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June 06, 2012

《要約》『戦略サファリ』―ミンツバーグによる戦略の10学派(7.パワー・スクール)

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ヘンリー ミンツバーグ ジョセフ ランペル ブルース アルストランド Henry Mintzberg

東洋経済新報社 1999-10

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 社内政治や権力行使、利害関係者間の調整など、パワーを通じた戦略形成を研究しているのがパワー・スクールである。パワースクールも第5学派のコグニティブ・スクールと同様、さらに2つの流派に分かれる。すなわち、「ミクロ・パワー」に焦点を当てる流派と、「マクロ・パワー」に焦点を当てる流派である。「ミクロ・パワー」とは、組織の内部における非合法的、あるいは完全には合法的ではないパワーを指す。

 これに対して「マクロ・パワー」とは、組織が行使するパワーである。これには、倒産寸前の企業が政府に対して貸付保証を迫る、といったことも含まれる(リーマン・ショック後に、アメリカのビッグ・スリーの経営陣が政府の支援を求めて自家用ジェット機で駆けつけ、ワシントンどころか全米の顰蹙を買ったことを思い出した)。マクロ・パワーの流派は、自社の利益を追求して他の組織と衝突したり、あるいは協力したりする、といった組織の行動を考察する。

 ミンツバーグによれば、ポジショニング・スクールのマイケル・ポーターは、基本戦略においてパワーや政治という言葉を使っていないものの、その考え方の中にパワーの概念が含まれているという。これは確かに共感できるところであり、ファイブ・フォーシズ・モデルから導かれた、業界内の各プレイヤーに対する戦略的打ち手は、相手を打ち負かして自社の利益を拡大するという、政治的な側面を含んでいるものである(以前の記事「社会的ニーズの充足を通じて経済的価値を創造する(1)―『戦略と競争優位(DHBR2011年6月号)』」を参照)。

【第7学派:パワー・スクール】
<代表的な論者・理論>
(1)【ミクロ・パワー】グレアム・アリソンの「政府内の政治モデル」(キューバ危機の研究)
(2)【ミクロ・パワー】M・N・ザルド&M・A・ベルガーの「政治ゲーム」(組織内の特定個人・集団は、クーデター、造反、マス・ムーブメントという3つの政治的行動をとる)
(3)【マクロ・パワー】J・フェッファー&G・R・サランシクの「組織による外的コントロール」(外部環境に対して、組織の方から適応することもあれば、組織の能力に適合するように外部環境を変えることもある。前者はこの後で紹介するエンバイロメント・スクール、後者はパワー・スクールにおけるマクロ・パワーの基礎をなす)
(4)【マクロ・パワー】R・E・フリーマンの「ステークホルダー戦略策定プロセスモデル」(ステークホルダーの利害、自社への態度[敵対的/協力的]などを分析し、ステークホルダーに対する戦略を選択する)
(5)【マクロ・パワー】グレアム・アストリーの「集合的戦略」(サプライヤ、競合他社、顧客など、自社のビジネスを形成するネットワークのメンバー間における戦略形成を取り扱う。組織は複雑な相互作用に対処するために、集合的レベルで戦略を開発する必要があるとし、これからの戦略形成では、「コンペティション(競争)」より「コラボレーション(協創)」が中心になると説いた)
(6)【マクロ・パワー】A・M・ブランデンバーガー&B・J・ネイルバフの「コーペティション(協合)」(競合同士が協力的契約を結ぶことで競争を排除する、あるいは競争を減少させて市場をともに獲得する、など)

決定の本質―キューバ・ミサイル危機の分析決定の本質―キューバ・ミサイル危機の分析
グレアム T アリソン 宮里 政玄

中央公論新社 1977-01

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コーペティション経営―ゲーム論がビジネスを変えるコーペティション経営―ゲーム論がビジネスを変える
バリー・J. ネイルバフ アダム・M. ブランデンバーガー Barry J. Nalebuff

日本経済新聞社 1997-02

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<特徴>
(1)戦略形成は、パワーと政治によって形作られる。たとえ組織内のプロセスであっても、あるいは外部環境における組織自体の行動であっても同様である。
(2)このようなプロセスから生まれる戦略は、創発的である場合が多く、パースペクティブというよりは、ポジションやプロイ(策略)という形態を取る(J・フェッファー&G・R・サランシクが紹介している戦略の中には、ポジショニング・スクールで見た戦略と全く同じものが含まれている)。
(3)ミクロ・パワーは、政治ゲームという形態の中での説得や交渉、時には直接対決を通じた相互作用の結果として戦略形成を捉えている。つまり、ミクロ・パワーが発生するのは、偏狭な利害関係や一時的な提携関係の中でのことであり、どんなに重要な時期にあっても、誰も優位に立てないような状態のことである。
(4)マクロ・パワーでは、組織が自らその繁栄のために、他の組織をコントロールしたり、協力したりする。これは、様々なネットワークやアライアンスにおける集合的戦略によって達成される。

<功績>
(1)現実の世界では、戦略形成とパワーや政治は切っても切り離せない関係にある。他の学派が目を向けなかったパワーや政治にフォーカスした点で、この学派は非常に意義がある。
(2)特に、マクロ・パワーは「大規模な成熟化した組織」において、ミクロ・パワーは「複雑で非常に分散化した専門的組織」で見受けられることを発見した。
(3)戦略的な変化を促進する際の政治の重要性を強調している。現状維持を望んでいる既存の関係者グループの対立が不可避であることを示している。

<問題点>
(1)リーダーシップやカルチャーといった、戦略の統合を図る力の役割が軽視されている。
(2)戦略それ自体の概念についても、亀裂や分裂に対して注意を払いすぎるために、実際に形成される戦略パターンを、対立的な状況の中で見過ごす可能性がある。
(3)政治は、組織において肯定的な役割を果たすこともあるが、多大な損害と歪みをもたらすこともある。
(個人的には、(3)はこの学派の問題というよりも、政治そのものに内在する問題であるように思える)

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 《10学派一覧》
 第1学派:デザイン・スクール
 第2学派:プランニング・スクール
 第3学派:ポジショニング・スクール
 第4学派:アントレプレナー・スクール
 第5学派:コグニティブ・スクール
 第6学派:ラーニング・スクール
 第7学派:パワー・スクール
 第8学派:カルチャー・スクール
 第9学派:エンバイロメント・スクール
 第10学派:コンフィギュレーション・スクール
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