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October 29, 2010

競合他社は4つのレイヤーで見極めるといいんじゃないかい?

拍手してくれたら嬉しいな⇒
内田 和成
日本経済新聞出版社
2009-11-10
おすすめ平均:
電力対ガスにひかれて読んだ
取り立てて普通
僕にとってタイムリーな本。友人に勧めたい本の一つです。
posted by Amazon360

 BCGの内田和成氏の本なので買ってみたのだが、期待していた内容と違ったので、書評を書くのは止めておこうと思う(なので、今回は記事タイトルに書籍名を入れていない)。一応、中身に簡単に触れておくと、「今は電気VSガスのように、異業種間の競争が頻繁に起こっていますね〜」という事実描写のページが多く、「異業種への参入を可能にする成功要件は何か?」、あるいは「異業種からの参入があった場合、どのように対応すればよいのか?」といった、より実務的な論点に対する記述が少なかった(この点で、私の期待していた内容と違っていた)。

 本書を通じて1つ確認できた教訓は、「競合他社は、いつどこからやってくるか解らない」ということである。そこで今回の記事では、自社の「真の競合」を把握するための視点について整理してみたいと思う。

 個人的には、競合他社は次の4つのレイヤーで捉えるのがよいのではないか?と考えている。
第1レイヤー:同じ製品カテゴリ
第2レイヤー:見た目は異なるが同じニーズを満たす製品
第3レイヤー:広い意味でそのニーズを代替する製品
第4レイヤー:顧客が限られた時間・場所・資金の中で消費しているその他の製品

競合他社を捉える4つの視点

 ビールを例にとって考えると、別の銘柄のビールは直接的な競合であり、第1レイヤーの競合にあたる。ただし、「お酒を飲みたい」というニーズを満たすのは、日本酒やワイン、焼酎、ウィスキー、さらには発泡酒やサワーなどの酒類全般である。これらの製品もビールの競合であり、先ほどの区分で言えば第2レイヤーの競合に該当する。

 ここからさらに視野を広げて、消費者が「お酒を飲みたい」と思うのはどんな時かを考えてみる。すると、「(お酒を飲みながら)みんなでワイワイやりたい」、「仕事のストレスを解消したい」、「日中の疲れを取ってリラックスしたい」、「(お酒の力を借りて)恋人との距離を縮めたい」など、様々なシチュエーションが考えられる。

 ここで重要なのは、こうした「広義のニーズ」を満たす手段は、何もビールに限られているわけではないということだ。「仕事のストレスを解消したい」というニーズであれば、マッサージや温泉、贅沢な外食、カラオケ、あるいは安眠枕などでも満たすことができる。「仕事のストレスを解消したい」と思った消費者は、ビールの代わりにこれらの製品やサービスを選択するかもしれない。このように消費者の「広義のニーズ」を満たす製品も、やはり競合のリストに入れておく必要があるだろう。これが第3レイヤーの競合である。

 さらに視野を広げてみる。消費者が自由に使えるお金や時間、場所には、当然のことながら限りがある。お金に関して言えば、消費者は家賃や通信費、食費、自動車のローンなど、他のものに費やしているお金とのバランスを考えながら、ビールにどのくらいお金を使っていいのかを決めている。

 不況で収入が減れば、自動車やマンションのローン返済を優先してビールを控えることがあるだろう。また、子どもが小学校に入れば、教育費を捻出するために、お父さんが涙を呑んでビールを我慢することもある。そういう意味では、顧客が限られたお金、時間、場所の範囲内で購入しているあらゆる製品も競合になりうるのである。これが第4レイヤーの競合である。

ビールの競合は何か?

 第2レイヤー以降の競合には、どのように対峙するのがよいのだろうか?まず、第2レイヤーについては、競合する製品が自社の製品と非常に似ているため、自社の製品ラインナップに加えてしまえばよい。実際、主だったビール会社の中で、ビールだけを扱っているところは皆無に等しく、あらゆる酒類を扱っている。

 第3レイヤー以降の競合との戦い方は難しい。ここからは完全にアイデアベースの話になるが、第3レイヤーの競合に対しては、「仕事のストレスを解消したい」というニーズを満たす製品として、ビールが他の製品よりも有効であることを消費者に訴えるプロモーションが必要になるだろう。

 例えば「ビールの量と仕事のストレスの関係」みたいな調査を実施して、「2日に1本自宅でビールを飲む人のストレスが一番低い」などといった結果が出れば、それを活かした広告を打てるかもしれない(あまり露骨にやると、逆に消費者から胡散臭がられるというリスクはあるが)。あるいは、「リラクゼーション効果のあるビール」なるものを開発して、「仕事のストレスを解消したい」というニーズに直接訴えるという方策も考えうる。

 第4レイヤーの競合との戦い方はさらに難しい。ビールは嗜好品なので、家賃や食費のような必需品に比べると、どうしても消費者の優先順位が低くなりがちだ。そこで例えば、ビールを料理酒のように使う方法をもっと消費者にアピールして、ビールを必需品化するという手はありうるだろう。

 ただ、第3レイヤーまでの競合に比べると、第4レイヤーの競合との真っ向勝負はリスクが大きいため、ビールの需要が落ち込んだ場合を想定した価格戦略や生産体制の見直しなど、防衛の戦略を用意しておくことの方が重要かもしれない。

 とりわけBtoCビジネスにおいては、消費者のニーズが移ろいやすいので、競合他社を広く捉えておくことは非常に重要だと思う。では、顧客企業が割と合理的に意思決定を下すBtoBビジネスにおいては、競合他社を4つの視点で幅広くリストアップする必要はないのかというと、そういうわけでもない。BtoBビジネスでも、やはり4つのレイヤーで競合他社を把握することには意義があると思う。BtoBビジネスにおける競合他社の捉え方については、別の機会に書くことにしよう(忘れてしまったらごめんなさい)。
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