない選手が「監督を慕っている」という話は聞いたことがない。同じように、100人の社員が100人とも「ここはいいな」と感じている職場などあり得ないのではないか。組織の中には、いい思いをしている人とそうでない人が必ず混在している。ならば、職場に「居心地のよさ」など求めず、コツコツと自分の仕事に打ち込んでチャンスをつかむことに注力したほうがいい。運やチャンスをつかめる人は、このことをよくわかっている。
 技術、仕事の進め方というものには「絶対的な基本」がある。しかし、「絶対的な方法論」はない。より正確に書けば、野球の世界で、勝つため、技術を高めるための絶対的な方法論はまだ見つかっていない。だから、新人にアドバイスする場合に気をつけなければいけないのは、どこまで基本を理解しているかを感じ取り、足りない知識があれば伝えてやること。つまり、あくまで基本の部分に関してコミュニケートすることなのだ。

 ところが、有望な新人が自分と似たタイプだと思い込んだコーチや先輩は、早く一人前になってほしいという親心で、その先の方法論の部分にまで言及してしまう。まだプロの水にも慣れておらず、一方で「言われたことはしっかりやらなければ」と思っている新人にそれをやってしまうと、大概は自分の形、すなわちドラフト1位に選ばれた最高の要素を崩してしまう。
 現在は、色々な意味で「我慢の時代」だと感じている。新たな事業に多額の投資をしていくよりも、これまでの時代の流れを振り返りながら現状を維持する努力を続け、チャンスが訪れたと感じた時に攻める姿勢で前に進めるか。力を蓄えておく時期ともいえる。そしてチャンスが訪れたその際に、即座に陣頭指揮を執れるリーダーを育てておくことも必要だろう。そこで理解しておかなければならないのは、どんなに強いリーダーにも、試行錯誤した時期があったということだ。次代のリーダーになろうとしている人たちを、昔の人と比較してばかりいたらリーダーは育たなくなってしまう。

 これからは、どんな世界でもリーダー候補者に対してもっと温かい目で見てもいいのではないか。いやせめて、「お手並みを拝見してみようか」という視線を向けるべきではないか。少なくとも、何もしていないうちから「彼にはできない」と見るのだけはやめたほうがいい。