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February 09, 2011

今までのeラーニングなんて面白くなかったんだよ(それは言いすぎか、汗)(2)

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 (前回からの続き)

企業内教育向けの既存のeラーニングをばっさり斬ってみる
 eラーニングは「いつでもどこでも好きな時に学習できる」ことがメリットとされる。しかしながら、とりわけ企業内教育におけるeラーニングは、こうした表向きのメリットとは異なる効果が重視されているように感じる。それはつまり、「人事部にとっての利便性」である。

 人事部の関心事は、「社員がeラーニングの研修をちゃんと受講しているかどうか」である。その点、eラーニングのシステムは、社員の受講履歴を細かく記録できるから非常に便利だ。さらに、受講途中で社員が手を抜かないよう、コンテンツを勝手にスキップできない仕様にすることだってできる(たいていのeラーニングは実際そうなっているし、私の会社で以前扱っていたeラーニングもそうだった)。

 だが、受講者の立場からすれば、「自分が既に知っている部分」や「長ったらしいアニメーション」はすっ飛ばしたいと思うのが普通だろう。ところが、システム上はそれができないものだから、受講者は退屈な時間を過ごすハメになる。これが学習意欲を下げる一因となる。

 eラーニングのアニメーションも曲者である。「アニメーションで臨場感のあるコンテンツを提供します」なんて売り文句を掲げているコンテンツプロバイダを時折見かけるが、はっきり言ってアニメーションなんて無駄に時間を長くするだけのものでしかない。そのアニメーションがお粗末で寒い代物だった日にゃ、学習意欲がさらに落ちるってもんだ(アニメーションを使ったeラーニングとそうでないeラーニングで、学習効果の違いがあるという調査結果があるのならば、教えてほしいぐらいだよ)。

 アニメーションを使ったeラーニングは、開発期間もそれなりにかかる。いくつかのコンテンツプロバイダのHPを見てみると、だいたい2~3ヶ月ぐらいが平均期間のようだ。これは、通常の集合研修のコンテンツ開発期間よりも長い(モノにもよるが、私の会社だとカスタムメイドの集合研修のコンテンツは、最短で2週間もあれば完成させられる)。

 最近は、コンテンツを顧客企業側で自由に作成できる機能を備えたeラーニングも存在する。例えば、新製品の機能や特徴をまとめたパワーポイントを営業部門がシステムにアップロードすると即座にコンテンツが完成し、営業担当者がeラーニングで新製品知識を獲得できるようになる、といった具合だ。

 ただし、この機能を前面に打ち出しているeラーニングベンダーは少ない。eラーニングベンダーの収益源はやはり自社のコンテンツにあるのであって、顧客企業で好きなようにコンテンツを作れるようになってしまえば、eラーニングベンダーは用なしになってしまうからだ。

個人的に欲しいと思うeラーニング・システムはこんな感じ
 eラーニングの本当のメリットは、「いつでもどこでも好きな時に学習できる」ことではない。「大量のコンテンツの中から、自分が好きなものを選んで学習することができ、逆につまらないと思ったらすぐに学習を中止できる」ことが真の利点であると考える。ちょうど、youtubeで好きな動画を取捨選択して視聴するような感覚だ。

 これに対し既存のeラーニングは、

  ベンダー側でコンテンツ開発に時間がかかる
 ⇒顧客企業が欲しいと思う学習コンテンツがなかなか充実しない
 ⇒やっとコンテンツができあがり社員が受講しても、自分が好きなように操作できない
 ⇒社員の受講意欲が下がる(「業務が忙しいのに、こんなeラーニングやってられるか!」)
 ⇒eラーニングに対する社内の風当たりが強くなる
 ⇒人事部はeラーニングを導入する意欲をなくす

という負のスパイラルにどっぷりはまってしまっている、というのが個人的な見解だ。だからeラーニング市場は、かつて予測されたような爆発的な成長率を実現することができていない。

 仮に自分が人事部の担当者だとして、どんなeラーニングだったら導入したいか考えてみたが、やはり先ほど書いたような、「youtubeで好きな動画を取捨選択して視聴するような感覚」のeラーニングに行き着く。社員が現場で使えるちょっとしたノウハウやナレッジを5分から30分程度の動画にまとめ、システムに自由に投稿する。あるいは、経営陣が現場に伝えたい重要なビデオメッセージを毎月、毎週のようにアップロードする。

 社員はどのコンテンツであっても視聴を強制されることなく、業務の空き時間に好きなコンテンツを視聴できる。そして、コンテンツに対して率直なフィードバックを寄せる。人気のあるコンテンツは常にトップページに表示され、逆に人気のないコンテンツは自動的に埋もれていく。動画をアップロードした人間は、自分のコンテンツがイマイチだと思えば、自由に削除することもできる。こんな感じのeラーニング・システムである。

 実際、これとほぼ同じ仕組みのeラーニング・システムを導入している企業は既にある。昔、あるシステムベンダーを見学した際、製品情報や技術情報などをまとめたコンテンツを社員が自由にアップロードできるeラーニング・システムを紹介してもらったことがある。コンテンツはビデオで撮影した動画でもいいし、単にパワーポイントをアップロードするだけでもいい。世界中から投稿されているコンテンツの数に圧倒された記憶がある。

 また、中小製造業でも、熟練社員の作業現場をビデオで撮影して社内のイントラに掲載し、若手がビデオを見ながら熟練社員の暗黙知を学ぶ、といった仕組みを取り入れているところがある。

 こうしたeラーニング・システムが主流になった場合、eラーニングベンダーはどのような役割を果たすのだろうか?第一義的には、大量の動画を扱えるインフラの提供者となる。もう少し進んだベンダーであれば、顧客企業のコンテンツ作成支援という付加価値サービスを始めるだろう。

 ただ、コンテンツ作成支援といっても、単に撮影機材や撮影スペースを提供するだけではあまりにも寂しい。顧客企業の事業戦略や現場の課題を深く理解し、戦略の実現や課題の解決に向けて、社員がどのようなナレッジを習得する必要があり、それをどのようにコンテンツに落とし込んでいくのかを整理する”プチ”コンサルの要素が加わるに違いない。

 もっとも、こうしたeラーニングが主流になると、eラーニング市場を構成する売上は「インフラ利用料」と「”プチ”コンサルの対価」が中心になるから、市場規模そのものが飛躍的に拡大するわけではない。でも、今までのeラーニングに比べればずっと面白くて、かつ社員にとって非常に有意義なシステムになるように思える。

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