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March 09, 2011

【第9回】製品を分解する―ビジネスモデル変革のパターン

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【パターンの概要と適用できるケース】
 前回の「製品をまとめてパッケージ化する」が思いのほか長くなっちゃったんで(汗)、今回は手短にいくよ。前回のパターンは、多種多様な製品をバラバラに販売することが当たり前になっている業界でよく見られるものだったが、今回は逆に、パッケージ販売が当たり前になっている業界でしばしば起こるパターンである。

【パターンが当てはまる事例】

(9)製品を分解する

 図にするほどの内容でもないんだけど、アップル(iTunes+iPod)とはなまるうどんのビジネスモデルを描いてみた。どちらも、「自分好みのパッケージを作成する楽しみ」を顧客に提供している。

 まぁ、私なんかは結構古いタイプの人間で、アルバムはアルバムとして曲のつながりや全体を貫くイメージを楽しみたいという性格だし、ジャケットや歌詞カードのデザイン・感触も作品の一部だという意識が強いので、iTunesとかはイマイチ魅力を感じないんだけどね。一応iPodも持っているけど、曲を聞くためのものとしてはほとんど使っていないし。これも、人による好みの違いなんだろうな。

 あと、このパターンに該当する事例としては、最近の葬儀業界における価格明細の開示が挙げられるかもしれない。葬式は突発的に発生する出来事であり、顧客があれこれと選んでいる暇がないという理由で、パッケージ化された製品が一般的だ。しかし、生きているうちに自分の葬式を好きなようにデザインしたいという人も増えていることから、パッケージの分解が見られる(単純に、「葬儀の価格が不透明だ」という顧客側の声に対応している、という側面もあるが)。

 パッケージ売りが当たり前になっている業界の1つに、マンションがあると思う。マンションは、部屋の間取りやタイプ(洋室・和室)、フローリングや壁の色・種類などがセットになったパッケージ製品であると言える。私の家にも新築マンションの広告が頻繁にポスティングされているけれども、マンションをカスタマイズできるという物件は見たことがない。

 実は、1990年代の後半には、カスタマイズ可能な物件が販売されていた時期があったみたいだ。ところが、不動産市場の先行きが不透明になったことも影響して、本来ならば建築確認取得時から販売をスタートできるところを、市況を見ながら販売を遅らせたり、販売スタートを竣工後に行ったりするケースが増加したようである。販売期間が短くなれば、マンションをカスタマイズする余地はどうしても少なくなり、顧客は出来合いの部屋をそのまま購入するしかなくなる。
http://allabout.co.jp/r_house/gc/29987/

 ただ、「自分が長く住む空間は自分好みにアレンジしたい」という顧客は決して少なくないはずだ。私は(前回の記事でもちょっと書いたが、)ファッションに関しては非常に面倒くさがりなのだが、家に関してはまず書斎がないとダメだし、浴槽やキッチンも一般的なサイズや配置では非常に使いづらいので、もし家を買うならとことんオリジナルにデザインしてやろうと思っているよ。

 ディベロッパーがパッケージ化されたマンションにこだわるのは、収益モデル上の理由が大きいのかもしれないけれど、この変革パターンにチャレンジする企業が出てきてくれないかなぁ(ちなみに、先ほどのリンク先では、実際にセミカスタマイズが可能なマンションが紹介されている)。

【考えられるCSF(Critical Success Factor:最重要成功要因)】
 事例から見えてくるCSFはこんな感じだろうか?

 ・多数の選択肢から選ぶことを楽しいと感じる顧客セグメントの抽出
 (このパターンを成り立たせる大前提)

 ・多数の選択肢を素早く検索できる仕組み
 (たくさんの選択肢を比較検討したいという顧客にとって、この仕組みは重要である。今回のパターンには直接該当しないが、「顧客の購買意思決定を助ける」ことをコンセプトとしているアマゾンは、検索結果が返ってくるまでの時間がわずか0.01秒変わるだけで、購入率や購買単価が大きく変動することを理解している。だから、アマゾンは検索エンジンのレスポンス改善に余念がない)

 ・パッケージを構成する各種製品の新陳代謝
 (葬儀やマンションのように購入回数が少ない製品は別として、購入頻度が高い製品の場合は、顧客の興味や好奇心を刺激し続けるために、パーツとなる各種製品を常に入れ替えていく必要がある。

 事例では言及しなかったが、iPhoneのアプリストアは、言ってみれば自分が好きなアプリを自由にインストールして、自分好みのiPhoneに仕立てる仕組みである。しかし、iPhoneユーザに話を聞くと、たまに「アプリストアのランキングの上位がほとんど変わらないのでつまらない」という人に出くわす。本当にアプリが好きな人にとっては、常に新しいアプリがないと満足できないようだ[もちろん、アプリ利用者の中には、「アプリがたくさんありすぎて、何を使ったらいいのか解らない」という人がいるのも事実]。)

>>【シリーズ】ビジネスモデル変革のパターンの一覧へ

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