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April 26, 2012

オープンブック・マネジメント(OBM)の事例と導入時の注意点

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 以前の記事「オープンブック経営(Open-book Management: OBM)」への補足。同記事では、オープンブック・マネジメントは中小企業ほど成功しやすいと書いたものの、改めて考え直してみると、中小企業であっても、社員が財務諸表の各項目と自分の仕事を結びつけて考えることは容易ではないだろう。例えば、製造現場の社員たちに「売上原価」の数字を見せて、「原価を下げる方法を考えてほしい」とお願いしても、アイデアは思いつくだろうが、話が大きすぎると感じるに違いない。社員にとって関心があるのは、原価の総額というよりも、自分が担当している工程で使用する材料のコストや工程のリードタイム、歩留まり率、仕掛品在庫の量などである。

 言ってしまえば、財務諸表の項目は少なすぎるのであり、複数の社員の仕事の成果をまとめた数字にすぎないため、一人ひとりの仕事の実態からはどうしても遠くなってしまうのである。指標に対する責任を社員に負わせるのであれば、その指標は社員が直接コントロールできるものでなければならない。先ほどの製造現場の例で言えば、各工程の材料費、リードタイムなどの情報まで開示した上で、その改善策を各社員に検討させるべきなのである。

 オープンブック・マネジメントの解りやすい導入事例が『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2012年5月号に掲載されていたので、やや長いが引用しておく(グレッチェン・スプレイツァー、クリスティーン・ポラス著「社員のパフォーマンスを高める 幸福のマネジメント」より)。
 数々の食品関連事業を展開するジンガーマンズ・コミュニティ・オブ・ビジネシズは、情報の透明性をとこと追求している。かねてから同社は、意識的に経営数字を伏せたことはなく、財務情報を社員向けに掲示していた。しかし共同創業者のアリ・ワインツワイグとポール・サギノーは1990年代半ばにオープンブック・マネジメントを学び、「数字を目の当たりにすれば、社員たちはもっと高い関心を示すはずだ」と考えるようになった。

 実のあるオープンブック・マネジメントを正式に取り入れるのは容易ではなかった。数字をガラス張りにしても、社員たちにとっては注意を払う理由などほとんどなく、自分の日常業務とどう関係するのかもピンと来ないようだった。

 最初の5、6年は、オープンブック・マネジメントを自社の流儀や習慣として何とか根づかせ、「額を集めての苦行」の意味を社員らに理解してもらおうと四苦八苦した。毎週、皆でホワイトボードを囲むようにして業務成果を確かめ、数字を記録し、自習の数字を予測する。社員はオープンブック・マネジメントのルールは飲み込んだが、当初は「ただでさえ忙しいのに、なぜこのうえさらに会議をするのか」と首をひねった。

 経営層が問答無用で会議を強制するとようやく、ホワイトボードを使う本当の目的に気づいてくれた。ホワイトボードには、財務数字だけでなく、サービスや商品の品質指標、客単価、社内満足度などが記されていた。「お楽しみ」という項目もあり、その内容は週次のコンテスト、顧客満足度ランキング、社員のイノベーション・アイデアなど、実に多彩だった。

 一部の事業部門は「ミニ・ゲーム」を取り入れた。問題を解決したり、事業機会をうまく活かしたりした時には、臨時のインセンティブを与えるのである。たとえば、ジンガーマンズ・ロードハウスという傘下のレストランでは、来店者へのあいさつを競うゲームを実施した。

 あいさつを怠ると顧客満足度は下がり、応対の遅れを埋め合わせるために往々にして一品サービスするはめに陥ってしまう。このゲームは給仕を対象に行い、50営業日連続で「すべての担当顧客に、着席から5分以内にあいさつを済ませる」(※)というルールを守ったら、ささやかなボーナスを支払うことにした。給仕たちは奮起して、サービスの不行き届きにはすぐに目を留めて対処するようになった。

 1ヶ月の間にサービス指標は大きく跳ね上がった。ジンガーマンズの他の事業部門や店舗もこれと似たようなゲームを導入して、迅速な配送や、ベーカリーでの刃物による怪我の減少(これは医療保険料負担の節減につながる)、厨房の整理整頓などを達成すると、インセンティブを出した。
(※)「5分以内のあいさつ」では遅すぎるのでは??と思うが、これはアメリカと日本でサービスに対する顧客の期待水準が違う(日本の方が要求が厳しい)ため、ということにしておこう。

Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2012年 05月号 [雑誌]Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2012年 05月号 [雑誌]

ダイヤモンド社 2012-04-10

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April 27, 2010

IFRSで経理・情シス・ユーザ部門・会計士・ITベンダー皆てんてこ舞い

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ダイヤモンド社
2009-09-30
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一般知識としてわかりやすい

小澤 善哉
東洋経済新報社
2010-01-29
おすすめ平均:
決算書から入る
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 IFRS(国際会計基準)がいよいよ日本にもやってくるということで、とりあえず解りやすそうな解説本から手をつけてみた。IFRSで一番変わるのは利益の概念。今までの「当期純利益」に代わって「包括利益」が導入される。
包括利益=‥期純利益+⊂数株主損益(税引き後)+0拌愆校残汗梓定+で金債務調整額+ヌぜ存粛価証券損益+μぜ存愁妊螢丱謄ブ損益
 ⊂数株主損益:子会社の親会社以外の株主に帰属する損益(少数株主損益)を差し引かずに計上する。

 0拌愆校残汗梓定:IFRSでは子会社の株式は取得時レートで、資産や負債は期末日レートで換算し、収益・費用は取引日レートで換算する。現在の日本基準は、子会社についてはIFRSと同じだが、収益・費用は期中平均レートか期末日レートで換算するため、IFRSとは差が生じる。

 で金債務調整額:退職給付債務から年金資産を差し引いた額、つまり未積立額の当期変動分を計上。日本企業の年金資産は、想定していた利回り(5%程度)よりも低いリターン(2%程度)しか得られていないため、積立不足に陥っているケースが多い。これが損益として計上されると、大幅に利益が減少する企業が続出する。

 ヌぜ存粛価証券損益:現在の日本基準でいうところの「その他有価証券の評価損益」の変動額を利益計上する。簡単に言えば、貸借対照表に隠れていた含み損益が包括利益として見える化される。

 μぜ存愁妊螢丱謄ブ損益:リスクヘッジのために所有しているデリバティブの評価損益の変動額。日本基準でいえば、資本項目の繰延ヘッジ損益の変動額にあたる。

 包括利益導入の背景には、昨今の金融危機の教訓や、企業年金制度の欠陥を補う目的があるのだろう。今まで貸借対照表に隠れていた含み損がある日突然損益計上されて、企業が破綻に追いやられるケースがここ数年で相次いだ。包括利益は各期の含み損益の変動も計上されるから、企業のリスクがより明確に把握できるようになると思われる。

 上記以外にもいろいろ変更点があるし、まだIASB(国際会計基準審議会)で検討中の論点もあって、門外漢の私が説明すると間違った情報を与えかねないので、公認会計士などの専門家に聞くか、本を買うか、ITproなどのサイトを見ることをお勧めします…。

 ダイヤモンドの特別版は、上場企業各社の決算を包括利益ベースで計算した場合に、実際の純利益とどのくらいの差が出るかを試算し、差額をランキング化している。このあたりはやっぱさすがダイヤモンドだなぁ。包括利益ベースだと、トヨタ自動車は約9,000億円、三菱UFJフィナンシャルグループは約1兆5,000億円も利益が減少する。トヨタは2009年3月期の当期純利益が▲4,369億円で慌てふためいていたが、それどころの騒ぎじゃなくなる。これ以外にも、大半の上場企業は包括利益ベースになると軒並み利益が減少してしまい、ランキングを見ていると寒気がするよ。

 一方、『ひとめでわかるIFRSと新決算書』は、ダイヤモンドの特別版よりももう少し詳しい内容まで踏み込んでいて、新しい決算書類

 「財政状態計算書」(従来の貸借対照表)
 「包括利益計算書」(同:損益計算書)
 「キャッシュフロー計算書」(これ自体は変わらないが、税引き前当期純利益から計算をスタートする「間接法」が廃止され、収入・支出を項目別に詳細に記述する「直接法」に統一される)
 「所有者持分変動計算書」(同:株主資本等変動計算書)

が実際にどのようなものになるのか例示されている。

 ところで、このIFRS対応はどのくらいのインパクトがあるのだろうか?ダイヤモンドの特別版は、
 (IFRSの影響は)社内のあらゆる部署に影響が及ぶ。そのインパクトは内部統制のときの比ではない。(中略)導入コストも大企業で数億円レベルから、システム更新を考えると数十億円かかるともいわれており実態はよく見えない。
と煽り立てている。あんなに大変だったJ-SOX対応を上回る工数とコストが必要なのか?と企業側のため息が聞こえてきそうだ。

 twitterでもIFRSの話題はとても盛り上がっている。とにかく、真っ先に影響を受ける経理・情シスと会計士・ITベンダーは皆あたふたしているのが伝わってくる。やがてこの混乱はユーザ部門にも飛び火するだろう。「IFRS導入の影響は内部統制の比ではない」というのは当たり前で、会計基準が変われば内部統制で作成した社内規定も改訂しなければならないし、会計システムやそれと連動する各種システムだってあちこち変更する必要がある。

 IFRSをめぐる混乱を見た金融庁は、4月23日に「国際会計基準(IFRS)に関する誤解」という文書を発表して、市場の不安を緩和させようとした。だが、「情報システムの全面改訂は必ずしも必要ではない」という一文をとっても、そんなのは各企業のさじ加減一つでいくらでも変わる話だから、かなり微妙だ。

 会計システムが変わるとなれば、喜ぶのはIT業界だろう。大和証券キャピタルマーケッツは「IFRS特需は3年間で約1兆円」という見通しを公開している。IFRS対応は大変だけど、ここ数年でIT投資が落ち込んだ分を取り戻すには絶好のチャンスだ!と目論むITベンダーも多いに違いない。

 だけれども、私個人としては、(内部統制の時もそうだったが)こういう一過性の特需ってあまり望ましいものとは思えないんだよね。クラウドとか中長期的に間違いなく爆発しそうだという潜在マーケットがいくつもあるのに、足元の特需対応に人員をとられてしまう。果たしてそれがITベンダーの将来にとっていいことなのか?と問われると、ちょっと首をかしげざるを得ないかなぁ。
October 30, 2009

イケアのシャトルバスのROI??

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 今日は休みをもらったので、港北のイケアに行ってきた。新横浜駅からイケア行きのシャトルバスが30分おきに出ている。このバスってきっと横浜のバス会社に業務委託しているんだろうな。平日の15時ごろという中途半端な時間に行ったのだが、バスは満員。いつもこんな感じなのだろうか?

 バス停からイケアまでは約20分。ってことは、新横浜−イケア間を1往復すると大体1時間ぐらいか。運転手の人件費に、バスの減価償却費やメンテナンス費用なんかを足して、業務委託のマージンを上乗せしたとしても、おそらくイケアがバス会社に支払うコストは1運行あたり1万円いくかいかないかの線だろうね。

 バスの乗客数は20人前後。イケアに車で行かずにバスで行く人はそれほど大量に商品を買えないので、おそらく平均単価は低めだろうが、それでも小物やなんやらで1人あたり5,000円買い物してくれれば10万円の売上が立つ。売上に占めるバス関連のコストは約10%となって、粗利益で十分にカバーできるって訳か(ニトリの粗利率が2009年2月期決算で51.6%だったことを考えると、イケアの粗利率もそれと同等か、もっと高いと思われる)。

 個人的には、レジを過ぎた後に50円のソフトクリームを買うのが好きだ。