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January 18, 2011

(メモ書き)人間の根源的な価値観に関する整理(2)―『異文化トレーニング』

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八代 京子
三修社
1998-02
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 前回の続き。ヘールト・ホフステードは、50カ国と3つの地域のIBM社員を対象に行った仕事の価値観に関する研究と、その後の関連調査を通じて、文化的特徴を表す5つの次元を提唱している。
(1)個人主義―集団主義
 2005年に改訂出版された74の国と地域を対象とした調査によると、個人主義的志向が最も高いのはアメリカ。一方、日本の順位は33~35位であり、相対的に集団主義的傾向があるとされる。なお、世界には日本よりも集団主義的傾向が強い国が数多くあることも報告されている。

(2)権力格差
 ホフステードは、「それぞれの国の制度や組織において、権力の弱い成員が、権力が不平等に分布している状態を予期し、受け入れている程度である」と説明している。

(3)男性らしさ―女性らしさ
 (※タイトルだけを見ると、「価値観にも性差があるのか?」と若干誤解を招きそうなので、この次元については同書の説明を長めに引用しておく)

 男性らしさを特徴とする社会では、日常生活の中で男女の役割がはっきりと分かれており、男性は自らを主張し強くたくましい存在で成功を目指すものだと考えられ、女性は謙虚でやさしく生活の質に関心を寄せるものだと考えられている。また、業績や野心を重視し、人を評価する時に功績によって決めるのが普通で、自分が獲得したモノを見せる権利があると信じている。

 反対に女性らしさを特徴とする社会では、男女の役割があまり区別されず重複しており、男性も女性も謙虚でやさしく生活の質に関心を払うものだとされている。男っぽさを強調したり物質的な功績を重視するより、他者への奉仕や不運な人に対する共感などの内面的な生活の質を信じている。

(4)不確実性の回避
 ホフステードは、「ある文化の成員が不確実な状況や未知の状況に対して脅威を感じる程度」と定義している。不確実性の回避の度合いは、文化の不安水準の高さと関連しているという(不確実性の回避の度合いが高いほど、文化の不安水準が高い)。また、不安の高い国ほど身振りや手振りといった非言語コミュニケーションが特徴で、感情をあらわにすることが多いという。

(5)長期志向―短期志向
 この次元は、ホフステードの共同研究者であったマイケル・ボンドの中国的価値観の研究調査から抽出された価値次元である。儒教の影響が強い東洋的価値観に根ざしたものとして、最初は「儒教的ダイナミズム」と呼ばれていた。台湾、韓国、シンガポール、香港、日本は「長期志向」が強く、この価値観が1970年から2000年にかけての目覚しい経済成長に大きく関わっていたと分析されている。
 トロンペナールスとハムデン・ターナーは、ビジネスに関連する価値観に特化し、文化の基礎的次元を7つ挙げている。
(1)普遍主義―個別主義
 普遍主義は規律、法律、規約といった基準を守ることによって問題は解決すべきと考え、個別主義は規則の一律的な適用より状況や人間関係を考慮すべきという考え方である。

(2)個人主義―共同体主義
 ホフステードの「個人主義―集団主義」とほぼ同じ。

(3)感情中立的―感情表出的
 これも読んで字のごとくだが、ここで1つ問題になるのは感情と客観的論理性の関係である。トロンペナールスとハムデン・ターナーは、アメリカ人は感情を表に出すが、感情は客観的・合理的な判断から切り離して考える傾向にあり、イタリア人や南欧の人々は一般に感情を出し、かつ感情を客観性や合理性から切り離して考えない傾向にあり、オランダ人やスウェーデン人は感情自体を表に出さず、感情は客観性や合理性とは相容れないと考える傾向にある、と述べている。

(4)関与特定的―関与拡散的
 他人との関わり方が生活のどれくらいの範囲を占めるのかがこの次元の問題である。ビジネスで言えば、仕事とプライベートは完全に分離していると考えるのか、仕事で関わりができるとプライベートな関係も必然的に生まれてくると考えるのか、ということになる。

(5)達成型地位―属性型地位
 これは、人の「地位」は何かを行って「獲得する」ものなのか、あるいはその人の年齢や社会的階級、性別、学歴などに付随するものとして捉えられているか、という問題である。クラックホーンとストロッドベックで言えば、活動志向の「する」と「ある」に相当するものと考えられる。

(6)順次的時間観―同期的時間観
 この次元が意味しているのは、遂行すべき課題をできるだけ効率よく順次的にこなすことが重要なのか、様々な活動を並行的にこなすことを当然と考えるのか、という違いである。

(7)内的コントロール志向―外的コントロール志向
 この次元は、クラックホーンとストロッドベックの価値志向における「人間対自然志向」と関わっている。人間が自らの意思で自然をコントロールできるという志向は、環境を左右するのは人間であるという内的コントロール志向につながり、人間は自然の一部であり自然と調和し協力していくべきであるという志向は、人間は自分だけでは自然をコントロールできないという外的コントロール志向につながる。
 今回の「メモ書き」は、実はあくまでも前置き。こうした人間の根源的な価値観が、企業のマネジメントにどのように影響を与えているか?ということについて、私なりに簡単な整理を試みたいと思う。この続きは後日ということで。

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