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July 27, 2011

(メモ書き)「530万人雇用創出プログラム」の概要―『「雇用を創る」構造改革』

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 著者の島田晴雄氏(慶応義塾大学経済学部教授)は、小泉政権時に内閣府特命顧問を務め、構造改革の推進を支えてきた人物である。著者は、医療、福祉、子育て支援、教育(特に成人教育)など、様々な生活関連サービスへのニーズが将来的に増加することを踏まえて、生活サービスの規制改革を進め、民間企業の参入を増やせば、約530万人の雇用が創出されると予測している。このシナリオをより具体化したものが、2003年春に「530万人雇用創出プログラム」として政府から発表された。本書は、この雇用創出プログラムの解説本として、2004年に出版されたものである。

 2004年の本を何で今さらレビューするのか?と言われそうだけれども、桐山秀樹著『この街は、なぜ元気なのか?―北海道伊達市モデル』の中で、伊達市の改革をサポートしていたのが島田教授であると解り、教授自身の考え方やスタンスに興味が湧いてきたから、というわけだ(以前の記事「「地域活性化」という、いつもとちょっと毛色の違う本を読んでみた」もご参照ください)。

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 やや長いが、530万人雇用創出プログラムの概要を以下に引用しておく。「企業・団体向け」や「社会人向け教育」、「リーガル・その他の専門職種」など、生活支援サービスとは言い難いものが部分的に含まれているので、純粋に生活支援サービスだけを取り出すと、雇用創出効果は約300万人前後になりそうである。
A-1.個人向け・家庭向け(雇用創出効果+137〜213万人)
 (1)コンシェルジェ(家事代行、食、資産運用、娯楽等)
  女性の社会進出の増加、価値観の多様化、高齢化の進展等を背景に今後大幅にニーズが増加
 (2)旅行
  訪日旅行客は海外旅行客の1/3。2010年までに訪日旅行者を倍増。有給休暇取得率50%以下
 (3)健康促進
  国民の健康や美への志向は益々高まる
 (4)ライフモビリティ
  新たな形態の生活支援関連輸送サービスが登場

A-2.企業・団体向け(同+192〜210万人)
 (1)情報関連
  インターネット普及、ブロードバンド化の急速な進展
 (2)労働者派遣
  派遣労働者数は引き続き高い伸び率で増加
 (3)ロジスティクス
  荷主事業の本業への経営資源集中等を背景に成長
 (4)警備業
  厳しい犯罪情勢の中での専門的警備へのニーズ増大

A-3.社会人向け教育(同+13〜20万人)
 (1)高度職業教育関連
  生涯の様々な段階における多様な学習ニーズの顕在化
 (2)生涯教育関連
  高度専門人材への需要の高まり
 (3)特定産業における次世代人材養成
  基幹労働者の高齢化・退職に伴う将来の人材不足

A-4.住宅関連等(同+26〜37万人)
 (1)住宅関連
  今後は、質の高い住宅ストックが形成され、円滑に流通する市場構造とすることが求められる
 (2)ビルメンテナンス・リフォーム
  ビルの効率的な維持管理が重要。リフォームによるグレードアップ等の動きが活発化

A-5.子育て関連(同+8〜10万人)
 ・保育・子育て
  都市部における保育・子育てサービスへの潜在的ニーズは、多様かつ今後も引き続き高水準

A-6.高齢者ケア(同+56〜78万人)
 ・老人福祉・介護
  介護保険導入に伴い、老人福祉・介護サービスの利用者が大幅に増加。今後もニーズは益々増加

A-7.医療・医療情報(同+16〜17万人)
 ・医療・医療情報
  電子カルテ・電子レセプトなどのIT化は緒についたばかり。また、必要な情報提供が不足。情報化進展に期待

A-8.リーガル・その他の専門職種(同+6〜10万人)
 ・法曹、司法書士、税理士、公認会計士、行政書士
  経済の国際化、高度化、複雑化に伴う専門職サービスに対するニーズの増大

A-9.環境(同+16〜22万人)
 ・廃棄物・リサイクル対策、地球温暖化対策、その他
  世界的な環境制約の高まりに伴い、環境関連サービスに対するニーズは益々増大

B-1.労働市場の環境整備(後述のB-2と合わせて+26万人+α)
 ・労働市場整備
  円滑な労働移動や多様な働き方を選択することが可能な労働市場の整備が重要

B-2.若年者、女性、中高年労働者に対する支援
 (1)若年者
  若年者の高い失業率、フリーターの増加
 (2)女性
  依然として不十分な女性の環境雇用
 (3)中高年
  中高年の失業者の長期化
 雇用創出プログラムが発表されてから8年が経過しているが、上記のサービスに関しては、現在でも市場動向はほとんど変わっていないだろう。「環境」については、福島原発事故を受けて、自然エネルギーや再生可能エネルギーへの関心が一気に高まっているから、もっと多くの雇用が創出されるかもしれない。

 (次回からもっと突っ込んだ書評になります)

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