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December 27, 2010

今年読んだリーダーシップの本の中で最もしっくりきたよ(1)―『最前線のリーダーシップ』

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マーティ・リンスキー
ファーストプレス
2007-11-08
おすすめ平均:
組織を動かすための業(わざ)と心を伝える素晴らしい本
【座右】リーダーシップ、問題解決、そしていかにして生き残っていくかについての処方箋
リーダーシップを発揮するということは、危険な生き方をするということである
posted by Amazon360

 今年はリーダーシップ関連の本のレビュー記事を結構たくさん書いたんだよね~

 優れたリーダーは最短距離を走らない(前半)-『人と組織を動かすリーダーシップ(DHBR2010年5月号)』
 優れたリーダーは最短距離を走らない(後半)-『人と組織を動かすリーダーシップ(DHBR2010年5月号)』
 リーダーは「アジェンダ設定」と「ネットワーキング」を行ったり来たり-『ビジネス・リーダー論』
 これは宗教なのか?科学なのか?-『ダイアローグ-対立から共生へ、議論から対話へ』
 「思考」によって分断された世界を「対話」を通じて調和する-『ダイアローグ-対立から共生へ、議論から対話へ』
 ダイアローグの4プロセスを整理してみた-『ダイアローグ-対立から共生へ、議論から対話へ』
 民主型リーダーシップの本としての『シンクロニシティ-未来をつくるリーダーシップ』
 ピーター・センゲのU理論を再解釈してみた(1)-『出現する未来』
 ピーター・センゲのU理論を再解釈してみた(2)-『出現する未来』
 大事なのはリーダーシップのスタイルじゃないということ-『静かなリーダーシップ』
 地位パワーがなくてもリーダーシップは発揮できる(1)-『静かなる改革者』
 地位パワーがなくてもリーダーシップは発揮できる(2)-『静かなる改革者』
 優れた古典は深遠な議論への入り口である-『リーダーになる』
 「やりたいこと」と「得意なこと」のどちらを優先すればいいんだろう?―『リーダーへの旅路』
 他人からのアドバイスにはどのくらい耳を傾ければいいんだろうか?―『リーダーへの旅路』

 ウォーレン・ベニスの『リーダーになる』はリーダーシップの古典であり、「リーダー自身の価値観」がリーダーシップの成果を左右することを指摘している。「リーダーの価値観の重要性」は他の多くのリーダーシップ研究でも言及されており、最近紹介した『リーダーへの旅路』もその1冊である。

 ジョン・コッターの『ビジネス・リーダー論』は、トップマネジメントのリーダーシップを研究したものだ。同書では、コッターが定義したリーダーシップの2つの役割=「アジェンダ(課題)設定」と「ネットワーキング」に従って、「リーダーが取り組むべき課題」と「リーダーが形成すべきネットワーク(人脈)」が明らかにされている。

 これに対して、ジョセフ・バダラッコの『静かなリーダーシップ』と デブラ・メイヤーソンの『静かなる改革者』は、ミドルマネジャーあるいは役職・権限を持たない人々によるボトムアップのリーダーシップを題材としている。「リーダーシップは、カリスマ性のあるトップの人間が発揮するものだ」という固定概念に一石を投じる内容になっているのが特徴だ。

 デイビッド・ボームの『ダイアローグ-対立から共生へ、議論から対話へ』、ジョセフ・ジャウォースキーの『シンクロニシティ』、ピーター・センゲの『出現する未来』の3冊はちょっと毛色が異なる。いわゆる「ニューサイエンス」の知見を取り込んだ、新しいリーダーシップ論である。

 この3冊がベースとしているのは、ボームの「内臓秩序」というコンセプトである。ボームらの言いたいことを簡単にまとめると、人間はお互いのことを正しく理解し合うことはできないが、根底の意識レベルはつながった存在であり、深層レベルでの連帯を感じることができれば、自ずと正しい方向へと人々は導かれる、といった感じになる。

 私自身はニューサイエンスのことなど全然勉強していないし、ピーター・センゲらのU理論に対する理解も不十分であるから、この新しいタイプのリーダーシップについてとやかく論じる資格はないのだろうけど、他のリーダーシップの書籍に比べると、どうしても抽象的な印象がある。

 「人間同士が意識レベルでつながれば、自ずと事態が好転する」というのは、「頑張れば何とかなる」と言っているのと大差ないようにも思える(そういうのは、しがないロックバンドの歌詞に任せておけばいい)。さらに、「内臓秩序」という、宇宙全体のシステムを規定する存在を想定することは、乱暴な言い方をすれば"形を変えた全体主義"のような気がしてならないんだな。

 具体性という意味では、今日紹介する『最前線のリーダーシップ』が今年一番だった。帯に竹中平蔵氏の推奨文が載っていたので、てっきり政治の世界におけるリーダーシップに特化したものだと思っていたけれど、とんだ勘違いだった(こういう早合点は私の悪い癖だな…)。

 もちろん、著者の専門分野が政治・行政であるため、大統領(クリントン、ブッシュ、ニクソン、ジョンソン、F・ルーズベルトなど)や州政治のリーダーシップに関する事例が多いのは確かだが、それ以外にも国際機関(WTOなど)、企業(IBM、ゼロックス、DECなど)、非営利組織といった、様々な組織におけるリーダーシップが考察の対象となっている。さらに、組織の最上位から最下層にいたるまで、あらゆる階層のリーダーシップを取り上げており、全体として非常に包括的である。事例の豊富さという意味では、この本が今年読んだ本の中で断トツだった。

 この本のテーマは、「リーダーシップを発揮する際に、どうやって最後までやり遂げるか?」ということである。リーダーシップのプロセスには数多くの危険が潜んでいる。変革に反対する周囲の人々は、ありとあらゆる方法でリーダーを攻撃する。

 ただし、リーダーを陥れる危険はこれだけではない。リーダー自身の「本能」の中にも危険は潜んでいるのだ。それは、「権力への渇望」や「自分が万能であるといううぬぼれ」、「多くの人から支持されたいという親和欲求」、さらには「自分こそが世界を救える英雄だと思い込む自尊心」などである。

 リーダーは、そのようなリスクをかいくぐりながら、自分自身の身も守りつつ、「正しいこと」を実現させなければならない。そのための技術や考え方を存分に教えてくれる良書である。

 (続く)

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