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   新ブログ 谷藤友彦ー本と飯と中小企業診断士
March 13, 2012

オフィス・エボルバーのビジョン(ドラフト)の補足(1)

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 昨日の記事「創業半年超でようやく形になりつつあるオフィス・エボルバーのビジョン」で、オフィス・エボルバーのビジョンの草案を紹介したが、言葉の裏にある私なりの意図をいくつか補足しておこうと思う。まぁ、ひと言で言えば、前の会社でできなかったことを言葉にした、ということになるんだけどね。

 【目的】
 私の問題認識は、「現在のビジネスには大小様々な無駄が多い」という点から出発している。このブログでも時折言及しているけれども、例えば、

 ・「車を買わなくなった若者のお金はどこに流れているのか?」では、大多数の自動車が4人乗りを前提に設計されているのは変だと暗に指摘した(もっとも、最近はスズキや日産が2人乗り自動車の開発・販売に乗り出している)。

 ・「『その課題を解決できるのは自分だけ』という思いが使命感になる(2)―『MBB:思いのマネジメント』」では、アパレル業界の供給過剰とそれに伴う人的リソースの浪費を辛口に批判した(ただ、これは私の観察に基づく批判なので、業界内では数的かつ論理的な根拠があって、出店数や販売員の人数を決めているのであれば謝ります…)。

 ・「薬局はもっと大規模組織化してもいいんじゃないか?」では、「医薬分業」により小規模薬局が増殖し、薬の処方業務がかえって非効率になったのではないか?と問題提起した。なお、記事では書かなかったが、過剰な小規模薬局は、ジェネリック医薬品の普及の足かせになっている可能性もある。利幅が小さいジェネリック医薬品を製造する製薬メーカーは(その多くは中堅メーカーである)、薄利多売のビジネスを成立させるために、一度に大量の医薬品を薬局に販売しようとする。ところが、小規模薬局にはそれだけの在庫を保管するスペースがないから、ジェネリック医薬品の扱いに消極的にならざるを得ないと推測される。

 ・「【第17回】プロセスの時間を大幅に短縮する(2)―ビジネスモデル変革のパターン」では、通信キャリアに踊らされて、回収見込みが低い新機種の開発に毎年何百億円もつぎ込まなければならないメーカーの実情を嘆いた。

 上記の例は、最終的な製品やサービスの提供に一応つながっている分だけまだマシな方である。企業の中には、組織の複雑化に伴う社内調整、私利私欲に駆られた派閥争い、記録することが目的と化している事務作業、いつまでも結論が出ない会議、形だけのイベントなど、製品やサービスにすらつながらない業務が散在している。ちょうどこの記事を書いている時に、並行して連載モノの【ドラッカー再訪】企画で『創造する経営者』を読んでいたところ、ドラッカーが似たような話をしているのを発見した(『創造する経営者』のレビューは4月にアップする予定)。
 業績の90%が、上位の10%(の顧客、製品、営業部員など)からもたらされるのに対し、コストの90%は、業績を生まない90%から発生する。言い換えると、業績とコストは関係がない。すなわち業績は利益と比例し、コストは作業の量と比例する。

 資源と活動のほとんどは、業績にほとんど貢献しない90%の作業に使われる。すなわち資源と活動は、業績に応じてではなく、作業の量に応じて割り当てられる。その結果、高度に訓練された社員など、最も高価で生産的な資源が、最も誤って配置される。大量の仕事を処理していかなければならないという現実と、困難な仕事には一種の誇りが伴うという心理が相まった結果である。

創造する経営者 (ドラッカー名著集 6)創造する経営者 (ドラッカー名著集 6)
ピーター・F・ドラッカー 上田 惇生

ダイヤモンド社 2007-05-18

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 この手の話はおそらく、どの業界にも多かれ少なかれ存在するものだと思う。こうした色々な無駄のせいで、本来なすべき仕事に人材を集中させることができていないのではないか?というのが個人的な実感だ。

 ビジネスの基本は、「売れるモノを、売れる量だけ提供する」(もう少し厳密に書けば、「売れる確率が高いモノを、売れる見込みが高い量だけ提供する」)という、至ってシンプルなものである。ところが、「他社もやっているから」という安易な追随や、「競合よりも我が社の方がたくさん売れるはずだ」という過度な楽観主義によって、自ら過当競争を創り出し、自分で自分の首を絞めてしまうケースがある。または、「今の経営陣が昔やっていた事業だから」、「我が社の成長を支えた製品だから」という過去への固執によって、現在の状況とはかけ離れた仕事を続けているケースもある。

 これらのケースは、「売れるモノを、売れる量だけ提供する」というビジネスの基本からは逸脱している。そして、そういう企業に限って、経営陣は「売上が上がらない、利益が出ない」と嘆き、社員は「頑張って働いているのに給料が上がらない」と愚痴をこぼしている節がある。しかし、第三者的に見れば、売れないモノを作りすぎていたり、あるいは売上にも利益にもつながらないことをやったりしているのだから、売上も利益も給料も上がらなくて当然である。

 我々の事業の目的は、このような現状を改善し、人材という社会の希少資源を付加価値の高い仕事へとシフトさせることである。「付加価値の高い仕事」と言うと抽象的であるものの、要するに顧客が「これこそ本当にほしかったモノだよ!」と驚嘆する製品やサービスにフォーカスすることだ。付加価値の高い製品やサービスのアイデアが社員の中から次々と湧き出てくる状況を作ること、アイデアを具現化するプロセスと組織の仕組みを整えること、そのプロセスや組織を担う人的リソースの質的・量的拡充をサポートすることこそが、我々のミッションである。

 【未来イメージ】
 「5.付加価値の高い仕事に見合った報酬をもらえるようになる」について一言だけ。ここで言う「報酬」、は金銭的報酬だけでなく、非金銭的な報酬も含んでいる。誤解されるといけないので一応補足。

 (【価値観】の補足は次回)
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