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September 04, 2011

【水曜どうでしょう論(4/6)】素人さえも「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」に組み込んでしまう凄さ

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 水曜どうでしょうに登場する素人さんはそれほど多くないけれども、それぞれが強烈な個性を持っており、どうでしょう班の共有価値観と共鳴して、番組をより一層盛り上げてくれる。代表的な素人さんを順番に紹介したいと思う。

 ・日本武道館で、突然撮影に乱入してきた謎のおじさん(『東京ウォーカー』)
 「登山家大泉」が武道館の入り口前で小ネタをやっていたら、急に謎のおじさんがハーモニカを吹きながら参入。2人で即興のセッションを繰り広げる。しかし、おじさんは2曲の童謡(「ちょうちょう」と「ふるさと」)しか吹けないし、登山家大泉もキャラクターがいまいち固まっていないから、セッションはグダグダに・・・。無計画で始めたネタに、無計画に素人さんが絡んできて、ディレクターがネタを止めるタイミングを失ってしまったという構図が面白すぎる。

 ・アラスカでコールドフットまでの道を案内してくれたジムとナップさん(『北極圏突破 アラスカ620マイル』)
 ジムはナップさんと猥談ばかりして喜んでいるので、そんなに面白い話をしているのかと興味をもったどうでしょう班は、ナップさんに翻訳を依頼する。ところが、実は30秒ほどで何のオチもなく終わってしまう意味不明な話だと解り、期待値とのあまりの落差にどうでしょう班は全員爆笑。藤村Dの「どこがオチなんだ、ジム!」という、半ば怒り気味の笑い声が車内に響き渡るのであった。

 一方、ナップさんは日本の旅行会社で長く働いていたこともあり、日本語がペラペラ。その上、ジムを指さして「彼の先祖はジム天皇(神武天皇)」と、ダジャレ好きのミスターさえをも上回る高度なダジャレを披露する(ミスターもよほど悔しかったのか、「おいおい、それはオレの仕事なんだよ〜」と嘆いていた)。何でそんな日本の神様のことを知っているんだ??(笑)。日本人がギリシア神話でダジャレを作るようなものでしょ?

 ・新篠津湖でのわかさぎ釣り対決で、新篠津村の地酒を仕入れてくれた村の役人(『釣りバカ対決第2弾 氷上わかさぎ釣り対決機戞
 わかさぎ釣りのシーズンが終わってしまった春先の収録だったため、氷の厚さを心配する4人に対し、役人さんは「大丈夫・・・だと思うんですよね」と繰り返すばかり。挙句の果てには、「僕もこの時期にわかさぎ釣りをやったことがないから・・・」と白状してしまう。やったことがないのに、何で大丈夫って言えるんだよ??しかも、安全性の保証がないのに撮影許可を出してしまうなんて・・・(笑)。

 さらに、この役人さんは、収録中にも関わらず、新篠津村の地酒を出演者に差し入れて、出演者を泥酔させてしまう。完全に”できあがってしまった”安田さんは、大泉さんの釣ったわかさぎが入っている容器を誤って蹴り飛ばしてしまい、大泉さんのわかさぎを減らしてしまった(笑)。通常の釣り番組では考えられない妨害行為に、さすがの大泉さんも相当激怒していた。

 ・備前焼の工法を教えてくれたミヤビ工芸の阿部さん(『シェフ大泉 夏野菜スペシャル』)
 料理の盛りつけ用の皿を自分たちで作ることになったどうでしょう班は、ミヤビ工芸の阿部さんから皿づくりを習うことに。阿部さんは、妙にテレビ慣れした様子で、さも台本があるかのようにひょうひょうとトークを続ける。阿部さんのことをすっかり気に入った「陶芸家・半角斎」(※ちなみに、「はんかくさい」は北海道の方言で、「バカバカしい」という意味)こと大泉さんは、安田さんにつける予定だった「心気く斎」の名前を、思わず阿部さんにあげてしまった(安田さんは、苦肉の策で「白菜」と名づけられた)。

 阿部さんは、最初の工程として、土の中に入っている空気を抜く「菊練り」の方法を出演者に教えていた。ところが、ミスターと安田さんの土に比べて、なぜか大泉さんの土だけ異常に固く、全く練ることができない。そこで阿部さんに練ってもらったら、阿部さんも予想外の固さだったのか、力の入れどころを間違えてしまい、机に手首を強打してしまった(笑)。

 普通の番組であれば、こういうシーンはNGとしてカットし、大泉さんの土を柔らかいものに取り換えて、再度撮影を行うだろう。しかし、どうでしょうでは、NGっぽい画こそディレクターが喜んで採用するのである。

 ・コスタリカのジャングルを案内してくれたガイドのカルロス(『中米・コスタリカで幻の鳥を激写する』)
 世界一美しいと言われる幻の鳥「ケツァール」をはじめ、珍しい野生動物を撮影するためにコスタリカにやって来たのに、ガイドのカルロスはバナナのプランテーションやココアの木など、植物の話ばかりを延々と続け、4人をうんざりさせてしまう。大泉さんからは、「カルロスは動物が嫌いなんじゃないか?」と疑惑が向けられる始末。

 ・「ユーコンのYOSHIさん」こと熊谷さんと、「ユーコンの男」ピート(『ユーコン川160km』)
 この2人は、前枠の中で大泉さんに「お間抜けなガイド」とはっきり言われてしまうぐらい、グダグダなガイドである(素人さんの面白さをランキングにしたら、この2人は後述するロビンソンと1位、2位を争うだろう)。熊谷さんは、ユーコン川をもう何度も下っていて、キャンプができる場所を知っているはずなのに、いつもキャンプの場所を突然決める。そのたびに、カヌーに乗っているミスターと大泉さんは、ポイントを通り過ぎないよう、必死にカヌーを漕がされていた(そして毎回、大泉さんはちょっと怒っていた)。

 ユーコン川には熊が出没するかもしれないということで、ピートという猟銃を持った現地のガイドがつくことになった。このピート、遠くから見るとトム・ハンクスのような雰囲気なのだが、近くで会ってみると、ちょっとぼーっとした感じの人で、熊を退治してくれるようには見えない。「死んだふりしか教えてくれないんじゃないか?」と大泉さんは心配になる。

 のんきな性格のピートは、カヌーのレッスンで、どうでもいい小ネタをいっぱい放り込んでくる。まず、「カヌーは赤い底を下にすることが重要だ。カヌーの底が上を向いていたら大変なことになる」と軽いジョークから始まり、川岸でパドリングの講義をひとしきり終えた後、「パドリングは陸地ではなく、川の上でやらないとダメだ」などと言う。もっと大事なこと教えろ!!(笑)。

 熊谷さんとピートの2人は、「小悪人」でもある。ユーコンの企画では、久しぶりにビストロ大泉が登場して、晩御飯を振る舞う。しかし、案の定、料理に3時間もかかった上に、ユーコン川の魚・グレーリングを鯛めしの要領で炊き込んだ「グレーリング飯」は、あまりに生臭くて全員から顰蹙を買ってしまった。

 大泉さんの料理に懲りたガイドの2人は、翌日にこっそりと話し合って、「大泉に材料を渡すな」、「先にご飯だけ炊いてしまおう」と決め、大泉さんにはブロッコリーしか渡さない。いくらディレクター陣がインスタント料理をいくつか持ってきているとはいえ、ブロッコリーだけで料理などできるか!!(笑)。一応、大泉さんに材料は渡すけれど、暗に「お前は料理をするな!」と言っているのである。この2人は、何とも腹黒い小悪人である。

 ・茨城県潮来の「十二橋」の場所を教えてくれた娘(?)船頭さん(『日本全国絵はがきの旅供戞
 絵はがきに映っている娘船頭さんは誰なのか?をめぐって、もう娘と呼ぶには苦しい年齢層(失礼・・・)の船頭さんたち10人ぐらいが、「おキヨちゃんの若いころだ」だの、「いや、おキヨちゃんではなくて柳田さんだよ」だの、「柳田さんは今日は休みなの」だのと、マイペースな会話を展開。それを見ていたミスターは、娘船頭さんに向かって、「(皆さんは)何星人ですか?」と無茶苦茶な暴言を吐いてしまう。

 あれこれ議論したものの、写真の娘船頭さんは、絵はがき自体が古いこともあって、「もう昔だからいないわ、アハハ」という結論しか出なかった。どうでしょう班は、このマイペースな娘船頭さんに振り回されてうんざりしてしまう(その後、ミスターの黄金のライトハンドが、「札幌の時計台」を引いてしまい、日帰りでHTBに戻ることに・・・)。

 ・ベトナムで通訳を務めてくれたニャンさん(『原付ベトナム縦断1,800km』)
 どうでしょうの旅行には、どうしていつもすっとんきょんなガイドがついてしまうのか?と思いたくなるぐらい、ニャンさんも変わったガイドだ。ニャンさんは、土砂降りの雨の中、昼食のお店を探していたが、お目当てのお店を見逃してしまった。けれども、自分の失敗を知られたくないニャンさんは、「もうちょっと先に行ったところにありますヨ」と繰り返すばかり。

 しかし、1時間ぐらい走っているうちに町がなくなってしまい、どうでしょう班の4人は「昼食はどうなるんだ?」と不安になってきた。そこで、ニャンさんにもう一度お店のことを聞いたら、「スミマセン、さっき通り過ぎてしまいました・・・」と、自分の非を白状したのである。そんな真面目な一面があるのかと思いきや、車の中ではガンガン昼寝をしていたらしい(嬉野Dが映像に収めている)。寝ないでお店探せよー、ニャンさん!(笑)

 ニャンさんも、「小悪人」ぶりを発揮することがある。かつてのベトナム王朝があったフエという場所に宿泊した夜、どうでしょう班は”宮廷料理”を体験することにした。この宮廷料理は、いろんな人たちの演奏や生歌が食事中ずっと続くという、かなり風変わりな(というか、ちょっとやかましい)晩餐である。

 演奏を聞き飽きた大泉さんは、ニャンさんに対して「私の歌も披露したいので、何か演奏できる曲はないか?」と尋ねた。ニャンさんは周りの演者と話し合い、「五輪真弓の『恋人よ』なら弾ける」と返事した。実は、「恋人よ」はニャンさんが個人的に好きなだけで(昼間の車中でよく歌っていた)、演者が知っているようには見えなかった。

 本当に演奏してくれるのか半信半疑のまま、大泉さんは部屋の中央に立って、「恋人よ」を歌い始めた。大泉さんの不安は見事に的中し、大泉さんが歌い始めても、演者はピクリとも動かない。これでは、大泉さんが自分のわがままで、ベトナム人が知らない曲を気持ちよく歌っているだけだ(笑)。それを見たニャンさんは大爆笑していた。なかなかの小悪人である。

 ・「ナイト・サファリ」など、タマン・ヌガラ国立公園での企画をサポートしてくれた、ガイドのトニー(『ジャングル・リベンジ』)
 「ブンブン(動物観察小屋)」の中で時間を持て余していた藤村Dは、ガイドのトニーさんに「何か他に面白いツアーはないのか?」と相談を持ちかけた。すると、トニーは「ナイト・サファリ」というツアーがあると教えてくれた。トニーさんの話によれば、車に乗ってプランテーションの中を走るツアーであり、ヒョウが見られるとのことである。「ナイト・ジャングル・ウォーク」で早々とシカの群れを見てしまったディレクター陣は、もっとインパクトのある映像を収めるべく、「ナイト・サファリ」への参加を決める。

 ところが、用意されていた車は、日本のサファリパークにあるような、頑丈な網で囲まれたバスではなく、ただのトラック。しかも4人は、何の安全対策も施されていない荷台に押し込められてしまう。「ヒョウが出たらどうするんだよ?」、「ヒョウなんて、ぴょーん(と荷台に飛び乗れる高さ)だぞ」と、一同は軽いパニックに陥る。

 ナイト・サファリを推してくれたトニーは、ナイト・サファリの経験があるのかと思いきや、実はトニーも他人から聞いただけで、今回が初めての参加だったという。ガイドなのに、内容も解らないまま他人に勧めるなよ〜(笑)。結局、ナイト・サファリで見られたのは、レパード・キャットという、体長40〜50cmぐらいの小さな”ヒョウ柄”の動物だった。ネコ程度の動物しか出ないから、トラックでも問題なし、というわけなのだ。

 ・「南の島で昆虫採集」という当初の企画を、全く違う企画にしてしまったロビンソン(『激闘!西表島』)
 どうでしょう班の価値観に一番近い素人さんは、ロビンソンだと思う。だから、当初の企画とは全く違う中身になってしまったのに、2泊3日の出来事が8週も持つ番組になったのだろう。

 ミスターとディレクター陣は、真夏の南の島で思いっきり遊びたいということで、西表島での昆虫採集という企画を考えていた。ところが、西表島に到着して今回の企画をサポートしてくれるロビンソンに会った瞬間、「虫は面白くねぇ」とバッサリ斬り捨てられ、企画が完全に破綻してしまう。

 その代わりにロビンソンは、ヤシガニや大ウナギ、テナガエビなど、北海道では見られない珍しい動物を見せたいと息巻いていた。その結果、ロビンソンが紹介する動物をたくさん捕獲して、点数を競うという、釣りバカみたいな企画に変わってしまった。ロビンソンも、事前にディレクター陣からどんな企画をやるか連絡が入っているはずだから、その時点で「虫は面白くねぇ」って言ってあげろよ(笑)。

 どうしても大ウナギを見せたいロビンソンは、大ウナギの餌となるカエルを捕獲するために、夜中に水路や川を探し回ることにした。ところが、思うようにカエルが捕獲できない。焦ったロビンソンは、島中を車で走り回り、水路や川を見つけるたびに、なりふり構わずカエルを探しに行く。

 そんなロビンソンについて行けなくなった大泉さんや安田さんは、完全にグロッキー状態。最後に、ロビンソンが”史上最大の作戦”と題して、カエルの代わりとなる小魚を追い込み漁で捕まえるという賭けに出たものの、これも失敗。ロビンソンもついに、「疲れちゃったよ、オレ」とギブアップしてしまった。この時、時計の針は既に夜中の2時を回っていたのである。

 というか、大ウナギを捕まえる予定でいたのなら、どうでしょう班が来る前にカエルを用意しておけよ!!(笑)一応、大ウナギの捕獲には成功したからよかったものの、大ウナギよりカエルを捕まえるのに必死になっていたら、本末転倒だよ〜。まぁ、こういうロビンソンのいい加減(?)な性格と、大好きな西表島の自然を楽しむ気持ちがあるおかげで、企画が破綻してもちゃんと番組として成立したのだろう。

 以上、どうでしょう班を中心に形成される「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」について、かなりの文量を割いて説明してきた。次回はまとめの記事として、「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」がマーケティング上どのような意味を持つのかを考察し、どうでしょうが長年にわたって安定した顧客層を維持できている要因に迫りたいと思う。

【水曜どうでしょう論】シリーズ
 (1)某局のコンセプト「楽しくなければテレビじゃない」を本当の意味で体現しているのがどうでしょう
 (2)どうでしょう班の4人をつないでいる「共有価値観」
 (3)外部のパートナーを巻き込んで「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」を形成する
 (4)素人さえも「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」に組み込んでしまう凄さ

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