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October 03, 2011

主要なリーダーシップ論の個人的整理―J・コッター、W・ベニス、J・コリンズ編

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ジョセフ S ナイ
日本経済新聞出版社
2008-12-17
posted by Amazon360
 前回の続き。図も再掲。

主要なリーダーシップ論の整理図(仮)

 今日は個別のリーダーシップ論について、簡単に補足説明をしていきたいと思う(「リーダーの身体的・心理的傾向」については、前回述べたので省略)。

ジョン・コッターの「変革型リーダーシップ」
 リーダーシップ研究の第一人者として名前が挙がるジョン・コッターの研究は、ゼネラル・マネジャー(経営幹部クラス)のリーダーシップに関するものが中心である。コッター自身が数社のゼネラル・マネジャーと一定期間行動をともにし、彼らの仕事ぶりをつぶさに観察して、リーダーシップにまつわる通説と現実のギャップを描写した著書『ビジネス・リーダー論』は、コッターの初期の著書でありながら、代表作の1つとして数えられるだろう。

 《『ビジネス・リーダー論』のレビュー記事》
 リーダーは「アジェンダ設定」と「ネットワーキング」を行ったり来たり―『ビジネス・リーダー論』

 同書を読むと、リーダーは短期、中期、長期という時間軸の異なる3種類の課題に直面しており、それぞれの課題は、リーダーを取り巻くあらゆるステークホルダー(上司、部下、同僚、株主、取引先、顧客など)の影響を強く受けていることがうかがえる。そして、次元の異なる複数の課題を解決するのに必要なスキルについても体系化が試みられている。

 また、コッターと言えば、後の著書『企業変革力』などで提示した「8つの変革ステップ」が有名である。

 1.変革が急務であることを認識する
 2.変革推進のために強力な連携体制を整える
 3.ビジョンを作る
 4.ビジョンをコミュニケートする
 5.社員に力を与えビジョン実現のために行動するよう促す
 6.短期的な勝利を挙げる計画を立てる
 7.改革の成果をまとめてさらに変革を促す
 8.新しい方法を仕組みに根づかせる

 各ステップの詳細はここでは触れないけれども、「2.変革推進のために強力な連携体制を整える」と「5.社員に力を与えビジョン実現のために行動するよう促す」は、冒頭の図の「活用可能な資源」とリンクしている。「2」は、文字通りリーダーの味方・支援者となって、変革を進める上で中心的な役割を担う人材を確保することである。

 また、「5」のステップは、ビジョンの実現を妨げる旧来的な組織構造や制度・ルールにメスを入れて、社員の能力や積極的な行動を引き出したり、眠っていた組織資産を掘り起こしたりする仕組みを再構築することであるとされる。従って、「2」と「5」は「活用可能な資源」を引き出すためのステップであると考えられる。

ジョン P.コッター
ダイヤモンド社
2009-03-13
ジョン・P. コッター
日経BP社
2002-04
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ウォーレン・ベニスの『リーダーになる』
 ウォーレン・ベニスもまた、リーダーシップ研究の権威であるが、ベニスが説くリーダーシップは、リーダー自身の価値観に重きを置いている点が特徴的である。前述のように、コッターは、外発的要因による影響を大きく受けた課題に取り組むリーダーを想定しているのに対し、ベニスが描くリーダーは、信条や価値観といった内発的要因によって課題を設定する。

 もっとも、コッターは内発的要因を全く無視しているわけではないことには注意が必要である。この点は、前述の「8つの変革ステップ」の中に、「3.ビジョンを作る」、「4.ビジョンをコミュニケートする」というステップが含まれていることからも解る。

 《『リーダーになる』のレビュー記事》
 優れた古典は深遠な議論への入り口である―『リーダーになる』

ウォレン・ベニス
海と月社
2008-06-24
posted by Amazon360
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ジェームズ・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』
 コリンズが語るリーダーシップも、リーダー自身の価値観にぐっと焦点が絞り込まれている。己が正しいと信じる価値観に忠実に従い、言行一致を貫き通すリーダーシップを、コリンズは「第5水準のリーダーシップ」と呼んでいる。第5水準まで上り詰めたリーダーは、個人としての謙虚さと、職業人としての意思の強さという、一見矛盾する側面を兼ね備えている。さらにコリンズは、(『ビジョナリー・カンパニー』という著書のタイトルとは裏腹に、)明確で説得力のあるビジョンを掲げ、その実現に向けた努力を生み出し、高い業績を上げるだけのリーダーシップではまだ不十分だとさえ主張する(第4水準のリーダーシップと位置づけられる)。

 第5水準のリーダーシップに惹きつけられたメンバーは、リーダーと同じように価値観を強く信じ、ほとんど”カルト”のような企業文化を形成する(『ビジョナリー・カンパニー』では、ノードストローム社の”カルト的な”企業文化が登場する)。そして、価値観が組織全体に浸透したある瞬間から飛躍的に業績が拡大し、偉大な企業へと成長していく。

 加えて、コリンズが研究対象とした企業には、優れた技術を有する企業が多い。『ビジョナリー・カンパニー2』の中では、

 ・ジレット(現在はP&Gの傘下)・・・耐久性が極めて高い製品を低コストで大量に製造する高度な技術。
 ・クローガー(アメリカ第3位の食品雑貨小売業)・・・コンピューター・情報技術の高度な応用。バーコード・スキャナの本格的導入で先頭を切った。
 ・ニューコア(アメリカ国内でUSスチールに次ぐ規模を誇る鉄鋼メーカー)・・・最先端の電炉製鋼技術の先駆的応用。薄板連続鋳造といった高リスクの技術に純資産の50%を投入するなど、思い切った投資を行う。
 ・フィリップ・モリス(タバコメーカー)・・・ボックス型放送技術を導入し、タバコの包装に20年ぶりの技術革新をもたらした。
 ・ウォルグリーンズ(ドラッグストアチェーン)・・・衛星通信網への投資によって全店舗を結び、巨大な「街角の薬局」を構築。「NASAの管制センターのようだ」と評されたこのネットワークが、顧客層と立地によるニーズの違いへの対応を可能にしている。
 ・ウェルズ・ファーゴ(アメリカの金融機関)・・・24時間の電話バンキング、ATMを早期に導入。ATMでの投資信託商品売買で先頭を切り、インターネット・バンキングで先駆者に。

などが紹介されている。そのため、冒頭の図中では、コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』を「活用可能な資産」にもまたがるように図示した(残念ながら、同書で技術的に優れた企業として取り上げられた企業のうち、サブプライムローン問題の影響によって、家電小売業のサーキット・シティは2009年に経営破綻し、ファニーメイ[連邦住宅抵当公庫]は2010年に上場廃止となった)。

 ただし、コリンズは、企業が先駆的な技術を使い始めるのは、「転換期よりも後である」と指摘する。すなわち、技術が先行してリーダーシップの源となるのではなく、明確な価値観に基づく規律ある文化が醸成された後に、技術が成長を後押しするのである。両者の順番は非常に重要である。

ジェームズ・C. コリンズ
日経BP社
1995-09
ジェームズ・C. コリンズ
日経BP社
2001-12-18
ジェームズ・C・コリンズ
日経BP社
2006-06-22
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 (まだ続きます)

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