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August 25, 2011

【水曜どうでしょう論(3/6)】外部のパートナーを巻き込んで「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」を形成する

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 前回の記事では、どうでしょう班の4人が共有価値観で結ばれていることを紹介した。さらに、どうでしょう班と連携している外部のプレイヤー(個人または組織)同じような価値観を有し、「価値連鎖(バリュー・チェーン)」ならぬ「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」が形成されていることを示唆した。今回はまず、「価値観連鎖」が形成される過程をもう少し丁寧に整理するところから始めたいと思う(かなり回りくどい説明になるが、ご容赦ください)。

 以前、「『信頼』を軸としたチャネル戦略の実証研究」という記事で、住谷宏著の『利益重視のマーケティング・チャネル戦略』を取り上げた。この本の中で著者は、小売店がメーカーの製品を取り扱うかどうかを判断する際に重視するポイントとして、

 (1)小売店への支援(経営支援、業務支援、金銭的なインセンティブ)が手厚いこと
 (2)機会主義的な行動(=メーカーが小売店の不良在庫リスクを軽視して、自社製品を無理やり小売店に押しつけ、売上を立てようとすること)をとらないこと
 (3)緊密な情報交換やコミュニケーションが行われること(メーカーが実施するチャネル支援策、顧客の顕在・潜在ニーズに応えられる製品改良や新製品開発、顧客からのクレームへの対処法といったテーマについて、メーカーと小売店が組織の垣根を超えて、オープンに対話できること)
 (4)ビジネス上の目的に共通項があること
 (5)共通の価値観を有していること

という5つの条件を指摘している。(1)(2)のように、メーカーが「売れる製品を、売れるタイミングで、売れる分のみ納入する」というだけでは、実は小売店との中長期的な取引につながらない。これらの条件に加えて、(5)のような人間的な要素が重なると、メーカーと小売店を結ぶパイプはぐっと太くなり、両社はお互いを”非常に特別な存在”とみなすようになるのである。

 ここで、著者の主張を拡大解釈してみる。完成品メーカーは小売店との関係においては売り手であるが、完成品メーカーに部材や半製品を納入する部品メーカーとの関係においては買い手となる。小売店と完成品メーカーの間で価値観の共有が重視されるのであれば、完成品メーカーと部品メーカーの間でも、同じように共有価値観が要求されるに違いない。

 さらに、部品メーカーも、売り手であると同時に買い手でもある。部品メーカーが部材や半製品の製造に必要な素材・原料などを別の原料メーカーや素材商社から調達する場合は、部品メーカーが買い手であり、原料メーカーや素材商社が売り手となる。この場合でも、両社の共有価値観が重要な役割を持つことは、ここまで来れば説明不要であろう。

 このように、業界全体の各プレイヤーの取引関係を俯瞰すると、バリュー・チェーンを構成するそれぞれのプレイヤーの間には、何かしら共通の価値観が存在し、プレイヤーたちは共有価値観で結ばれた一連の組織群=「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」を形成していることに気づかされる。

 もちろん、外部のプレイヤーが自社と全く同じ価値観を持っていることはまずない。外部プレイヤーは、それぞれが独立した存在であり、固有の価値観に根ざした事業を展開している。しかし、例えば緊密な情報連携が実現されており、在庫回転率も高いサプライチェーンに参画している企業群に対して、自社の価値観をそれぞれ書き出してもらえば、全ての企業群に共通する価値観が2つや3つほど出てくるだろうし、それこそが望ましい状態なのである。

 「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」の説明が長くなってしまったけれど、どうでしょうには、どうでしょう班と同じような価値観を持った外部プレイヤーがたくさん登場する。とりわけ、

 ・最初から、物事を完璧にやろうとは全く思っていない。
 ・企画の中身を前もって詳細に詰めることは、絶対にしない。
 ・基本的に自分本位で物事を考える。時には”小悪人”となって、他のメンバーを陥れる。
 ・企画自体は緩いのに、どうでもいいところで凝り性やマニアックさを発揮する。

という価値観で共通していることが多い。彼らは、どこか間が抜けたところがあったり、やましい心を持っていたりして、普通の企業だったら「何でそんなことをするんだ!」と怒られるような大ポカや、意味不明の言動に出ることがある。

 ところが、彼らがどうでしょう班と一緒になると、彼らの価値観がどうでしょう班の価値観と共鳴して、プラスの方向に作用する。不思議なことに、各プレイヤーがボーンヘッドや理解不能な行動をやらかしても、どうでしょうの文脈の中では意味を持つ(=言い換えれば、面白くなる)のである。どうでしょう班と関係が深い代表的な外部プレイヤーを挙げてみる。

 ・樋口了一さん(番組の主題歌「1/6の夢旅人」、「1/6の夢旅人2002」を制作)
 「1/6の夢旅人2002」を自宅で録音した際に、樋口さんが飼っていたインコの「ポーちゃん」の「シーシーシー」という鳴き声が、たまたま一緒に録音されてしまった。しかし、樋口さんは取り直しをせずに「まぁいいや」と作業を済ませてしまい、何と鳥の鳴き声が入ったままの曲をディレクター陣に渡してしまった。

 曲を聴いた藤村Dは、「確かにいい曲なんだけど、時々『シーシーシー』という音が聞こえるんだよね。何か新しいパーカッションなのかなぁ?」と思っていたらしいが、実はインコの鳴き声だと聞かされた時は、たいそうびっくりしたそうだ(樋口さんのシングル『1/6の夢旅人』に収録されているCDエキストラ映像で、樋口さんと藤村Dが明かしている)。

 ・小松江里子さん(スタイリスト)
 数々の伝説を残す名(迷?)スタイリスト。その伝説を挙げればキリがない。一部だけ紹介すると、
  −前枠・後枠で使用する衣装を忘れてしまい、大泉さんが裸同然で収録に臨むハメになった。
  −同じく前枠・後枠の収録で、真冬にも関わらず半袖半ズボンの衣装を大泉さんに着させてしまい、大泉さんを怒らせた。
  −『東北生き地獄バスツアー』では、明らかに手抜きとしか思えない「松」の衣装をミスターに着させて、ミスターの心を傷つけた(ミスターは一応社長なのに、何のためらいもなく植物に変装させてしまうあたりも、小松さんらしい)。
  −同じく『東北生き地獄バスツアー』では、ミスターと大泉さんに、岩手県厳美渓の名物「かっこう団子」の店員に扮してもらう予定だったが、ろくずっぽ準備をせずに、現場に来てから店員さんをじっくりと観察して衣装を揃え、最終的には扮装に必要な小道具をお店の人から借りた。

というありさまである。だが、これは小松さんの伝説のほんの一部でしかない。

 ・FROGMAN、プロダクションIG(DVDのオープニング・アニメーションを担当)
 やけに凝ったアニメーションを作ってくれるのだが、映像自体にはそれほど大した意味がないという、どうでしょうファン以外にはさっぱり理解されないであろうアニメーションを作るのがこの2社。

 FROGMANは、”正義の味方”という設定の嬉野Dが、悪役(?)のonちゃんとnoちゃんを思いっきり殴り飛ばした後、「社内禁煙!北海道テレビ!!」と叫ぶという、非常にシュールなアニメーションを制作している。

 また、プロダクションIGのクリエイターによる、座頭市を意識したアニメーションも、座頭市役の藤村Dをかっこよく見せたいのか、間抜けに見せたいのかさっぱり解らない(だって、最後はドラゴンボールの魔人ブウみたいに膨れ上がって、ジェット風船のように空高く飛んで行ってしまうんだもん・・・)ものに仕上がっている。あまりに訳が解らなくて、逆に笑えてしまうのさ。

 どうでしょうでは、時々登場する素人さんまでもが「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」の一部を担っている。次回はこの点に触れたいと思う。

【水曜どうでしょう論】シリーズ
 (1)某局のコンセプト「楽しくなければテレビじゃない」を本当の意味で体現しているのがどうでしょう
 (2)どうでしょう班の4人をつないでいる「共有価値観」
 (3)外部のパートナーを巻き込んで「価値観連鎖(バリューズ・チェーン)」を形成する

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