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August 01, 2011

気がついたら30歳になっていたよ

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 8月1日で30歳になりました。いよいよ30代!というほどの実感がまだないのが正直なところかな。

 思い返してみると、新卒でSIerに入社した頃は、29歳のプロジェクトマネジャーの姿をずっと見ていたので、「30歳になるまでには、あの人のように数十人の開発メンバーを抱えるプロジェクトチームのマネジャーになりたい」と思っていました。でも、その会社は1年ちょっとで退職してしまったから、その目標は達成できず。

 その後、転職してベンチャー系のコンサル会社に入った時は、30〜32歳ぐらいのマネジャーたちが、コンサルティング案件を自分で受注して自分でマネジメントする、なんてことをやっていたので、「30歳になるまでには、あの人たちのようにマネジャーになって、営業も案件マネジメントもできるようになりたい」と思っていました。これは部分的に達成できたかな。一応、小っちゃいコンサル案件なら、いくつか自分で受注して自分でマネジメントしてきたから(まぁ、実作業もほとんど自分でやらなければならないくらい、小さな案件でしたが・・・)。

 ただ、節目の30歳をよもや個人事業主として迎えることになるとは。本当に人生というのは解らないもんですよ。いくら計画を立てても、いろんな偶然が重なって、思い通りにはならないもの。でも、その偶然もおそらくは何らかの意味を持っていて、今の自分を形成しているんでしょうな。クランボルツ教授が言うところの「計画的偶発性」っていうやつですか。

J.D.クランボルツ
ダイヤモンド社
2005-11-18
posted by Amazon360
 計画を立てても絶対にその通りにはならないと解っていながら、せっかくの節目なので多少は今後の展望を描いてみることにしよう。日本におけるキャリア研究の第一人者である金井壽宏先生も、キャリアをデザインする時期の1つとして「年代の節目」を挙げていることですし。

posted by Amazon360
 実は、去年の誕生日にも、同じように将来の展望をデザインしていました。その記事がこれ。

 29歳の誕生日に「自分がやりたいこと」を再整理してみる(前半)
 29歳の誕生日に「自分がやりたいこと」を再整理してみる(後半)

 改めて読み返してみると、こっ恥ずかしいことも書いているな(苦笑)。前半の記事にある(1)「ビジネスパーソンがマネジメントとリーダーシップを身につける学習機会の提供」と、後半の記事にある(2)「組織学習の実態の解明と組織学習の方法論の精緻化」については、今でも変わっていない。というか、(1)と(2)に関しては、より強い気持ちというか、「自分がやらないといけない」という変な使命感みたいなものが胸中にあります。多分、私のライフワークはこれになるんだろうな、という気がしています。もっとも、今の個人事業主のままでは限界があるから、やり方を考える必要があるんですけどね。

 率直に言えば、マネジメントだのリーダーシップだのとごちゃごちゃ言わずに、「いい仕事をして、人生を楽しむ人たちを増やしたい」というのが私の本音なわけです。私の限られた人脈の中で感じたことですが、「いいアイデア」を持っている人というのは、結構そこらじゅうにいらっしゃる。でも、組織のしがらみとか、昔からの慣習とか、非効率な業務とか、無意味なルールとか、既得権益の存在とかによって、アイデアが埋もれたり潰されたりしているわけ。

 そういう現状を打破して、価値の低い仕事から価値の高い仕事へとシフトする人が増えれば、社会にとっても有益だし、本人にとってもいいことである違いない。単純にそれだけ。でも、すごく重要なことだと思いますよ、私は。

 後半の記事にある(3)「グローバル人材を育成する仕組みの追求」については、「何でこんなことを書いてしまったんだ・・・」と後悔しています。アフリカとか、どっから出てきたんだろう??もちろん、何かのきっかけで本当にそういう機会が訪れる可能性がゼロとは限らないですがね。でも、あまりに突飛だったな。

 それよりも、最近興味がある、というか真面目に向き合わなければいけないと感じているのが、やはり中国とインドという2つの大国ですね。どちらの国も、日本の歴史や文化とは切っても切り離せない関係にある。インドは仏教を伝えてくれた国だし、中国と日本の歴史的な接点の多さについては言うまでもない。けれども、インドのことは、知っているようで実はあまり知らないし、中国は儒教の国でありながら共産主義のせいで社会全体の価値観がちょっとおかしくなっている。

 私の持論に、「その国の歴史や文化、宗教や社会的価値観は、マネジメントやリーダーシップのあり方に影響を与えている」というのがあります。最近は、中印の企業経営の特徴を社会科学的な視点から紐解き、日本の企業経営との相違点を明らかにしてみたい、と思うようになりました。これは壮大なプランですが、もしこのプランがうまくいけば、日本企業が中印の企業を深く理解することができるでしょうし、また日本企業が彼らとどのように競争し、あるいは協業すればよいのかが見えてくるように思えます。

 最後の(4)「効果的なBtoBマーケティングの実践」については、会社を辞めてしまったので、実践の機会そのものがなくなってしまいました(汗)。ただ、将来的に今の事業を法人化することができたら、再び取り組みたいテーマであることは間違いないですね。
May 01, 2008

呉子の教えを企業に持ち込んでみる

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 春秋戦国時代の兵法書『呉子』には次のような一節がある。
 将の慎むところの者は五つ。一に曰く理、二に曰く備、三に曰く果、四に曰く戒、五に曰く約。理は衆を治むること寡を治むるがごとし。備は門を出でて敵を見るがごとし。果は敵に臨みて生を懐わず。戒は克つと雖も始めて戦うがごとし。約は法令省きて煩ならず。
(『呉子』論将篇)

【訳文】 将軍が慎むべき要素は、五つある。一に理、ニに備、三に果、四に戒、五に約である。理とは大勢の兵員を治めること、少数の人間のごとく、統率のとれること。備とは、門を出たらそこには敵が待ち構えているというような、備えを欠かさないこと。果とは、敵に面と向かった時、生きのびようなどと考えず戦う果敢さ。戒とは、勝利を得たあとでも、まだこれから戦うような初心を忘れぬ自戒の心。約とは、軍令を細かく定めて、がんじがらめに縛るのではなく、省けるものは省き、煩雑にしないこと。
(渡辺精一著『朗読してみたい中国古典の名文』祥伝社、2007年)

 これを企業に当てはめてみるとこんな感じか?

 どんなに社員が多くても、まるで少数の社員のように統率の取れた組織にすること

 市場には至るところに競合がいる、業界にはあらゆる変化が起こりうるというつもりで戦略を練ること

 競合と対峙したとき、だらだらと消耗戦を続けるのではなく、徹底抗戦するのか、別の戦略を実行するのか、潔く撤退するのか、明確な行動をとること
(※企業の場合は、徹底抗戦だけが選択肢ではない点が呉子の教えと異なる)

 シェアの拡大、売上・利益の増加などといった成果が上がったあとでもそれに安心することなく、常に新規参入者のつもりで自らを律すること

 組織内の規則やルールはできるだけシンプルにすること

 これがマネジメントの全てであるとは思わないが、非常に重要な原則であることは間違いない。
April 17, 2006

【ミニ書評】『BRICs 30億人市場の近未来(DHBR2006年5月号)』

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Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 05月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2006年 05月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2006-04-10

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 DHBRでは年に一度ほど諸外国の特集が組まれる(昨年は5月号で中国が特集され、大前研一氏が論文を寄稿している)ようだが、今年はBRICsが取り上げられている。

《収録されている主な論文》
 制度分析で読み解くBRICs攻略法(タルン・カーナ、クリシュナ・G・パレプ、ジャヤント・シンハ)
 BRICsに進出しようとする企業は、(1)政治制度と社会制度、(2)経済の開放性、(3)製品市場、(4)労働市場、(5)資本市場の5つの観点から十分な制度分析を行うべきだと提唱する。内容そのものは戦略論の外部環境分析とさほど違いはない。しかし、BRICsに進出する際にはどうしても市場規模の大きさ(特に中国とインド)という魅力ばかりに目を奪われてしまう。こうした勇み足に対する警告を発する論文。

 ブラジル市場の光と影(マリオ・アルメイダ、ハイメ・マトス)
 ブラジルはBRICsの中で最も外資に寛容であると言われる。消費者もグローバル・ブランドの製品を好んで購入する傾向がある。そのため、ブラジルへ進出するグローバル製造業は成功することが多い。しかし、高金利、非効率な株式市場、不平等な金融機関(ほぼ間違いなく地元企業への融資が優先される)が事業の成長を損ねる可能性がある。

 ロシア・ビジネスの十戒(エレナ・エフグラフォワ)
 インドや中国に比べると、ロシアの情報量は圧倒的に少ない。しかし、筆者(ロシア人)によると、ロシア人は「底抜けに楽天的」で、「ウィン・ウィンに無頓着」であり、「ゼロサム志向」が強いらしい。こうしたロシア人の気質を理解することがロシア進出を成功させる一つのカギとなる。ただ、旧共産圏の国家全般に言えることだが、ロシアにおける賄賂の横行ぶりや政府の過剰な介入(嫌がらせ?)はすさまじい。こうした問題にも適切に対処する必要があると筆者は主張する。近隣諸国との政治的緊張や、急速に進む少子化に関する言及がなかったので、ちょっと物足りない。

 インドの成長力は本物である(アルン・クマール・ジャイン)
 今や知識産業国家となったインドだが、25歳以下の人口が人口全体の約半分を占め、国内に10億人もの巨大な市場を抱えていることを考えると、まだまだ成長は続きそうである。かつて、途上国は先進国に原材料や農作物を輸出して外貨を貯め、先進国から最終製品を輸入するという図式が一般的であり、このプロセスを通じて先進国の仲間入りをしてきた。ところが、インドはその段階をすっ飛ばしていきなり知識産業に投資し、爆発的な成長を遂げた点で、新しい経済発展のパターンであると言える。

 中国人社員のやる気を引き出す法(顔傑華)
 中国人と日本人の気質には類似点が多い。しかし、中国に日本企業が進出しても、高評価を得られるのは製品品質のみで、働き甲斐のある職場となると日本企業の評価は一気に下がる。中国人は欧米企業の経営手法を好んで取り入れ、日本的経営には難色を示している。事実、終身雇用よりも成果主義的な報酬体系の方が中国人には受けがいい。日本企業も欧米型の給与体系にすべきだと忠告する。会社においても家族的な絆を重視する中国人が、過度の個人主義に走りがちな成果主義を好むというのは、何とも不思議な話である。ひょっとしたら、成功している中国企業の中には、”個人主義に走り過ぎない”成果主義をうまく設計・運用しているところがあるのかもしれない。