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January 26, 2012

上手に怒れない3タイプの人たちへの処方箋(1/2)―『キレないための上手な「怒り方」』

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クリスティン デンテマロ レイチェル クランツ Christine Dentemaro

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 先日の記事「怒りを上手に表現できないと人生で割を食う―『どうしても「許せない」人』」の流れで、「怒りとのつき合い方」に関する本をついついまとめ買いしてしまったので、順番にレビューしてみようと思う。本書の著者はまず、怒りを上手にコントロールできない人をタイプ分けし、それぞれのタイプの人たちが陥っている「誤った認識」を指摘する。その上で、誤った認識を改め、怒りを上手に表現する方法を提示している。

 本書では、「怒りを上手にコントロールできない人」として3つのタイプが挙げられているが、タイプの分類は『どうしても「許せない」人』に登場する3タイプとほぼ一致する。以下、本書の内容を、個人的な見解も交えながら私なりに整理してみた。

タイプ1:怒りを表に出さず蓄積させてしまう人
スコットの例
 スコットとジュリーシャは、近ごろ、けんかをすることが増えたようです。けんかのパターンはいつも同じ。たとえば、サンドウィッチを分けっこするのをいやがるスコットをジュリーシャがからかってけんかになった晩は、こうでした。まず、スコットがむっつりと押し黙り、殻に閉じこもってしまいました。ジュリーシャは何度となくたずねます。「なにが気に入らないの?口もきかないで。どうしたっていうのよ!」スコットの答えはいつも同じ。「どうもしないさ。平気だよ」

(※ちなみに2人のけんかは、スコットが「ぼくは人の食べかけをもらうのはきらいなんだ。それくらい、もう知ってるだろ」と言ったのに対し、ジュリーシャが「なにが怖いっていうんだろ。あたしがバイキン持ってるなら、もうとっくに全部うつっちゃってるのに」と大人げなくからかったのが原因。この後も2人の押し問答が長々と続くのだが、そこは省略)

 ジュリーシャががっかりすればするほど、スコットは黙りこくるばかり。最後には、ジュリーシャは怒りとくやしさで声をかぎりにどなりちらすのですが、スコットはやはりなにも言わないのでした。
 沈黙という手段で怒りを抑制してしまう人には、2つの心理が働いていると著者は言う。1つは、「自分が本心を表してしまったら、あまりの激しさに、相手が傷ついてしまうだろう」というものである。もう1つはこれとは全く逆で、「うっかり人と言い争いなどをしたら、自分は必ず負けるに違いない」という、自分に対する自信のなさから生じる心理である。

 だが、この2つの心理はどちらも正しくない。「オレを怒らすと怖いんだぞ」と思っている(そして、それを公言している人)は、いざ本当に怒っても実はさほど怖くない(なぜなら、その人は”怒り慣れていない”から)というのはよくある話である。また、もう一方の心理についても、怒りを表現する目的は相手と言い争いをすることではないという点が理解できていない。

 スコットのようなタイプの人への処方箋は2つ。1つは、前述の思い込みを捨てて、自分が何に対して怒っているのか思い切って言葉で表現することである。その際に、皮肉を使おうとか、エレガントに表現しようと考えてはならない。「何が起きたのか?(事実)」、「それに対して自分はどう感じたのか?(感情)」、「今後、自分はどうしてほしいのか?(要求)」この3点を、飾らず素直に表現することが大切である。

 言葉にするのが難しい場合は、もう1つの処方箋を使うとよい。すなわち、自分の気持ちを整理するための時間や場所を確保することである。ただし、黙ってこれを実行すると、結局は沈黙の手段と一緒になってしまうから、相手に一言断りを入れるべきである。スコットは、「今はまだ、この件について話をするのは無理だ。近いうちに、改めて話すから。約束するよ」とジュリーシャに言えばよい、と著者は提案している。

タイプ2:怒りに気づいていない人
メリエレンの例
 メリエレンは近ごろ、リサといっしょにいても、あまり楽しくありません。最近、リサとの約束は4回のうち3回もキャンセルされてしまったし、残りの1回だって、リサは1時間以上も遅れてきたのです。理由はいちいちもっともでした。最初は病気。次は、お母さんが急に買い物に連れて行くと言いだしたから。そして3度目は、リサが何年も前から夢中だったグレッグから突然誘われたからでした。メリエレンだって、親友の恋路のじゃまはしたくありませんでした。遅刻してきたのは、家族と教会に行ったら、帰りにお父さんが、昼はみんなで外食しようと言いだしたからでした。

 リサはすてきな友だちです。去年、メリエレンが初めて男の子とデートすることになったとき、リサは3時間も前から家に来て、身じたくを手伝ってくれたのです。リサのお気に入りのセーターにメリエレンがチリソースをこぼしたときも、怒らずに「まあ、そういうこともあるわよ。それよりさ、楽しかった?」と言ってくれたほどです。

 リサはいつもそうやって親切にしてくれます。でも一方で、しょっちゅう約束を破ったり、遅れてきたりするのもほんとうでした。メリエレンは、そんなリサのことを悪く思うと、後ろめたい気分になってしまいます。それに、約束を取り消したときも、おくれてきたときも、いつもちゃんと理由があったじゃないのと思うのです。
 先日の記事でも述べた通り、私自身はタイプ1に近いので、タイプ2の人の気持ちがあまり理解できないのだけれども、私が日ごろ人間観察をしていて「そんなことをされてよく怒らないよなぁ・・・」と感じる人たちは、マクレランドの言う「親和欲求」が強い人、あるいは性格タイプ論の1つであるエニアグラムで言うところの「タイプ9(調停者)」にあたる人は、メリエレンと同じような傾向が強いように思う。

 著者によると、メリエレンのようなタイプの人は、「正当な理由が見つからない限り、腹を立てたりしてはいけない」、「時間が経てば、怒りの感情(厳密に言うと、このタイプの人はその感情を怒りだと認識していないので、「何らかの違和感」と言った方がよいだろう)は消えてしまうに違いない」という認識を持っている。こうした認識は、確かに怒りを心の中から消し去り、無意識の領域に追いやるのには役立つかもしれない。ところが、身体の方は正直なもので、頭痛や腹痛を引き起こしたり、凡ミスや遅刻が増えたり、漠然とした不安にさいなまれたりするようになるらしい(この点は『どうしても「許せない」人』でも述べられている)。

 タイプ2向けの処方箋としては、まずは「何かがおかしい、うまくいっていない」という違和感をキャッチして、「自分が本当は怒っている」ことをちゃんと認識することである。とはいえ、タイプ2の人は、ここですぐに怒りを表現してはならない。タイプ2の人はタイプ1の人以上に怒り慣れていないため、焦ると”一般的なルール”を持ち出して相手を怒ろうとしがちだ(メリエレンの場合、「時間を守るのは当然のルールでしょ?」とリサに言う、など)。ここはぐっとこらえて、自分の怒りの原因、つまり「自分は本当のところ何に対して怒っているのか?」を明らかにする必要がある。これが2つ目の処方箋である。

 メリエレンは、リサに約束を破られるとなぜ怒るのかを考えてみた。その結果、「わたしなんて大事じゃないんだっていう気がするからかな。ほかの人たちは、ちゃんと値打ちも重みもあるのに、わたしだけが虫けらみたいに小さくて、つまらないって気がしてくるのよ。それがつらいんだわ」という結論に達したそうである。ここまで来れば、タイプ1の人と同じように、相手に対して怒りを表現できるようになる。

 普段から”怒り慣れている”人(これが行き過ぎると、後日タイプ3として紹介する「すぐに何でも起こる人」になってしまうが・・・)や、タイプ1のように怒りの表現は下手でも怒りは感じる人にとっては、自分がなぜ怒っているのかを考えるなどというのは、何とまどろっこしい作業なんだと思うかもしれない(タイプ1に近い私もそう思う)。ただ、タイプ2はそもそも怒りという感情自体に不慣れであり、放っておくといつも自分の気持ちを犠牲にして相手の気持ちを優先してしまう。そこで著者は、敢えて自分の感情とじっくり向き合うステップを設けているのだと思われる。

 (続く)

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