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July 30, 2011

「ニーズはあるがお金はかけたくない」事業をどう成立させるかがカギ(2)―『「雇用を創る」構造改革』

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 (レビューの続き)

 もう1つの課題は、生活支援サービスを提供する企業が、経営の安全性を保ちながらどのように人材を確保するか?ということである。すでに述べた通り、企業側としてはあまり定期昇給を行わずに、人件費を抑制したい。一方で、社員としても、医療や介護サービスなどにかかる肉体的・心理的負担の大きさから、長期的な雇用をあまり望まないかもしれない。

 こうした企業側・社員側の事情を組み合わせて考えると、生活支援サービス企業は、通常の企業のように社員が何十年と連続して勤め上げる企業ではなく、「社員が10年程度で入れ替わることを前提とした企業」になるのかもしれない。雇用のターゲットとなるのは、(1)子供がある程度成長して時間的余裕ができた40代前後の女性と、(2)役職定年や定年退職を迎えた50代〜60代の中高年である。

 よく知られているように、日本の女性は、出産と同時に会社を退職し、子育てが終わっても正社員にはならずに、パートやアルバイトになることが多い。女性の労働力比率を年代別に折れ線グラフにすると、30代の労働力比率がガクッと下がり、40代前後で回復するというM字型になる。これが「M字カーブ」と呼ばれる現象である。

 そこで、生活支援サービス企業は、M字カーブの底にいる女性や、パート・アルバイトをしている40代の女性を積極的に採用する。企業側としては、新卒や若手社員を長年に渡って雇用し続ける必要がなくなるし、女性側もパートやアルバイトより高い給与がもらえるに違いない(どのくらいの給与が妥当かは検証が必要だが)。

 もう1つの雇用ターゲットは、50代〜60代の中高年である。つい最近だけれども、定年を65歳に延長する案が政府内で持ち上がり、経団連が反発していることが報じられた。個人的には、超高齢化社会の行く末を想像すると、いつかは定年が伸びることは避けられないと思う。現在は65歳定年案が出ているが、10年もしないうちに70歳定年案が出てくるかもしれない。

 ただし、全ての中高年社員の定年を杓子定規に伸ばすとは考えにくい。なぜならば、企業側の人件費負担が大きすぎるし、そうなると必然的に若年層の採用が抑制されるからだ(中高年社員に限った話ではないが、社員の解雇要件を厳しくしたフランスでは、企業が若年層を採用しなくなり、その結果若年層のデモに発展したことがある)。

 経団連は、65歳定年案、あるいは70歳定年案を受け入れる代わりに、解雇要件の緩和を要求するだろう。つまり、企業にとって不可欠な特殊スキルを持っている社員には定年延長が適用されるけれども、そうではない社員は、企業内の新陳代謝を促すために解雇される時代が来ると思われる(解雇と言うと言葉の響きがキツいので、実務上は通常の解雇と区別するために、何かしら別の用語が生まれるかもしれない)。

 すると、企業から溢れてしまった中高年社員(この表現はやや難があるが・・・)の雇用の受け皿として、生活支援サービス企業が機能する可能性がある。50〜60代の人が一般的な事業会社に転職することは、今でも相当困難だが、おそらく将来もその事情は変わらないだろう。転職はできないけれど、年金を受け取るまでの間にどうしても収入が必要な中高年社員を、生活支援サービス産業が受け入れるのである。

 中高年社員は、生活支援サービス企業に転職しても、前職で受け取っていた高額な給与はもらえない。少なくとも、大企業のように年収が1,000万円単位になることはない。厳密な検証をしなければならないが、おそらく400万円〜500万円程度の年収にとどまると思われる。それでも、完全に無職になるか、アルバイトになるよりはずっと好条件である。中高年社員は、生活支援サービス企業に転職し、年金を受け取るまでの10年あまりの期間をこの企業で過ごすのである。

 こうして、生活支援サービス企業は、子供がある程度成長して時間的余裕ができた40代前後の女性と、役職定年や定年退職を迎えた50代〜60代の中高年を中心とした企業になる。もっとも、事業のスタート時からこういう人員構成を想定した企業は今までに存在しなかったため、人事制度や給与システムをはじめ、マネジメントのあらゆる要素の刷新が求められるだろう。

 もう1つ、固定費の高騰を避ける手段として、地元の中小企業(特に、飲食業やアパレル販売などのサービス業)の活用も考えられる。街中を歩きながら観察してみるとよく解るが、これらの中小企業は、四六時中仕事があるところばかりではない。いつ通っても、店舗が閑散としていることも決して珍しくない。

 そこで、これらの中小企業に勤める社員を、生活支援サービス企業の臨時スタッフとして登録する。臨時スタッフは時給制であり、生活支援サービス企業からの仕事の要請に応じて、余っている時間は生活支援サービスの提供に従事するのである。

 この方法には双方にメリットがある。生活支援サービス企業は、人件費の一部を変動費化することにより、損益分岐点を下げられる。また、中小企業にとっても、本業に加えて生活支援サービス関連の業務を第2の収益源とすることができる。しかも、地元の人々によく知られている中小企業であれば、生活支援サービス企業の顧客からも信頼されやすい。

 以上、かなり突飛なアイデアも含まれるけれども、雇用創出プログラムを実現させる方策を私なりに考案してみた。念のため断っておくが、約30年後には私自身も仕事を続けるかどうかの岐路に立たされるし、医療・福祉サービスなどを頻繁に利用する立場になる。よって、上記のアイデアは決して第三者的な視点で考えているのではなく、当事者の1人として考えている点は誤解しないでいただきたいと思う。

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