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June 13, 2011

【第17回】プロセスの時間を大幅に短縮する(1)―ビジネスモデル変革のパターン

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【パターンの概要と適用できるケース】
 今回のパターンは、もうかなり昔の本になってしまうけれど、BCGの『タイムベース競争―90年代の必勝戦略』を参考にしている(※1)。タイムベース競争とは、端的に言うと、「バリューチェーンを構成するプロセスの時間を大幅に短縮することで、競合優位性を獲得する」という戦略である。全てのプロセスを短縮する必要はないが、一部のプロセスでも短くすることができれば、競合に先駆けて市場のチャンスをつかむことが可能になる。しかも、単なる改善によって微々たる時間短縮を実現するのではなく、圧倒的な差異を生み出すことが肝要である。

【パターンが当てはまる事例】
《本田技研工業》
 先ほどの『タイムベース競争』で紹介されていた事例で、「へぇ〜」と思ったものを1つ引用。
 オートバイメーカーがなぜ自動車でも成功したか、その勝因はまさにタイムベース競争にある。そもそもオートバイという乗り物は、不要不急の商品である。重要なのは本来の機能性より、ファッション性である。流行はすぐに変化するから、素早く商品開発に取り入れなければならない。したがって、普通、オートバイメーカーは1台のオートバイを1年半で開発する。そして、1年半で開発されたオートバイは1年で売れなくなる。これがオートバイという商品のサイクルである。

 一方、自動車メーカーは4年から5年の開発期間をとっていた。しかも、新しい車種を開発したら、金型の償却などの関係で最低4年は売らないとコストが合わない。少々乱暴な言い方をすれば、新車の開発にあたっては8年後、9年後にも売れる車をつくらなければならない。

 今日の社会では、8年後や9年後に売れる車はおろか、5年後がどういう世の中になっているかさえ予測できない。だから、当然、新車の開発は予測はずれが多くなる。

 そこへ本田技研工業が進出し、1年半で新車を開発するというオートバイメーカーの迅速性を活かして、開発期間をトヨタや日産より短縮したのである。開発期間が短くなった分だけ、ホンダの車はユーザーのもっとも新しいニーズを組み込むことができるから、カッコいい、ナウいと評価される。
 「ナウい」という表現がすでに古臭いが、もう20年ぐらい前の事例なのでその辺は勘弁してくださいな(汗)。製品開発リードタイムの短縮は、今回のパターンの典型例である。売れる製品を競合よりも早く市場に投入すれば、市場シェアを一気に獲得できるのは自明である。

 「ムーアの法則」が通用していた半導体業界も、製品開発リードタイムをいかに短縮するかが重要な経営課題であったが、インテルはまさにこの課題をクリアして王者に君臨したメーカーであると言える。

《オフショア開発》
 システム開発では、海外の時差を活用して、事実上24時間の開発体制を実現しているところが多くなってきている。例えば、日本とブラジルでは12時間の時差があるから、日本で仕様書を起こしてブラジルに送り、日本人が眠っている間にブラジルで開発を進めることが可能になる。ブラジル人はでき上がったソースコードを日本に送り、今度はブラジル人が眠っている間にそれを日本人がチェックして、修正点をブラジルにフィードバックする。こうすると、理論上は日本国内だけで開発をする場合に比べて、半分の時間で開発が完了する計算になる(もちろん、こんなにスムーズに事が進むわけではないが・・・)。

 他にも、部品の調達リードタイムや製品の納入リードタイムを短縮することで、競合優位性を獲得しているのが、GAPやユニクロなどに代表されるSPAのビジネスモデルである(「【第14回】プロセスを垂直統合する―ビジネスモデル変革のパターン」を参照)。ただ、このモデルにもまだまだ改善の余地はある。というのも、SPAモデルは基本的に、「需要予測が可能」という前提に立っているからである。その需要予測を競合よりも頻繁に行うことで、予測と実績の乖離を防ごうとしているわけだ。

 ユニクロが需要予測に頼っていることは、昨年末から今年初めの気温が比較的高かったせいで、ユニクロの冬物が不振に陥ったことからもうかがえる。つまり、ユニクロの需要予測が外れたのである。また、需要予想が外れたと解った後で生産計画を変更し、素材の種類や量を変えて、生産ラインを組み替えるというプロセスにも、まだ不十分な点があることを示している。

 「需要予測が可能」という前提そのものをひっくり返し、「需要予測はしなくてもいい」と言い切っているのが、制約理論(TOC:Theory of Control)で知られるエリヤフ・ゴールドラットである(「「需要は予測すべき」という前提を大胆にも捨てたゴールドラット−『ザ・チョイス』」を参照)。ゴールドラットの主張は、一言でまとめると「売れた分だけ作って補充する」ということになる。しかしながら、ゴールドラットによれば、ここまでのサプライチェーンを実現している企業はほとんどないという。

 (続く)

>>【シリーズ】ビジネスモデル変革のパターンの一覧へ

(※1)ボストン・コンサルティング・グループ著『タイムベース競争−90年代の必勝戦略』(プレジデント社、1990年)

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パンツやローヒール靴人気急上昇 震災で変わる女性ファッション―【私の論評】時流をつかめ!!本当に意味がわかっていなければ、未来はつくれない!!

こんにちは。最近、震災の影響でで実際に百貨店などでの女性ファッションの売れ筋が変わっているそうです。これに関して、大方のファッション誌は、予測できなかったようです。その一方で、芸人の又吉さんが、ローソンのショートパスタのキャッチコピーで大成功しています。この違いは、どこからでてくるのでしょうか?ドラッカーは、「未来を予測することなど誰にもできない。できるとすれば、すでに起こった未来をつかむか、未来を自分でつくることである」としています。この至言を実行するためには、時流をつかめなければ不可能だと思います。又吉さんは、芸人とてして彼なりの方法で時流をつかんでいるのだと思います。時流とは、直近の世相や、人々の変化と捉えるべきです。時流は過去と分断して、突然起こるものではありません。過去を知らなければ、時流を知ることはできません。時流を知ることができなれば、未来をつくることはできません。詳細は、是非私のブログをごらんになってください。

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